「成程、それじゃあキョウヤ君とセイちゃんからお話を聞いてたレイブンさんとアンちゃんというのがお二人という訳なんですね?」
「まあそういう事だ。話を聞いてるぜミアレにその人ありと言われてる探偵マチエール」
実際探偵マチエールの評判はかなりいいのである、真摯に相談に乗ってくれるだけではなく依頼完了後の相談にも気軽に出来る上に値段もかなり良心的で依頼者としてはかなりの探偵事務所という認識を持たれているとの事。
「カッコいいのです探偵さん!!」
「そう言われると照れるなぁ~♪」
「まあその格好は色んな意味で危ないけどな……」
「そうかな、安全だよこれ」
「(そういう意味じゃねぇんだよなぁ……)」
マチエールは丈の短いコートを羽織っているのだが……その下が真っ黒なボディスーツのみという独特にもほどがあるだろうというファッションスタイルを取っている。だが余りにもボディラインがはっきりとし過ぎており、本当にこれでなんで恥ずかしくねぇの?とツッコミたい、というかアンの教育に悪すぎる気もする……。
「さて改めまして、私は私立探偵をしておりますマチエール、ハンサムハウスの二代目所長をさせて頂いている若輩者で御座います。ミアレシティで何かお困りの事がありましたら是非ご一報を。即座に赴いて依頼の策定と相談にお乗りいたします、というのをモットーにしてます。まあその結果として依頼が凄い来るんですけどねぇ……」
「業務委託しなきゃいけない位には大変なんだろ?」
「ええ、実際キョウヤ君とセイちゃんが手伝ってくれて大助かりなんですよね。特にキョウヤ君には経理もやってくれてもう大助かりなんですよね」
「マスカットもスカウトしたそうな顔したからな」
そうなんだ~と思う一方でやっぱりこれは二人の過去に関連しているんだろうなぁ……と思いつつもこれ以上の踏み込みはやめておく。そんな雑談を続けていると、先程マチエールがやって来た事への話題に入る。
「私があそこに行ったのはお察しの通りに依頼だったからですね、シンプルに屋上にいるカメックスが苦しそうにしてたって言われたんですよ。依頼者はポケモントレーナーじゃないから私に依頼をしてきた感じです」
「成程な……」
「ですけどまさかあのラビさんが解決するとは思いませんでしたよ」
「レイブンなんだが?」
突然すぎるラビの名前に今度はアンも顔に出さないようにできたと胸を撫で下ろすが、肝心の当人は誰かが自分を調べるように依頼を出して来たのか……?と疑いの目を持った。
「お気になさらず、私はただ単に貴方が何者か知りたかっただけです。突然ミアレに現れた世界クラスのトレーナーの正体なんて気になって当然です。流石にこれは私の胸の内に秘めるつもりです、貴方の正体についての調査依頼も来ていますが秘匿するつもりです」
「……それ、探偵としてどうなん?」
「それはそれ、これはこれです。仕事で果たすべき義務と人として守るべき仁義、それは=ではありません」
「……分かったよ、俺はラビだ、これでいいか?」
「はいっと言っても其方のアンちゃんの正体から逆算したみたいなもんなんですけどね」
「ふぇっ私なのです!!?」
正体を見破ったマチエールに対してこれ以上の隠しは無駄だと判断、但し此方の協力者として隠匿には付き合って貰う事になったが……しかしアンでバレるとは……。
「過去にカルネさんがアンシャちゃんを連れてユカリさんの所に出向いているって情報がありましてね。そこで類似点を見つけながら、今アンシャちゃんを預けられる安心出来る相手は誰かという点から地道に絞り込んでレイブンはラビ、という事に辿り着きました」
「よくもまあんな事が……」
「ホントはもっと早く出来たんですけど、本業の仕事をしない訳には行きませんからね」
そう言いながらも珈琲を一口、改めて本当に有能な探偵であることが分かる。
「ンで因みに俺の調査依頼してるのって誰?」
「流石に名前を教える訳には行きませんが……勝気なドラゴンメイドを従えてる人です」
「OK察した」
例のユカリさんか……アランのあれこれで満足していると思ったが、今度はそのアランの行動からレイブンに辿り着いて今度はその正体を探っているという事だろうか……。
「んじゃマチエールさん、ついでに俺からも一つ依頼を出させて貰っても良いか。これはラビとしての依頼、取って貰って構わない」
「お聞きします」
ラビとして、この言葉に大きな意味が付き纏ってしまっている事に溜息を吐いてしまうとマチエールからはお察しします、という困ったような笑みとアンシャからのポンポンと優しい叩きが癒し。
「それで何を調べれば?」
「ミアレシティの市長について調べてくれ」
「市長について、ですか……確かに最近市長への評判は右肩下がりですね、街の皆様からも信頼が失われているのがよく分かります」
「俺としてもどうにも市長のやり方がな、それで市長を貶める訳じゃないが……引きずり落す為の切り札を確保したい」
「成程、ラビさんも悪ですねぇ」
「いえいえ貴方ほどでは~」
「「オ~ホッホッホッホッホッ!!」」
「もっと甲高く、そして含みを持たせた方が味が出るのです」
「「流石女優の娘……」」
そんな事をしながらもマチエールは依頼を受領した、マチエールとしても最近のワイルドゾーンの事やZAロワイヤルのあれこれへの不満が多く出ているので近々調査する事にはしていたらしい。
「探偵つったら調査のイメージだが、大丈夫か市長相手って」
「大丈夫です、このスーツは潜入捜査用の特殊装備も内蔵してますので大丈夫です、例えば……こんな風に!!」
そう言ってその場で足踏みをしてみせる、何度も何度もジャンプをするが、全く音がしない。
「凄いのです全然音しないのです!!」
「サイズ調整の際に付けて貰った機能なんです、まあ機能名があれですけど」
「あれって?」
「スニーカーですって」
「ああそう言う事……」