「オンバーン、爆音波!!!」
「バアアアオオオオオオッ!!!」
「爪研ぎ」
「リイイイイッグアァァァ……」
爪研ぎをしながらも爆音波を浴びてしまうクリムガンだが、ダメージが大きいようには見えない。そして研ぎ終わった爪を見て満足気に頷きながらも地面に指を滑らせると……深々と、だが鋭利な爪痕が刻まれる。
「蛇睨み!!」
「グウウガァァ!!!」
「何っ!?」
「オンバァァッ……!?」
ラビ、もとい彼のクリムガンは配信にも出ていた。力尽くでその気にさえなればマリルリを刈ってしまう程のパワーを秘めている筈の個体……それなのに繰り出して来たのは蛇睨み。オンバーンの麻痺は予想外、だがこの程度で止められると思ってるなら……
「ステルスロック」
「リガァァァ……!!」
「これが起点作成って奴か……!!」
確かに自分のクリムガンは力尽くの命の珠アタッカー、だが彼は下克上の為ならばあらゆる戦術にも手を伸ばして会得するという果てしない貪欲さを持ち合わせている。最初こそ補助技を使う事に怪訝そうな顔をしていたが、それで仲間をサポートし、その仲間からクリムガンのお陰で勝てたよと言われてからは仲間と共に勝利をするという喜びを知ったので喜んでこういう事もやってくれたりもするようになった。
「挑発」
「リイイイ、グガアアアンッ!!」
「オ、バアアアアアッ……!!」
「落ち着けオンバーン!!怒りの前歯!!」
「来るぞ構えろ!!」
勢いよく迫ってくるオンバーン、例え麻痺していたとしても十二分過ぎる程のスピードを誇るオンバーン。がそのスピードはクリムガンが勝利を目指しているガブリアスなどに比べたら遅い、故にクリムガンはオンバーンのそれを確りと捉えていた。
「バアアアアッ!!!」
「雷パンチぃ!!!」
「リイイイイガアアアアッ!!!」
怒りの前歯を繰り出し、体力を大幅に削ろうとしてくるオンバーンの喉へと雷を纏った拳を叩き込んだ。爪研ぎさえすればその破壊力はあのスイクンすら動けなくなるレベルの破壊力にもなるこのクリムガン渾身の一撃を受けてオンバーンはヨロヨロと地面に下りながらも呼吸困難になっているのか、必死に酸素を取り込もうとしているが、上手く出来ていない。
「ッ……バァッ……!!!?」
「なんちゅう威力の雷パンチだよ……!?タイプ上は等倍でもこれじゃあ……!!オンバーンまだいけるか!!?」
「バ、バァァァンッ……!!」
「ほう、良い根性をしてるオンバーンだ」
再び跳び上がったオンバーンを見てクリムガンも見直したと言わんばかりに笑う。そしてオンバーンは龍の咆哮を上げてプライドを示すように高く飛び上がって見下して来た。残念だが、こいつにそれは厳禁だぞ。
「エアスラッシュ!!!」
「バアゴオオオオッ―――「リガァンッ!!!」ゴアアアッ!!?」
飛び上がった筈の自分の目の前に出現したクリムガン、まさかあんな一瞬で此処まで上昇して来たのか!?クリムガンは一応飛ぶ事はできる、助走か跳躍が必要ではあるが、このクリムガンならば、高さを稼ぐだけのジャンプも得意、そしてその高度を維持するための飛行も出来る。
「不意打ち!!」
「リイイガアアアアアアア!!!」
オンバーンの首を掴みながらも一気に落下していく、そしてそのまま勢いよく地面へと投げ付けるとオンバーンは受け身も取れずにそのまま地面にクレーターを作りながらもその中心部で瞳を回して動かなくなった。それを審判を買って出たアランが通知する。
「オンバーン戦闘不能、クリムガンの勝ちだ」
「……ハハハハハハッ!!!思った通りだ、こりゃあウチの全力で行っていい相手みたいだな、いや全身全霊で勝ちにいかせて貰うぜ!!」
「そりゃ結構……だが一体倒されてそれを言うとは、二流の台詞だぞ、文字通り全力で来い―――潰してやる」
「ッ上等じゃねぇか……!!突破しな、ガブリアスぅ!!!」
「ガアアブアァ!!!」
オンバーンの次はガブリアス、矢張りというべきかドラゴン統一か……しかしガブリアスとは……その姿を見てクリムガンは拳を握り、首を鳴らしながらも良い獲物が来たなァ……下克上のやり甲斐があると言わんばかりの笑みを浮かべる。下剋上にやり甲斐なんてあるのだろうか……
「ガブリアスか……如何だやる、よなお前は」
「リイイイガアアア!!!」
クリムガンの下克上とは極めて簡単な事だ、自分よりも強いという評価を下されているポケモンに勝つ事。ガブリアスなんて仮想敵として真っ先に挙げられる相手だ、普通に考えればクリムガンでガブリアスの相手というのはきついの一言なのだが……クリムガンの執念はとんでもない物があるので精神で相手を凌駕する。
「行けええガブリアス!!ドラゴンクロー!!」
「ガアアバアアアアッ!!!!」
直後、ガブリアスは駆け出したが、直後に飛んだ。爆音を響かせながらの超高速移動、その上でのドラゴンクローは凄まじい威力を発揮するが……それをクリムガンもドラゴンクローで受け止めてみせた。爪研ぎによって上昇したパワーでドラゴンクローを巨大化させて盾のようにした。そして反撃の一撃を―――
「リイイガァ……リガ?」
爪を突き立ててやろうとしたガブリアスは先程まで目の前にいたのにハルジオの目の前まで戻っていた。これは……
「どうだウチのガブリアスは……ガブリアスの超スピードを利用してるだけに過ぎないが、バトルではこういう活用もあるんだぜ」
「成程な、ガブリアスのスピードを活かすヒットアンドアウェイか……」
以前見たボルトチェンジのように高速で後方に飛びのいて距離を稼ぐ戦術、それをガブリアスのスピードを用いて行う事で相手の攻撃射程範囲から一気に逃れる、成程……高機動な小型ポケモンが主に使う手だが……それをガブリアスのスピードで行う、同時に負担こそかかるが、それにすら耐えられるからこそのガブリアスなのだ。
「クリムガン、捉えてみせろ」
「リイイガアアアッ……!!!」
やり甲斐があるじゃねぇか……下克上のな!!と言っているが……本当にしょうがない奴だ。