「ホルード、飛び跳ねる!!」
「ボオオオルルルドオッドオオツドオオオッ!!!」
直後に見せられたそれは驚愕以外の言葉を脳から出禁にするような物だった。ホルードと言えばその体格を生かしたパワーによる地中戦をメインにする物とばかりと思っていたが、タラゴンのホルードは軽快に跳びはねていくのだ。極めて軽快に、何度も着地するたびに体勢を入れ替えながらその動きはホルードの重量感溢れる身体からは想像できない程に―――
「ボオオオオルドオオオッ!!!!」
カメックスの上を取り、その顔面に耳が剛腕の一撃が如く突き刺さる。その際に衝撃波が周囲に溢れる程のパワー、それを見てラビは即座に見抜いた。
「タラゴンの爺様、力持ちホルードか」
「流石はラビって所か、見抜いたか」
当然だ、あのパワーは通常では有り得ない。夢特性である力持ちを有しているホルードの攻撃力はケッキングすら上回る程の力を発揮する。種族値換算で言えば164となり、ケッキングの160を超えてしまう。ガラルではダイジェットを扱う力持ちホルードとの対戦経験はあるが、矢張りダイマックスはやばいと思い知らされた。
「カ、カメックス!!!」
そんな一撃にセイカは不安を募らせたが―――カメックスは静かにサムズアップ、ホルードの目に映っているのが、顔面が自分の耳で歪められているのに一切、表情自体は歪んでいない。豪胆なカメックスの姿、一度後ろへと飛び退くと顔を軽く叩いてもっと打ってこい、と言いたげに手招きをする。
「強いカメックス強い!!!カメールから一気に頼もしくなったね!!!よおしいっけええ反撃開始だぁ!!!」
「ガアアアアメエエエエッ!!!!」
直後、カメックスは地面を思いっきり蹴った。いやそれだけではない、脚を出している甲羅の部分からも水を勢いよく噴射して一気に加速している、そしてそのままの勢いでホルードの腹部へと強烈な蹴りを浴びせ掛けた。此方もホルードの一撃に負けず劣らずの破壊力に衝撃波が迸る。
「メガトンキックか」
「凄いメガトンキックを覚えたんだ!!」
「ルウウウウドオオオッ……!!!」
「ガアアッメッ!!!」
この程度効くかよ、と言いたげなホルード、がカメックスはニヤリと笑いながらも蹴りだけ、ならなっ!!とそのまま脚から水を噴射してホルードの顔面へと浴びせかけた。カメックスはロケット砲の印象に食われがちだが、実は引っ込めた甲羅の手足部分からも水を噴射する事が可能。何だったらその反動で空を飛ぶ事すら出来る。
「ボルルッ、ドオオオオッ……!!!」
進化前のホルビーと違って地面タイプが入った事で水は効果抜群になってしまっており、勢いよく噴射された水で完全に怯んでしまったホルード、これでは得意のパワーだって発揮出来ない。
「そこだぁっカメックス、思いっきりやっちゃえ、水の波動!!!!」
「ガアアアアアメエエッ!!!」
口から水の波動を発射、ホルードはその爆発によって吹き飛ばされてタラゴンの足元まで後退するが、流石タラゴンのポケモンというだけあって立ち上がって頭を振るって意識をはっきりさせる。
「良い根性じゃホルード、ならば今度はお主の得意技じゃ!!穴を掘る!!!」
「ボオオオオルルルルルルルル!!!!」
ホルビーとは比べ物にならない程の超高速回転と力強い動きで地面へと潜っていくホルード、これではどこから攻撃が来たとしても把握できない。どうするとセイカが思った時、カメックスは背中の砲台、ハイドロキャノンを起動させた。二つの砲門がホルードの掘った穴へと差し向けられる。
「ガアアアメエエエエエエエエッ!!!!」
ハイドロキャノンから超高圧の水が凄まじい勢いで溢れ出すと一気に穴へとなだれ込んでいく、紛れもないハイドロポンプである。
「凄いハイドロポンプも使えるようになったんだ!!」
「いやこれ、ホルード堪ったもんじゃないだろうな」
思わず素になって言ってしまった、自分も同じようなことはやった事はある。穴を掘るポケモンに対してその穴その物に攻撃を流し込む、というのは割と常套手段ではあるのだが……地面タイプに水を流し込むとは……そして穴の内部へと流し込まれたそれは、遂に水圧に耐え切れなくなったのか、地面から水に押し出される形でホルードが飛び出して来た。
「ボオオオオルドオオオ!!?」
「今だよカメックス、ハイドロポンプ!!!いっけえええええ!!!」
「ガッメエエエエエエッ!!!!」
今度はハイドロポンプの直接照準射撃、流れ込んでくる水ではなく直接襲い掛かって来るそれは全く破壊力のレベルが違う。高圧の激流の奔流はホルードの動きの一切を封じた上で壁へと押し付けた、そして―――ハイドロポンプが終わるとホルードはゆっくりと地面へと落ちて戦闘不能となっていた。
「ホルード戦闘不能だな」
「やったあああカメックス強い!!メガトンキックとハイドロポンプを使えるようになってるなんてすごいよ!!」
「ガアアメ!!!」
どうだ俺は強いだろう!!と胸を張るカメックスに強いぞカッコいいぞ~!!と太鼓持ちのような事をしているセイカ、まあそれだけ進化した事とその実力が嬉しいという事なのだろう。タラゴンはホルードを戻しながらもセイカを見る。
「強いのぉ……これでもホルードは結構な主力なんじゃが、じゃからこそ人生は面白い!!行くぞドリュウズ、工事開始じゃぁ!!!」
「ド~ルルルルルルッルウウゥゥゥゥズッ!!!」