ホタルとずっといっしょがいい   作:糖分ピーチ

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 サンポはかなり怪しい。けどそこがいい。好き


【中編】古い友人、新しい友人 (1)

 

 「………久しぶりだね、サンポ」

 

 サンポ………というか花火。ブラックスワンが少女の仮面の愚者の名前をそう言っていたはず。まぁ、サンポでいいか。見た目はサンポだし。

 

 「まさか、ここであなたにお会いできるとは思いませんでした………いやはや、本当に運がいい!」

 

 「そうだね、久しぶり」

 

 「……ん〜突然僕に会ったというのにそれほど驚かないようですねぇ?ようやく僕はヤリーロ-Ⅵの門戸が開かれたために念願のピノコニーにやってこれたというのに〜」

 

 「えっと……星、この人は?」

 

 「おや、三月さん、僕のことを忘れてしまったんですか?ベロブルグではあんなにあなたたちを手伝ったのに……」

 

 前回サンポがこう言った時私はサンポがふざけているか目が悪いかの二択だと思っていたけど、もしサンポに化けたはいいものの花火がサンポからなのの顔や体格のことを詳しく聞いていなかったとしたら。私の隣にいるのがそうだという情報だけで間違えたとしたら辻褄が合う。推理を思い込みで完結させるのはよくないけど、今は情報が少ないから仕方ない。

 

 「違うよサンポ、どう見てもこれは姫子でしょ」

 

 「ヒメコ…………?あぁ〜!星穹列車の姫子さんでしたか〜!やっぱりそれほど時間が経ってないのにこんなに大きく顔が変わるわけがありませんもんねぇ」

 

 「ち、違うよ!あたしはホタル。アイリス家の役者だよ」

 

 「………ちょっと〜!嘘つかないでくださいよ〜!僕は忘れっぽいんですから〜。ホタルさん、お会いできて光栄です!僕はサンポ、彼女の古い友人です。以後お見知りおきを」

 

 こいつ、まるで知り合いだったかのように言っているけど、サンポはベロブルグで姫子には会っていない。名前は聞いた事があるとしても、面識はないはず。まぁ、これが全て演技とデタラメだらけだったり、実は私の知らないところで二人が知り合っている可能性もある。本当はこの時だけは実はサンポ本人なのかもしれない。やっぱり今は、こいつは信じない方がいいということは確かだ。

 

 「ホタル、行こう」

 

 「えっ、でも………」

 

 「もう、そんなこと言わないでくださいよ。せっかく会えたというのに、どうして行ってしまうんです?」

 

 「あんたとなんて話す必要なんてない」

 

 あまりふざけるのはやめてほしい。少し、嫌な気分だ。

 

 「私とあんた(花火)は別に友達でもなんでもない。私は今大切な友達と遊んでるから、あんたはお呼びじゃない」

 

 「おや………私はそんなに信用できませんかね………」

 

 私は無言で席を立ち、ホタルの方をろくに見ずに手で招く。

 

 「あっ……ま、待って!」

 

 ホタルが後ろから慌ててついてくる。後ろは振り返らず、私はあいつのことが見えなくなるぐらい遠くまで歩き、そこでようやく足を止めた。

 

 「あの、星………大丈夫?」

 

 「ごめんホタル、少し感情的になった」

 

 ホタルは何も知らないのに、本当に申し訳ない。

 

 「あの人………サンポさんとは仲が悪いの?」

 

 「………いや、『サンポ』とは別に仲が悪いわけじゃないんだけど………少し事情があって」

 

 花火があの時、サンポに化けて私とホタルを奇妙な夢境へと落としたのは疑いようのない事実。あんなやつとは一緒にいられない。こっちが気疲れで参ってしまう。

 

 「そっか………うん、じゃあ気分を変えるためにも、楽しくて明るい場所にでも行こっか!」

 

 「ありがと、ホタル………」

 

 「いいよ、気にしないで!じゃあまずは………こっちから行こう!ほら、あそこにもう見えてる看板があるでしょ?あそこはエディオンパークって言ってね!あそこは賭け事が盛んな場所で色々な人が一攫千金を夢見て集まるの!」

 

 ホタルは楽しそうに私にピノコニーの魅力について教えてくれる。前回ホタルとここに来た時と同じような文言だけれど、その時よりも私のせいで暗くなってしまった空気を直そうとしているのか、健気に明るく気丈に振る舞ってくれている。そんなホタルを見て私も自然と心の傷が癒えていく。

 

 「………あっ、ほらもう着いたよ!」

 

 私の目に映る眩しい情景。黄色とオレンジを基調に色とりどりの光が舞い、様々な人が喜び、悲しみ、この場所に酔っている。こんな難しくて複雑な状況にいなかったら、私も彼らのように楽しめたのに。

 

 『飲もうスラーダ♪素敵な夢を〜』

 

 「あ……このスラーダのテーマソング。最近いつの間にか口ずさんじゃってるんだよね………あたしの友達は「洗脳される〜!」って嫌がるんだけど………」

 

 スラーダのワゴンカーから流れるテーマソングに反応し、幸せそうに語るホタル。中々興味深いことを言ってくれる。

 

 「ホタルってその………友達いたんだね」

 

 「あ、あたしって驚かれるほど友達がいないように見えるかな……?あたしだって片手で数えられるぐらいはいるよ………たぶんだけど……

 

 少し、不安になるつぶやきも聞こえてきてしまっているが、ホタルの友達………やはり純粋に気になってしまう。

 

 「ホタルの友達ってどんな人なの?」

 

 「う〜ん……そうだね。例えばさっき話した子はゲームがすっごい好きな子でね?あたしは時々その子に誘われてゲームをしたりするんだけど、全然歯が立たないの。あたしはもう少し手加減してくれてもいいと思うんだけどね!……えっと、それから………」

 

 ホタルは口を淀ませて、次に口に出す言葉を悩んでいるようだった。もしかして、その子が唯一の友達なのだろうか。私はもしやすごい惨いことを聞いてしまったのだろうか。ホタルは周りと交友関係をしっかりと構築できているのかな。まさかそのゲーム友達というのもホタルをいい感じに動くCPUのサンドバッグ代わりだとしか考えていないタイプだったらどうしよう。なんだかすごい不安になってきた。

 

 「ごめんホタル………私は最低だよ………大丈夫、最近の子の間では一人で生きていく孤高の精神も流行ってるって聞くからね………」

 

 「えっ!ちょ、ちょっと待って………あたしは仕事仲間を友達と呼んでいいのかなって考えてただけ!その………先輩とか……昔の、勤務先とか……」

 

 おっと、少し早とちりだったみたいだね。照れるね。

 

 「それは……どんな人たちかにもよるんじゃない?」

 

 ホタルみたいないい子を嫌う人なんていなそうだしね。

 

 「う〜ん。そうだな………例えばあたしが距離を縮めようと近づくといつの間にか離れて行ってしまうような先輩とか………ファッションの話とかはできるんだけどね……」

 

 なんだか雲行きが怪しくなってきたね。

 

 「それは…………少し避けられてるのかも……」

 

 「えぇ………彼女はそんなことするような人じゃないと思うんだけどな………」

 

 彼女ということはその先輩は女性か、たぶんその勤務先の御局様なのだろう。考えるだけで容易に嫌味ったらしい顔の女性が目に浮かぶ。御局様に避けられるなんて、ホタルは何をやらかしたんだろう………

 

 「もう一人は………彼は頼れる仕事仲間だけど、いつも基本は無口で寡黙、かな。でも、最近昔の知り合いに会ったって時はすごい上機嫌に笑ってたのを見た事がある………」

 

 「本当に仲がいい人にしか本音を見せないタイプか………」

 

 たぶん、その人は丹恒と仲良くなれるタイプだと思う。

 

 「そうなると………あたしはまだそこまで親しくないってことになるのかな……」

 

 ………自己完結して落ち込んでしまった。どうやらホタルは勤務先の関係が中々複雑らしい。密航者の勤務先と言われても不思議だけれど、そもそも友達かどうかを悩んでしまっている時点で、それは友達では無いのかもしれない。仕事とは結局金稼ぎの手段でしかなく、その過程でできた関係性はよっぽどの事がない限り結局お金が絡んでくる。純粋な友情は作りづらい。ん?そう考えると私は列車のみんなと友達じゃなくなってしまう………?いや、私は給料を貰った記憶はないから大丈夫だね。この理論の枠外だ。

 

 「話を聞いた感じ今のところはあんまり友達って感じはしないかな……」

 

 「あっ………そっか……」

 

 シュンとしてしまい、少し悲しそうな様子のホタル。まずい、少し言いすぎたかな。今日は私の口になのが憑依してるのかもしれない。つい浮かれて空気も読まずズカズカと口が滑ってしまう。ヴェルトや姫子を憑依させよう。彼らのような大人の余裕で慰めなければ。

 

 「で、でもホタルはそのゲーム友達がいるわけだしね。あんまり気にする必要ないと思う………」

 

 「そう、だね………」

 

 う〜んうまく憑依させられない。いつも彼ら熟年組はどうやって私たちに慰めを入れてたっけ……

 

 「あっ、でも………その子も勤務先の人だから……つまりあたしに友達は一人もいないってことに………?」

 

 なんて、なんて世界は酷いことをするんだ。こんなにもうら若き銀髪美少女をこんなに目に遭わすなんて。あまりにも惨めすぎる。あれ、待てよ。ホタルは一人忘れている。ホタルにもまだ希望はある。そのことに早くホタルに気づかせてしっかりと慰めてあげなければ……

 

 「ねぇホタル。もう一人、友達がいるのを忘れてるとは思わない?仕事仲間でもなく、最近街中で出会ったヒーローみたいで美人でとっても腕っぷしも強そうな人が……」

 

 「あっ、星のことを忘れてたわけじゃないんだよ?それは言葉のあやで………でも……なんかちょっと考えたら悲しくなってきちゃったりしてさ……」

 

 今日の私なら失言王の称号を手にすることが出来ると思う。軽々しく友達じゃないなんて言うべきじゃなかったよね。

 

 「ごめんホタル……私ほんとデリカシーのない女で……」

 

 「ううん、あたしが考えすぎちゃう癖があるだけだよ。よく考えたらあたしの仲間がそんな薄情なわけじゃないし……みんなすっごく優しい人たちだしね」

 

 「ならよかったけど………」

 

 「うん………」

 

 「………」

 

 「………」

 

 今日は厄日だったりするのだろうか。ホタルとこんな気まずい雰囲気にしたいわけじゃないのに。もっとホタルとは楽しい時間を過ごしたい。だって、もしもうホタルと会えなくなったりしてしまった時にこんな思い出ばかりだったら辛くてまたあんな愚かなことをしてしまうかもしれない。

 

前回の方がよっぽど上手くやれていた。このままだとまたホタルに気を遣わせてしまう。それだけは絶対に避けたい。私はもっとホタルと楽しみたい。そうするにはどうすればいいのかな。

 

 「……ねぇホタル、ここの賭け事ってさ。勝ったコインをお金に変換することってできたりする?」

 

 「あ………うん。すぐ近くにある換金所で出来ると思うよ?」

 

 気まずい雰囲気を修復する方法はたくさんある。各地で人を困らせて帰ってくる私を見て、ある日ヴェルトが前にそう言って弁舌を私に振るってくれた。

 

 「ホタルって今お金に困ってたりする?」

 

 「うん……まぁ、最近は特に……」

 

 その中でも特に有効的な方法は。

 

 「じゃあ、私達もここで、彼らのように一攫千金を目指そう」

 

 「それって……?」

 

 「この黄金の刻に私たちの名前を轟かせよう」

 

 適当にはっちゃけることだよ。

 

 





 「夢から覚めるためだよ……!」的な謎のノリで区切りましたが、中編のわたす的に描きたい部分である後半部分が矛盾しないようにしたりするのが行き詰まったので話の繋ぎ的な前半部分をひとまず投下しときました。星ホタの気まずい雰囲気に思わず私はホタホタしそうです。無理やり区切ってエディオンパークの部分の会話をぶち抜く英断の影響で謎の回想ヴェルトさん登場で締められてますね。わたすの文才では綺麗に分割できなかったです。わたすの苦悶の表情が見えるでしょうか。

 これから私のフェチがどんどん垣間見えてくるだろうからもうこの時点で合わなそうな人はブラウザバックしてくれよな。
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