「……」
「なぁ、見てて楽しいのか?」
「……(コクリ)」
元農場の一角を利用した菜園、その手入れをしている際にウルガモスの古来種とされるチヲハウハネが近寄ってきた。何かをするかと思って近くにいたダイケンキは警戒したが直ぐにそれを解く。何故ならばじっとラビの作業を見つめるだけなのだから、時折身体を起こして二足歩行になりつつ手でラビの真似のような事をしている。
「ダイケンキ、水撒いてくれ」
「ケェン」
ダイケンキも手伝いをしてくれるので手入れはかなり手早く済む。そんな様子も観察し続けるチヲハウハネ、ダイケンキを真似るように射角を取ったりもしている。
「何、やってんだろうねあの子……」
「真似っこ……?」
やってる行動はまるで幼児が大人の行動を真似ているそれにそっくりだが、何故チヲハウハネがそれをしているのか全く分からない。がその行動が徐々に変わり始めて空をじっと見つめ始めた、そして何やら手を動かし始めると―――菜園の上にだけ雨雲が発生し始め、そこから強くもなければ弱くもない丁度いい感じの雨が降り始めた。
「これって雨乞い?」
「水やり、のつもりなのか?」
雨が降る中でチヲハウハネはジッと地面を観察していた。何が違うかと言われたら、そちらはダイケンキが水を撒き終えた部分なのだが……チヲハウハネは背中の翼を思いっきり羽ばたかせると雨雲を吹き飛ばして、再び何かを確認すると満足げに頷くと自分の下へとやって来て座り込んだ。
「もしかしてお前手伝ってくれてるのか?いやというよりもこういう事が珍しくて興味深いのか」
「あっそっか、この子って昔の時代から来てるって言ってたよね。その時代には農業って概念自体がないからか」
サザレも納得が行ったように手を叩いた。チヲハウハネにとってラビやオーガポンが行っているそれは全く以て未知な物、本来なら避けるべきだが好奇心が旺盛なのか近づいて観察していたのだろう。そしてこうする物なのだろうと学習して真似をしたのだと思われる。
「有難うな、ほれっご褒美だ」
菜園のオレンの実を取って渡してやる、首を傾げつつも短い前脚でそれを受け取りつつも齧り始める。この時代の食べ物も嫌いではないらしい、寧ろ好きなのか徐々に食べるスピードは上がっていった。そしてこれを学習したのか、ラビが手入れをする時には必ずチヲハウハネが手伝いをするようになり、いつの間にか菜園近くに居続けるようになった。
「変な餌付けしちまったかな」
「良いんじゃない?悪い事はしてないし、狙ってくる鳥ポケモンを追い返してくれてるんだから」
「アイツ一応虫タイプだよな?」
「皆さんこんにちは、今日もポケモン育ててますか?まだまだな貴方もこれからの貴方も、此処をきっかけに一歩踏み出して行きましょう。今回紹介するのは此方」
「ナッシ~」
「ナッシーさんです」
| ・お~ナッシー……あれ ・なんか、可笑しくね? ・カメラに映ってなくね? ・いやこれもしかして ・縮尺可笑しくね?主に首が |
|---|
「このナッシーさんはカントー地方でゲットしたタマタマさんを進化させたはずなんですが……如何やら当時、結構な長い間続いていた日差しが強かったのが影響したのか、アローラ地方のナッシーさんになってしまったんですよね……タイプは草とドラゴンの複合です」
| ・え~……そんなのあり? ・あるんだなぁ……こんなの ・にしても首なげぇ~ ・どうしてこうなった ・真面目にやって来たからだな。 ・何を? |
|---|
「え~っとアローラ地方のナッシーさんは一年を通して強い太陽の光が降り注ぐのでその恵みを最大限受け取った末に此処まで成長したとされます、アローラ地方ではこの姿こそナッシーというポケモンの原種!!と言われるほど愛される存在となっています。因みに尻尾に当たる部分にも第4の頭があります」
| ・うわホントだ。 ・(・3・) ・なんかウゼェwwww ・(・3・)(・3・)(・3・) ・やめろwwww |
|---|
「エスパーとしてのサイコパワーは発育不全をカバーする為の物ともされており、ドラゴンタイプにもなっているのも眠っていた龍の血が覚醒したからとも言われています。なのでこの姿が原種……といえない事もないそうです。完全にサイコパワーがない訳ではなく、尻尾からテレパシーを放って索敵を行っているらしいです。後、日光が不十分な時は月光浴をして少しでも補おうとする習性を持ちます」
| ・サイコパワーが発育不全カバーかよ…… ・何か色んな意味でインパクトあり過ぎだぁ……。 ・どうなったらそうなるんだよ……。 ・結局どっちが原種なんや。 ・知らん。 |
|---|
「そんなナッシーさんの特性はお見通し、夢特性が収穫です。このナッシーさんは収穫です、収穫は木の実を食べてしまった後に一定確率で再びその木の実が使えるという物です。これは日差しが強い状態だと100%で発動するので自分の身体から生っているという認識で良いんでしょうかね」
| ・へ~面白いな。 ・オボン使ったと思ったら再び回復で絶望する? ・絶望のオボンボン。 ・能力アップの木の実でもいいかもな。 ・うわ其れ強いかも。 |
|---|
「さて、このアローラナッシーさんですが以前紹介したカミツオロチさんと似ている部分が多いですが、その分炎タイプの技や変化技での差別化が可能です。宿木の種やトリック、瞑想、痺れ粉、光合成といった変化技で十二分に異なった戦術を展開可能です」
| ・そうか既視感あったのはカミツオロチのせいか。 ・タイプ同じだし似たような感じだもんな。 ・あ~でも分かるだけでもかなり良い技覚えるんだな。 ・収穫活用するなら日本晴れとのシナジーもあるし面白いかも。 ・回復は光合成でみたいな考えも出来るしな。 |
|---|
「素早さ自体も遅いのでトリックルームを使うのもありですが、グラスフィールドを使ってグラススライダーを高速攻撃技化して運用するというのも中々に面白いと思います。2種類の素早さ補強方法があるので考え甲斐があるポケモンだと思います」
| ・ふ~むゴリランダーとかと組むと面白いかも。 ・ダブルでもうまく活用出来るかもしれないな。 ・シンプルに見た目も面白いから俺は好きだ。 ・アローラの人達に愛されるのも分かるポケモンだ。 ・アローラ行きてぇ……。 |
|---|
配信を終えると直ぐにナッシーは移動を開始した、何かと思ったらすっかり菜園の用心棒が板に付き始めたチヲハウハネが日本晴れを使って、曇りだった分の日光を補っていた。そのお零れに与ろうとしているらしい―――が菜園の木の実を狙ってやって来たヤヤコマとイキリンコの群れを感じ取ると―――
「ナナナナッシ~!!!」
「ゥゥゥゥゥゥゥ……ィィィィィィ!!!!」
ナッシーが首を撓らせてチヲハウハネを空へと射出するとその勢いのまま鳥ポケモンの群れへとワイルドボルトで突撃、勢いを削いだところで吹き飛ばしで群れを吹き飛ばしていく。群れは大慌てで逃げ帰っていく。着地したチヲハウハネはナッシーと無言で頷き合った。
「いや何時の間に仲良くなったんだお前ら」