東方青透園~the Blue Sky of Myth Archive 作:架空柿
到着した現場は最早地獄絵図だった。そこら辺にナイフが刺さって気絶している生徒が無数に転がり落ちており、そこら中から銃声が響いている。まあ、銃声に関して言えば日常なのだが。
立って銃を撃っている生徒達はある一点に銃口を向けていた。先生がその先を見れば例の館が、無尽蔵に撃たれているにも関わらず全く傷のついていない、むしろ館の周囲に近づくにつれて銃弾の速度が遅くなっているようだった。
「あぁ、面倒臭いわねぇ」
"ねえ、あれどうなっているの?"
「あそこのメイドは時を弄れる。応用して空間も広げられるしあんなこともできるでしょ。ほら、行くわよ」
"……いや、一回私は隠れておくよ。彼女のためにもね"
先生はその辺にあった車の残骸後ろに身を隠した。霊夢は理解できないという顔を先生に向けたが、その対象はすぐ変わることになる。
「くく……くひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!」
狂ったかのような笑い声と共に一つの黒い影が霊夢の横を通り過ぎた。瞬間、その影の周囲をナイフが取り囲んだが、影は全てを撃ち落とし、一直線に館へと向かっていった。
"彼女はツルギ。ああ見えても真面目でいい子なんだ"
「へぇ、本当にそう見えないわね。ただ、あのナイフを撃ち落とせたことは褒めようかしら」
ツルギはその後も、何百ものナイフを落とし続け、柵を破壊しながら館へと侵入した。
"……もう大丈夫かな?"
「……で、なんであんたは隠れていたの?」
"あの子、私を見るとどうも本調子で戦闘できなくなっちゃうんだ"
「成る程」
自ら聞いたにも関わらず、霊夢は素っ気なく返した。先生は少しショックを受けながらも、先を歩き始めた霊夢の後ろに着いていくことにした。
暫く歩くと、本来ナイフが飛んでくる範囲に入るが、何故か一本のナイフも飛んでこない。霊夢は中で戦闘が行われている可能性を考慮し、弱そうで重要そうな先生を守る準備を怠らない。
"……霊夢、これ"
先生は足元にある赤色のショットガンを霊夢に見せる。
「あら、あれ、負けたの?」
"いや、これは彼女のリロード跡だね。彼女はリロードの時、銃ごと捨てるんだ"
「…………要するに、戦っているってこと?」
"そう"
慣れない単語が織り混ぜなれた一文を、霊夢は勘で返事し、見事に当てる。
この館、紅魔館には幻想郷でも割と強めの者達が住んでいる。それを象徴するかのように、館の中は見かけよりも大きく、幾多の使用人が仕事をしている。しかし、そんな使用人も、今は戦闘に繰り出されているのか霊夢が窓から中を覗いたとしても見つけられない。
「……ま、そろそろ突入しましょ」
霊夢はいつの間にか目の前にあった巨大な扉を蹴り開いた。
ツルギの台詞って案外ムズいんですねぇ……