東方青透園~the Blue Sky of Myth Archive 作:架空柿
ある学園都市の辺鄙な廃墟の地下深く。とある、黒いスーツを着用した不可解な存在が存在していた。彼の名は言うなれば「黒服」。神秘への探求者だ。
「……ふむ、興味深い」
彼が廃墟に来た理由は他でもない、ある物品を確保するためだった。その物品には神秘に似た強大な力が宿っているとされており、彼の研究に使えると彼自身が思ったために回収しに来たのだ。その物品には白背景の上に両端がリボンで結ばれた、中に複数の目玉が見える裂け目や隙間と形容できる何かが描かれていた。
「噂通り、神秘が飽和していそうだ。これならあの最高の神秘にも達しそうですね。早速、持ち帰ることにしましょうか」
黒服はそのカードをポケットに入れようとした。その瞬間だった。カードの神秘が作動……使われたことを黒服は感じ取ったのだ。すぐさま黒服が警戒体勢をとった時には、もうすでに手遅れだった。
「成る程、このカードにはこんな効果が……」
「ふふ、驚きでしょう?」
黒服の目の前には、カードに描かれていたような裂け目の上に座る、紫色のドレスを着用し、小さな傘を差した金髪の女性だった。
「そのカード、返してもらえるかしら?」
「無理、と言ったら?」
「こうする」
女性は傘を持っていない方の手を黒服に向ける。すると黒服は何故かポケットに入れていたカードを自ら落とすと、女性が座っているような裂け目がそれの落下先に現れ、中に入れられる。そして裂け目は女性の手の上に現れ、カードも落ちてきて、女性の手の中に入れられた。
「意識への介入……あなたの神秘も中々ですねぇ」
「……ふふふ、そんな勘違いをしているようじゃ、私には及ばないわね。私は飽くまで、あなたの『拾と捨の境界』をちょっとだけ弄らせてもらっただけ」
黒服は突然出てきた「境界を弄る」という言葉を理解できずにいた。当然だ。境界とは絶対的な概念のようなもの。それを弄るなど、それこそ最高の神秘でさえ成しえない神業。それを目の前の女性は日常化のように使用した。
「あなた……もしや人でないのでしょうか?」
「さて、どうかしらね。ま、そんなことはどうでも良いわ」
女性は裂け目から降り、地面の上に立つ。そしてゆっくりと黒服へと近づくと、その傘の先を黒服の首に向けて突き立てた。
「あなたの所為で私の故郷が不安定になった。それだけは伝えておくわ」
女性は裂け目の中へと入っていった。
「……ふむ、困りましたね」
学園都市キヴォトスの中に聳え立つ白いビル。中にはかの有名な「S.C.H.A.L.E」の部室も入っている。そんなビルの屋上に、神社が丸々一基が落ちてきた。
何という神社が落ちてきたんでしょうねぇ?