「マ、フォオオオオオオクイシイイイイイ!!!!」
メガエネルギーが溢れ出していく、包み込んだバリアゾーンが吸収しきれない程の膨大の密度のエネルギーが溢れ出していく。そして目の前でトレーナーもキーストーンも無い筈なのにメガシンカの繭が形成されていく、だがそれが歪に内側から膨張していく。そして罅が入り無理矢理突き破るようにそれは現れた。
マフォクシーの象徴も言える木の枝、それは3本になり、その内の一本は魔女の箒のような大きさでその上に乗っている。残りの2本はファンネルみたいに浮いている。耳の毛先や腕・足・尻尾の体毛が黒く染まり、特に内耳の毛先はリボンのように靡いており、顎から白い髭が伸びており、エルダーウィザードのような印象を受ける。これがメガマフォクシー……。
「お前の先の姿だ、自分で体験しろマフォクシー!!」
「クスィ!!!クスィ?スィ~マ……」
仕事だな、と出てきたマフォクシーだが、メガマフォクシーを見て少しだけ驚きながらもこれが自分のメガシンカした姿なのかと興味があるように枝を銜えながらも火をつけて吸い始める。
「相手はお前のメガシンカ、あいつに勝てば理論上はメガストーンが手に入る、らしいぜ。その気はあるかいマフォクシーさんよ」
「―――クスィ」
「マジだよ、プラターヌ博士から貰ったメガストーンは暴走メガシンカを鎮圧した末にゲットした奴らしいからな、俺はそうだと睨んでるぜ」
「クスィ~……」
まだ吸い切ってもいないの、枝を足元に投げながらも踏みつけて火を消す。興味とやる気が燃え上がる話をしてくれる……と思っていると遂にメガマフォクシーが動き出した、魔法の箒のような枝に乗りながらも自由に空を舞いながらも二つの杖のような枝を自在に操りながらも炎を放射して攻撃してくる。
「素早く―――チャージビーム!!力強く―――シャドーボール!!」
「ックシァッ!!!スィィイイアアア!!!」
「マフォゥッ!!?」
放たれたチャージビームは異様な程に早く、杖の一方を真上へと弾いた。直後に飛来したシャドーボールは通常の物よりも巨大且つスピードもあり、火炎放射をあっさりと押し返して残っていた杖が吹き飛ばされてしまった。余りの火力の差に驚いていたメガマフォクシーだが、直後に跳び上がって来たマフォクシーに睨まれた。
「グロウパンチ!!」
「クィィスィィ!!!」
強烈な一撃がメガマフォクシーへと襲い掛かる、マフォクシーとは思えぬほどのパワーで殴り飛ばしてしまう。そしてその場に残った箒に乗りながらも落ちてきた杖をキャッチするとまるで煙草の代わりにするように銜えて火をつけて吸い始めた。
「―――……クスィ」
存外に悪くないのか、吸ってみて少しだけ驚いたように杖を取りながらも煙を吐き出した。これは良い物だな……と笑って見せるが、それを見たメガマフォクシーはどうしようもない位に怒りが湧き上がってきてしまった。暴走メガシンカではあるが、それでもマフォクシーにとっては使っている木の枝の杖は極めて大切な物であり、それを奪われただけではなく、それを本来の使用用途とは全く違う形で活用されている事がマフォクシーというポケモンにとっては最大級の侮辱に等しいのである。
「クッスィッ」
笑いながらもサマーソルトキックで乗っていた箒を蹴り出して殴り飛ばしたメガマフォクシーの傍へと箒を突き刺した。そっちは返してやるよ、ほら、使えよと言わんばかりに更に深く杖を深く吸って煙を吐き出してみせると、メガマフォクシーの何かがキレた。
「マアアアフォオオオオオオ!!!」
残っていた箒、そして吹き飛ばされた杖を呼び戻すと目の前に重ねるように置く。まるでマイクのように置かれたそれらに向けて、メガマフォクシーの全力の火炎放射を放った。それは箒、杖の上を通り抜ける度に巨大化しながらも火球へと変貌し、マフォクシーに向けて襲い掛かる。それを目の当たりにしてもマフォクシーは余裕を崩さず、すい続けていた。そして―――
「いい加減真面目にやれ、素早く―――グロウパンチ、力強く―――フレアドライブ!!!」
「クゥスィ~……スァァ!!!」
はいはい、と返事をしながらも杖を吐き出すとそれに向けて再びグロウパンチを打ち放った。グロウパンチで一気に加速された杖が火球へと突き刺さった。メガマフォクシー自身が生み出した為か耐性があるのか、少しだけ持ちこたえた瞬間にそこへ―――炎を纏った手刀のフレアドライブが更に杖を押し出して火球を粉々に粉砕してしまった。
「マ、フォッ……!!?」
余りにも異常な光景にメガマフォクシーは目を丸くした、そして―――そのままマフォクシーはフレアドライブの手刀をメガマフォクシーへと叩きこむ、その一撃はとてもマフォクシーのモノとは思えない程に強く、重く、鋭い物で一瞬で意識を刈り取られて倒れ込むとメガシンカが解除されてしまった。そして滞留していたメガエネルギーとメガマフォクシーから抜けていくそれが結合していき、メガストーンとなってレイブンの手の中へと納まった。
「マフォクシナイトって所か……お疲れさんマフォクシー、だけどちょっと煽り過ぎだろお前」
「クスィ?ク~シィ~」
そうかい、確実に仕留めるには相手に全力を出させてそれを破った時の隙を狙うのが一番だと言いたげに笑いながらも倒したマフォクシーを抱き上げる。暴走を諫める為とは言え、やり過ぎてしまったのは事実、正直申し訳ない……と思っているとレイブンは直ぐにマスカットに連絡をする。
「やれることはやったんだ、お前は気にするな」
「クスィ」
「す、凄かったのです……」
「ムラァンド」
目の前で目の当たりにした暴走メガシンカの圧倒的な力の波動とそれを容易に下してしまうレイブンとそのポケモン。アンは素直に思う、自分もいつかその領域に行けるのかだろうか、そして……次も同行したいという気持ちと邪魔になるという二つの気持ちが鬩ぎ合いをしているのをムーランドは感じ取り、小さくムンと鳴いた。