Tiny Dungeon Another Story   作:のこのこ大王

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 誰が為に

 

 周囲に爆音が響く。

 

 強力な魔法が、周囲に飛び交い

 すっかり戦場は、荒れ地と化していた。

 

 自身の魔法が弾かれても

 それを気にすることなく強気に攻め続ける姿勢に

 ゴルダは、必死に応戦する。

 

 強力な強化魔法を互いに付与しているためか

 その一撃ごとの威力が、もはや並の竜族を超える一撃となっている。

 

 それらがぶつかるたびに周囲に衝撃が走る。

 

 後ろに下がるフィーネは、けん制とばかりに

 火弾を大量に放つ。

 

 本来なら、狙いを定めて全てフィーネに跳ね返せばいいのだが

 今のゴルダに、その余裕はない。

 

 とりあえずで正面に出された盾が、全ての火弾を弾く。

 それら全てが流れ弾と化し、周囲を破壊する。

 

 後ろに下がったフィーネが

 スグにゴルダに向かって突進する。

 

 フィーネの一撃を剣で何とか受け止めるが

 体勢が崩れる。

 

 その隙に側面に回り込んだフィーネが片手をゴルダに向かってかざす。

 魔力が一瞬にして収束し、炎が飛び出す。

 

 だが、ゴルダも反射の能力がある盾をフィーネに向ける。

 

 このまま魔法を放てば自身に跳ね返る。

 

 しかし、フィーネは構わずそのまま魔法を放つ。

 

 フィーネとゴルダの間に魔力による強力な発光現象が起きた後

 大爆発が起こる。

 

 フィーネは、大きく吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。

 明らかに無謀な攻めによるダメージだ。

 

 だがゴルダも至近距離での魔力爆発による衝撃を殺しきれず

 後ろに大きく吹き飛ばされていた。

 

 

 

 

 

 誰が為に

 

 

 

 

 

「く・・くそっ。

 なんて奴だ」

 

 ゆっくりと立ち上がったゴルダは

 倒れているフィーネに向かって、そう言葉を発する。

 

 一方的な展開になると思われたが

 フィーネによる捨て身の攻撃多いためか

 ゴルダも、ダメージが蓄積してきていた。

 

 そのフィーネも、立ち上がる。

 明らかにダメージを負っており、ボロボロだ。

 

 魔族は、本来その圧倒的な魔力による

 魔法攻撃を主体として戦うことが一般的である。

 

 しかし反射能力を持つ儀式兵装の盾によって

 その主力である魔法を実質無効化された状態では

 攻撃の手数が減ってしまう。

 

 しかもゴルダは、超常的な力で

 八翼を手に入れている。

 

 血族による増幅が無いとはいえ、それでも八翼の魔力は

 かなりのものであり、魔力的にも明確な差が開きにくい。

 

 捨て身の一撃を決めるつもりでなければ

 ゴルダに対してダメージを与えることが難しいどころか

 一方的に攻められてしまうことになる。

 

 攻めているのは、フィーネだが

 実際にピンチなのもフィーネであった。

 

 そんなことを知ってか知らずか

 ゴルダが、翼を広げる。

 

「小賢しい小娘めっ!

 そろそろ死んでしまえっ!!」

 

 無数の火矢がフィーネに向かって飛ぶ。

 

「はぁっ!!」

 

 弾装を使用し、武器に魔力を付与したフィーネが

 その魔力を放射状に吹き飛ばす。

 

 フィーネの放った魔力にぶつかった火矢は

 次々と爆発して、結果的に相殺される。

 

 爆発により発生した煙の中から

 突然、ゴルダが飛び出してくる。

 

 振り抜かれた一撃を何とか受け止めるフィーネ。

 

 だがそれにより体勢が崩れる。

 

「そこだっ!!」

 

 その隙を見逃さなかったゴルダが

 フィーネの横腹に蹴りを入れる。

 

「―――くぅっ!!」

 

 八翼の強化魔法により竜族並の一撃になっている蹴りを

 まともに受けて、苦痛の表情のまま大きく吹き飛ばされるフィーネ。

 

「いくら抵抗してみたところで、この私に勝てる訳がないっ!!

 

 あの訳の解らないところで戦う人族のゴミ屑も、消滅するだろうっ!

 

 そして学園もっ!

 他の世界もっ!

 全て破壊され尽くすっ!

 

 その後に残った全てを、私が統べるのだっ!!

 

 絶望という名の破壊者が過ぎ去った世界こそ

 選ばれた者だけが集う世界となるだろうっ!!

 

 私は、その世界を統べる王となる男だっ!!」

 

 そんなゴルダの演説を無視するかのように

 ヨロヨロと立ち上がるフィーネ。

 

「・・・その執念だけは、認めよう。

 だが所詮は、無駄な努力だ。

 

 何故なら、私に勝つことなど出来ないのだからっ!!」

 

 大きく高笑いをするゴルダに

 刃を向けるフィーネ。

 

「・・・私は、負けない。

 負ける訳には、いかない。

 

 私は、あの人の『魔法』なのだから」

 

「ふははははっ!!

 これでトドメだっ!!

 

 フュリオス・フレイムゥゥッ!!!」

 

 高圧縮された魔力によって

 地獄の業火を思わせるような真紅の炎が

 マグマのように噴き出す。

 

「私は・・・私は・・・ッ!!!」

 

 

 ―――まだ、あの人に

     何も返せていないッ!!!

 

 

 真紅の炎が、フィーネを呑み込む。

 

「ふははははっ!!

 私こそ、真の王なのだっ!!」

 

 勝利を確信し、有頂天になるゴルダ。

 

 だが、その瞬間だった。

 

 炎の中から突然、光が天へと立ち昇る。

 その勢いで、真紅の炎は吹き飛ばされる。

 

「な・・・なんだっ!?

 何が起こったのだっ!?」

 

 しばらく光の柱が輝くが、スグにそれは消え去った。

 

 そして光の柱があった場所には―――

 

 光輝く黄金の翼を広げたフィーネの姿。

 

「―――」

 

 あまりにも神々しいその姿に

 ゴルダも一瞬、我を忘れて見入ってしまう。

 

 フィーネは、ゆっくりと閉じていた瞳を開ける。

 

 周囲に広がる、この温かみを知っている。

 それは、とても懐かしいものだ。

 

 彼女の周囲に自然と魔力が集まり始める。

 その圧倒的なまでの量に、ゴルダは意識を取り戻す。

 

「な・・・な、なんだっ!?

 何なのだ、それはっ!?」

 

 半ばパニックになりながら叫ぶゴルダ。

 気づかないうちに、足が自然と後ろに下がる。

 

 ゴルダが見たもの。

 それは、フィーネの翼。

 

 

 『黄金色に光輝く十二枚の翼』

 

 

 本来、翼とは

 ごく稀ではあるが、本人の成長と共に

 その枚数を増やすことがあると言われている。

 

 そして儀式兵装。

 この兵器も、本人の魂の一部であるためか

 使い手の成長と共に進化することがあるとされている。

 

 果たして、彼女の場合は

 どちらであったのだろうか。

 

 その十二翼が集める魔力を

 更に増幅し、2つの儀式兵装で制御する。

 

 翼に関しても、本来の使い手の許可無しに

 その力の全てを発揮しているように見える。

 

 まるで何もかもを呑み込んでしまうかのような

 巨大な黒い影が周囲に現れ出す。

 

 魔力が限界を超えて視覚で認識出来るまでになっているのだ。

 

 それだけではない。

 

 周囲の瓦礫や小石などが、魔力によって分解され

 純粋な魔力塊として取り込まれていく。

 

「ぶ・・・物理的な、ものを

 ・・・ま、まま魔力として、取り込む・・・だと・・・ッ!?」

 

 魔法が、物質を隷属しているのだ。

 そんなこと、ありえるわけがない。

 

 周囲の大気が、既に彼女の支配化にあることに気づくが

 その時点で、既に全てが遅かった。

 

「私は・・・ただ、あの人の最強の魔法として。

 

 あの人の障害となる全てを薙ぎ払う」

 

 ゆっくりとフィーネが片手をゴルダに向ける。

 それを見たゴルダは、その場で動けなくなる。

 

 それは圧倒的なまでの恐怖。

 彼にとって、フィーネの行動は『死刑宣告』と同義なのだ。

 

 彼女の手に、ありえないほどの魔力が収束する。

 

 ここでゴルダは、ようやく手に持っている盾に気づく。

 そしてそれを正面に出すと

 ありったけの防御魔法で、自身を包む。

 

「い、嫌だっ!!

 死にたくないっ!!

 俺は、真の王な―――」

 

 命乞いなのか。

 それとも錯乱しているだけなのか。

 大声で泣き喚くゴルダ。

 

 その瞬間、フィーネが言葉を発した。

 

「―――プロミネンス」

 

 言葉と共に『何か』が周囲に放たれる。

 

 そしてゴルダは、自分がどうなったのか

 知るよりも早く、塵1つ残さずに燃え尽きた。

 

 それは、まるで消滅させたかの如く

 一瞬の出来事だった。

 

 更にフィーネの魔法の余波で

 かなり遠くに居たゴーレム達まで

 魔力の影響を受けて消滅していく。

 

 そして周囲全ての敵が消え去った頃

 フィーネの翼から輝きが消え、元の漆黒の八翼へと戻っていた。

 

 翼が元に戻った瞬間、フィーネはその場に倒れそうになり

 儀式兵装を地面に突き立てて、何とか堪える。

 

「あとは・・・任せたわよ」

 

 そう言うと、やはり限界だったのか

 その場に座り込み

 彼女は、そのまま意識を失うのだった。

 

 

 フィーネの戦いが決着した頃。

 

 未だ決着が付かない戦いもあった。

 

 少し薄暗い、大きな部屋の中で

 2つの影が何度もぶつかる。

 

 弾装が排莢される音と共に

 魔力が膨れ上がる。

 

 金麟と合わさり、強力な一撃と化した攻撃。

 

 その一撃に対応すべく、同じく金麟をまとった一撃が放たれる。

 

 互いの一撃がぶつかり、激しい光を放つも

 威力が相殺され、後ろに下がることになるリピス。

 

「なんて力だ・・・」

 

 竜族は、元々その圧倒的な身体能力で

 戦う種族であり、特にその腕力と脚力は

 多種族では、ありえないほどの性能である。

 

 だからこそ、同種族との戦闘ぐらいでしか

 基本的に『力負け』するようなことはない。

 

 そして竜族の頂点である金竜。

 一般の竜族をはるかに超える能力を持つとされる

 その金竜である彼女が、力負けをしているのだ。

 当然、彼女にとっても初めての経験だろう。

 

 気づけば既に相手が目の前まで迫ってきている。

 振り下ろされる腕から逃げるように、横へと回避する。

 

 相手の側面に回り込んだ形になり

 チャンスとばかりに前へと出ようとした瞬間。

 

「―――ッ!!」

 

 竜人は、着地した片足のみで

 リピスのいる方向へと思いっきり跳躍するように

 体当たりをしてくる。

 

 咄嗟に両腕で受け止めるが

 その威力に、大きく後ろに吹き飛ばされ

 地面に2度ほど叩きつけられ、ようやく止まる。

 

「素晴らしい。

 実に素晴らしい。

 

 これぞ最高の力」

 

 自身の姿を確認しながら

 感慨深げに、そう呟く竜人と化した研究者。

 

「・・・そうして得た力で

 一体何をするつもりだ?

 

 まさか、神になる・・・などと言うつもりではないだろうな?」

 

 立ち上がったリピスが

 竜人に声をかける。

 

 その質問に、数秒ほど悩むような仕草を見せた後

 

「それも、悪くないかもしれんな」

 

 不敵な笑みを浮かべながら、そう答える竜人。

 

「好奇心の先は、俗物的な野心か。

 

 ・・・愚か者だとは思っていたが

 これほどまでとはな」

 

「何とでも言うがいい。

 既に金竜を超え、他種族相手でも

 圧倒出来るほどの力を得たのだ。

 

 いずれは、あの神のような存在すら

 超える日も来よう」

 

「利用されているだけとも知らずに

 よくもまあ、それだけのことが言えるものだ」

 

「利用しているのは、お互い様だ。

 ・・・もっとも、最後に笑うのは

 この私だがなッ!!」

 

 ノーモーションからの素早い突進。

 そして一気に距離を詰めると

 そのまま両腕で掴みかかるようにリピスに迫る。

 

 相手が迫った瞬間に大きく上へと跳躍し

 空中で半回転すると、天井に足をついて

 そこから一気に急降下する。

 

 まるで稲妻のような一撃を

 後ろに下がって回避する竜人だが

 真下に着地したリピスは

 着地時に屈んだ動作を利用して

 瞬時に前への突進に切り替える。

 

 竜人は、避けきれないと判断して

 両腕で正面をガードする。

 

 そこへ勢いと弾装を利用したリピスの右ストレートが入る。

 周囲に衝撃波が走るほどの一撃だ。

 

 だが、両腕でしっかりガードしている竜人は

 ビクともしない。

 

 構わずそのまま、今度は左の一撃。

 弾装を利用しての攻撃は、またも防がれるも

 竜人を少し後ろへと押し下げる。

 

「はぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 リピスの声と共に

 物凄い速さと威力のある連続攻撃が開始される。

 

 連装式の特徴を最大限に生かし

 1回ごとの攻撃に弾装を利用しての最大攻撃。

 

 一撃ごとに周囲の空気が揺らぐのが見えるほどの

 強力なラッシュ攻撃に、防御し続ける竜人だが

 後ろに少しづつ下げられていく。

 

 数えきれないほどの連撃の後

 最後の一撃とばかりに

 一歩大きく踏み込んだ一撃を放とうとするリピス。

 

 その瞬間を見逃さずに、ガードを解いて

 大きく踏み込み、気合の入った一撃を放つ竜人。

 

 互いの一撃が激突して、激しい音と衝撃波が

 周囲を駆け抜ける中、2人はお互いに

 後ろへ大きく吹き飛ばされる。

 

 互いに壁に激突するが、スグに立ち上がる2人。

 

「・・・さすが金竜というべきか。

 まさか、何の改良も無しで、ここまでの力を持つとはな」

 

「他人を実験道具にしか見ていない貴様では解るまい。

 人の意思の力というものを」

 

「そんな数値化不可能な不明瞭なものなど

 初めから考慮などしておらんわ。

 

 調べれば、必ずそこには原因がある。

 それさえ解れば、その強さも解明出来よう」

 

「・・・やはり愚か者だな」

 

「そこまでいうのなら、お前は

 何のために戦うというのだ?」

 

「・・・私はな、決めたのだ。

 あの男のために戦うと。

 

 あの無鉄砲な男を護るための盾として。

 全ての障害を寄せ付けぬ四界最強の盾になると」

 

「・・・ふ、ふははははっ!!

 他人のためだとっ!!

 

 下らぬっ!!

 実に下らぬっ!!」

 

「下らないと思うのなら・・・試してみるか?」

 

「・・・ほぅ。

 

 面白いっ!!

 ならば、我が最高の一撃を受けてみよッ!!」

 

 竜人の腕に、急速に金麟が集まる。

 それは、一瞬にして通常の竜族の気麟を軽く超える量だ。

 

 対してリピスも金麟を集める。

 魔力を練り込んで更に強力なものにしていく。

 

 そして弾装を使用して、更に魔力量を上げる。

 

 だがここで竜人が異変に気付く。

 周囲を突然見渡してから、再びリピスを見る。

 

「・・・ど、どうして薬莢がないのだ。

 

 そんなことは、どうでもいいっ!!

 何故、弾装を使用し続けられるのだっ!?

 

 それは、本当に弾装かっ!?」

 

「・・・やれやれ。

 

 煩いだけでなく、質問も多すぎる。

 それに、いちいち答えると思っているのか?」

 

 リピスの素っ気ない返答の間にも

 排莢され続ける弾装の弾。

 

 弾装とは、単装式と連装式がある。

 

 単装式は、その名の通り1度使用してしまうと

 再び弾を込める必要がある。

 

 その分、連装式と違い火力が高い。

 

 連装式は、数発~数十発の弾を1度に

 入れておくことが可能であるため

 火力は落ちるが、連続使用が可能となっている。

 

 ただ制限があり

 『1度の攻撃で1つしか弾装が使用出来ない』

 という点である。

 

 1回の攻撃に複数の弾装を使用出来ないという制限のために

 単装式を超える火力が出せないのだ。

 これに関しては、使用者のためのリミッターではないのか?

 と考えられている。

 

 しかし、今のリピスは

 金麟と魔力を溜めつつ、練り合わせている段階であり

 攻撃をしている訳ではない。

 にも関わらず、今も絶えず弾装が壊れたように

 使用され続けている。

 

 そして本来なら、排莢された薬莢は

 物理的なものなので、その場に残る。

 しかし先ほどまで使用していたはずの薬莢は

 周囲の何処にも、その残骸が無く

 更にリピスが今、排莢しているものも

 地面に落ちた瞬間に、消えているのだ。

 

「まさか・・・儀式兵装の特殊能力かっ!?」

 

「・・・ようやくそれにたどり着いたか。

 研究者の癖に、意外と頭の回転が鈍いな」

 

「・・・1度に連続使用可能?

 いや、では何故薬莢が消えるのだ?

 

 それに、既にかなり使用したはずの弾装が

 何故まだあんなに使用出来るのだ?

 

 弾装の補給など、していないはず―――」

 

 ブツブツとリピスの儀式兵装に関しての推測を立てる。

 

 だが、ふと意識がリピスの腕に向いた瞬間。

 彼の思考は、停止する。

 

 それは、圧倒的なまでの力。

 リピスの周囲には、普段は視えないはずの金麟が

 嫌というほどハッキリ見える。

 

 練り込まれた魔力がケタ外れすぎて

 視覚化出来るまでになっているのだ。

 

 そこで彼は、ようやく気づく。

 

 時間を与えるほど、自身が不利だということに。

 

「うおおおぉぉぉぉぉっ!!!」

 

 慌てて全力の『竜(ドラゴン)の息吹(ブレス)』を放つ竜人。

 魔導機兵をまとめて破壊出来るほど強力な一撃がリピスに迫る。

 

「・・・私の儀式兵装の能力は

 弾装の無限供給と1度に使える弾装制限の解除だ。

 

 儀式兵装が得る特殊能力は、何も1つだけではないということだ」

 

 リピスは、必殺の構えをとる。

 

 その間も、弾装は使用され続けている。

 空気すら振動するほどに高まる力。

 

「これは、私からの手向けだ。

 

 ―――『竜(ドラゴン)の鎮魂歌(レクイエム)』」

 

 

 その一撃は、相手の息吹を一瞬で呑み込み

 奥にあった動力コアをも巻き込んで、全てを吹き飛ばす。

 

 移動要塞の中心から、天へと昇る光。

 光は、雲をも吹き飛ばし

 ひたすら天に向かって昇っていった。

 

 やがて光の柱は、その姿を消す。

 

 全ての中心点では、竜人も動力コアも

 跡形も無く消えていた。

 

 ただ、そこには勝者であるリピスが居るだけ。

 

「・・・ああ。

 今回は、本当に疲れたな。

 

 あとは任せて、ゆっくりさせてもらうとしようか」

 

 そう言うと、大の字になってその場に倒れるリピス。

 

 

 同じ頃、外でも戦いが終わろうとしていた。

 

「そ~れっ!!」

 

 イリスは、近くに居たゴーレムを掴むと

 そのまま魔導機兵に向かって投げつける。

 

 ゴーレムが足に当たって大きくバランスを崩して倒れる魔導機兵。

 

 その隙を逃さず、コアまで迫った亜里沙が強力な一撃を叩き込み

 魔力コアを破壊する。

 

 コアが破壊され、崩れ落ちる魔導機兵。

 

「これで最後のはずだけど・・・」

 

 亜里沙は、周囲を確認しならが呟く。

 

 既に数十体を超える数を破壊し

 もう周囲には、確認出来ない。

 

「大きいのは、居なくなったってことは

 あとは小さいのだけってことかしら?」

 

 イリスも、残っているゴーレムの動きを見ながら

 確認するように言う。

 

 だが、次の瞬間だった。

 

 巨大な音と共に、近くにあった山の影から

 大きな巨人が現れる。

 

「・・・まさか、アレも魔導機兵っ!?」

 

「お~。

 おっき~ねぇ~」

 

「でも、上半身しかありませんよ?」

 

 山の影から現れたのは

 通常よりも巨大な魔導機兵。

 

 だが、亜里沙の指摘するように

 上半身だけの出来損ないだ。

 

 しかし―――

 

 両腕をまるで二脚銃架のようにして

 背中に背負った巨大な魔導砲を突き出した。

 

 魔導砲が、設置されると

 急激な魔力収束が起こる。

 

「魔力の収束量が異常すぎますよっ!!」

 

「周囲のゴーレム達から吸い上げているのね・・・っ!!」

 

 よく見ると、周囲の生き残りのゴーレム達が

 全て崩れていく。

 

 そのせいで、発射に必要な魔力が一瞬にして溜まってしまう。

 そしてそのまま発射体勢に入る。

 

 狙いは、もちろん―――

 

「この方角は・・・学園都市ですっ!!」

 

「ダメッ!!

 間に合わないっ!!」

 

 魔導機兵を破壊しようにも距離がありすぎた。

 

 そのまま無常にも魔導砲が発射された。

 

 

 

 

 

 誰が為に ―完―

 

 

 

 




まずここまで読んで頂きありがとうございます。

最後の方は、やっぱりバトル回祭りですよね。
わかっていたけど避けられない。
これが王道というものか・・・とかくだらないことを
考えながら作業してたりします。

残すところ、あと1話となりました。
現在進行形で製作中ですので
なるべく本日中には、最終話も
投稿しようという予定ではあります。

・・・予定通りにいくといいなぁ。
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