「メ、メガドラミドロの特性は再生力!!?マジかよ適応力とはある意味で真逆な特性じゃねぇか!?」
「相変わらず俺も知らん情報を……」
「まあラビさんですし」
「おうアンシャ、どういう意味だこら」
バトル後、腰を落ち着ける事が出来るカフェへと入った。そこはハルジオが隠れ家的に使わせて貰っている店であり、店主は竜の里出身で口の堅い老人でハルジオが来た時は驚いたが、事情がある事を察して息抜きには此処を使えと言ってくれた模様。そこに移ってから、メガドラミドロについての話を行っていた。
「適応力によってタイプ一致の高火力こそ失ってしまうが、10万ボルトなんかのサブウェポン技の威力はメガシンカによるステータス向上で威力が上がるって面白い事が起きる、これは全ポケモンを見ても珍しい事象となる」
「それは確かに珍しい事だな……」
「活かすべきはラストの大看板ではなく、最初はメガシンカをせずに適応力でドラゴンと毒タイプの大火力を押し付けていく事だ。此処こそ流星群なんかも積極的に使っていくべきだろうな」
「だが流星群は特攻が落ちるだろ」
「そこも適応力でカバーするっていう考えもある、二連発位なら許容範囲だろう」
レイブンの言葉に思わずうなりながらも喉がなってしまった、自分では思いつきもしなかった。最後の最後に投入する取って置き、そして全力を出し切る物だと思っていたが……世界チャンピオンにまでなった男に掛かればそんな活用法を見出して来る、そしてその可能性に胸が高鳴る。
「それにそういう事をしていれば自然とダメージを負う事が考えられる、そこでメガシンカを行って特性を再生力に切り替えながらクイックターンで相手にダメージを与えながら引く。物理技だから特攻ダウンの影響がないし、相手に有利な相手に交代出来る上に体力も回復できる」
「……すげぇ、ドラミドロでそんな立ち回りが……」
「さらに言えばメガドラミドロで最も優れているのは特防だ。特防で言えばフラージェスを上回る事が出来るから、分かり易い弱点であるエスパー技は大半が特殊だからそれにも多少ではあるが、強く出れるしそれ以外の特殊メインアタッカーにも強く出れる。後ついでに言うと黒い霧で相手の積み技をリセットさせつつも自分の特攻のリセットも図れるっていうおまけ付きだ」
「―――……」
ハルジオの瞳はこれ以上なく輝いていた、相棒が更に先へと突き進んでいく可能性を此処まで示された事が嬉しくしょうがない。
「相棒をラストに出す、これは大半のトレーナーが陥りがちな落とし穴だ。分かり易く盛り上がるのは分かるけど、ポケモンのバトルは基本的には計算式だ。相手に有利なタイプ、得意を押し付け苦手を避けるのは当然の事だ、感情面だけで編成を固定するのは極めて危険な事だ。序盤とは言わずに中盤を任せてみるだけでも随分と変わる筈だ」
「た、例えばどんな感じな編成なのです?」
そこでアンが試しにどんな編成にすればいいのかという質問をしてみたので、レイブンは自分が一時使っていた編成を例に出す事にした。
「3VS3での話にはなるが、所謂フットワーク重視という編成がある。序盤を素早く威力があれば申し分ないな、相手をかき乱しながらも隙を見て強烈な一撃で削り取る。中盤には主力を置いて幅広い技範囲で的確に相手の弱点を突き、的確に相手を落としていく役目を担う。ンでラストには、タフで耐性が多めの奴を置きたい、体力が多めで打たれ強いポケモンならば最後の砦としても分かり易く機能してくれる」
「フットワーク重視というが、3匹それぞれに殆ど独立した役目を与えて動かしていく感じだな……ほぼ単体で機能が完結する……コンボなどは考慮しないのか?」
「考慮してもいいがついで程度でしておいた方が良いかもな、フットワークを重視する場合はそのポケモン単体だけで役割を確実にこなさせる事に重点をおいておくんだ、コンボ前提だとそれを成立させる為の調整やらが入ってくる。だからステロとドラテ程度のコンボが効率的だと思う」
ポケスペ由来のフットワーク重視編成はイッシュ時代は本当にお世話になりました。まだアニポケ時空のそれに慣れていない時は兎に角、一体の役割を絞っておかないと自分が耐えられなかったというのがあった。この時はダイケンキをラストに控えさせる事も多かった……というよりもこの時はゲームの癖というか、旅パ特有の御三家先頭が多かった気がする……。
「―――まだまだ知らない世界があったんだな……うちは、まだまだ強くなれる……!!!」
ギラついた瞳の奥には興奮と高揚がとめどなく溢れ出ているのが分かる、抑え切れない物に身体の震えが止められないと言わんばかりだ。
「レイブンさん、うちはユカリに負けてメイドをやってんだ。まあ今はそれも少しだけ悪くねぇと思ったりする時もあるが……それ以上にアイツに勝ちてぇ、あの時ユカリに奪われたうちを取り戻してぇって思ってるんだ。だから……これから相談とかしていいか」
「構わんぜ、竜の里の誼で色々教えてやるよ」
「うおっしゃぁ!!!見てやがれユカリ……今に……グッフッフッフッフッ……」
意地の悪い笑いをし出すハルジオを見て、これは相当に色々と溜め込んでいる事を察する。まあ話を聞く限りでもかなりの無茶振りをされているみたいだし……。
「まあ、無理だけはせんようにな」
「だがもうこの猛りは止められねぇ!!気合入れていくぜぇ!!!」
「元気になってよかったの、です?」
「まあ元気があるのは良い事ではあるが……これからユカリとやらの所に行くのに……」
「頑張れよアラン」