カミツオロチ対ガチゴラス、タイプの相性で言えば草タイプを複合しているカミツオロチの方が有利だと言わざるを得ないがガチゴラスは氷の牙を扱えるために4倍のダメージを与える事が出来るのでハルジオは全く不利だと思っていない。ガチゴラスには4倍の弱点が無いのでこの点も有利な材料になる、勝てるぞと意気込んだのだが……
「カアロオオオオ!!」
「カアアア!!!」
「ロオオオオ!!!」
「オオオオオオッ!!!」
「トオオオオオオッ!!!!」
「???」
「ふっざけんなァァァ!!!!」
と思わずハルジオが叫んでしまった。カミツオロチは一つのリンゴに複数のポケモンが潜んでいるような状態にあるが、常に無数の頭が飛び出して、全周囲にレーザーを放って来るというとんでもない状況となっていた。最早対空射撃を行っているレーザー砲台だ。
「龍の舞で加速しろ!!突破する!!」
「ゴオオラアアアッスァァァ!!!」
龍の舞で加速しながら一気に懐に飛び込もうとするのだが、そこへ三つの頭が此方を見て即座に反応を示した。二体が気紛レーザーからパワーウィップに変更し足元と胸の高さに鞭を振るった。ガチゴラスは無理矢理高く跳んでそれを回避するが、そこへエナジーボールが飛来して頭部へと炸裂し、思わず体勢を崩して倒れ込んだところへ気紛レーザーの嵐が放たれてくる。龍の舞のお陰で素早く立て直す事に成功し、再び回避するが……ハルジオはなんて厄介な相手だと舌打ちをした。
「(カミツオロチは7体のオロチュの集合体、リーダーを含めないで6体……でもこんなにばらばらに攻撃してくる奴なんて初めてだぞ……!?)」
ハッキリ言ってこのカミツオロチのオロチュ達はリーダーを含めて全員自我が強く、強い自己主張も平然と行う。そして自分が攻撃する、自分が!!と勝手に言い出すのでラビは思考を逆転させた。だったらこいつらの好き勝手にやらせればいい。
「いいぞカミツオロチ、そのまま構成維持!!」
『ロッチュゥ!!!』
行う指示は最低限、その代わりに常にリーダーのオロチュが主導権を握って各オロチュに常に指示を送り続けて技を出させる。これによって仮に指示が届かないような状態になってもリーダーオロチュによって指示を飛ばす事で戦闘が継続可能な上に、指示が届くまでのロスを削ぎ落す事が出来る。
「チュウウカロ」
「カアウンロ?」
「「「「ロロロッチュ!!!」」」」
「……カアロンッ!!」
何かの提案を受けたのかリーダーオロチュは少し考えたが、即座に許可を出した。直後に空は晴れ渡り、太陽の日差しが強くなり始めるとオロチュ達がその太陽の恵みを使って成長を開始。
「マズい、氷の牙!!」
「ゴオオオラアアアアア!!!」
巨体で地面を揺るがしながらも迫って来るガチゴラス、一歩一歩と踏み締める為に鳴動していく地面だがカミツオロチは全く動じる事も無かった。冷気を纏った巨大な牙が迫った時、成長が完了したのか、一斉にオロチュ達が飛び出した。
「カァァァァァァ!!!」『ンロォォォォッ!!!』
「『チアアアアアアアアアアアア!!!!!』」
超至近距離、あと一歩で氷の牙が身体を捉えて噛み砕かんとする距離、そこでオロチュ達の心が一つとなっていた。本来気紛れに自分勝手に戦い、気紛れで心が一つにならなければそれが起きないが、それが一つの方向性を向いた時―――破壊光線をも凌ぐ絶大な龍の光線となって全てを穿つ。発射されたレーザーは一瞬にガチゴラスを飲み込むとそのまま空へと伸びていった。射角を調整して建物に当てないようにしてくれたのは素直に助かった、気紛レーザーは雲をも吹き飛ばす程の破壊力を見せつけながらも照射され続けた、その迫力にハルジオも言葉を失ってしまう程だった。
「ガ、ガチ、ゴラッ……」
絶句したまま吐き出した言葉は連続せず、散発的な言葉となっていた。そしてそのレーザーが収まった時、ガチゴラスの身体は真っ黒になっていた。レーザーの超高温によって表面が焦げてしまったのだろう……そのまま、ガチゴラスはゆっくりと倒れ込んでしまい、目を回した。
「ガ、ガチゴラス……!!?」
「……大丈夫なのです、ただ戦闘不能になってるだけなのです」
そっと近づいたアンがそれを告げながらもオボンの実をガチゴラスの口の中に押し込んだ。するとシャクシャクと咀嚼する音が聞こえて来て、ガチゴラスが無事であることが明らかになるとハルジオも胸をなでおろしながらもボールに戻した。
「……まさかこんなにも力の差があるとは思いもしなかったぜ、いや本当にすげぇぜ、流石は―――いやなんでもねぇ。だけどな、ウチだって意地がある、これまで築き上げてきた物があんだ!!これで終わらせてたまるかよ!!!行くぞドラミドロォオオオオ!!!!」
「ドゥゥウラアアアア!!!」
遂に登場したドラミドロ、ハルジオの切り札でもあり彼女の異名の由来にもなったポケモン。その登場にレイブンはカミツオロチを戻した、毒ドラゴンで相性が悪いのもあるが、恐らくだがメガシンカが来るというのを感じ取った。
「ならこっちも行くか……仕事だ、ボーマンダぁ!!!」
「ボオオオオオァアアアアンダ!!!」
繰り出したのはボーマンダ、そしてその胸にはメガストーンが嵌めこまれた胸当てがあり、ハルジオも大きく笑った。此方に合わせてくれるというのなら遠慮なくやってやろうじゃないかと大きく笑う。
「さあこっからが本番だ!!!」
「こい、どんなものだろうが蹴散らしてやる!!」