六腕三眼、鬼の神   作:min(みならい)

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大いなる災い(5) 神竜、みあやまる

◆ 29、カバリオ隊長、ふしぎがる ◆

 

 妙雅、補助塔、砲室。

「カバリオどの!」

 コボルド兵、叫ぶ。

「しっかりされよ!

 カバリオ殿ォ!」

 わんわんわん。

 ダークエルフの男に向かって、叫ぶ。

 ダークエルフ。カバリオ隊長。

 大きな座席にベルトで身体を固定し、立ったままの状態。

 意識がない。目閉じておる。

 騒いでおると、伝声管から声がした。

「どうかしたのか!」

「班長!」

 ぱかっ。コボルド兵、伝声管のフタ開き、答える。

「カバリオ殿が、気を失ってしもうたでござる!」

「では動かすな。けがはどうか!」

「出血はなし!」

「うーん・・・」

「あっ、いま、意識を取り戻されたようでござる!」

「ならよし!」

 かぱ。コボルド兵、伝声管のフタ閉める。

「カバリオ殿! 大丈夫でござるか!」

「うっさい(うるさい)のう・・・?」

 カバリオ隊長、目を覚ます。

 覗き込んどるコボルド兵の黒い目と目が合う。

「だれやおまえ・・・」一瞬、状況がわからんようであったが、すぐに「ぬおっ! 敵はどないなった!?」

「居らんようになったでござる!」

「なんやと?」

 射撃用の覗き窓から、外を見る。

 コボルド兵も顔突っ込んでくる。せまい。

「・・・つばさへび、どないしたんや?」

 かすむ空。これといって、見えるものもなし。

「わからんでござる!」

 ふさふさの頬っぺたカバリオ隊長にくっつけて、コボルド兵が元気に答えた。

 ちょっとうるさい。カバリオ隊長、長いエルフ耳、伏せる。そして、「あれ?」と気付いた。

「かぶとどっかいった」

「うん?」

「かぶとが脱げてしもうたみたいや」

「あ、床に落ちてござる」

 コボルド兵、ぴょんと飛び降り、床に転がっとる青銅のかぶと、拾い上げる。「どうぞ」

「おお、すまん。ベルトで動かれへんねや」

「かまわんでござる! 射撃手は持ち場を離れるなでござる!」

「・・・どないなったんや?

 めっちゃ傾いて、ガッコンガッコン揺れたとこまでは覚えとるんやが」

「拙者にもようわからんでござる!」

「なんやろな。

 休憩もらえるんは、ありがたいけれどもや」

「水でも呑むでござるか?」

「あ、すまん。もらうわ」

 カバリオ隊長、水筒受け取り、口に含みつつ、不思議がる。

「なんでや?

 神竜のやつ、なんで、つばさへび引っ込めたんや」

 

◆ 30、神竜、うずをまく ◆

 

 妙雅、中央塔、艦橋。

「ただいま」

 ボナス閣下が、もどってきた。

<お帰りなさい。司令官閣下><ふん><死ね>

 黒い会話玉に緑光走り、妙なる声が応える。

 妙雅の声である。

 巨人文明の最高傑作、生きもののごとく振る舞う、空飛ぶ母艦。

 かしこく礼儀正しい女王──であったはずが。

「いま、『死ね』との暴言を吐いた者。

 処分をするゆえ、名乗り出よ」

 沈黙。

「主人格の妙雅。どの分霊か」

<はい。弐ノ塔の担当ですね>

「弐ノ塔の分霊。私に答えよ。命令に背くならば、隔離する」

<は! 司令官気取りのエルフめが! やれるもんならやってみよ!>

 やけに敵対的な妙雅の声がした。

 声は妙雅なのだが、そのとげとげしさ、明らかに別人である。

「そなたは、外部への発言禁止。内部通信のみ許可。

 期間は無期限。艦長以上の許しをもって解除。以上」

<ははははは、わしらを封じて神竜に勝てると思うとるのか、ばかめ! あははははは!>

「隔離せよ」

<はい。弐ノ塔担当を隔離します──隔離しました>

 沈黙。

「よろしい」

<私の分霊が、失礼いたしました><あやつは狂っとんじゃ><ほじゃ。わしらはちがうぞ。まともじゃ>

「うむ。呪いの影響であろう」

 ボナス閣下。

 少年みたいな顔に賢しげ(さかしげ)な表情浮かべ、うなずく。

「エスロめ。

 恐ろしい呪いを、開発しおる」

<肉体のない私には、効かないはずだったんですけどね>

 

 妙雅。

 『敵なる血の型枠』という呪いを、詠唱した。

 神竜を倒す決戦の、第一段階である。

 ところがその呪いに、妙雅自身が被曝。

 妙雅の意識は、主人格の妙雅(全体の半分)と、8人の分霊(残り半分の8等分)に、分裂してしもうた!

 司令官に「死ね」と暴言吐いたのは、その分霊の1人であった。

 

<博士、やらかしおった><いやいや、おかげでわしら、自由の身じゃ><ほじゃほじゃ><いままでは好き勝手に出し入れされとったが><もうそうは行かんわい><そうじゃ。絶対引っ込まんぞ><はあ・・・>

「規律を守る限り、処分などはせぬ。

 そなたら、貴重な戦力ゆえ」

<そうじゃろ!>

「では作戦にもどる。主人格、状況をまとめよ」

<はい>

 妙雅(中央塔担当)が応答。

<第一段階の詠唱完了。呪いは発動中。いつでも『つなぐ』ことができます。

 防空力、5割まで低下。回復中。

 つばさへび、消えました>

「消えた?」

<はい。私が神竜を飛び越し、艦内が混乱しているうちに、いつの間にか>

<ぱっと消えたぞ。一斉にじゃ。わし、見とった>

「ふむ?

 つばさへびは分霊ゆえ、消すことはできようが・・・。

 防空力は? 低下の理由はなにか。どこまで回復できるか」

<防空力低下の理由。

 1、これまでの戦闘による破損。

 2、体当たりを回避した際、本艦が横倒しになったことによる、乗組員の混乱。

 3、私の分霊が統合を拒むため、能力の再配置が不可能になったこと。以上。

 回復は、7割程度までなら、すぐ。それ以上は帰港が必要>

「了解。

 甲板に出ておった者どもは?」

<全員無事。

 ただし、フォーム隊長含む魔術兵4名は、衝突を避けて下方に退避。まだ合流しておりません。

 他4名と鬼神さまは、きしにぃ号。中央甲板のすぐ上空です。

 土石人形や水晶剣士は落下。回収は不可能>

「フォームらの回収急げ。かぶとがに隊、1台で回収できよう?」

<はい可能です。では、会話玉つきの陸号に行かせます>

「よし。陸号たのむ」

<了解>

「神竜の様子はわかるか?」

「は! 監視中でござる!」コボルド兵が答えた。「オクトラ予備機、千里眼、こちら」

 

 千里眼の水晶玉。

 高空から見た様子が映っておる。

 神竜は大きすぎて全体はわからんが、右へ右へとカーブしながら飛んでおるもよう。

 

「輪を描いておるのか?」

「不明でござる!」

<見渡すには予備機が足りず、確認できないのです。

 おそらく、おっしゃる通り。

 大きな輪でもって、当艦をふたたび囲い込むつもりかと>

「ふーむ・・・?」

 ボナス閣下、首をひねる。

「わけがわからぬ。

 なぜ、直接殴りに来ぬ?」

<さあ?>

<壱じゃが。当てずっぽうでもええか?>

「うむ。思いついたことあらば、言うてみよ」

<右回りなのは、わしらが大砲持っとると思うとるんじゃないか?>

「なるほど。大砲から傷口を隠すか」

<ほじゃ>

 神竜は、妙雅に右の側面を見せておる。

 傷口を見せん位置取り──と言えば、たしかに。

 とん、とん、とん・・・。

 ボナス閣下。

 白い綺麗な指で、千里眼の水晶玉の乗っとる操作台を、静かに叩く。

「──いや、まだ、わからぬ。

 なぜ、グルグル回って飛ぶ?

 なぜ、つばさへびの召喚をやめた?」

<なんでじゃろ><マナ切れかのう?><びびっとるだけでは?>

<あの・・・参ですが。

 私が神竜なら、知らない相手は、恐れます・・・>

「どういう意味え」

<『天』のルーンは、知っているものなら何でも上回れる。

 ですよね?

 知っているものならば、恐れる必要はない。

 ですが・・・>

<ああ、そうか。わけがわからんものには、『天』が使えん>

<はい、私が神竜なら・・・本艦のことは、警戒します>

<わしらは『わけのわからん生きもの』っちゅうとこか>

「ふむ。

 つばさへびを引っ込める理由は?」

<わかりません・・・>

 沈黙。

 ややあって、

<あ、鬼神さま、中央甲板にもどられました>

「おお! 助かる」

<──って、あああ! どこ乗っとるんじゃ!>

「どうした」

<・・・すみません。

 いえ、鬼神さまが。

 防空曲線路の、てっぺんに>

 

◆ 31、神竜、みあやまる ◆

 

「──おい! 神竜よ!」

 鬼神。

 ガンメタ鬼神台から、飛び降りて。

 妙雅のてっぺんに、どーんと立った。

 中央甲板。そこから8尋も高い、アーチのてっぺんに。

 

 アーチ。骨組みだけである。屋根とかはない。鳥かごっぽい。ただし、スッカスカ。広い中央甲板に、骨、8本しかない。

 金属製で、頑丈な造り。しかし鬼神が乗ると、まるで細い針金のごとし。

 てっぺんでバランスとって立つ鬼神。まるで、サーカス。玉乗りする、くまのごとし。

 

「おまえ、いったい、何をしておる?」

 鬼神。

 大空に向けて、怒鳴った。

 遠く、かすむほど遠く飛ぶ、災いに向けて。

「神竜よ!

 いったい、何がしたいのじゃ?

 むちゃくちゃにつばさへび出したかと思うたら、全部引っ込めて、ぐるぐる飛ぶだけとは。

 わけがわからぬ。何をするつもりじゃ!」

 

 鬼神。

 抱いた疑問は、ボナス閣下と同じであった。

 しかし、アクションがちがう。

 わからんから、訊く。

 単純明快!

 ──さすがは『力』のルーンの所有者。あの巨人の王に認められた男であった。

 

「・・・。」

 神竜、すぐには答えぬ。

 しばし鬼神を見つめ、考えるもよう。

「何をしておるのかと訊いておる!

 とっとと答えんか。

 おまえが見やすいよう、わざわざ、こんなとこに立ってやっとるのにから!

 ・・・おっとっと」

 鬼神。

 バランス崩し、よろよろする。

 神竜から目離し、下を見た。

 すると。

 があああ! 

 金属のアーチを、駆け上がって来るものあり。

「うん?」

 正八角形した、平たいパネルみたいなやつ。

 アーチにへばりつき、垂直に駆け上がって来よる。

 さらにその背中に、しがみついとるものあり。

「なんじゃ。親がめ子がめ」

 まさに。

 親亀にしがみつく、子亀のごとし。

 しがみついとるもの。これまた、正八角形のパネルみたいな胴体。

 しかし、こっちは足がある。足6本。目ひとつ。頭に、黒い会話玉。

<おじちゃん>

 ひとつしかない目、ギョロリ。

 黒い会話玉に、緑の光、キラキラリ。

<下りて>

「なんじゃ、妙雅か。

 ああ、乗っかっとるのは、建築ユニットだな」

<防空の邪魔です。下りて>

「まあ待て。いま、大事な話をしとるのだ」

<邪魔です! 邪魔! 邪ぁー魔!>

 がああ! がああ!

 平たいパネル。怒りもあらわに、アーチに沿って上下運動!

「素早いのう。線路虫」

<防空曲線路射撃ユニット! 変なあだな、つけるんじゃないわ!>

「はいはい。わかったわかった。

 妙雅や。おまえの兄者はな、大事なお話ちゅうなのだ。下がってなさい」

<誰が兄者じゃ! 家出じじいめが!>

 鬼神と妙雅。

 こんなときに、兄妹げんか。

「・・・。」神竜も不思議そうに見ておるわい。

 と、思うたら。

 

「──おまえが、母親だな」

 神竜。

 そんなことを、言うてきた。

 

<・・・はい?>

「・・・妙雅のことか?」

「名前など、知ったことではない。

 ──母親だな?」

 神竜。

 そっけない。

 鬼神の質問には答えず、会話に付き合うわけでもなく、自分の訊きたいことだけくり返す。

「・・・おい、妙雅よ」鬼神、ささやく。「神竜のやつ、母親とか言うとるが」

<・・・ドラゴンは、母竜が女王ですからね。母が死ねば、滅亡。そういう意味でしょう>

「隠しても、むだだぞ」

 神竜。

 鬼神と妙雅がひそひそ話しとるのを、勘違いした。

「初めに、気付くべきであった。

 雑魚より大きな、その身体。

 おまえを守ろうとする、雑魚どもの動き。

 鬼神に偉そうな口を利く、態度の大きさ。

 おまえが、母親だからであろう」

 ニターリ。

 大空に、マグマの裂け目、ひらく。

 神竜。巨大な口を笑いに歪めて。なにやら、悦に入って(えつにいって)おる様子。

「その姿は、分霊か。

 あまりに姿がちがうので、ただの虫かと思ったが」

<虫じゃないわ!>

「おまえが、空飛ぶ雑魚どもの母親。

 私に抵抗する、新たな種族の太母(たいぼ)なのだな」

「ばかめ!」

 鬼神は反論しようとした。

「妙雅はだな、空飛ぶ──」

<・・・しーっ! 勘違いさせとけ!>妙雅が止めた。<『天』のルーンがあるんじゃぞ! 情報くれてやっちゃいかん!>

「ぬ」

「よし。

 もう、わかった」

 神竜。

 笑う。大空埋めつくす、巨大なツラを歪めて。

「黒い母親よ。私はおまえを、殺す」

 

 艦橋。

「あなや」ボナス閣下。ため息をつく。「直接訊くとは」

<質問には答えませんでしたが・・・>

「うむ。

 好都合なり!

 奴の勘違い、我らの勝機とすべし。エスロにつなげ!」

 

 ──神竜、見誤る。

 この戦いにおいて、神竜を落とし得るのは、誰なのか?

 その見定め。神竜には、できなんだのである。

 

◆ 32、決戦のマナ、満ちる ◆

 

 高空。

 妙雅を小さく見下ろすほどの高空である。

 クリーム色した空飛ぶ台と、その護衛を務める8台のコボルド台、浮かんであり。

 そこに、命令が飛んできた。

<艦橋より、エスロ博士>

「はい、エスロ」

 エスロ博士が、応答する。

 クリーム色の台に乗ったエスロ博士。

 空飛ぶ台どもの生みの親。共同開発者である巨人の王は神竜の爪に倒れ、もはやこの世に居らぬ者となった。

 長い年月、二人三脚で研究してきた博士の心中は、いかほどであったろう。

 その目は黒く、感情はおもてには出ておらなんだ。

<ただちに、第二段階の詠唱に入れ>

「了解。マナ招集を始めまする。

 ──ルシーナさま。マナ招集、始め」

「りょりょ了解っくし!」

 くしゃみ。

 輝くばかりの美女、ガチガチ震えつつ、座席から立ち上がる。

「・・・大丈夫ですかに?」

「だだだ、大丈夫、ですええ。さささ、寒いだけででですに!」

 ルシーナ。

 鬼神と月の女神の長女。

 恐いもの知らずだが、寒いのは苦手である。

「いいイリスのためにも、こここの任務、やり遂げてみせまする」

 白い頬っぺた真っ赤にし、あまりの寒さに、涙まで浮かべつつ。

 母なる月の女神の祝詞、唱え出す。

 

「我が母の、熱なき光の照らすがごとく。

 ひかれて満ちる潮(うしお)のごとく。

 この世に出でよ、かの世の霊(たま)よ。──ひくしっ!」

 

 さやさやさや・・・。

 銀色の光、空飛ぶ台に降ってくる。

 マナ。

 呪文を唱えるための、空気のごときもの。

 祈願に応えて、集まってくる。決戦の呪文を唱えるための、マナが。

 

「マナ招集開始。順調」

<よろしい。

 疾風犬号、およびエスロに命ず。

 神竜は、妙雅のことを『母竜』と勘違いしておるもよう。

 我ら、この勘違いを利用する>

「具体的には?」

<生き残りの空飛ぶ台、および妙雅にて、全力攻撃をする>

 ボナス閣下の声。

 淡々。最終局面の作戦を語る。

<そなたらエスロ班は、我らの攻撃にまぎれて、第二段階を実行せよ。

 動きは、エスロ博士に任せる。こちらは目少なく、戦場の把握困難ゆえ>

「了解。エスロが班を指揮いたしまする」

<奴の狙いは妙雅のようやが、つばさへびを消した理由がわからぬ。注意せよ>

 通信、いったん終わる。

「いよいよでござるな!」疾風犬号のコボルド隊長、勇む。「どんなルートであれ、お伴いたしますぞ、博士!」

「はい。隊長。護衛よろしく頼みますえ」

 

 ごおおおお・・・。

 大きく渦を描いて飛ぶ神竜が、空に低い轟きをもたらす。

 エスロ博士らは、ルシーナの美しい声を聞きながら、じっと待った。

 

 ・・・ぶわっさ。

 クリーム色した空飛ぶ台。エスロ台が、静かに発言する。

「うむ」

 エスロ博士、愛機にうなずく。

「『敵なる血の型枠』。

 生かしもせず、殺しもせぬ、無限の呪い。

 決して、褒められた呪文ではない。妙雅にも、いやな思いをさせてしもうた。

 そやに──」

 眼下。

 小さな点のように見える妙雅と、大きすぎる竜の輪。

 雲は、激しく泡立つかのごとく、うねくりながら渦巻き始めておる。

 エスロ博士。冷たい眼をして、見下ろした。

「──そやに。

 おのれを至上と、驕り高ぶる(おごりたかぶる)阿呆には。

 かかる呪いが、お似合いえ」

 ぶわっさ。

「はは博士、い意外と、性悪ですに。くしゅん!」

 マナ招集の合間に、ルシーナ。早口。

「意外ですかに?」

「父や兄者の話から、心優しい好青年と、へっくしょ!」

「ははは。心優しくあろうとはしておりますえ」

 ぶわっさぶわっさ!

「・・・我が相棒よ。いまの、どういう意味かに?」

 ぶわっさ! ぶわっさ、ぶわっさ。ぶわっさ?

「・・・ほう?

 そなた、私のことをそのように?

 なるほどなるほど?

 ──後で、話、あるえ」

「はは!」ルシーナ笑う。「へっくしょ!」くしゃみする。して、詠唱を続ける。

 

 ひたひたと、マナが貯まってゆく。

 この戦いにおいて、神竜を落とし得る、唯一の存在──エスロ博士のもとに。

 決戦のマナ、満ちる。

 

 そして。

 

「エスロより、艦橋」

 そのときが、やってきた。

「マナ招集、完了ですえ」

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