Fが姿を消し、ホテルの中へと入るとその直後にはガイやタウニー、デウロやピュールと言った面々が次々とホテルへと入ってくる。
「暴走メガシンカの対処、お疲れ様でした!!い~やぁ……強かった」
「本当だったよね……途中で自称兄がドジった時はどうしようかと……」
「おいバカやめろ、その後俺に気を取られてコケたの何処のどいつだよ」
「いやガイが原因じゃん」
そんな言い合いを始める兄妹を諫めるキョウヤセイカの仲良し兄妹。
「しかし暴走メガシンカ、極めて厄介ですね……」
「やっぱり暴走メガシンカにはメガシンカでないと対抗できねぇな……俺達ももっと頑張らねぇと……!!その為にもメガストーンはもっと必要に―――」
「えっ?」
その言葉に思わず声を上げたアンに注目が集まる。何故目を白黒させているのかと言われたら……
「レイブンお兄様、メガシンカせずに倒したのです」
「「「「「はいっ!!?」」」」」
「倒しましたが、何か?」
「「いやサラッと言ったよこの人!!?」」
話を聞いてみると、他のメンバーはメガシンカでなければまともに対抗できずにいたとの事。実際に他の場所では手早く終わらせたキョウヤとセイカが他の場所へと応援として駆けつけて事なきを得たのだが、メガシンカでなければロクなダメージを与える事が出来ない長期戦を強いられていたとの事。
「いやだってメガシンカじゃなきゃまともにダメージすら与えられなかったんだぞ俺達!?それなのにメガシンカなしで倒したって何!?何か秘密があるんじゃないのか!!?」
「単純に力不足なだけなのでは?」
「否定しづらい事を……」
メガシンカの問題を委託されていたのに力不足を問題視されていたことがあるので下手に反論出来ない。だがそれ以上に自分達はメガシンカして漸く対処可能になった暴走メガシンカを容易に下してしまうこの男の実力は何処までの物なのかという疑問もわいてくる。
「あの、レイブンさんって何者なのですか?」
「さあて何方なのでしょうね、アンの兄貴でホテルZの客、それ以上に必要かい?」
「いやでもさ、俺達があんなに苦戦した暴走メガシンカをメガシンカなしでって言われたら……ねぇ?」
「うん、流石に正体が気になるっていうか……」
そろそろバラす頃合かなぁっと思っていると丁度、キョウヤとセイカのスマホロトムが鳴り響いた。如何やらランクアップの相手が決まったらしい。そして見てみるとそこにあったのは……キョウヤはカナリィ、セイカはタラゴンが表示されていたのである。
「カナリィさん!!?これは由々しき事態です、僕は何方を応援したら……!?」
「いやキョウヤ一択でしょ!?」
「もう面倒臭いからどっちも応援しろよ。どこぞのチャンピオンの娘さんは母親がバトってる時に対戦相手も一緒に応援してたぞ」
「その考えはありませんでした、天才ですか!!?」
「本当にオタクって面倒臭い……」
まあそれを言ったら自分も面倒臭い部類ではあるんだろうなぁと思うレイブンなのであった。
「しっかし見事にカナリィ、さんのお爺ちゃんのタラゴンさんとバトルとか……なんか都合がいいというか纏められてる感がするね」
「まあ色んな意味で楽でいいんじゃねぇのか?タラゴンさんはカナリィ、さんのあれこれ全面的に応援してる人だしまだ会い易い人だろ」
「問題は俺の方だな……」
タラゴンは工務店に行けば問題はないだろうが、問題はカナリィの方である。ゲーム配信者である彼女にどうやって会えばいいのか分からない。ある意味ナンジャモに似ているスタイルではあるが、当人に辿り着くのは色々と面倒な事が予想される。
「それについてはご心配なく、濃ゆいカナリィさんファン達、俗にいうカナ友向けのイベントがあります。それは公式ファンクラブであるDG4主催のクイズイベント……カナリィカルトクイズ王決定戦!!!そこで優勝すれば握手をして貰えたりサインを貰う事も容易い、ランクバトルのお願いを受領して貰うのも可能な筈です」
「成程!!んじゃそのクイズ決定戦に出場して、ランクアップの権利を貰うって事だな!!」
ガイが中々に名案じゃないか!!と声を上げるのだが、肝心のキョウヤは何やら複雑そうというか、いまいち納得がいかないような顔をして唸り始めてしまった。セイカが如何したの?と尋ねると、なんとも言えない顔のままその理由を語る。
「だってさ、そのイベントカナリィさんファンが推しのカナリィさんに会ったり触れ合う為のイベントなんだろ?それなのにファンでもない俺が行くって普通に失礼じゃないか……?」
「あ~……そういう事」
「そもそもな話、カナリィさんのカルト的なクイズなんて出されても俺分からねぇぞ……?」
「―――キョウヤ、僕は感動しています。此処までファンの心を尊重している事に喜びと驚き、そして尊敬の気持ちを感じています」
ピュールは素直にカナリィファンクラブの為のイベントに参加していいのかという事を疑問視するキョウヤの人間性に思わず感動してしまっていた。そして同時に自分のファンとしてのレベルの低さに悔しさと恥ずかしさを感じてしまう。
「それについては僕が協力します、カナリィさんについてはファンクラブにも負けません。それにこれは名前からも分かる通りに戦いなのです、決定戦です。ならば負けないように懸命に戦う、そして貴方は戦いに臨んで勝てばいい、それだけのことなんですから気にしないでください。真のファンであればどんな相手でも負けないような気概と準備をするものです」
「おおっ……面倒なオタク筆頭のピュールがなんかカッコいい事言ってる……」
「ちょっとそれは心外ですよ」
以前の事もあってか、ファンとして一皮剥けて前に進めている事を感じさせるピュール。実はピュール、仕事で外に出た時にカナ友と遭遇し、楽しく喋れていて少しだけ嬉しそうにしていたのをキョウヤとセイカはこっそりと見ていたことがあった。なんだかんだで同じ話題で盛り上がれる事を喜んでいた。
「……まあ兎も角、カナリィさんのイベントについては僕が補佐をしますから問題はありません。ズルいと思うかもしれませんが、貴方も目的を果たす為なんですから、気にせずに行きましょう」
「う、う~ん……が、頑張る」
「さて、それでは行きましょうか」
「俺も付いて行こうかな、暇だし」
「アンも行くのです~」
「あっじゃあ私も、タラゴンさんに挨拶したいし」
3人も行くと聞いてピュールは少しだけ驚くが、少しだけ笑ってそれを受け入れる姿にガイやタウニー、デウロは少しだけ目を大きくする。
「あのピュールが……」
「変わったね……」
「前のあれが凄い効いたんだろうね……」