「さて、この辺りの筈だが……」
ルージュ地区5番地、この辺りだと言われたのだが……と以前の事を思い出して屋上を探していない事を思い出し、ホロベーターを使用して屋上へと上がってみる。すると何やら野生のポケモン達が離れていく様子が目に付いた。
「ポッポさんなのです、何処かに行っちゃうのです」
「……いるな、ムーランド走るぞ」
「バウフッ」
「えっ急なのです~!!!?」
と、駆け出して行くレイブンを追いかけてムーランドも駆け出して行くのだが、今回は直ぐに発見する事が出来た。カメックスだ、足のみを甲羅の中にしまって外に出さないようにする事で自ら機動力を奪って物理的に移動できなくしている。暴走メガシンカというのは基本的に大人しい気性のポケモンに発現するのだろうか?と思う程度には此方への配慮が出来ている。
「ガアアメ、ガアアアメエエッ……!!!!」
離れろ、此処から離れろ、近づくな、早く逃げろ……!!そう叫んでいる、自分の中にあるエネルギーに苦しんでいる。以前のマフォクシーよりも苦しみ方が激しい、如何やらメガエネルギーの影響がかなり強いのかもしれない。だったら、今助けてやる。
「アン、ベイリーフだけに絞れ、そしてこっちを盾にするつもりで立ち回れ」
「はいなのです!!」
「ムーランド、いざという時はアンを連れて離れてろ」
「バウフ」
『周囲のメガエネルギー濃度が急上昇!!警告、警告!!警告!!貴方が確認している個体は暴走メガシンカします!!!』
「させるんだよ、さあこい、その苦しみから解放してやる!!」
その言葉の直後、メガエネルギーが溢れ出し、それらを活用したバリアゾーンが展開されていく。メガシンカが始まる、繭の中から飛び出してきたメガカメックス、やっぱり大砲ってロマンだよな~と思いながらも入れ替えてきたポケモンを繰り出す。
「カメックス、仕事だ!!」
「GOなのです!!ベイちゃん!!」
「ガアアアアアアアアメエエエエエエエエエエエエッ!!!!」
「ベ、ベイッ!!?」
繰り出したのはカメックス、だが通常のカメックスとは違う。その全身の至る所に傷やダメージの跡と思われる打撃痕や切り傷などがあり、数多くのバトルを渡り歩いてきた歴戦を伺わせる。そのその巨大な声と存在感にベイリーフが戸惑っているな、ビックリさせたか、すまんな!!と笑う。
「カメックス、悪いが今回お前は要塞スタイルで行くぞ。火力で圧倒しつつ盾としてベイリーフを守れ」
「ガ~ッメッメッメッメッメッ!!!ガ~メックスゥッ!!!」
「だそうだ」
「ベ、ベイ~……?」
俺が盾か!!面白い、好きに使え!!と言っており、ベイリーフはい、良いのかなぁ……と戸惑っている様子。まあ流石のベイリーフも初めての経験だろうがダブルバトルではそういう事は多い。尚、パチリスはその役割を完璧にこなした事もある。やっぱりあのリスのポテンシャルやべぇわってなった瞬間だった。
「ガアアアメエエエエッ!!!!」
そんな事をやっているとメガカメックスが波動弾を放って攻撃を仕掛けて来る、だがそれをカメックスが殴り飛ばして粉砕する。メガカメックスは自分の一撃が通じていない事に驚いている様子だが、カメックスはそんなこと知らんと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべながらも掛かってこいと手招きをしてみせる。
「ガアアアメエエエエッ!!!」
「ガァ~メッメッメッ!!!ガアアメエ、ガメガアアアメックスァァァッ!!!」
挑発に乗りましたと言わんばかりに連射してくる攻撃の嵐だが、それを受けてもカメックスは全くノーダメージ、という訳ではないだが雀の涙程度しか堪えていない。態々盾として運用すると決めているのだから耐久性は折り紙付きだ。
「アン、感心してる暇ねぇぞ」
「はっそうなのです!!?ベイちゃん、カメックスさんの身体に蔓の鞭を巻きつけつつ、飛び出しながら葉っぱカッターなのです!!」
「ベ~イッ!!ベ~イ、ベイベイベイベイベエエエイッ!!!!」
カメックスの身体へと蔓の鞭を伸ばし、そのまま飛び出しながらも蔓の鞭でカメックスを起点としながらも大きく、円を描くような軌道を生み出しながら葉っぱカッターを連打して来る。メガカメックスも流石にこれにはいら立ちを隠しきれていないのか、波動弾を発射してきた。
「カメックスさんの影へ!!」
「カメックス、本当の波動弾を教えてやれ!!」
「ガアアアメエエエエッ!!!」
両肩のハイドロキャノンを展開しながらもそこからエネルギー弾を勢いよく発射すると、段違いの弾速でメガカメックスの波動弾を貫通して爆破した上でメガカメックスの頭部に炸裂する。
「ガ、ガガアアメエエエッグズッ……!!?」
「伊達にうちの三馬鹿を抑える役割してねぇんだよこいつは、悪の波動と龍の波動、同時斉射!!!」
「ガアアメエエエエッ!!!」
左右のハイドロキャノンから全く異なる波動を同時に発射する、それらは互いに一つに溶け合って悪龍の波動となってメガカメックスへと向かう。それを、まるで真似するように三つの砲門から水の波動を加えたそれらを打ち込もうとするのだが……
「ガ、ガメェッ!!?」
メガカメックスの三種類の波動は拮抗すらも出来ずに一気に押し込まれて、悪龍の波動を諸に受けてしまう。当然である。トップ層にいるブルーなどは当然のようにやって来ることだが、技を組み合わせて出す際はそれぞれを独立させて一つずつ繰り出す、それは難しくないが全くの同時に別々の技を放つのは極めて難易度が高いのである。今回の場合は水の波動の威力は正常だが、悪と龍の波動がお粗末な威力になっている、それでも放てるだけこのメガカメックスはかなり上澄みである。メガランチャーの影響もあるだろうが、本来であれば打つ事も出来ない筈だ。
「ガ、ガンメェェェッ……!!ガンメェッ……!!?」
「よし狙い通りなのです!!ベイちゃん良い腕してるのです!!」
「ベイベ~イ!!」
何をしたかと言えば、ベイリーフが葉っぱカッターで狙っていたのはメガカメックスの脚。メガカメックスの砲の威力は実際の戦車並とも言われるが、実際は射程距離が50mから10㎞に拡張されている関係で総合的には戦車をはるかに上回る破壊力がある、そしてそれらの衝撃には足腰で耐えるというスタイル。だったらメガカメックスを倒すにはまずは足を狙う、これが一番簡単なメガカメックスの火力を封じる方法である。
「カメックス、しまいにしてやれ―――ハイドロカノン!!!」
「ガメ!!ガメガアアメメガメ」
「ベ、ベイ~」
危ないぞと言われて素直に下がるベイリーフ、それを確認してからカメックスはキャノンの矛先をメガカメックスへと差し向けた。
「ガアアアメエエエッ……ガメガメガメガメ―――ガアアアアアメエエエエックスアァァァァァ!!!!」
ハイドロキャノンから同時斉射された水の砲弾は異常な衝撃波を纏いながら一瞬でメガカメックスへと到達、炸裂し、天へと伸びるような水飛沫を上げた。自分のカメックスのハイドロカノンは音速を超えるスピードで発射される。流石のカメックスでも反動で後ろに数メートル下がってしまうのでベイリーフに警告を発したのである。
「ガ、メエエッ……」
崩れ落ちるように倒れながらもメガシンカが解除されるメガカメックス、これで暴走メガシンカは解決と言ってもいいだろう。
「あっという間に終わっちゃったのです……」
「ベ、ベイ~……」
「この位軽いさ、さてクエーサー社に連絡連絡っと……」
クエーサー社に連絡してカメックスの保護を頼み、それが終わり、職員が撤収して此方もホテルに戻るかなと思っていた頃、そこへ一人の影がやって来た。
「あれ、此処に苦しそうなカメックスがいるっていうから来たんだけど……?」
それを言ったのは、なんとも言えないファッション、いやファッションとすらいえない姿をしている少女だった。その少女こそ……キョウヤとセイカが依頼の代行をしている探偵事務所の主であるマチエールであった。