「な、なんだこいつ、速い、速いぞ!!?俺が追い込む、セイカ捉えろよ!!アリゲイツ、水鉄砲!!!」
「分かったっチャオブーグロウパンチ!!ってあっごめんキョウ兄逃した!!?」
「ドンマイ次はある!!」
行われているバトルはジガルデと戦うキョウヤとセイカ、彼らの相棒がジガルデの10%フォルムの姿で戦っている。10%と言えど侮ることなかれ、完全な状態に比べると10%という少ない状態であるだけでその実力が極めて劣っている訳ではない。何せ今の状態のジガルデの素早さ種族値は115、この数値はスターミーと同数値、しかも体力がかなり低いだけで攻撃や防御、特攻特防も決して低い訳ではないし攻撃に至っては50%と遜色ない。
「そこだ一気に叩くぞ!!!」
「ゼドァァァアアッ!!!」
「なっ!!?」「嘘っ!!?」
「凄い、凄い技なのです……!!」
追い込み、真上からはチャオブーが殴り掛かり、正面からはアリゲイツが氷の牙で迫ってくる状況に置かれたジガルデ、だがジガルデは慌てる事も無く冷静に、全方位へと向かって緑色の矢が放たれた。それはチャオブーとアリゲイツを一瞬で吹き飛ばし、大ダメージを与えていた。そしてその矢は空へと向かっていき、今度は重力に従って一気に急降下してきた。
「チャッチャブッ……!!!」
「チャ、チャオブー!!?マズいこのダメージ、効果抜群なんだ……!!」
「だったらっアリゲイツ、チャオブーを守るぞ!!力強く―――渦潮ぉっ!!!いっけええええ!!!」
「アアアアリゲエエエエエエエエイッ!!!!」
「わ、業を!?」
思わずアンが声をを挙げてしまった、アリゲイツは素晴らしい集中力を見せつけながらも一気に力を練り上げていく。そして頭上へと手を挙げてそこへ巨大な水の渦を生み出していくが……余りにも時間が掛かり過ぎている。まだまだ未完成だな、と思っているとキョウヤは笑った。
「渦にしきれない、だったらそのままスピンだ!!自分ごと渦潮だぁ!!!」
「ゲエエエイッッッツアァアアアアア!!!!」
自分ごと回転する事で無理矢理に渦潮へと仕上げる事をするアリゲイツ、だがそれは正解であり、力業で膨大にする事に出来た水に回転させる余裕がなかった、ならば自分ごと回転させればいいという発想の逆転を見せ付けて力業渦潮を完成させている、のだが……自分ごと回転している為に、アリゲイツも渦潮の中にいる。
「そのまま、ぶつかれぇ!!!!」
「アアアリリリリリリリッリッ……!!!!??」
「あっやっべっ目回ってる!!?」
サウザンアロー自体は渦潮で防御する事が出来ている、出来ているのだが……肝心のアリゲイツは完全に渦潮の中で目を回してしまっておりコントロールが出来ていない。強引に力業にした結果、渦潮の回転にアリゲイツが完全に持っていかれており、限界を超えて回転させられているのだろう。そして回転し続けた結果として渦潮は空中で破裂して四方に水をばら撒いてしまった。
「ゼドァッ!!!」
「チャオ、チャオブブブブブブブブブッッ!!!!!???」
それは確りと跳躍して回避するジガルデだが、チャオブーはそれを諸に受けて酷い事になっていた。そんなチャオブーの隣には完全に目を回しているアリゲイツがプカァ……と流れて来て、チャオブーは先程は庇って貰ったし怒るに起これない……と言いたい所だったが、余りにも無様な姿だったので一発ドツいた。
「アアアアリゲェッ!!?アアアリゲアアイッ!!」
「チャアアオッチャアアアオオオオブウウウッチャオアアアオオブッ!!!?」
「アアアリイゲイ、アリイイゲイツァ!!アアアリアリゲエッゲエエイツ!?アアアリゲイッ!?」
「ブウウウチャアアオオチャウオブッ!!!」
レイブンにはアリゲイツが何を言っているか分かってしまう、チャオブーの方はアリゲイツ程ではないが、アリゲイツの台詞から自己保管通訳をすると
『いってぇな殴る事ねぇだろ!!?』
『うるさいよなんだよ庇ってくれたと思ったら大量の水ぶっかけてくれて来て、これに対して有難うとでも言えってか!!?』
『しょうがねぇだろ目が回っちゃったんだから、俺は悪くねぇ、強いて言えば逃げてないお前が悪い!!うんそうに決まってるってぇな!!?まだ殴ったな!?』
『どう考えても詰めが甘いお前のせいじゃあああっ!!!』
という感じである。なんというか仲がいいのか悪いのか……そんな時、アリゲイツとチャオブーの身体が輝き始めたのだ。これは何かしらの技によるものではない、これは―――進化の輝き。それにはジガルデすら足を止めてその輝きに見入るように瞳を向けていた。そして―――
「オオオオダアアアッ!!?」「エブオオオオオッ!!?」
「オ、オーダイルに進化した!?」「エンブオーになっちゃった!?」
「「えっ喧嘩で!!?」」
まさかまさかのお互いへの苛立ちがエネルギーに転化されたのか、進化の壁を乗り越えたと言いたいのか……最終進化系であるオーダイルとエンブオーへと進化した相棒にキョウヤとセイカは思わず口をそろえてしまった。まあ実際は伝説のポケモンであるジガルデとのバトルが良い経験値となったから、だろうが……それでもこのタイミングでの進化は驚きを隠せなかった。
「―――……ゼドァッ!!」
すると、それを見届けたジガルデは何やら決めたのか、ゆっくりとキョウヤとセイカの元へと歩き、何かを手渡すように咥えていたそれを二人へと渡す。
「これって、石……かな?」
「仲良くなった証、かな……?ほら、ピンプクって大事にしてる石を仲良くなった人に渡してくれるって話があるしそれに似た感じなんじゃないかな」
「あ~……んじゃ取り敢えず、大切にさせて貰うよジガルデ」
「ゼド」
ジガルデは何やら満足気に頷くと立ち上がるのだが、直ぐに鼻を鳴らすとアンがポロックを出していたのを見つけると尻尾を再び振った。
「お腹減ったですよね、バトルが終わった後はおやつなのです。オーダイルとエンブオーもどうぞなのです。お兄様お手製のポロックは美味しいのです」
「ゼドッ(フリフリフリフリ)」
「本当にお前ジガルデなん?」
自分の中にあるのはガラルの地下であい、ネクロズマを次元の彼方へと連れて行ったあのジガルデのイメージが余りにも強いのでこんな自分のヘルガーみたいな姿に戸惑いを隠せない。