クエーサー社にての会談を終えた一同、一先ず腹ごしらえをしようとヌーヴォカフェへと向かう事にした。注文をしようと思ったら先客として同じくMZ団のピュールが食事をしていたのだが、此方を見つけるとげっ……と言いたげな顔をした。
「おいおいなんだよピュール、ゲンガーが嫌な顔したいな声出しやがって」
「一人で静かに、そして優雅に食後の時間を過ごしたかった気分だったのに喧しいのが大挙して来たら嫌な顔にもなりますよ。レイブンさんとアンちゃんは別です、お二人はとても優雅で静かにお食事をしますのでご一緒して下さっても結構です」
「それじゃあピュールさんの隣に座るのです~」
「悪いな、あと喧しいのは事実だな」
「「「「レイブンさん厳しくない?」」」」
そんなやり取りをしつつも席について注文をして、ピュールにも特例ランクアップの適応がされて4人纏めてFランクになったことを報告すると何やら難しそうな顔をし始めた。
「それは、マズい、実にマズい……」
「えっ美味しくないのです?」
「いえ此処のカフェの珈琲とクロワッサンは実に素晴らしいです。じゃなくて4人がランクFになったという事は……この中の誰かがゲーマーにして超人気ネットアイドルのカナリィさんとバトルする事になるんです……!!」
「問題なの、それ?」
「問題です!!」
セイカが首を傾げながらも呟くとピュールはそれよりもずっと大きい声で返した、ピュールがこんな大声を出した事は珍しいのでガイやタウニーも吃驚した。
「カナリィさんとバトルなんて……ファンに許されるのは精々カラフルなネジを集めてカナリィぬいと交換する事位が精々なんです!!バトルするなんて、なんておこがましい……」
「あ~ごめんねビックリしたでしょ、ピュールってば重度のカナリィオタクなんだよね……それなのに公式ファンクラブのDG4には加入してないんだよ」
「当然です、会員番号が一桁でもないのに加入した所で唯のモブですからね。それなら欠かさず配信をチェックして全てを知る事の方が大事なのです!!」
「め、面倒臭いオタクだ……」
「激しく同意だ」
キョウヤの呆れたような発言に思わず乗っかるレイブン、唯の同担拒否と何が違うんだこれ。
「というか、それならラビさんとかどうなの、あの人はカナリィとコラボしてんじゃん」
「カナリィ『さん』です。あの方は良いのです、悔しいですが人気、知名度、実力、全てを取ってもカナリィさんの遥か上を行ってしまっている存在ですしそもそもカナリィさんがコラボを希望していたのならば認める以外の選択肢がある訳ないじゃないですかそういう事も分からない人がDG4にも多いからこそ加入したくないんですよ全く」
「あいつ、カナリィの事になると早口になる上に口悪くなるのくっそ気持ち悪いな」
「ちょっレイブンさんやめて上げて……」
酷く冷えた目で言うレイブンの言葉にピュールの早口が停止する、流石に思う所があったのかもしれないが、キバナの過激ファンを知っていたり、レッドやサトシの熱烈なファンに危害を加えられた事がある身としては言っておきたい。
「だってこういう奴らがいるからこそ新規が入らないで何れ廃れる原因なんだぞ、それを認めずにいるなんて進化に取り残されたただの老害ぞ」
「―――ッ……!!!???」
「あっピュールが膝付いた」
「本当は、分かってたんだな……自分が気持ち悪いってこと……」
「ッ―――アァァッ……!!?」
「ちょっキョウ兄今の刺さってる、刺さってるから!!?」
「あっやべ」
無意識で言ってしまった言葉が、更にピュールを傷付けた。
「本当のファンなら新規の人が来たら笑顔で迎えて上げてどういう経緯で知ったにしろ、楽しみ方とか注意事項を知る手助けをしてやって、その後に一緒に盛り上がれるようにフォローしてくれる奴だろ。何も分かってないの一言だけで全部片づけて拒否するのはアウトだぞ、そうされた人がまた新しい人を呼び込んでってループになるのに……」
「―――……」
「「もうやめてレイブンさん!!ピュールのライフはもうゼロよ!!!?」」
見事なorzなポーズになったピュール、まあ正直偉そうな事を言っているがこれは真理だとも思っている。幸いな事に自分の配信の民たちはナンジャモ公認の民度の高さを誇っているので正直助かっている。何れ、リスナーから選抜して庭に招待するとかしてみるかな……いや、伝説とかいるからせめてパルデア招待でバトルする程度にしておこう。
「ピュールさん、大丈夫なのです?」
「……大丈夫です、こ、こんなの唯の致命傷ですから……!!」
「いやアウトだろ致命傷」
思わずグリーズもツッコんでしまう程だった。兎も角何とか立ち上がったピュール、色々ともう泣きそうになっているがそれらをグッと堪えている様子。
「……レイブンさんのお言葉、酷く突き刺さりました。その通りだと、思います……なので、これから少し、視点を変えてみて自分を見直してみようと思います……」
「おう、そうしてみな」
「それでは―――」
「あっピュール待ってくれ、マスカットさんから連絡来たわ」
突然のマスカットからの連絡、その内容は―――
「皆、ホテルZに戻ろう。作戦会議だ、メガエネルギーの高濃度反応をキャッチしたらしい。暴走メガシンカが起こる予兆だ」