週刊エンジョイポケモン放送局   作:魔女っ子アルト姫

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エンジョイ:広域範囲ダイケンキ

ラビの人脈というのは思われている以上に広い。9~10年という貴重な時間を旅に費やすなど何を考えているんだと考える人間もいない事はないが、その結果として積み重なったのが現在のラビのポケモンの厚い層と各地方の権威との太いパイプなのである。

 

「全く……次はアンタか、勘弁してほしいもんだがな……アララギ博士」

『ツレないわね、可愛かったあの時の貴方は何処に行っちゃったのかしら?』

「ンなもん社会に出れば消え去るんだよ」

 

容赦のない言葉をスマホロトムへと浴びせかけるラビ、通話の相手は故郷でもあるイッシュ地方におけるポケモン学の権威アララギ博士。父と母とは友人関係であるが故に自分もよく知る相手で感覚的には偶に会う親戚程度には親しい。アララギとしては年が離れている妹のように可愛い弟として接している、がラビからすれば苦手な相手。

 

『驚いたわよナナカマド博士が貴方の配信に出てるんだもん。どういう繋がり?この前学会で話題になったヒスイ種のバスラオとの関連性があるのかしら?』

「何、あれそんなに話題になってんのか」

『そりゃそうよ。歴史的に既に絶滅しているとされているヒスイ種、それが確認されたのよ?それだけでも大発見なのに古い文献にしか記されてない進化の可能性まで確りと確認した、これは凄い大発見よ。私としてもヒスイ種と現代種にどれ程の差異があるのか興味津々よ』

 

アララギ博士の研究テーマはポケモンの誕生とその起源。故に進化を研究するナナカマドとのテーマは近しい、故か自分の配信に登場したナナカマドには驚いたとの事。そして同時に最近ブルーベリー学園から発表された論文とデータは学会を震わせているらしい。

 

『ブルーベリー学園、流石は貴方の母校よね』

「飯と教師と運営だけが欠点だがな」

『相変わらず辛辣ねぇ……そういう所だって分かってたでしょ、あそこは学校というよりも研究施設っていう面の方が強いわ。教師陣だって何方かと言ったら研究陣営って言った方が正しい、だからこそ生徒に自主性を求めて行動させてるのよ。理由と行動さえすれば認可とその為の予算の振り分けはする、だからこそ貴方の食材申請調達システムだってそのまま残ってるのよ?』

「名目ばかりが立派だな、流石博士」

『あらら、本当に可愛かった貴方は何処に行っちゃったのかしらね』

 

だからと言えど、そんなに研究がしたいのならばそれならいっそのこと教育機関という看板を取り外してしまえとさえ思う。仮にも教育機関ならばもっと生徒に目を向けろ。

 

「ンで今回連絡したのは何事」

『ああそうそう、私もその内そっちに行っても良い?』

「来るだけの理由があるならな、ただ顔が見たいだけなら断る」

『あらら、手厳しいわね』

「下手に許可出すとお袋と親父まで来るだろ、御免被る」

『私だって真横でラブラブオーラ全開なのは嫌よ』

 

流石の友人でも両親のそれらは容認し難いらしい。

 

『例のガチグマの進化に必要とされている泥の件よ、私達にも情報が共有されてるんだけど……ガラル地方のソニアから連絡が入ったのよ。ガラル地方にもある可能性があるってね』

「成程ね……ガラルか……ンで本題は?」

『私もガチグマ調べても良い?』

「やっぱそれか……」

 

まあポケモン学の権威の意見は多い方が良いだろうと思って許可は出す事にした。と言っても気軽に来れる訳でもない、ナナカマド博士の場合は上手い事時間を作れただけなのだから。

 

 

「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方」

「……ケンッ」

「はいダイケンキです」

 

・おおダイケンキだ

・初じゃない?何だっけ、こういうのを何て言うんだっけ?

・博士から渡される火水草……だっけ?

・御三家じゃね?

・それだそれ

 

「ダイケンキは水の単タイプ、イッシュ地方では初心者用ポケモンとしてアララギ博士が新人トレーナーに渡すポケモンとして有名ですね。私も出身はイッシュなので最初に頂いたポケモンが此方のダイケンキ、ミジュマルでした」

 

・へ~イッシュ出身なんか

・でもまあなんか納得

・イッシュとかアローラ多かった印象あるもんな。

・どっちだろうな、とは思ってた。

・同じく

 

「ダイケンキの特徴と言えば、ミジュマルとフタチマルという進化前に武器として使っていたホタチが無くなり、アシガタナという物へと変化しています。通常時は前脚の鎧として機能している鞘部分に収納していますが、攻撃時にはこれを以て文字通りの刀として運用をします。その斬撃速度は圧倒的で納刀までが瞬きをする間に行われます」

 

・ホタチが剣に……いや刀か

・どっちも同じようなもんじゃろ

・そうはいかんのじゃ。

・そこまで凄いのか……

・普通に戦っても安定して強い感はあるよな。

 

「また貫禄ポケモンとも呼ばれており、睨みを利かせるだけで相手を怯ませ、一吠えで威圧する程の迫力を持ちます。これは群れの長として必要とされる素質であるが故ともされています、野生下ではルールに背く者には一切の容赦もなく叩き潰すという厳格な統治をします」

 

・ひぇぇぇ……

・初心者向けの最終形がこれかよ……。

・でもある意味助からね?癖が強いポケモンを纏めてくれる相棒って思うと

・あっ成程。確かに頼りになるわ。

・最古参が睨みを利かせるってのも絵になるなぁ~

 

「そんなダイケンキの特性は激流、これは御三家とも呼ばれるポケモン達とも共通してますね。ピンチの時には水タイプの技の威力が上がるという物です、夢特性は急所に当たらないシェルアーマー。安定性という意味だとイッシュ御三家では随一です」

 

・ああそうか、御三家の特性って基本同じか。

・ピンチにタイプ一致強化だもんな。

・そう思うとなんか不思議だよな。

・別種族なのに此処まで同じってのも面白いよな

・なんか関連性とかあるのかしらね

 

「さてダイケンキは物理と特殊の両方も中々に高い上に器用で様々な技を覚えることが出来ます。物理技ではドリルライナー、メガホーン、燕返し、シザークロス、辻斬り、ドラゴンテール、聖なる剣、特殊では冷凍ビームに草結び、エアスラッシュなどなど、私のダイケンキはこれらを全て扱えます。アンコールや剣の舞に気合溜め、影分身も出来ますよ」

 

・めっちゃ器用やん!!?

・地面虫飛行悪ドラゴン格闘氷草……多芸過ぎひん?

・何この技の博覧会状態。

・マジで何が出来ないんだよ

・出来ない事を探した方が早いかもしれん……

 

「逆に言ってしまいますと、此処まで出来てしまいますので器用貧乏になりやすいのが最大の欠点とも言えますね。あれも出来るからあれもこれも、としてしまいがちな所が落とし穴です」

 

・あ~やっぱり……

・器用なのも考えもんだな……。

・となると如何するのが一番なんだろ?

・何かに特化させるべき、とかか……?

・でもそうなると器用さが死ぬんだろ?

 

「そうですね、だからこそ私は器用さに目を向けました。私のダイケンキは幅広いタイプの技を習得してますので基本的どんな相手にも弱点を突くことが出来ますので的確に相手を追い込みます」

 

・的確に相手の弱点を突くってのか。

・それはそれで難しいけど、出来たらスゲェ頼もしいな。

・残りが苦手なポケモンだったとしても削って削って次に託すとかも出来るもんね。

 

「ダイケンキは少し遅めに分類されますがアクアジェットという高速攻撃技で補う事も出来ますし、最悪の場合はアクアジェットを繰り出してダメージを与えておくというのは中々バカに出来ません。範囲を気にしなくても、遠近そして物理特殊の二重の両刀がダイケンキの強みです」

 

・確かに、物理特殊両刀って頼もしいもんな

・読み間違いしたとしても対応出来るって事だもんな。

・初心者向けだけど成長につれてトレーナーにも成長を求めるか……

・でも俺好きよこういうの。

・同じく。

 

「私もダイケンキは信頼しています。私のポケモンさん達は一癖二癖もある子達ばかりなんですがダイケンキはそれらを完璧に統率してくれるので助かってます、偶には一緒にバトルしたいんですけど……下手に連れて行くと……怖いんですよね暴発」

 

・ああっ……まあうん……。

・戦闘狂の烏とか絶対にレーザー撃ちたがる大蛇とか

・確かに下手に連れて行けねぇわな

・普段は統率してるんだな……。

・寧ろよく出来るな。

 

「すみませんねダイケンキ、貴方も偶には思いっきり羽を伸ばしたいでしょうに……」

「キ……ケェンキ」

 

・気にするな慣れてる、と言わんばかりの対応

・えっ激渋。

・何この頼りになりまくる相棒。

・う~んこれは群れのリーダー。

・これは頼りにするわ。

 

 

配信を終えるとダイケンキは終わったか?と自分に確認するように見てきたので頷くと直ぐに庭の方へと向かって行った。ゆっくりすればいいのにとも思ったが、如何やらバカが暴れ始めたらしい。

 

「ガアアアアアアアアアアア!!!!」

「ルガアアアアアアアア!!!!」

「ケェエエエエエエエエエ!!!!」

 

暴れているアーマーガア、ルカリオ。周囲の事を気にすることなくガチバトルをする両者へと突っ込みながらすれ違いざまにアシガタナを抜き放ち、シェルブレードを一閃。刹那の抜刀術で二匹の急所を的確に捉えた一撃は二匹を地面へと落とした。

 

「ガアアアアッ!!ガアアアアアアアアア!!!」

「クルオオオオオオオガアアアア!!!」

「ダァ……ケェンキ」

 

暴れたりないなら俺が相手してやるから掛かって来いと言わんばかりに挑発するダイケンキに二匹は見事にブチ切れながら向かって行く。本当に何時も通りの光景だ。

 

「ホントダイケンキってば凄いね、あの二匹を抑え込んじゃうんだから」

「そりゃ俺の相棒だからな」

 

楽しいも苦しいも辛いも悲しいも一緒に共有した戦友にして相棒なのだ、この位は当然だ。だけど―――

 

「やっぱり、あいつとまた本気でバトルしたいなぁ……」

 

個性が強すぎるポケモン達を纏める統率者、自分の留守には彼が居ないといけないのでダイケンキを中々バトルで使えない事だけがラビにとっての不満。だがそれはダイケンキも同じらしく、偶には相棒と共にバトルフィールドに立ちたいと望む程に二人は以心伝心なのであった。

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