「カナリィカルトクイズ王決定戦ねぇ……」
否定するつもりはない、だがあんまり理解する事も出来ないと言いたげなレイブン。自分に関する問題でどれだけ見てくれているかを測る……どういった意図で?と思わず考えてしまうのだが、参加している人たちはそれで楽しいければまあ良いのだろう、結局のところそれで大切なのはやっている当人と参加している人たちが楽しめるかどうかなのだから……。
「仮にさ、ラビがこういう事ってやったら受けるんかね?」
「う~ん……その場合は出題する内容によると思いますが、恐らくですがあの人の場合ですとこれまでの配信で出したポケモンに関する物になると思うんですけど……その場合、難易度が恐ろしく跳ね上がる事が予想されますね……例えば……えっと、マッギョはステルスロックを覚える事が出来るか、とか」
「出来る」「出来るのです」
「「「即答!!?」」」
ピュールからの言葉を聞きながらも確かに自分が同じ事をやろうとしても難易度が高すぎて需要がないのだろうなぁ……普通に考えて、色んな意味でアウト過ぎる。やるにしてももう少し絞った方が良い、PWCS戦で使っていないポケモンはどれか、とかじゃないと分からない人が続出しそう……いやこれも割と大概ではないだろうか。
「さて、あそこが今回のカナリィカルトクイズ王決定戦の舞台です」
「変電所じゃねぇか」
仮にもインフラを支える大切な場所を使っていいのだろうか……と思ったがこれはあの市長が絡んでいるらしく、電気タイプの使い手でもある人気配信者を使えばいい感じに話題になるのでは……という事になっているらしい、うん市長を殴りたくなる理由がまた一つ増えた。
「さて、クイズ王決定戦にはファーストステージから最後まで勝ち上がっていけばいいという単純な物ですがその内容はコアなファンでなければ難しい物です、ですのでキョウヤにはこれを」
「これって、イヤホン?」
「はい。スマホロトムとの同期をお願いします、僕がそれを通して答えをお教えします」
「そう言う事ね」
「レイブンさんの分は―――」
「ああいいよ、俺は見学してるから」
「承知しました、それではいきましょうか」
「「「「「レッツゴー電磁砲!!」」」」」
「うん通ってよし!!」
ピュールから教えて貰った合言葉で無事に入場する事が出来た一行、変電所の中は既に多くの人が集まっておりカナリィの人気が窺い知れる。そんな中で少々小太りでメガネを掛けた人物が此方へと声を掛けてきた。
「おや、初見の方々ですかな?ようこそカナリィカルトクイズ王決定戦へ、と申し上げたい所ですが此処はカナ友が雌雄を決する神聖な場でもあります……初見さんでも吾輩は手加減致しませんと宣言させて頂きますぞ」
「それは結構な事で、そんな事で手加減をされてしまったらイベントの品位を下げますからね」
「フフフッ……そういう事で御座る、如何やら其方の方はお話が分かるようで……まあまずは空気に慣れていく事からお勧め致しますぞ、おっと吾輩としたことが自己紹介が遅れましたな、吾輩は―――」
『DG4!!!』
と言おうとした所でステージから声と駆動音が聞こえてきた。そこにはホロで映し出されたカナリィの姿が映し出され、ポーズを取って皆へと愛嬌を振りまいているのだが……その動きが一瞬止まってしまった、何故ならばレイブンへと視線を向けた瞬間に完全に停止した。ほんの一瞬ではあったが、一部のメンバーはそれに気づいた。
「(ア~……そう言えばあれってタラゴンの爺さんがやってるって言ってたよな……もしかしてこれもか……?)」
「……あれ」
カナリィがスタートの挨拶をしている時、一人の少女が近づいて身体を突いてきた。そちらを向いてみると、そこにいたのは……
「やっぱり、レイブンさんじゃん」
「あれまムクじゃん、何やってんの」
「此処にいる理由は一つだけ」
「カナ友なのか」
「そゆこと」
何処か自慢げにVサインを浮かべているムク、こういう事にも興味があったりする子なのか……と思っているとムクは今回のクイズは頑張ると言いたげな顔をしている。
「やっぱり人気なんだな、カナリィさんって」
「そりゃもう、ラビさんとのコラボの後はあっちのリスナーも来て盛り上がってる。ラビさんの所のリスナーは皆マナーが良くてカナ友も褒めてた位。だから私たちカナ友も負けないように、マナーとか新規の受け入れとかそっちも頑張ろうって一致団結してる感じ」
まさかの自分のリスナーが色んな意味での原因だった。ムク曰く、あれからカナリィが改めてラビの過去配信回を見てみよう配信をやったらしく、アーカイブに残してあるあれこれを数日掛けて全部見たらしい。そこで改めて思ったのがリスナーの民度の高さだったとの事。
「そう言うのもあって、カナ友はマナー改革真っ最中って訳。ワザと自分達の視聴中とかイベント中の姿を録画してみてたらなんか凄い恥ずかしくなって、気を付けよう……って感じで」
「他人の振り見て我が振り直せならぬ、自分の振り見て我が振り直せってか」
「大体あってる、んじゃクイズして来るから」
そう言ってクイズへと参加するムクを見送りながらも、自分のあれこれがいい影響をちゃんと与える事もあるんだな……と少しばかり誇らしくなるレイブンなのであった。