(仮題)アニマレイヤーズ 作:霊烏路佳苗
——時間の流れが遅い。
そう思うほどに、それは物語の一部を切り取ったような光景だった。
古い時代の戦場のように大地に突き刺さる数多の刀剣。
竜巻が通ったとしか思えない破壊痕と、薙ぎ倒された家屋。
幽鬼の如く佇み、鳴り止まぬ雑音を撒き散らす異形の怪物。
現代日本では液晶画面の向こう側でしか見ることのない、恐ろしく現実離れした景色。
非日常の世界を前にしながら、俺は——それら全てを忘れさせる異常なものに、眼を奪われていた。
それは、少女だった。
御伽噺に出てくる魔女のような小柄で細身の少女が一人、怪物の行手を阻むように立っていた。
星の飾りを散りばめ、夕焼けのような橙色と夜空を彷彿とさせる黒で構成されたマントやズボンといった装束。
袖やフリルは、光そのもので編まれたのように輝いている。
そして、魔女らしさを強調する、つばが広く、先端の折れた尖り帽子。
一つ一つが作り物とは思えないほどの出来栄えだが、それらを纏う彼女自身の容姿の前では、その妖しさを彩る一因でしかない。
長い緑色の髪が、燃え上がる炎のように帽子のつばの下から広がっている。
翠玉と見まごう双眸は朧げに世界を映す。
何より幼さと可憐さを残した貌を不機嫌そうに表情を歪めながら、静かに己と向き合うその様に。
時間を/恐怖を/非日常を、
——一瞬にして、忘れさせた。
それほどに、あまりにも、尋常でなく、
「——あなたが……」
毅然と。
少女が、声を発していた。
その言葉が俺を指していると遅れて気がついて。
少女が、ゆっくりと視線を上げてくる。
「君は、一体……」
「……私?」
少女は少し訝しんで、「ああそっか」と納得し、僅かな緊張を帯びた声音で、空気を震わせた。
「私は、
どこか遠くを見ながら。
「——精霊よ」
されど寂しげに、彼女は言った。
そのとき。
【——■■■■■■■■!!!!!!】
痺れを切らした異形の怪物が、少女——七罪へ距離を詰めて襲いかかる。
「あ、危な——」
「……っ」
振り下ろされる刀剣のような腕に、少女の体が亡き別れになる——その前に。
「《
七罪の手の中に現れた一本の箒が凶刃を受け止めた。
【■■■■……!?】
「んん……邪、魔!」
小柄な体格でありながら凄まじい力で、自身の倍の大きさもある怪物を押し返し、その反動で彼女は俺のそばに跳んできた。
「……その、カード」
「……え?」
七罪は俺の手を。
その手に握られている
「あなたが私を
そして。
「お願い、あなたの力を貸して。——私の大切なものを、助けるために」
少女と目が交わり————俺の、
To be Continued……?
■小噺
デアラ第一巻冒頭のオマージュ。
ボーイミーツガールって良いですよね。