Tiny Dungeon Another Story   作:のこのこ大王

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最終章 全ての始まり

昔、人界で事件が起こった。

 

 『儀式の日』とのちに呼ばれることになる事件だ。

 

 儀式によって、その日に儀式兵装を手にすることになっていた

 人族の子供達が、当時の魔族強硬派達による独断によって

 一方的に惨殺された。

 

 その事件で、現場に居たのが俺とフィーネだ。

 もちろんお互い敵同士。

 

 俺は、フィーネと戦うも魔法によって敗北する。

 まあ、魔法といっても当時の彼女は

 自分の血による増幅と八翼の増幅を制御出来ず

 ただ大量の魔法を塊として放つことしか出来なかった。

 

俺「・・・君の、名前は?」

 

少女「・・・どうして?」

 

俺「・・・どうしても、知りたくなった」

 

フィーネ「・・・あっそ。私は、フィーネ」

 

フィーネ「・・・もういい? じゃあ死んで。いらないから。」

 

 そう言うと少女は薙刀を振り上げた。

 俺の、死ぬ瞬間だ。

 

 目の前の少女は機械的に

 無表情なまま、黒き刃を振り下ろす。

 

 俺は、目を瞑る。

 

 儀式兵装が風を切る音がして―――

 

 

 

 

 

最終章 全ての始まり

 

 

 

 

 

?「きゃぁぁぁぁぁーーーーーー!!!」

 

 甲高い叫び声が聞こえてきた。

 俺は、そっと目を開ける。

 

 そこには、血だらけで倒れるフィーネと名乗った少女が居た。

 背中を大きく切られている。

 

魔族男「まったく・・・こんなに簡単にいくとはなぁ」

 

魔族女「ええ。

    恨まないで下さいね、姫様。

    これも全部、貴女が悪いんですから」

 

魔族男「こんなガキのころから八翼だって?

    冗談じゃない。

    お前に居られると、俺達が魔界の実権を

    握れなくなるだろうが」

 

フィーネ「・・・だ、騙した、のね」

 

魔族女「騙される方が悪いんですよ、お姫様。

    あはははははっ」

 

魔族男「さて、ここから楽しいショーだ」

 

 そう言うと倒れたフィーネを足で踏みつけ

 背中の翼を引っ張る。

 

魔族男「何枚目で死ぬと思う?」

 

魔族女「そうねぇ、6枚目ぐらいかしら?」

 

魔族男「じゃあ、やるぜ」

 

 そういうと、男は自分の儀式兵装で

 フィーネの翼を1枚切り取る。

 

フィーネ「あああぁぁぁぁぁぁっ!!!

     痛いっ!!

     止めてぇぇぇぇ!!!」

 

魔族男「さあ、次は2枚目だ」

 

魔族女「こうなると、八翼も惨めねぇ」

 

 こうして、八枚の翼を拷問のように

 1枚づつ切られ、全ての翼が無くなる。

 

フィーネ「・・・」

 

 途中で痛みに耐え切れずに失神したフィーネを

 無造作に掴むと、まるでゴミを投げるように

 適当に投げる。

 

魔族男「まだ生きてやがる」

 

魔族女「でもまあ、放置しても死ぬでしょ」

 

魔族男「確かにな。

    楽に死なせることなねぇな」

 

 魔族達は、他に生き残っている者が居ないか

 周囲を探し始める。

 

 投げ捨てられたフィーネは

 俺の目の前に落ちてきた。

 

 あまり動くことが出来ない俺は

 ゆっくりだが、彼女に近づく。

 

フィーネ「・・・母様、痛い。

     ・・・助けて」

 

 うつろな目で、必死に助けを求める少女。

 

和也「・・・」

 

 一瞬、殺してあげた方が楽になるのでは?

 そんな考えが浮かんだ。

 だが―――

 

和也「・・・彼女は、生きるべきだ」

 

 だが、この場に包帯も無ければ薬もない。

 このままでは確実に死ぬだろう。

 もし自分が動けたとしても、魔族達に見つかって

 俺が殺されるだけだ。

 

 それでも、何としてでも

 彼女を助けたかった。

 自分を殺そうとした相手だなんて

 その時には、もう考えてもいなかった。

 ただ、救いを求める彼女を助けたかった。

 

 そんな時だった。

 突然俺の心に声が響いた。

 

?「お前は、何を望む。

  何を願う」

 

和也「・・・誰だ」

 

 周囲を見渡すも、誰も居ない。

 しかし声は、確実に聞こえる。

 

?「お前は、何を欲するのだ」

 

和也「・・・俺が、欲しいもの」

 

 この場を抜け切るだけの力?

 ・・・いや、魔族達にもし負ければ意味が無い。

 

 救援?

 来るまでに、彼女が耐えられないだろう。

 

 なら、俺が望むものは?

 願うことは?

 欲したものは何だ?

 

和也「・・・俺は」

 

 段々と想いが形になる。

 

和也「・・・俺は、彼女を助けたい」

 

 そして彼女の血だらけの背中に手を当てる。

 

和也「彼女を助けて欲しい。

   そして、彼女にあの美しい翼をもう一度。

 

   今度は、もう失うことがないように

   強くて、立派で、でもとても綺麗な

   そんな四界で一番の翼を彼女にあげて欲しい」

 

?「それがお前の想いか。

  ・・・その願い、確かに聞き届けた」

 

 その瞬間、儀式に使用されるはずだった

 魔方陣が起動して1つの儀式兵装を生み出す。

 

 そして、彼女に新しい翼が生まれた。

 

フィーネ「それが、この翼。

     和也がくれた、私だけの翼」

 

ダレス「バカなぁっ!?

    他人に埋め込まれた儀式兵装が

    動く訳が無いっ!!

    どれだけ私が、実験したと思っているのですかっ!?

    ありえないっ!! ありえないっ!!」

 

リピス「それは、おそらく兵器としてではなく

    『フィーネの翼』として生まれたからだろうな。

 

    ・・・しかし、まさかこんな奇跡を見る日が来るとはな」

 

 フィーネの黄金の八翼が、更に輝きを増す。

 

ダレス「!?

    どういうことだ、これはっ!?」

 

 自身の魔力までが、まるで吸い取られるように

 フィーネの元へ向かい、彼女の魔力の一部となる。

 

ダレス「他人の魔力を吸収だとっ!?

    ありえんっ!!

    何なのだっ!!

    何が起こっているっ!?」

 

和也「・・・それが彼女の翼の力。

   儀式兵装が、稀に持つとされる特殊能力。

   周囲の魔力全てを吸収して自身の力とする事が出来る」

 

フィーネ「そして、これが私の儀式兵装の力。

     私の黒い刃は、集めた魔力を更に増幅することが可能なの」

 

 翼の儀式兵装が、魔力を吸収・増幅し続けて

 薙刀の儀式兵装と血族の力が、更に魔力を増幅し続ける。

 

ダレス「そ・・・そんな強大な魔力を

    どうして制御可能なんですかっ!?

    いくら魔王の血族といえども不可能ですっ!!」

 

フィーネ「・・・ええ。

     確かに普通は、無理だわ。

     昔、そのせいで魔法がまったく使えなかったもの」

 

 魔力が制御しきれなかったフィーネは

 圧倒的な力を持っていても、使用出来なかった。

 そのため、逆に弱かったのだ。

 

フィーネ「でも、私には和也のくれた翼があるっ!!」

 

リピス「・・・そうか。

    通常ではありえない魔力を

    通常ではありえない2つの儀式兵装により制御したのか」

 

 魔法陣から炎が出現する。

 炎は、まるで荒れ狂う海のように波打つ。

 

 誰もが、その光景を眺めていた。

 そして思っただろう。

 

 この炎に触れては、命がない・・・と。

 

フィーネ「さあ、いくわよ。

     これが・・・藤堂 和也が持つ

     最強の儀式兵装にして『魔法』である

     フィーネ=ゴアの力」

 

 魔法陣の炎を開放する。

 

フィーネ「―――インフェルノ」

 

 燃え盛る波が一面を覆う。

 

ダレス「この私が、最高傑作がっ!!

    負ける訳がないのですっ!!!」

 

 四属性の防御魔法を

 気麟・翼・血族の力・弾装まで使用して

 強力な結界を張る。

 

 しかし、炎はそれらに触れると結界を溶かすように

 侵食しながら進んでいく。

 

ダレス「来るなっ!!

    来るなぁ!!」

 

 儀式兵装で炎を消し飛ばそうと

 勢い良く叩きつける。

 

 だが、炎は儀式兵装を溶かしながら

 更に進む。

 

 そしてダレスを捉える。

 

ダレス「溶けるうぅぅぅぅ!!!

    ぎゃぁぁぁぁぁーーーー!!!」

 

 炎が触れた箇所から

 燃えるのではなく溶けていく。

 

 やがて炎は、ダレスを覆って

 全てを飲み込んだ。

 

 奴の断末魔も小さくなり

 あの巨体が、僅かな時間で完全に消えた。

 

 そして、残ったのは

 地面が、マグマのように溶けて湯気があがり

 まるで地獄の釜のような大きな穴だけだった。

 

 全てを終えたフィーネが

 和也の胸に飛びついてくる。

 

和也「・・・おかえり」

 

フィーネ「・・・うん。

     ただいま」

 

 そのころ学園都市各場所では

 ダレスが消滅した瞬間、暴れていたゴーレム達が

 一斉に土塊に戻る。

 

 一瞬、何事かと思った生徒達だったが

 自分達が勝ったことを知ると

 

 ある者は、歓喜して声を上げ

 ある者は、死んだ者達を思って黙祷を捧げ

 ある者は、その場で泣き崩れた。

 

 こうして、長かった1日が・・・

 学園都市内で起きた戦争が終わりを告げる。

 

 

 そしてそれから3日経った。

 

 戦いの結果、学園都市の市民6割と

 学園生徒の約半数が死傷した戦いで

 学園も街もボロボロだった。

 

 当初は、まともに動ける者が

 ほぼ居なかったため

 復旧どころではなかったが

 今は、魔族側の軍隊が到着して

 何とか復旧作業が開始される。

 

 メリィさんが連れてきた部隊は、一部を残して

 逃げた他の魔術師達を追っているそうだ。

 捕獲も順調だそうで、あと数日あれば

 全員捕まえれるらしい。

 

 学園もしばらく休校となるらしく

 故郷に戻る者も居るが大半が都市に残って

 復旧作業を手伝っている。

 

 それでも戦いの跡は、深く鋭いものだった。

 未だ大切な誰かを失った者達の悲しみは癒えることなく

 救護エリアには怪我人で溢れかえっている。

 

 政治の面では、追求しないと決定していたものの

 やはり魔族が原因の被害だと一部の神族達が騒いだ。

 

 しかし、これを鎮めたのは意外にも人族だった。 

 人界代表である風間 源五郎は、人界側に出たゴーレムが

 魔族側の仕業ではないということを、学園都市での戦いの前に

 魔王妃側へ確認しており、また国境を越えた

 ゴーレムの追撃まで認めていると、魔族側の譲歩を認めて

 やり取りの手紙を証拠として出してきた。

 

 思わぬ伏兵に、神界側の強硬な勢力も

 二の句が継げず、勢いが沈静化。

 

 結局は、追求の必要なしと決着した。

 

 全てが、次に向けて進んでいる。

 時間は、止まることはない。

 

 その日の夜中。

 

和也「・・・」

 

 俺は寝付けずに、街をうろうろとして

 最後に街の中央にある広場に着いた。

 

 ここには、この前の戦いで犠牲になった者達を

 追悼する石碑が建てられている。

 

和也「・・・また、全てを護ることは出来なかったか」

 

 自分1人の力で何とかならないことは

 よくわかっている。

 しかし、それでもと思ってしまうのだ。

 

和也「・・・俺に力があれば」

 

 もっと違う結末になったかもしれない。

 そんなありえない想像をしてしまう。

 

?「―――だったら、私と契約しませんか?」

 

和也「誰だっ!?」

 

 後ろを振り返ると、そこには1人の少女が立っていた。

 

和也「・・・キミは?」

 

久遠「私の名前は、久遠」

 

 久遠と名乗った少女は、どこか違和感があった。

 そう、まるで『ここに居るべき者ではない』という

 場違いな感じがする。

 

久遠「・・・後悔しているのなら

   戦うことを恐れないのなら

   私と戦って。

   私の手を取って」 

 

 そう言って手を差し出してくる。

 それから、和也は久遠と名乗った少女と

 何度か会話を交わした後

 少女の手を、ゆっくりと取った。

 

 すると2人は、その場から『消えた』

 まるで初めからその場に居なかったかのように

 痕跡を一切残さず。

 

 そしてこれが、彼の・・・。

 永遠に続く戦いの始まりでもあった。

 

 

 

 

 

最終章 全ての始まり ―完―

 

 

 

 

 

 

・おまけ

フィーネ編が、そのまま進んだその後の世界。

 

*風間 亜梨沙

風間の家に生まれ、若くして風間流の師範代になった

若き天才。

 

学園を卒業後、王女達と一緒に

合同結婚式を挙げて念願だった和也の嫁になる。

2人の娘も生まれ、幸せに暮らした。

 

和也が多忙なため、彼に代わって

風間一族を纏める立場となる。

 

常に心の強さを説いた彼女の教え子達は

のちの風間を大いに発展させることになる。

 

 

 

*フィーネ=ゴア

魔王の1人娘として生まれ

幼少期から激しい人生を送ることになるも

そこで運命の相手に出会い

人らしく生きるようになった少女。

 

学園を卒業後、合同結婚式で

夢だった和也の嫁となる。

 

魔界を纏める立場になると

真面目で直情的な彼女では

なかなか上手く制御できずに悩むこともあったが

ミリスやギルといった仲間や和也に支えられ

やがて立派に魔界を統べることになる。

 

2人の娘と1人の息子が産まれ

子供達を溺愛したという。

 

 

 

 

*リピス=バルト

竜界の王女にして金竜最後の生き残り。

大戦争では激動の人生を経験し

一度は、挫折したこともある王女。

 

学園卒業後は、彼女の提案により藤堂 和也との

合同結婚式が行われ、彼女も妻となる。

 

結婚にも前向きだった彼女は、結婚後

和也を支えるために裏方に回ることが多くなる。

和也の意思を尊重して、竜の祝福は行わなかったが

彼との間に2人の女の子を授かる。

 

娘達には、厳しくも優しい母親となり

ようやく彼女は、何かが吹っ切れたように

笑顔になる。

 

 

 

 

*セリナ=アスペリア

神界第一王女として生まれ

常に王女としての重圧に悩まされてきた少女。

 

学園卒業後の合同結婚式に参加を

否定していたが、エリナに説得されて

和也の嫁となる。

 

何かと他の嫁達に遠慮してしまい

和也との生活よりも神界を纏める仕事を

優先しがちなため、よくエリナに説教されるのが

彼女達の新たな関係となる。

 

結局、和也との間に子供は出来ず

他の嫁達と共に育児を頑張ることになる。

 

 

 

 

*エリナ=アスペリア

神界第二王女として生まれるが

その責任を丸投げて、自由に生きようとする

非常に奔放な性格の少女。

 

学園卒業後、合同結婚式に参加して

姉共々、和也の嫁となる。

 

古代遺跡の調査団を結成して

未知の技術を解明しようと研究者の道を歩む。

数年後、彼女のおかげで

四界の文化レベルは、飛躍的に向上することになる。

 

和也との間に2人の男の子を授かるが

育児が苦手なため、姉に半分任せきりになる

ダメな母親だが、それでも子供には

可能なかぎりの愛情を注いだ。

 

 

 

 

 

 

上記は、あくまで可能性の話。

物語が別の可能性を選ぶのであれば

また違った結末を迎えることになるだろう。

 

 

 

 




皆様、まずはフィーネ編を最後まで読んで頂き
ありがとうございました。

気分的には、やりきった感があるのですが
物語が全然終わってない現実もあるので
現在、現実逃避中です(笑)

原作とは、まったく展開の違う内容になったと
思っております。
原作を知らない方も楽しんで頂けたでしょうか?

次は、竜族編になります。
こちらもよろしければ、ぜひどうぞっ!!
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