「行きますよ―――アリアドス!!」「アアアアアリィィッ!!!」
「行くぞ、ゲコガシラ!!」「ゲエエエラァッ!!!」
最後のステージへと上がる席を掛けたピュール対キョウヤのバトルが始まろうとしている。キョウヤをサポートするという役目は完全に忘却されてしまって、そこには一人のカナリィファンとしての一人のトレーナーの顔となっているピュールとランクバトルの為に負けられないとキョウヤの姿がある。本当にこれで良いのだろうか、なんて思考は二人にはなく、あるのはレイブンとアン、そしてセイカの頭の中位である。
「毒の糸!!」
アリアドスから放たれるのは毒々しい色合いをした糸、それは毒を内包した糸でゲコガシラはギリギリのところで回避するが、糸が伸びていった先の地面はじわじわと溶け出して始めている。喰らえば毒を浴びるではなく、素早さががくっと落ちる事になる。
「やれるな、ゲコガシラ!!」
「ゲエエコッ!!!」
「よおしいけ!!!燕返し!!!」
「ゲエエコオガアアアッ!!!」
身体に纏っている泡を鋭い刃へと変えながらもそれを逆手持ちにすると一気に振り抜いて糸を一息に両断してしまう。そしてそのまま一気に駆け抜けてアリアドスとの距離を詰めていく。
「エレキネット!!!」
「アアアリッ!!アリ、アリ、アリアリィィッ!!!」
「剣の舞をしながら前進、回転してコースを変えろ!!」
「ゲエエエコオオオッ!!!」
駆け抜けながらも途中で回転などを織り交ぜた舞を披露するゲコガシラ、その舞によってコースが微妙に変化、それによってエレキネットを自然な形で回避していく。そして高まった攻撃力を用いて頭上へと落ちてきた一際巨大なネットを泡の刃で両断する。
「レイブンさんから貰った技マシンで得た技、行くぜアクアブゥウレイクッ!!!」
「ゲエエエガアアアアアッ!!!」
「い、糸を吐く!!」
全身からまるで逆巻くオーラのように溢れ出した水、それを拳へと全て収束させたゲコガシラは渾身の一撃をアリアドスへと叩きこんだ。アリアドスは咄嗟に糸を吐くを行って相手の行動を妨害しようとしたが、ゲコガシラはアクアブレイクを糸に叩き込んでそれを弾きながらも、糸ごと、アリアドスへと拳を叩き込んだ。
「アアアアリイイイイイイイイッ!!!!??」
「ア、アリアドッ―――!!?」
吹き飛ばされたアリアドスはピュールの視線が間に合うよりもずっと早く、爆風を纏いながらも殴り飛ばされてしまった。だがこのままではあらぬところにぶつかってしまう、と思いながらも振り返ってボールを向けようとしていたら―――そこにはムクが相棒のシャンデラを出し、シャンデラがサイコキネシスでアリアドスを受け止めて優しく地面に下ろしていた。
「あ、貴方は……」
「カナ友、フォローはカナ友がする」
「そうでありますぞピュール氏!!何か起きたとしても我々が居ますぞ、キョウヤ氏、で宜しいのでしたかな、氏もご存分にバトルをなさるのですぞ~!!」
その声に周囲からはカナ友達がポケモンを出して一緒に応援をしてくれている事に漸く気付く事が出来た。中にはエスパー系やゴーストタイプと言ったポケモンもいてフォローの体勢を確りと作り出していた。その様子にムクは以前だったらこんなのあり得なかったのになァ……と苦笑いを浮かべている。
「アリアドス、ご苦労様でした。よく頑張ってくれました」
「良いぞゲコガシラ」
「カッコ良かったぞ~アリアドス~!!最後の糸を吐くナイスガッツ~!!」
「まだまだ終わってないぞ~!!」
「ゲコガシラカッコいいよ~!!」
「このまま頑張れ~!!」
こういう風に暖かな声援を受けながらバトルをするのは何時振りなのだろうか……ZAロワイヤルは基本的に夜の上に周囲に観客は居ないし、自分以外の周囲は全て的と言ってもいい状況、そしてランクアップ戦でもこのような事は滅多にないのが実情。本当に何とも言えない面白さがある。
「行きますよ、ヤミラミ!!」
「ヤンミィィッツ!!!」
ピュールの二番手はヤミラミ、タイプ的には問題ないと思いこのまま行こうと思うキョウヤ。剣の舞もある、このまま押して―――
「威張る!!」
「ヤミイイイイイイ!!」
「えっ早!!?」
「ゲッ―――コココココココシラ?」
ヤミラミの素早い威張るが炸裂する、この時のピュールは知らなかったが、ピュールのヤミラミは悪戯心を持った夢特性個体。それ故に変化技は最速で繰り出す事が出来る上にゲコガシラはまだ悪タイプを持っていないのでその効果も有効に活用できる。
「ゲアアアアアアコオオオッ!!!?」
「ゲ、ゲコガシラ落ち着け!!!駄目だ、戻れ―――」
「させないでください、イカサマぁ!!!」
「ヤアアアアンミイイイイッ!!!!」
させるか!!と言わんばかりの飛び蹴りがゲコガシラの顎へと炸裂する、4段階攻撃が上昇しているゲコガシラにとってその一撃は致命的な一打となってしまい、足取りが不安定になり、そのまま崩れ落ちた瞳は完全に回ってしまっていた。
「うおおおっヤミラミ強いで御座るぞぉ!!!」
「剣の舞を逆に利用したぁ!!!」
「いいぞ同士ピュール~!!!」
「そうか、イカサマって確か……!!」
倒れ込んだゲコガシラを戻しながらもキョウヤはイカサマの詳しい効果を思い出していた。イカサマは相手の攻撃が高い程に威力が上がるという特性がある、剣の舞に威張るの攻撃上昇が加わった事でイカサマの威力は飛躍的に向上してしまった。
「攻撃4段階アップさせたイカサマかぁ……こりゃ確定一発だな……というかあのヤミラミ悪戯心じゃね?」
「あっだからあんなに威張るが早かったのですね?」
「えっヤミラミって悪戯心持ってるんですか?」
そんな事が言われている中でキョウヤは震えていた、ゲコガシラが倒されたからではない。アンの時のような、ポケモンバトルで感じられる高揚感でゾクゾクしていた。本当に楽しい、優勢に出来たと思っていたのにすぐに引っ繰り返された状況、何が起きて、状況が変化し続けるそれがどうしようもなく楽しいと思えたのだ。
「行くぞフシギダネ!!」「ダネダァァネッ!!!」
「まだまだ上げていきますよヤミラミ!!」「ヤアアアンミミミッ!!!」