アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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2人のグイグイ具合が止まりません。

ネタの関係で色々調べながら書きましたが、不備があってもまあ気にしないでください。


第11話

「珍しいね、君がこの時間まで寝てるなんて」

「……確かにそうかもな」

 

昼過ぎ、というか、もう夕方近くか?

起きたら目の前に綺麗な顔があるのにも、流石に何度も起こればもう慣れたというか。

 

「私は君の寝顔見れたから良かったけど。という事で、お邪魔してます」

「はいよ」

 

体を起こしながら、笑っているAZKiに返した。

 

「昨日って休みでしょ?何かしてたの?」

「ん?あぁ、研究室の飲み会があってな。普段はあんまり飲まないんだけど」

「飲み会?」

 

うちの学部は研究室の選択と配属が3回生の後期と早いから、この時期になると新歓が多いんだよな。俺は歓待される側だったから、参加してたって話だ。

 

「新歓だよ。大学の近くの飲み屋で」

「あー、そういえば配属決まったって言ってたね。といっても、私達大学の仕組みよく分かってなかったけど、とりあえず喜んでいいんでしょ?」

「……まあクラスと担任が決まった位の認識でいいよ。この先1年半位お世話になるからな」

「ふーん」

「単位数とか必修科目を取れてれば入れるから、配属出来る=卒業まで順調かどうかが分かるって感じだな」

「ほうほう。つまり、貴方は今順調って事だね?」

「ああ」

 

得心がいったと頷くAZKi。実際必修はほぼ取れてるし、このまま行けば4年目は卒研だけで終われそうだから、想定よりも順調といえるな。

 

「それにしてもお酒かー」

「ん?飲んだことないのか?」

「あるよ?でも、普段は気が抜けない事も多いからさー」

「……ああ、立場とかか」

「それもあるけど、一番はやっぱり女だしね。外だと安心しきるのはどうしても難しいから。その場がメンバーだけだとしてもなかなかねー。おうちだとそもそも滅多に飲まないし。聞いたことないけど、たぶんすいちゃんもそうなんじゃないかなあ」

「なるほどな」

 

まあこの2人が外で酔っぱらってベロベロになってるのも考えづらいな。ブランドもあるだろうし、その辺は事務所も気を遣ってるだろうが……。

 

「君は酔うとどうなるの?」

「どうだろうな、とりあえず昨日の記憶はあるみたいだが、多少明るくなる程度じゃないか?」

 

成人した後に帰省した時、親父に「限界を知っておけ」って言われて付き合ってもらいながら飲んだときは最後の方で変なこと言ってたらしいが、あまりにも支離滅裂過ぎて、俺らしくなかったのが逆に面白かったらしい。お袋が様子をきっちり動画に撮ってて、今でもたまに掘り返してきやがるのは頭が痛い問題だが、とりあえずはぐらかしておいた。

 

「そうなんだ……」

「AZKiは?」

「私?お母さんと飲んだときにはそこまで酔ってなかったって。詳しいこと忘れちゃってるから、酔ってはいたと思うんだけど」

「忘れるタイプか」

「メンバーと飲むときはお話メインでそもそもそんなに多く飲まないから大体覚えてるけどね。でも楽しく飲んでるよ」

「それはいいことだな」

 

どうやらあまり変わらないようだ。

 

「あ、そうだ!ここでなら飲んでもいいんじゃない?」

「うちでか?」

「うん。家族以外に貴方ほど安心出来る人なんて居ないし」

「それは……、まあ、俺の事をそう言ってくれるのは嬉しいが。あの、一応異性の家で酔うことのリスクとかは御存知のはずでは」

「ん?私やすいちゃんがここで酔ったとして、何かしちゃうの?それに、それは見知らぬ相手だからであって、ここまで知り合ってる彼氏さんのおうちなんだから、そのあたりは勿論理解してるけどなー」

「……さいですか」

 

少し前から思っていたんだが、この辺の吹っ切れ具合はAZKiの方が上なのでは?

 

「といっても、家には酒なんて常備してないぞ。あいつとオンライン飲みする時に買いに行くくらいで、それ以外だと飲まんし」

「なら一緒に買いに行こ?」

「ん?今からか?」

「うん。今日はお泊まりの予定だったし。ほら、着替えもここに」

「……せめて事前に連絡しておいてくれ。布団出してなかったから後で出さないと」

「すいちゃんもあとで来るみたいだし、多めに買っておかないとね」

「……とりあえず、すいせいにも連絡しておけって言っておいてくれな」

 

家を集会所かなにかと思ってないだろうか。

 

 

 

 

 

「えへへー、お似合いのカップルって言われたー」

「ずーるーいー!今度私とも買い物付き合ってよね!」

「近所で知り合いのおばさんなんだから、分かってて言われてるに決まってるだろ……」

 

とりあえず買い出しに行って来ている間にすいせいは来ていた。

勝手にお風呂入って着替えてたのか、すでにシャツとハーフパンツのみの気楽な格好だ。こんな肌露出の多いラフな姿をファンが見たら卒倒ものだろうな。

 

「お風呂掃除しておいたよ。一応勝手に借りちゃったしね」

「あ、なら私もいいかな。お酒飲んだ後ってお風呂危ないんだよね?明日お洗濯してあげるからさ」

「あー、厳密には違うが……。まあその方がいいか。わかった。おつまみ用意しておくからゆっくりしてきていいぞ」

「はーい。あ、前に使った入浴剤って」

「あ、それなら洗面台の下にいれてあったよー。すいちゃんのと混ざってたから、テキトーに使ってね」

「りょうかーい」

 

俺ん家なのに、こうも把握されてるのもなあ。

 

「宅飲みするって聞いたけど、具体的には?」

「とりあえず油断できる場所で飲んでみたいとの希望だったぞ。それ以外は聞いてないな」

「あー、そういうことね。おつまみって何か買ってきたの?」

「とりあえず安かったサーモンの刺身、お前は食べないかもだが茄子のお浸し、あとは何か作って?って頼まれたから、手軽に鶏ももとネギとニンニクの塩炒めでも作ろうかと。ニンニクきついなら止めておくが」

「明日は休みだしいいんじゃない?しょっぱいの好きだから嬉しいよ。というか、料理できるんだね?」

「手順見ながらなら出来るぞ。流石に本格的なのは手を出したことないが」

 

すいせいの返答を聞きながら、とりあえず調理の準備だな。あとは適当に家にあるので済ませるか。冷凍のポテトとかまだあったはず……。

 

 

 

「はー、いいお湯でした。お風呂上がったよー」

「いいところじゃーん。こっちも準備出来たよー」

「すいせいはなにもしてないだろ……」

 

タオル片手に出てきたAZKiに声かけてるすいせい。

 

「おー!なんか思ったより豪華じゃない?」

「1人ならポテト出すくらいだから、確かにそうかもな」

 

テーブルには結構な量のおつまみが出てる。居酒屋ならそれなりに金取れそうだ。

 

「いいの?」

「材料費は出してもらったしな。緊張しないで飲めるのが親以外だと初めてだって言うし、まあいいだろ」

「ありがと!」

 

嬉しそうにしてくれて何よりだ。

 

「お酒って何があるの?」

「とりあえず無難なところでビール、あとはフルーツ系のサワーだな。レモンとかグレープフルーツとかよく見るやつばかりだが」

 

度数もそんなに強くないのにしておいた。

 

「まあ、後は一応……」

 

棚からグラスを出してきた。あと、冷蔵庫から小さなボトル。

 

「なにこれ?ワイングラス?」

「ちょっとだけかっこつけてな。一口くらいならいけるかと」

「わー!白ワインだ!」

 

2人が嬉しそうに反応したのをみて一安心。

 

「ま、こんな床に座布団でお洒落も何もないが」

「いいじゃん!なんか、こういうのちょっと憧れるよね!」

「確かに。大人というよりかは、大学生のノリみたいな感じだね」

 

100均のコルク抜きで開けて、とりあえず注いでみる。

 

「わーお、お洒落に見える」

「ねー、なんか不思議」

「確かに」

 

なんとなく3人で姿勢を正した。

 

「乾杯どうするよ」

「そこは家主でしょ」

「だね」

 

2人揃って投げてきやがった。

 

「あー……、じゃあまあ、初めての酒飲み記念で、乾杯」

「「かんぱーい!」」

 

キンッと高い音をさせたあと、揃って飲み始める2人。それを眺めてから俺もグラスを傾けた。

 

「……あー、これがワインなんだね」

「思ったよりさっぱりしてるね」

「詳しいのは忘れたが、白の方が冷やして飲むのに適してるらしい。さっぱりしてるのは冷たいからってものあるかもな」

「そうなんだ」

 

飲み屋で語ってた奴がいた受け売りだが。

 

「あー、でもいつも飲むものより酔うのは早いかも、これ」

「物にもよるが、ワインはビールよりよっぽどアルコール度数が高いからな。この後飲むであろうサワーよりも強いぞ」

 

ビールは大体が5度前後、ワインは12~15度らしい。

 

「そうなんだ」

「まあ、うちなら飲みすぎなければ俺が面倒みれるから。あんまり難しいこと考えなくていいと思うぞ」

「うん、よろしくね」

 

残りは俺が飲むことにして、2人には買ってきた缶チューハイを渡した。

 

「食べ物足りなかったら言ってくれ。一応レンジで温めれば米もあるから」

「至れり尽くせりだね」

「まあ家主だしな」

 

とりあえず、様子を見ながら2人が飲むのを見守ることにしよう。

 

 

 

少し時間が経った。

2人とも若干目が蕩けてるのと、頬が赤い位であんまり変わった様子はない。一応水も出してみたが、きちんと飲んでくれてる。

 

「そういえばさ?お酒で聞きたいことあったんだ」

「なんだ?」

 

2人のいろんな話題に相づちを打っていたら、ふと思い出したみたいにすいせいに聞かれた。

 

「レディキラーってどんなお酒なの?」

「なにそれ?」

「誰だったかな……、たしかまつりちゃんだったかおかゆんだったかが言ってた気がするんだけど」

「あー、それはだな……」

 

すいせいの疑問の答は知ってるが、微妙に答えづらいな。

 

「知ってるの?」

「……まあそこそこ有名だな。あんまりいい意味ではないんだが」

「そうなの?名前はかっこいいのに」

「……そのまま訳してみな?」

 

とりあえず促してみる。

 

「んーと、レディって淑女とか女性だよね」

「キラーって殺人鬼だね」

「「女性殺人鬼?」」

「物騒だな、まあちょっと違う」

 

なんか方向がずれそうだったから、仕方ない。

 

「キラーはこの場合、殺しそのものを指すんだ。だから、正確には女性殺しになる。もしくは、これを差し出した本人を指すかもな。その場合はまあ女性を狙う殺人鬼みたいな意味になるかも」

「お酒で殺し?」

「命そのものじゃないさ。この場合は正気とか理性を奪うって意味だ」

 

首を傾げる2人。

 

「お酒飲むと、ふわふわするだろ?」

「うん」

「理性の箍が外れるとか言うよね。○○上戸とか」

「そうだ。それで飲みすぎれば、下手すりゃ記憶も無くなるよな」

「人によってはそうだね」

「つまり、簡単に言えば、男が女の理性を溶かすのを狙うときに使うお酒の総称だ」

「狙う……?あーそういうことね」

 

2人とも気づいたみたいだ。

 

「総称ってことは、いくつかあるの?」

「そうだ。有名なのはスクリュードライバーとかカルーアミルクとかだな。どれもこれも甘くて、初心者でも飲みやすいんだが、それこそさっきのワイン並、もしくはそれ以上に強いお酒だったりする」

「あ、聞いたことあるかも。オレンジジュースみたいって」

「スクリュードライバーの方だな。カルーアはコーヒー牛乳って言われる」

「オレンジジュースって言われたら飲みやすそうだね」

「実際飲んだことあるが、確かに美味しいし気づけば飲んでてもおかしくない。ただ、どれもこれもカルテルっていういくつかの飲み物と酒を混ぜて作るお酒なんだが、アルコール分を担ってる酒が皆強いんだよ。ジン、ウォッカとかって聞いたこと無いか?」

「名前くらいは」

「ものすごく雑にいうと、ワインの3倍強い」

「そうなの!?」

「だから、色々混ぜて薄めたとしても強いってのが分かるだろ」

「なるほどねー」

 

なんで酔っぱらいに酒の説明してるんだか。

 

「じゃあさ?もし、お酒の場で私達にそのお酒を出してきたら、私達狙われてるってこと?」

「……必ずしもそうとは限らないが、相手によっては警戒してもいいかなとは思うぞ」

「おー、そういうことになるんだね」

 

……なんで少し嬉しそうなんだ。

 

「あ、別に狙われてるのが嬉しいんじゃなくて。今こうやって知れたから、その場でふーんって思えるなって」

「そういう楽しみってなかなかないしね」

「……それもどうかと思うぞ」

 

2人の妙な盛り上がりは置いておこう。

 

「それって家でも作れるの?」

「酒と牛乳があればな。といっても最近はコンビニで元の酒も買えるらしいが」

「へー……」

 

2人してコソコソなんか話した後、

 

「なら飲んでみたいな。買ってくればいい?」

「今からか?なら俺が買ってくるから」

「いいの?」

「2人とも思ってるより飲んでるからな?今外出たら危ない」

「んー、君がそういうなら待ってるよ」

「すぐ戻る」

 

一応水のボトルだけ置いておく。

 

「居ない間は、出来れば喉乾いたら水飲んでくれな」

「「はーい」」

 

あんまり待たせるのもよくない。少し走るか。

 

 

 

 

「ただいまー」

「あ、おかえりなさい」

 

戻ってみれば、楽しそうに話す声が聞こえた。少し声が大きいが、まあ酔ってればこんなものかな。

 

「すまん、遅く……」

「ううん、別に大丈夫だよー」

「……なんで脱いでるんだ」

「暑かったからさー。冷房入れるのはなんか違う気がしたし、なら脱いじゃえって」

 

部屋に戻れば、すいせいはショートパンツを脱いでるし、AZKiも上を脱いでてキャミソールのみの姿。咄嗟に目を逸らしたが、露出が増えて赤くなってた肌や意外に大人っぽい下着も少し見てしまったな……。

 

「貴方しか居ないから、別に気にしないよ?」

「そこは気にしてくれ……」

「買えたの?お酒」

「ああ、ほんとに飲むのか?」

「買ってもらってやっぱり止めたは良くないよ。少しでいいからさ」

「わかった。少し待ってろ」

 

とりあえず棚からコップを出して、

 

「2人とも結構飲んでるから、薄めにな」

「うん」

 

ささっと作って差し出した。

 

「どうぞ」

「見た目はホントにコーヒー牛乳だね」

「ね。色とか匂いもかな」

「……うわ、流石にアルコールな感じがする匂いだ!」

「そりゃそうだろ。強い酒だって言ったろうが」

 

とりあえず見た目と匂いで盛り上がる2人。

 

「飲んでみるね。いただきます」

「いただきまーす」

 

飲んだ。

 

「……コーヒー牛乳だ」

「お酒の感じはするけど、コーヒー牛乳だね」

「だろ」

 

なんかポカンとした感じになるよな。俺も初めて飲んだときはそう思った。

 

「でも凄い飲みやすいね」

「うん。甘いし口当たり優しい」

「そういうことだ。それで使ってる酒は強いから、いざ立ち上がろうとするとふらついたりするんだよ」

「あー、後は流れでって事ね」

「これは知らなかったら騙されるなー」

「ここでもたぶん、トイレとかに行こうとするとふらつくかもな。言ってくれたら支えるから」

「うん、ありがとー」

 

とりあえず味は好みみたいだった。

 

 

 

「ねえねえ」

「なんだ?ツマミが足りないか?」

 

それからしばらく経った。

 

「ううん、だいぶお腹いっぱいだよ」

「それならなんだ?酒はもう十分飲んだだろ」

「うーん。結構フワフワしてるの分かるしねー」

 

いつものキリッとした雰囲気は何処へやら。2人ともかなりフワッとしてる。

 

「ねえねえ!」

「だからなんだよ」

 

なぜかじたばたするすいせい。下着なんだからもう少し大人しくしろよ。

 

「私達、今お酒飲んだじゃん」

「そうだな」

「こんな薄着で今ふらふらしてるわけですよ」

「そうだな、その割には元気そうだが」

「なんで手を出さないの!」

「は?」

 

目が据わってるあたり、正気かも疑わしいが。

 

「お、おいAZKi。すいせい止めてやれよ」

「ん?私から先?いいよー?」

「お前もか」

 

身を乗り出すな。キャミソールの肩紐ずれてるだろ。

 

「待て待て。落ち着け」

「詳しく説明してください。今、私達は冷静さを失おうとしています」

「ネタなのかマジなのか分からん!」

 

一瞬すいせいの顔が濃くなったように見えたが。

 

「だって、君が言ったんじゃん。女の人にカルーアミルク出すのは、そういう狙いって」

「お前らが飲みたいって言ったんだろうが」

「それは、つまりお誘いOKって事じゃん!」

「何をどう繋げたらそうなるんだこの酔っぱらいが!」

 

だから身を乗り出すなってば。

 

「そもそも!いつまで経っても君が手を出さないから!」

「それは冬まで待ってるって言ってただろうが」

「もう冬だよ?」

「それはそうだけど!」

 

あのさ、2人してにじり寄るの止めてくれって。もう後ろ壁なんだが。

 

「私達、そんなに魅力無い?」

「んなわけないだろ。今も目を逸らしてるんだから察してくれよ」

「見ていいんだよ?」

「素ならともかく、酔っぱらいのお前たちを辱しめてどうする」

「だーいじょうぶ。ちゃんと覚えてるから」

「なおさらダメだろ」

 

なんで2人して膝乗ってくるの!若干汗かいててしっとりした足の感触が伝わるんだが!

 

「あ、あのさ!酔った勢いって色々不味いとおもうんだが!?」

「でも、こうでもしないと君逃げちゃうし」

「に、逃げないから」

「いくら彼氏の前だからって、覚悟もなしにこんな薄着で見せつけたりすると思ってるの?」

「お前ら2人ともちょくちょくなってるから、何時もの事かと」

「いつも覚悟してるってことだよ!」

「そうなのかよ!」

 

すいせいのあまりの言葉になんも言えないよ。

 

「手も出さないのにちゃんと見てはくれるの何とかしなさいよ!わ、私達だって焦らされてるみたいで少しは思うところあるんだからね!」

「そ、それはすまん」

「とりあえず、頭撫でて!」

「お、おう……」

 

言われるがままに頭に手をのせて撫でてみる。すると、

 

「なんで、これは出来るのに……」

 

と呟いた後に、そのまま寝ちまった……。

 

 

 

 

「……AZKi。お前は割と覚めてるだろ」

「……エヘ」

 

そのままAZKiに視線を向けると、わざとらしく笑う姿が見えた。

 

「私は途中からお水飲んでたからね。まあいつもより気分はいいかなーくらい」

「なんで止めてくれないんだ」

「私は前にちょっと言ったから、今度はすいちゃんかなって」

「だからって酔っぱらう必要あったのか?」

「すいちゃん、変なところで気を遣っちゃうから。こういうのは場と勢いも必要だよ」

「ああ、そうかい……。とりあえず、降りてくれるか?」

「え、ヤだけど」

 

酔ってもないのになぜ拒否る?

 

「私だって、たまには身体で甘えたいもん。こういう時くらい、受け止めて欲しいな」

「……ハァ。もう好きにしろよ」

「うん」

 

そのままさらに乗り上げるのかよ。

 

「ほんとは私達で楽しんで?って言いたいけど。今は……」

「なんだ……?」

 

顔を抱き締められた。両頬に薄い生地と温かくて柔らかい感触。

 

「これで、許してね?」

「……心臓バクバクしてるくらいなら、無理するなよ」

「女の子が勇気出してるんだから、そういうこと言っちゃダメだよー」

「……」

 

絶対赤くなってる顔を見られたくなかったし、たぶん俺も酒で理性が緩んだんだろう。

 

「なら、遠慮なく」

「……ふふっ、どうぞ?」

 

空いてた片手で、AZKiを抱き寄せた。

 

 

 

ちなみに、すぐに目を覚ましたすいせいにこの場を見られて、両側からサンドされる形で抱き締められたまま寝る羽目になったのは、死ぬまで秘密にすると固く誓った。俺がなにしたっていうんだ……。

 

 




11/19 追記
誤字報告ありがとうございます。
修正しました。
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