「ミサイル針を連射なのです、決して顔を上げさせないで」
「スピピピピピッ!!!」
「リザちゃん、行けます、ね!!」
「ザアアドッ!!」
「よしGOなのです!!!」
ニャスパーを同時に繰り出して来た二人に対して即座にアンは作戦を考案した、それは高く飛ばせたスピアーからミサイル針の飽和攻撃を仕掛けながらもそれに対して耐性を持つリザードに突撃させるという物。
「ニャニャアアアッ!!?」「ニャアフニャアア!!?」
頭上から降り注ぐはミサイル針の雨霰、一発一発の威力は確かに低いだろうが、だからこそ連続的に放ってそれをカバーリングする。しかも一発一発にムラがある、大きかったり小さかったりバラバラである為にこれならば避けられると思っても即座に次はサイズが異なる針が飛んで来るのでタイミングが酷く狂わされる。
「狂ってるぜ何でリザードはこんなのを突撃してこれるんだ!!?」
「炎タイプだからでしょ!!?」
「違うよく観ろ!!」
「リザリザリザリィイザッ!!!」
「嘘でしょ全部避けてる!!?」
訳ではない、意図的にスピアーがリザードの進行ルート上は弾幕を薄くしている。そしてリザードはリザードは踏み込む瞬間にニトロチャージを使うという事で僅かに炎を纏う、そしてほんの僅かに素早さを上げながら接近するという事を繰り返している。それを連続のジャンプとミサイル針の雨霰で視認性を下げてバレにくくしている。
「リイイザアアッ!!!」
「「チャームボイス!!!」」
この状況だと念力もミサイル針の影響を受けて威力が減衰しかねないと踏んだのか、チャームボイスで確実なダメージへと切り替える。だがリザードはそれらを一切気にする事も無く突き進んで来る、どういう育ち方をしている―――
「違うぞガイにタウニー!!炎にフェアリーはいまひとつだ!!!」
「「―――あっ!!?」」
「しかもリザードはニトロチャージを使って更にダメージを抑えてる!!!」
「むっ言っちゃうのはズルいのです、でももう遅いです。アンダーからシャドークロー!!」
「リイイイザアアアアアッ!!」
リザードはニトロチャージを使用したまま、そのまま両腕から黒い紫色の爪を伸ばし、それで地面を抉りながら振り上げてニャスパーを宙へと打ち上げながらも同時に無数の石礫を巻き上げて視界を奪った。そこへ勢い良く飛び込んだのはスピアー、高速移動で素早く距離を詰めながらもニャスパーら針を押し付けて、まるでラリアットのような体勢になった。
「シザークロス!!!」
「スウウウウピイイイイイイッ!!!!」
そのまま針の上を滑らせるようにしながらも前へと針を振り抜いた、振り抜いた瞬間には針の先端でその身体を傷つけられるように調整を行いながらのそれにニャスパーは苦しみながらも地面に叩きつけられた。そしてそこには戦闘不能になったニャスパーが二匹、いた。
「マジかよ……」「信じられない……」
ガイとタウニーは最初こそアンを侮っていた、ホテルに宿泊していていつもニコニコ笑顔でムーランに乗ってお出掛けする可愛い女の子という意識がどうしても抜けきれなかった。だが、その実際は自分達よりもずっとずっと強いトレーナーだった。戦術の一つを取ってもよく考えられている上にポケモンもそれに迷うことなく従う絆がある。
「お二人とも、アンを侮ってたですね」
その時、その言葉が二人の胸に何処までも深く突き刺さっていった。侮っていた、そう自分達は目の前の少女を侮ったのだ。幼い少女のトレーナーだと、本気にならず戦っていたのである。
「侮ってくれまして有難う御座います、お陰様でスピちゃんもリザちゃんも大したダメージも無しに最後の一匹まで来れたのです。そしてこのまま勝たせて頂くのです」
不敵に笑うその姿は、少女が出来るような物ではない。幼い少女である筈なのに、妖艶さと底知れない不気味さ、言葉にする事が出来ない恐怖が自分達を侵食してきた。女優の娘の面目躍如と言わんばかりだ、伊達に母が出ている映画などを見ていないという事だ。見ただけで再現出来るのは、とんでもない才能なのだろうが……。
「さあ早く来てください―――格下さん」
「「ッ……!!!」」
ワザとらしく、小悪魔的な笑みを浮かべながらも挑発するアンにレイブンはちょっと悪い言葉とか言い回ししすぎたかなぁ……と思いながらもカルネに送る為のムービーの撮影を続けるのであった。
「ガイ兄、色んな意味でアタシたちはミスってたわけじゃん、だけどさ―――このまま沈むのも趣味じゃないよね!!!」
「ああ、最後の最後ぐらいは、しっかりやらねぇとMZ団の名が廃るって奴だ!!!」
「「アン、君に勝つ!!!」」
「頼むぜライボルトォ!!!」「ラアアアイボオオルッ!!!」
「お願、ミミロオオップ!!!」「ミンミロォオプ!!!」
繰り出されたのはライボルトとミミロップ、ラクライとミミロルが進化したのだろう。レベル的な意味合いでは以前の勝負よりかはしっかりと成長している様子だが……問題はそれを活かしきる事が出来るか否かである。そして、フルで6匹が残っているアンのポケモンを下す事が出来るか。
「さあここからがShow timeなのです!!!」
「発音滅茶苦茶いいなおい!!?」
「ねえアンちゃんって本当にまだそこまでいってないよね!?なんか私達よりスペック高くない!!?」
「……なんというか、よくもまあ一度私勝てましたな……」
「まああの敗戦でまた強くなったから」