世界に名を響かせる。   作:白夜夕夜

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第7話 『目標、出発』

 ウツギ博士の研究所に戻った俺たちを迎えたのは、メガネをかけたいかにも真面目ッ! という雰囲気を醸し出したおまわりさんだった。おまわりさんって表現が子供らしいとかいうツッコミは無しで。

「何だねキミは? 今はポケモン盗難事件の捜査をしているんだが……」

 メガネのレンズをキラリと光らせながら近づいてくるおまわりさん(なんか恥ずかしいんで以下警官)。思わず後退りして距離を取る。

「な、なんスか?」

「捜査の法則その一──『犯人は必ず現場に』戻る! まさか君が犯人?!」

 ダメだ。なんかこの警官(ヒト)ダメだ。

 隣のコトネにちらりと視線を向けるとなんとも言えない顔をしていた。たぶん俺も同じような顔をしてる。

「いや、あの──「署まで着いてきてもらおう話はそれからだ!」頭大丈夫かアンタ!?」

 加えて人の話を聞かないと来た。ヒビキさん軽く頭に来ましたよ。

 頬をヒクつかせ、目の前の警官に文句を言おうと口を開いた瞬間。

「わーわー! 違う! この子達は事件と無関係だから!」

 俺と警官の間を割くように、ウツギ博士が現れた。

「チッ……もう少しでこの頭がイかれた警官(クソヤロウ)にヒノアラシの『たいあたり』を食らわせてやる所だったのに」

「ダメだからねヒビキくん!! 公務執行妨害で捕まっちゃうから! キミは十歳になったんだろう? もう扱いは大人と同じなんだから、気をつけないと」

「はいはい、わーってますよ。んで、ポケモン盗難事件でしたっけ」

 盗難事件、という単語にずっと黙っていた警官が反応し、再びズイッと距離を詰めて来る。なんだよもう気持ち悪い。

「何か知ってるのかね?!」

「近い近い。ツバ飛んでるから。俺はアンタに協力する気はねーよ」

 言うと、隣のコトネが苦笑する。そりゃ濡れ衣を着せられかけたんだ。協力してくれるかと聞かれて素直に頷ける程、俺はお人好しじゃない。

「まったく、ヒビキは頑固なんだから……私が代わりに協力しますよ」

 コトネが苦笑しつつ、顎に手を当てる。

「ヨシノシティで、ワニノコを連れた人に会ったんです。赤髪の、なんか……無愛想な人でした」

「うん、それで?」

 頷きながら、警官がメモを取り始める。流石に相手が女子だから遠慮したのか、顔を近づけることはない。

「名前は確か──カナデ」

 

『──俺は、カナデ。俺の奏でる強い音で弱者をねじ伏せ、世界で一番強いポケモントレーナーになる男だ』

 

 ああ、そんなことも言ってたなアイツ……そのわりには弱かったけど。

 あれかな、アイツは(ちまた)で流行りの厨二病ってやつなのか? ……どうでもいいけど。あ、タマゴ動いた。

「そうですか……ご協力、ありがとうございます。本官の次なる行動は『赤い髪の男を追え』──! おぉ、燃えて来たッ!!」

 警官が叫び、研究所から出て行く。もうなんなんでしょうねあの人。

「ふぅ……なんか、賑やかな人だったね」

 コトネがため息を尽きつつ、俺が抱えている卵を撫でる。

「まぁ、賑やかっつーか嵐っつーか迷惑っつーか……」

 間違いなく迷惑な男、って感じである。本人はもうここには居ないし、口には出すまい。

 こほん、と咳払いを前置きに本題に入る。

「そうそう、タマゴ預かってきましたよ」

「おぉ!ありがとうヒビキくん、コトネちゃん!」

 子供のようにはしゃぎながら、俺の手からタマゴを受け取り、何やらパソコンと向き合った。よーやく体が軽くなったぜ……

 肩をパキパキと鳴らしつつ、オーキド博士からもらったポケモン図鑑をポケットから取り出す。

 電源を入れると、ヒノアラシのプロフィールが表示された。

「ほぉ……使える技なんかも見れるのか」

「うん? なんだいそれは」

 俺の何気ない呟きに、ウツギ博士が振り返る。

「いや、なんか。オーキド博士にもらったんすよ。ポケモン図鑑……だっけ?」

 隣でボーッとしてたコトネに目配せすると、ハッとしてから首を縦に振った。たぶん話理解してない。

「へぇ! それは凄いことだよヒビキくん!」

 思わず首をかしげると、ウツギ博士が語り出す。

「オーキド博士は、トレーナーの才能を見抜く力の持ち主だからねぇ……」

 勝手にハードルが上がって行ってる気がする。

「そうかぁ……僕も君の事はタダモノじゃないと思ってたけど、こりゃ面白いことになってきたね。そうだ! このまま各地のポケモンジムを回って見るって言うのはどう?」

「ジム、ジムかぁ……」

 薄々、考えていたことだ。

 今回の旅の目的は、自身の成長。

 なら、ポケモンと一緒に強くなって行く……なんて。悪くないだろ?

「元から、そのつもりだよ。ジムを回ってバッチ集めて、四天王の連中に挑戦するつもりッス」

「そっかぁ……長い旅になりそうだね」

 長い旅……まぁ、確かに。だけどそれはとっくのとうにわかりきったことで、すでに覚悟は決めた後だった。

 しっかりと、成長して帰って来るために。

「ま、っつーことなんで。そろそろ俺たち行きますわ。ほら、ボーッとしてねぇで行くぞコトネ」

「なっ、ボーッとなんかしてないから!!」

 嘘つけ。さっきまで虚空を見つめてたくせに。

「うん、じゃあ。気をつけて……タマゴのことは何かわかったら、こっちから電話するから」

 ウツギ博士の言葉に頷いて返事をしてから、研究所を出た。

 今度こそ、俺たちの冒険が本格的に始まる。気合いを入れ直して、しっかりと地面を踏みしめた。




だいぶ間があきまして、お久しぶりです。ヒビキのキャラが変わってる?んな馬鹿な。
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