「ぽにぽに♪」
オーガポンのマイブームはラビから貰った野菜を自分で作った畑で面倒を見る事。オーガポンの大好物になったピザ、そんなピザの具材は多種多様で折角だからそれを自分で育ててみたら如何かと言ってみたら思った以上にのめりこんでいる。碧の仮面を着けている時には枯れた植物を生き返らせるという伝承もある為なのか、種を蒔いてまだ数日だというのに芽が出る所か茎が伸び始め、早くも豊作への期待が出てしまう程。
「ぽに!!」
そうだ、ラビにも見て貰おう!!と思ってオーガポンは駆け出していく。きっと彼も野菜が実ったら喜んでくれる筈だと思って庭先からラビの下へと向かうのだが……そこには何故か頭を抱えて唸っているラビとそんな彼の背中を摩るサザレの姿があった。
「ぽ、ぽに?!」
「ああオーガポン、いやちょっとねぇ……」
「……」
「ぽに……ぽにお~ん!!」
オーガポンもサザレと同じように背中を撫で始める。元気を出してと言いたげな健気さで摩る姿は可愛らしくラビの心を少しばかりの救いとなっていた。
「有難うオーガポン……今日は新鮮な海鮮類があるからシーフードピザでも作るか……」
「ぽにぽに!!」
「週1のピザも恒例になって来たね……それでラビ、どうしてあんな頭抱えてたの?まあラビが頭を抱えるんだから相当な事なのは分かるけどさ」
付き合いの長さゆえにサザレはまたラビの心労になるような事が起きたんだろうなぁ……程度の予測を立てていた。そして自分もそれを支える覚悟がある、そんな彼女の支えを受けながらラビは漸く硬く噤んでいた口を開いた。
「……スグリが如何やらスマホロトムを買って貰えたらしい、それで記念という事で俺に連絡をくれたんだよ」
「あっそれは良かったじゃん、スグリ君だけ持ってなかったもんね」
「それは良いんだよ……ンでブルーベリー学園で色々あるけど頑張ってますって事と弟と妹と仲良くやってますってのも来たんだよ」
「益々いいじゃん」
「……増えたんだよ」
「えっ?」
「また、また俺の弟と妹が、増えてたんだよ……!!」
スグリから齎された凶報、それはお願いしていた通りにブルーベリー学園に通っていた弟と妹の友達にはなってくれたのだが……そこで知らされた真実。何と新しく弟と妹が出来た、しかも双子。これでラビの弟妹は合計で6人という事になった。
「あんのバカ夫婦がぁ……何時まで盛ってんだぁ……」
「ま、まあ子供が出来るって事はそれだけ仲が良い証拠って事でもあるから……」
「それでももう50近い筈なんだぞ、それなのにまだ子供生まれるとかなんなの。あああっ……マジで頭痛いぃぃぃ……ああいや弟と妹が生まれた事は嬉しいよ、嬉しいけどさぁ!!!」
もう本当に勘弁してほしいの一言に尽きる。もう本気でもう帰るのやめようかな……と考え始めている自分がいる。
「それとスグリたちと一緒にマジでアカデミーに来ることも検討してるらしい、だけど教師陣から止められてるらしい」
「まあいきなりは厳しいだろうからなぁ……いきなり数人が転校しますってなったら大変だろうから止めるのは分かるよ」
「はぁぁぁぁ……もう本気で頭痛いよ……」
思わずサザレの膝に頭を落とすように倒れ込む。そんな彼を受け止めてあげながら優しく頭を撫でる。
「もういいやあのバカ夫婦……永遠に爆発してればいいんだ……」
「よしよし……大丈夫大丈夫」
「ぽにぽに」
オーガポンも一緒になりラビを慰める。ラビはそれらを一時間程受けて漸く立ち直る事が出来た、のだが
「あのオーガポン?」
「ぽにぽに」
「いや大丈夫だからな?もう元気だから」
「ぽにぽに♪」
「母性でも芽吹いたかな?」
「冗談でもやめてくれ」
オーガポンはラビの頭を撫でたがるようになった。そしてオーガポンを未亡人と例えた人間が前世にいた事を思い出して自分はなんて罪深い事を……と一人部屋で頭を抱えたりするラビだが、それを見つけると直ぐに頭を撫でるオーガポンもいたりした。
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
「はい、アーマーガアです」
| ・おおっカミツオロチの時に出てきた奴!! ・またもや色違いだぜ!!! ・つうかテンションたっかぁ!!? ・というか、でかいな、昔ガラルタクシー乗ったけどそれ以上にでかいじゃん ・ってなんでこんな傷だらけ……? |
|---|
「はい、アーマーガアは鋼と飛行の複合タイプです。私のアーマーガアは見ての通り色違いです、本来のアーマーガアは黒い身体に青みを帯びた鎧です」
「ガアアアア!!!?ガアアアアアアアアアア!!!!」
「ああもう分かった分かった!!後でバトルさせてやるから!!!」
「ガァッ」
| ・一瞬で黙り寄った……。 ・なんだ筋金入りのバトルバカか? ・それ以上のものを感じるけどな……。 ・出てきた瞬間にバトルか!?って感じだったもんな。 ・どうしたらああなるんだ、突然変異? |
|---|
「突然変異というのはある意味正しいです。アーマーガアは色違いだったが故に群れから孤立していました、ですがそこでバトルの快感に目覚めてしまったんですよ。こいつにとってバトルとは生きる為の術であると同時に生き甲斐でありライフワークとなっているんです。だからこういう風にバトルじゃない時に出すと露骨に不機嫌になります」
| ・ええっ……。 ・色違いって自然だといい扱いされないんだな……。 ・難しい世界だけど、そこで覚醒しちゃったかぁ……。 ・それで戦闘狂になるってのもすげぇな ・普通逆になりそうだけど |
|---|
「敵が強ければ強い程に燃え上がる戦闘狂です、幾らぶっ飛ばされても精神力が肉体を凌駕するのか、自己回復して立ち上がっては戦う→回復→戦う事だってやる位ですよ。正直こいつのそれは最早理解不能です」
| ・うわぁwwwww ・こえええええwwww ・シャレにならない位に怖いwwww ・それ、瀕死から蘇生とか公式戦でやられたら審判困るだろwww ・それなwwww |
|---|
「実際困らせましたよ。相手のゴウカザルのフレアドライブが明らかに急所に当たって倒れて、審判も流石にって思った直後に立ち上がって爛々とした目で審判を睨んで黙らせながら自分は羽休めで回復して復帰ですから」
| ・うっわ…… ・相手からしたら恐怖以外のなんでもねぇ…… ・どうやって倒せばいいんだよ。 ・一撃必殺ぶつけるとか…… ・状態異常から動けなくするとか…… |
|---|
「さて、アーマーガアは頭も良いのでガラル地方では交通手段の一つとしてアーマーガアタクシーが親しまれていますが、パルデア地方ではそんなアーマーガアを狙うデカヌチャンの影響でイキリンコがその代わりを担ってますね。因みに私のアーマーガアは狙われると嬉々としてデカヌチャンを襲いに掛かります」
| ・修羅じゃん!! ・何それ、こわ…… ・俺の知ってるアーマーガアじゃない…… ・アーマーガアの戦い方じゃない……。 ・よく言う事聞かせられるな……。 |
|---|
「アーマーガアの特性はプレッシャー、緊張感、そして夢特性がミラーアーマーです。ミラーアーマーは相手の変化技や特性、技の追加効果などで能力が下がる効果を受けるとそれを相手へと跳ね返すという物です。これだけで威嚇はシャットアウトな上に嫌な音などの技も反射します」
| ・うわぁ強い…… ・シンプルに強い……。 ・威嚇の天敵だぁ…… ・型破り位かマジで弱点 ・その位だろうなぁ……。 |
|---|
「さて、アーマーガアですが鋼と飛行という優秀なタイプを持っている上に能力も防御よりでかなり扱いやすいポケモンの一角です。知能も高いのでトレーナーの指示をよく理解して実行してくれます。同じタイプのエアームドと比較される事もありますが、両壁を展開できるうえに蜻蛉帰りで交代も出来るという点もありますのでサポート面でも中々な活躍をしてみせます」
| ・戦闘狂の話からサポートできますとか言われても…… ・説得力が……。 ・ガンガン攻めて行く気しかねぇ…… ・まあそれも納得な傷だな。 |
|---|
「まあ私のアーマーガアは鉄壁からボディプレスとかドリル嘴やアイアンヘッドを主戦力にしている攻撃型ですから。ですが相手の積みを防ぐ挑発や味方のスピードを上げる追い風も覚えるので本当に色々な特色を出す方法がありますよ、防御と攻撃を両立するビルドアップも面白いですよ」
| ・う~むこれは確かに魅力的だ。 ・だけど主のアーマーガアのインパクトが余りにも強すぎる。 ・マジで何なんその破壊神 ・チャンピオンクラスのネモでも此処まででもないだろ。 ・いやぁ……あいつも大概よ? |
|---|
「はぁ……」
配信を切ってから思いっきり大きな溜息を吐いてしまう。なんでこうも頭が痛いのか……これも全て両親のせいだ……。
「よしアーマーガア、今日は満足するまで付き合うぞ」
「ガアッ!!?ガアア、ガアアアア!?」
「ああ、本当だ」
「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!」
このフラストレーションは……いまだに言う事を聞かないパラドックスポケモンで発散しよう。この後、滅茶苦茶バトルした。