「種マシンガン!!ホルビーが立ち直るまで援護!!」
「ズミミミミミッ!!!」
「ゴアアアアアアアアアアアアアッ!!!」
「あっダメだキョウ兄あのガチゴラス全然止まらない!!?」
「耳だ、耳を使って避けるんだ!!」
「ボオオオルビイイイッ!!!ボビィ!!?」
「発想としては良いが、生憎そういうのとはやり慣れてるんだ、年季が違う」
目の前で行われているキョウヤとセイカ、実力差は圧倒的、勝つ事はそれこそ連続で針の穴を通し続けていくような戦術を使うしかない。しかもそこまでしたとしてもレイブンとそのポケモン達は恐ろしいまでの速度でそれに対応して来るから上手く行く訳でもない、それでも二人は決して顔を伏せる事をせず、真っ直ぐとポケモンを見つめている。
「凄い、な……キョウヤもセイカも……」
「……うん」
「あっそうだ!!キョウ兄、ホルビーの耳使わせて!!」
「な、何耳を!?」
「いいからミネズミ、ホルビーに向かってジャンプ!!!」
「ズッッミィッ!!!」
「あっそういう事か!!ミネズミを跳ね上げろ!!」
「ボオオオルビイイイ!!!」
高々と跳躍したミネズミは空から火炎放射やエアスラッシュを放って来るリザードン、火炎の熱やエアスラッシュの風圧に若干の恐怖を感じつつも、意地でその足へとしがみ付いた。
「10万ボルトォ!!!」
「ズウウウミイイイイイイッ!!!」
「グオオオオオオッ……!!!」
「よおおし、ホルビー影分身!!そこからマッドショットだ!!!」
「「「「「ボルルルッボオオオルビィッ!!!!」」」」」
リザードンに10万ボルトを炸裂させているのを見ながらも、ホルビーも粛々と作戦を進行させる。影分身で再び数を補いながらもマッドショットを連打、それらはガチゴラスに命中はせずに足元などに命中して土煙を上げて視界を奪っていく。
「ゴオオッゴアアアアッ!!!ゴアッ!!?」
煩わしい!!と尻尾で風圧を起こして煙を払おうとするが払った直後に顔面、特に目のあたりに集中して泥が飛んできてダイレクトに視界を奪って来た。岩タイプが入ってるのも地面タイプのマッドショットは有効打になり得てしまうのでガチゴラスは怯んでしまう。
「すげぇ……あのガチゴラスを翻弄してる……」
「お二人とってもお上手な戦いなのです」
ムーランドに乗っているアンはそれを見ながらもチョコクロワッサンを食べているが、バトルの講評をするかのような鋭い瞳で観戦をしていた。
「最初っからお兄様に勝つ事を大前提にして全力を出してるのです」
「勝つって……」
「一度負けたからこそ、今度は勝てるように頑張ってるのです」
一度、自分達は4対1という大きなハンデを貰っていたのにも拘らずマフォクシー一体に一蹴されて完全な敗北を喫していた。それ故かガイとタウニーはレイブンではなくアンとバトルする事になったことに素直な安心感を抱いていた。実力的にはアンの方が下なのでそれ自体は正しい。
「お二人は自分達に出来るそれをしながらも、咄嗟な思考もすぐに共有して繋げようとしてるのです。ダブルバトルの方が生き生きしてる感じもするのです」
敗北してから、二人は一層にポケモンとの交流を大事にするようになった。本を買って来てポケモンのブラッシングの勉強やポケモンフーズも少しずつ手作りするようになっていた。ホルビー達には弱い!!とかもっと丁寧に!!そこは強く!!とか色々言われながらも四苦八苦していたが逆にそれが、彼らに自分達に真摯に向き合おうとしてくれているという思いを伝える結果となった。
そして二人は元々兄妹な為か基本的に以心伝心で互いの言葉の意図を直ぐに察する事が出来る。そしてお互いのポケモンを一緒に遊ばせたりもしていたので、ポケモン同士の中も良好。それらも、ダブルバトル向きというのに拍車を掛けているのだろう。
「お二人は、アンの遊び相手をするつもりでしかバトルをしてくれませんでしたね」
「「……」」
図星を突かれて何も言えない、その通り過ぎてなにも言えない。これがランクアップの試験だと言われていたにもかかわらず、宿泊客でありいつも笑顔のアンの事を侮っていた、バカにしていたわけではない、だがどうしても小さな子供相手に全力を出すという事への抵抗があってしまったのだ。
「そのお気持ちは分からなくもありませんが、パルデア地方ではアンとそこまで変わらない女の子がポケモンリーグの四天王をしてるのです。ポケモンバトルに年齢は大した指標にはならないと思うのです」
「……仰る、通りです……」
「面目次第もございません……」
マスカットはやっぱり凄いなぁと思わず思ってしまう、自分の娘も確りしている方ではあるとは思うが、此処まで理路整然としている訳ではない。寧ろアンの方が色んな意味で規格外過ぎる、自分だってZAロワイヤルでアンと同い年位のトレーナーを見てしまったら、侮りこそしないが本気を出す事は出来なくなっているだろう。
「だから今度は最初から、全力で、ポケモンバトルがしたいですね」
「ドラゴンテール!!!」
「グウウウオオオオオオラァァァ!!!」
「ズ、ミィィイイイイイッ!!!!?」
身体にへばりついて10万ボルトを連打していたミネズミだが、此処で流石にリザードンも身体を大きく捻りながらも回転、その勢いで尻尾をミネズミへと叩きつけて漸く引き上がす事に成功し、ミネズミは大きく弾かれながらもホルビーへと激突し、お互いに頭を押さえて痛がっている。
「ガチゴラス、正面に向かってストーンエッジ!!!」
「ゴアッゴオオオアアアアアラスッ!!!」
勢いよく踏み締められると地面から無数の鋭利な棘が飛び出して二匹の元へと向かっていき、二匹を空へと打ち上げてしまった。打ち上げられた二匹はそのまま地面へと落ちて目を回してしまった。流石に戦闘不能、だが……
「グゥオオオオオッ……」「ゴアアアッ……」
リザードンとガチゴラスは徹底した妨害や攻撃後の隙を狙う事で疲労を蓄積させられている、特にリザードンは10万ボルトを浴び続けた為かダメージも溜まっている。これは、落ちる事も覚悟しなければならないか……。
「よくやってくれたホルビー!!」「有難うねミネズミ!!」
感謝を告げながらも、二人は笑顔だった。これまでの何処か辛そうな物が完全に消えている、これはトレーナーとしても一皮むけているらしい。
「行くぜこっちもリベンジだ!!いけっアリゲイツ!!!」「アアアアリゲイッ!!!」
「頑張っていこうね、頑張ってチャオブー!!!」「チャオッブゥゥゥッ!!!」