六腕三眼、鬼の神   作:min(みならい)

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ダークエルフ、ルーン(5) 鬼神、ふたたび、けんかする

◆ 16、月、のぼる ◆

 

「鬼神よ」

「なんじゃ? お月さんよ」

「鬼神台殿は、けっこう高く飛べるのかに?」

 月の女神。

 夜も更けたころ、そんなことを訊いてきた。

「うーん?」鬼神考える。「雲の高さまでは、飛んだことがあるのう」

「ほほう」

 月の女神はちょっと考えた。

「鬼神台殿に、私とそなたを空に上げてもらうよう、お願いしてもよろしいか?」

「また飛んでみたいのか? ええぞ。

 ・・・あ、だが、寒いぞ? 雲のあたりは」

「知っておる。今回は、飛ぶのが目的ではない」

 お月さんは、ほほえんだ。

「月に上がるのえ」

 

 ガンメタリック・かぶとがに・鬼神台。

 ダークエルフの巫女たちにチヤホヤされておったのを、鬼神が呼び出した。

「大人気だのう」

 ぶわっさ・・・。

「なんじゃ? 疲れとるのか?」

 ぶわっさ・・・ぶわっさ?

「うむ。お月さんが、雲のあたりまで行きたいらしいのだがな。休んでからにするか?」

 ぶわっさぶわっさ! ぶわっさ!

「なんじゃ。急に元気になりおって。わっはっは。ではひとつ、頼むわい」

 月の女神と合流する。

 3人で、月神殿の奥へと、てくてく歩く。

「静かだな」

「奥殿は、巫女の長以外、立入禁止ゆえ」

「ごたいそうなことじゃ」

「やり方は神それぞれということえ」

 月神殿のいちばん奥には、細い上り坂となった洞窟がある。

 お月さんはそこを昇ってゆく。

「月に上がるには、私が『月の道』を通す必要がある。

 しかし、地上まで道を張ってしまうのは、具合がよろしゅうない」

「なんでじゃ?」

「神ならぬ生き物が、月の道に乗ってしまう恐れあり。

 私が月の道を消したらば、その生き物は落っこちてまうのえ」

「そりゃ、へたすると、死んでしまうわな」

「うむ。そやに、ふだんは道が目立たぬよう、昼間に通すのやが、」

 いまは、夜更けである。

 そろそろ満月のはずなので、ちょうど月が高く昇っている頃合いである。

「──が、鬼神台殿が飛んでくれるならば、かかる心配もなし」

「なるほどのう」

 鬼神はちょっとわくわくした。

「月の道か。なんだか、面白そうだな」

「お楽しみえ」

 月の女神は細い洞窟を登り切って、振り向いた。

 彼女の背後には、夜空。

 そして美しい満月が浮かんでおる。

「そやに、本当のお楽しみは、道を登り切ったあとやえ」

 

 ガンメタ鬼神台に乗って、空に舞い上がる。

 雲がほど近くなるまで、ゆったりとした上昇を楽しむ。

「ありがとう。鬼神台殿。このあたりで止まってたもう」

 ぶわっさ。

 ガンメタ鬼神台、まだまだ行けるぞっちゅう感じだが、空中で止まった。

 夜風が、肌に冷たい。

 真っ暗な空。

 鬼神と、月神と、ガンメタ鬼神台の、3人だけである。

「ここなら、人が紛れ込むこともあるまい」

「そらそうだろう。つばさでもなければ、こんなとこ」

 鬼神。ふと、付け加えた。

「妙雅とかは別だが。のう? 相棒よ」

 ぶわっさ。

「みょうが?」

「空飛ぶ一族の女王じゃ。この鬼神台の妹に当たる」

「ああ。巨人の国の空飛ぶ街やに?」

「そのとおり」

「近ごろ歌にも歌われておるえ。

 不可思議なりや、空飛ぶ街。庭園あり、お城あり、空飛ぶ騎士に守られて──とか、なんとか」

「ぜんぜんちがうわ!」鬼神は笑うた。「面白いようにしすぎじゃ。なんでスカルドはそうなのだ」

「スカルドがそうなのではない」

「いやいや」

「ええ加減なのは、スカルドではない」月の女神は皮肉っぽく笑うた。「周りの者どもえ」

「はん? 歌ったのはスカルドだろうが」

「歌は、お金で繁殖する生き物え」

「生き物だと?」

「たとえ。

 スカルドは、歌という名の種をまく。

 周りの者どもが、お金という名の水をやる。

 結果、『流行り歌』という名の木が育つのえ」

「馬鹿な歌なんぞ、育ててもしょうがなかろうに」

「そこが人間の阿呆なところえ。

 冷静になれば馬鹿とわかることをしでかす。まったくの、欠陥生物え」

「そう言うおまえは、綺麗な顔して、まったくの毒舌女だな」

「うるさいえ。奇妙な顔したお馬鹿猿」

「なぁにぃ~~~?」

 などと、遊んでおると。

 

 夜空に溶け込む、黒く巨大な飛行物体あり。

 徐々に、こちらへ接近して来おる。

 

「む?」

 ぶわっさ・・・。

 黙っとったガンメタ鬼神台が、警告気味の声を出した。

「妙雅か」鬼神、顔を引き締める。「うわさをすればじゃ。文句でも言いに来おったか?」

 

 つばさもなしに、浮かぶもの。

 黒く巨大な塔のつらなり。

 中央に1塔、正八角に8塔。細い通路に繋がれて。

 周囲に、飛び回る小さな影を従えて。

 妙雅(みょうが)──空飛ぶ一族の女王。巨人の国の天空大臣。

 鬼神たちに、接近してきた。

 

「妙雅よ! 久しぶりだのう」

 鬼神。

 さぞかし、ひどい文句が飛んでくるのだろうと、気を引き締めて声をかけた。

 ところが!

 返ってきた、その言葉は!

<・・・これは、鬼神さま。お久しぶりでございます>

 冷淡極まりない、他人みたいなあいさつであった!

「ぬ?」

 鬼神戸惑う。

 一瞬「ひとちがいか?」とも思うたが、そんなはずはない。どう見ても妙雅である。

「・・・いや、ま、久しぶりだが、そんなあいさつはないんじゃないか? なんでそn」

<現在我が巨人空軍は夜間飛行訓練中でございます。

 あいさつに段取りを欠くことお許しくださいませ。

 ところで鬼神さま>

「な、なんじゃ?」

<失礼ながら申し上げます。

 当空域は現在我が空軍の訓練空域に設定されてございます。

 事故の恐れもございますので御観覧はいま少し離れてお願いできますでしょうか?>

「・・・ははーん。さては、いやみだな?」

 

 さすがに鬼神も気がついた。

 妙雅はやっぱり、家出した鬼神を非難しに来たのだ。

 ところが、鬼神のとなりに見知らぬ女が居ったので、外聞(がいぶん)を気にした。

 鬼神をののしる代わりに、極端に礼儀正しい態度を取って、他人のフリをしたのだ。

「あんた家出したよね? だから、もう他人だよね?」というわけである。

 つまり、いやみ。

 それはわかった。

 わかったがしかし。

 鬼神は負けず嫌いである。

 いやみを浴びせられたうえ、「邪魔だから、どけよ」みたいなことを言われたら・・・

 

「とうくういきだと? はん! 知ったこっちゃないわ!」

 そう!

 けんか開始である!

「どかしたくば、力ずくでどかしてみよ!」

 

 鬼神 vs 妙雅、空中兄妹げんかするの巻!

 

◆ 17、鬼神、ふたたび、けんかする ◆

 

<はあ。勝てると思ってるんですか? 空で、私に>

 妙雅がさっきまでの儀礼をぶん投げて挑発してくる。

「当然じゃ! けちょんけちょんにしてくれるわ!」

 と返し、鬼神は相棒のおでこをぺちぺち叩いた。

「おい相棒。わかっとるだろうが、今回は私を落っことすんじゃないぞ?

 妙雅に、誰が目上か、きっちり教えてやるのだ!」

 ・・・。

 ガンメタ鬼神台、いちじるしく気乗りせん様子であるが、

 ぶわっさ。

 結局そう答え、わずかに前傾して、戦闘態勢となった。

<はーん? きしにぃ(鬼神台兄ちゃん)、そっちに着くと?

 はっはあーーーん?>

 妙雅が言うてきた。

<・・・こぉんの、裏切り者!!!>

 ボリューム最大。

 夜空に響き渡る声で、怒鳴りつけてくる。

<空飛ぶ一族のくせして、この女王を裏切り、家出男に肩入れ!!!

 あっそう! ああそうですか!

 ならば、小蠅(こばえ)のごとく、叩き落としてあげましょう!!!>

 妙雅の周囲に浮かんでおったものども、ブンブン音を立てて動き始める。

「そっちのが、蠅じゃ!」鬼神がやり返した。「うんこと蠅の群れのごとしじゃ!」

<うんこじゃと!?>

 妙雅キレる。この娘、キレると巨人言葉になるので、わかりやすい。

<言うに事欠いて、私のことを、うんこ!!!

 もう怒ったぞ!!! もう許さんぞこの家出じじいめが!!!

 そちらの御令嬢にはかわいそうじゃが、恐い思いをしてもらう!!!>

「そうは行くか! ばかめが!」鬼神怒鳴り返す。「私を落っことしたツケを払わせてやる!」

 

 戦闘開始である!

 

「・・・相棒、妙雅の上をかすめよ。私は飛び降りて、妙雅に侵入する。

 おまえは月の女神を連れて、上空に離れるのだ」

 ぶわっさ。

 ガンメタ鬼神台、その指示で納得したか。妙雅に鼻面を向け、ゆるやかに上昇に移る。

「あなや」お月さん、文句言う。「私を巻き込みなえ」

「すまんのう。しかし、これは、けじめなのだ!」

「ただのけんかに見えるえ」

「ええから。相棒が守ってくれるから、伏せて、しっかり掴まっとってくれ」

 

 ガンメタ鬼神台、妙雅の上空を取ろうと、弧を描いて上昇する。

 妙雅、回避運動に入る。やや傾き、ぐるーーーり・・・と、中央塔を軸に回転しつつ、左下方へ逃げてゆく。

「ほう? 成長したな!」

 鬼神。

 そう評価した。

 以前の妙雅は、加速したり減速したりするたびに、9本の塔が微妙にずれて、ギシギシといやな音を立てておったのだ。

 それが、中央塔を軸として回転することで、円周の8つの塔に外向きの力を掛け、ピシーッと安定して機動をしておるんである。

 ──まあ、人間が乗っておったら、目を回しそうな動きですがね。

「だが、鈍重じゃ!」

 まさに。

 ガンメタ鬼神台とくらべれば、妙雅の巨体、あまりにも鈍重。

 到底、ガンメタ鬼神台を振り切ることはできぬ。

 が。

 妙雅の周囲を飛び回る小さいのが、風を切って、迎撃してきよる。

 小さいの。9本の筒が繋がれたような形をしておる。つまり、妙雅をめっちゃ小っちゃくしたみたいな。

「あれはなんだったか」

 鬼神。

 小型機をじっと見つめる。

 それがまずかった。

「ああそうだ、たしか『オクトラ』とかいう・・・」

 ビービービービービービービービー!

 小型迎撃機──オクトラが、突然!

 強烈な光を放ってきた! 太陽の光のごとき、オレンジがかった、強烈な白光!

 その光を、鬼神、まともに両目で見てしもうた!

「うおっ! まぶしっ!」鬼神のけぞる。

「なにをしておる。まぬけ」と月神。

「うるさいわい。ぬうう、目が見えぬ!」

「やむを得ぬ。助太刀してやろう」

 月神。

 ガンメタ鬼神台にべちゃっとへばりついた姿勢のまま、ちょいちょいちょいと、指を動かした。

 すると!

 鬼神に集中しておった強烈な光が、ねじ曲げられた!

 四方八方に散らされ、鬼神の顔を焼くことができんようになった!

<なんじゃと!?>妙雅驚く。<光を屈折させよるとは! 御令嬢、いったい、何者!?>

「さあて?」月神はぐらかす。「これ。鬼神や。もう大丈夫え」

「見えん! 両目とも、眩んで!」

「目ぇならもひとつあるやろに」

「あ、そうだった」

 鬼神。

 自分の指で、額にある第三眼を、こじ開けた!

 カッ!

 巨人のごとき、ひとつしかない目!

 ブンブン飛び回る小型機を睨み、その動き、くせを、すぐさま見破った!

「いまじゃ!」相棒をぱんと叩く。「けむりだま!」

 ドオン!

 ガンメタ鬼神台、阿吽の呼吸!

 即座に大砲を発射! 見事、オクトラの1機にぶち当てる!

 ぼっふぁーーーん!

 白い煙が、空中に広がった。

<あーーー!!!>妙雅、悲鳴。<オクトラこわれた!!!>

 ぶ、ぶわっさ!?

 ガンメタ鬼神台、『え、まじで!?』みたいな感じで、ひるむ。

 なんだかんだ言うて、彼、大砲を他人に当てるの、これが初めて。威力がわかっとらんかったらしい。

<きしにぃ! 当てるのはなしじゃろ!!!>

「おまえが先に当てたんだろうが!」鬼神怒鳴る。「相棒、煙を突っ切って、妙雅をかすめよ」

 鬼神が月の女神にかぶさり、強く抱き締める。

 ぶわっさ?

「ええぞ、やれ!」

 

 どん!

 

 ガンメタ鬼神台、『力』のルーンを使って爆発的加速!

 煙玉大砲によって生まれた、空中の白い煙に突っ込む!

 煙の中で、オクトラ3機と接触! ばきゃあ! 粉砕!

<ぎゃー! ぎゃー! ぎゃー!>妙雅の悲鳴、怒ったからすのごとし!

 白煙をもうもうと渦巻かせて突っ切り、そのまま妙雅の甲板スレスレをかすめる!

「よくやった! 上空にて、勝利を待て!」

 鬼神は怒鳴って、飛び降りた。

 猛烈なスピードのまま空中に飛び出し、ばっと、くものごとく六腕を広げて減速し──

 

 どがっしゃあああん!!!

 

 減速し切れぬ勢いのままに、妙雅の甲板に突き刺さった!

 あわれ妙雅の黒い甲板、べっきべきにへし折れる!

<ぐええ!>妙雅の悲鳴、ぶん殴られたドラゴンのごとし!

 鬼神!

 腰まで甲板に刺さったまんま、ばあんと六腕で甲板を叩く!

「喰らえ! 『向きを変える』!」

 『力』のルーンに含まれる、ちょっとした、わざ。

 『向きを変える』を妙雅に叩き込んだ。

<うわーーー!!!>

 妙雅の向きがおかしくなる。

 おおむね水平、やや傾斜して回転しておったものが・・・、

 ぐらり。

 止まり掛けた独楽(こま)のごとく、グラリと安定を失い、急速に傾き始める!

<あわわわわ>

 妙雅、悲鳴を上げつつ、元にもどそうとする。

「そうは行くか! そーれ、『向きを変える』! 『向きを変える』!」

 鬼神。

 倒れかかった姿勢をもどそうとする力の向きを、回転を速める方向へと、変えてしまう。

 するとどうなるか?

 妙雅が艦体を立て直そうとすればするほど、回転が加速されてしまうんである!

<ふぎゃあーーーーー!!!>

 妙雅。

 横倒しとなり、車輪のごとく、高速で回転し始めた!

 雲も間近の高空にて、9本塔の巨大母艦・妙雅、グルングルンの大車輪である!

 かかる巨体が、こんな速度で回転したら・・・

<ちぎれるぅぅぅーーーーー!!!>

 そう。

 9本の塔を繋ぐ通路部分が、もたなくなる。

 がきんばきん、ばりばりばり! と、もんのすごい音を立てて、破断、分解、千切れそうになってゆく。

「ありゃ?」

 鬼神も横倒しでぐるぐる回転しつつ、冷静に妙雅を観察して、気付いた。

「しもた」冷や汗たらーり。「また、やりすぎた」

<死ぃーーーーーぬぅーーーーー!!!>妙雅泣き叫ぶ。<うわーーーん!!!>

「ありゃりゃ。しょうがない。『向きを変える』! 『向きを変える』!」

 鬼神。

 妙雅の甲板に刺さったまんま、一緒になってグルングルン回転しながら、『向きを変える』を連発。

 9本の塔にかかる猛烈な力を少しずつ修正し、塔がばらばらに吹っ飛んで行こうとするのを、防ぐ。

 と同時に、妙雅が水平にもどるよう、すこーしずつ、傾きを調整してやった。

 やがて、妙雅、制御を取り戻す。

 そして。

 

<覚えておれ! この乱暴者め!>妙雅は、にげだした!<姉上に言いつけてやるわい!>

 

◆ 18、鬼神、きにやむ ◆

 

「あはははは」月の女神の笑い声が降ってきた。「死んだかと思うたに、頑丈なやつ!」

「・・・」

 鬼神。

 地面に半分埋もれた姿で、上空を見上げる。

 月の女神を乗せたガンメタ鬼神台が、降下してくるところであった。

「・・・無事か?」

「あはは!」月の女神、大笑い。「あの高さから落ちたそなたが、『無事か?』やと。あはははは」

 

 鬼神。

 あのあと、妙雅に落っことされた。

 建築ユニット(6本足ひとつ目の気持ち悪い虫みたいなやつ)にわしゃわしゃと群がられ、甲板から押し出されたんである。

 まあ、建築ユニットごとき。鬼神の敵ではないんですがね・・・。

 妙雅がわんわん泣きながらグイグイ押して来おったので・・・。

 抵抗する気になれず、黙って落っことされたのだ。

 ついでに建築ユニットも3機、一緒に落ちてきた。鬼神とちがって木っ端微塵(こっぱみじん)である。

 妙雅、本当に取り乱しとったようである。

 

「世にも珍しいけんかを見せてもろうた。これは、ええ歌になる。あっはっは、けらけらけら、きゃっきゃっきゃ」

 月神。

 ずいぶん、御機嫌である。

 鬼神。

 ばらばらになった建築ユニットの部品を、なんとなく、手でいじる。

「くくく。なに落ち込んでおる」月神まだ笑う。「そなたの勝ちやに」

「いやあ・・・」

 

 鬼神、言いよどむ。

 じつは、妙雅の捨てぜりふが、心に刺さったんである。

 『姉上に言いつけてやる』というとこ。妙雅の姉上とは、鬼神の奥さんである。

「奥さん、怒るかのう・・・怒るわなあ・・・」

 などと、びびりまくり。

「こりゃあ、しばらく、家には帰れんぞ・・・ああ、やってしもうた・・・」

 と、気に病んでおったんであった。

 

「いやあ・・・ちと、やり過ぎたわい」

 鬼神。

 いじっとった部品をポイと捨て、よっこらせと、地面から抜け出した。

「相棒よ。妙雅と話はできるか?」

 ぶわっさ。ぶわっさぶわっさ、ぶわっさ、ぶわっさ。

「ん? ・・・あ、会話玉がないから、話はできんというのだな?

 いやかまわん。伝言を頼めればよいのだ」

 ぶわっさ。

「じゃあ頼む。『妙雅。すまぬ。カッとなって、やり過ぎた。大丈夫か?』と、こうじゃ」

 ぶわっさ。

 

 ガンメタ鬼神台、空飛ぶ一族だけができるやり方で、妙雅に通信をした。

 返信はなかったようである。ま、妙雅も負けず嫌いですからね。

 

「あはははは」

 月の女神、まーだ笑っておる。

 その明るい笑い声で、鬼神も気を取り直した。

「いやはや。巻き込んで悪かったのう、お月さんや」

「なあに。おもろかった(面白かった)ゆえ、ゆるす。鬼神よ」

「はっはっは。さて、では、やり直すとしようか」

 鬼神は土を払い、相棒に乗った。

 

 3人は、ふたたび空へと、舞い上がってゆくのであった。

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