「……で、どういうことなんですか。説明してください」
「むぅ……ほんとうにすまない、利根田トレーナー」
更衣室において、わたしと理事長の面談がはじまった。
「これには深いわけが……」
「……わたしにウマ娘用のジャージを着せるのに、どんな深いわけがあったんですか?」
「そ、その……」
理事長が目を泳がせる。
こう見ると年相応の少女のようにしか見えないのだから不思議だ。
なんだか、か弱い女の子を問い詰めているようで良心が痛む。
が、それはそれ、これはこれだ。
「そ、その……」
「その、なんですか?」
ずい、と私は身を乗り出した。
ごにょごにょと何かを言おうとしても、わたしの耳は耳ざとく聞き取るだろう。今わたしはウマ娘なのだから。
じーっ、と目をそらそうとする理事長の顔を眺める。
観念したのか、ぐっ、と歯をかみしめて、ばっと顔を上げた。
「じつはっ……! 少しずつレースの格好をさせてその気にさせてレースに出走してもらおう作戦、というのを立てていて……っ!」
苦虫をかみつぶしたような顔で、理事長が作戦名だけすらすら言い出した。
「……はい?」
呆けた声がわたしの口から出る。
すると堰を切ったように、理事長が話し始めた。
「実はレースにでるモチベーションがなくなってしまった生徒のために、そのような作戦を立てていて……! しかし生徒相手にいきなり実行するわけにはいかず、悩んでいた時にちょうど利根田トレーナーがウマ娘になったことを知ってこれは好機だとたづなと結託して利根田トレーナーをモニターとして実行をしようと思って……!」
理事長が、一息にそれを全部言い切った。
……なんというか、まあ、理事長らしい。
「というわけでっ、何も言わずに実験台にしてすまなかったっ! ゆるしてほしいっ!」
「わたしも、すみませんでしたっ」
たづなさんも一緒に頭を下げる。
……というか、別に怒ってるわけでもないし、理由とかを聞きたかっただけで、こんなに謝ってもらう事でもない。
「……べつに、大丈夫ですよ。というか、そういう事なら、言ってくれれば協力したのに」
生徒たちのための話と言うのなら、しかも新しい計画というのなら、協力しない手はない。逆に、協力させてほしいくらいだ。
「えっ、いいのかっ!?」
理事長が驚いたように顔を上げる。
「あ、でも、全部知ってからやっても意味ないですよね」
「いやいやっ、ありがたいっ! もし利根田トレーナーが良いのなら、ぜひ協力してほしいっ!」
一転、理事長の雰囲気がまたキラキラしだす。
……ほんとうにウマ娘の話となると、目が輝きだすな、この人。
それでたまに周りが見えなくなることもあるみたいだけど、理事長の行動力のおかげで、うちのウマ娘が助かったことは何度もある。
それに協力しないわけにはいかない。
……まあ、『少しずつレースの格好をさせてその気にさせてレースに出走してもらおう作戦』というのが、実際に効果があるのかは少し疑問だけども。
「よぉしっ、利根田トレーナーっ、時間は大丈夫だなっ!?」
「あ、はい。午前はフリーなので……」
本来はわたしが休んでいる間にたまった書類などがあったのだが、それは友人根岸のおかげでほとんどが処理され終わっている。
「ではっ、さっそくもう一度更衣室へ向かおうっ! 着てもらうべき服はまだまだあるぞっ! さっ、たづなっ!」
「はーい、ではこちらを……!」
たづなさんが、さっそくまた別の服を持ってきた。
切り替えが速いな、このお二人……。
今回渡された服は、少し動きやすそうで、若干ウマ娘の勝負服っぽい装飾が付いたスーツだった。
これ、わざわざ今回のために作ったのだろうか。
いろいろ心配な計画だけれども、理事長の本気度は伝わってくる。
「わかりました、それでは、着替えてきます」
「うむっ! 楽しみにしているぞっ!」
という感じで、午後までわたしの着せ替え大会が続いた。
途中から生徒のためとかそういうの忘れて二人が楽しんでいたような気がするが、まあ楽しそうなので気にしないことにした。
今回も最後まで読んでいただきありがとうございます。
ストーリーなどはぼんやりとしか考えていないので、良い感じに筆任せに書いて行こうと思っています。
これからも楽しんで読んでいただければ幸いです。感想や評価もらえれば泣いて喜びます。
それでは、また次回!
ウマ娘やトレーナーのステータス的なものは必要ですか?
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ごかってにどーぞ
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そんなことより続き
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そんなことよりプリン食べたい