アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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今回主人公およびホロメンはほとんど出ない、周りからの視点の話になっています。
楽しみにしていた人には申し訳ありませんがご了承ください。



第二十一話 友人視点

 「わりぃ、遅くなった」

 「おう、こっちだこっち」

 

 高校の時の同級生らが何人か帰省したってんで、俺はバイト終わりに居酒屋へ来た。予定より片付けに時間がかかっちまったから、少しだけ遅れたんだが他の奴らはすでに集まってたみたいだ。

 

 「あれっ?あいつも来るんじゃなかったっけ?」

 「研究室に行くって。実験結果が出る予定日だったらしい。これはあいつが詫びだってよ」

 「あー、それはしゃあねえよ。次の機会でいいだろ。あ、これはお礼言っといてくれな」

 「向こうが区切りついたら電話するって言ってたし、その時にでも言えよ」

 

 本当は親友たるあいつも来るはずだったんだが、何せこの集まりも急に決まったからな。卒業かかってるものをすっぽかす訳にはいかないだろう。

 

 「なんだかんだ久しぶりだな。あんまり変わりなくてよかったぜ」

 「いっても年一程度で合ってればお互いそんなに変わらないでしょ」

 「すっかり都会っ子になったかと」

 「まあ便利さは向こうの方が上だが、馴染み度合いが違えよ」

 

 この辺のやつらは都会に出て行くのは多いが、長期休みになると大体地元に戻ってくる。そのせいか、結構な頻度で会ってる気もするし、おかげで付き合いが長くなった奴も増えたもんだ。

 

 「ところで、あいつがいねえってことは、今日は色々聞けるんだろうな?」

 「おう、ネタは色々持ってきたぜ」

 

 にやりと笑う俺ら。

 

 「おし、じゃあ最近の『星達』の情報をよろしく頼む」

 「任せとけ、何から聞きたい?」

 

 本人がいないなら、まあ話のタネになるよな。

 

 

 

 酒を呑みつつ色々話していくうちに一息ついた。

 

 「そういやよ、年末頃のあの連絡(第9話参照)は何だったんだ?」

 「職場で急に来たし、内容みて変な声出たよ?」

 「タゲに聞かれたけど、上手いこと思い浮かばなかったから知恵を借りようかと」

 「相変わらずお前も利用されてんのな」

 

 呆れ声で言われるが、俺にも色々恩恵あるからな。

 

 「その御蔭でライブチケット貰えたんだから、俺に感謝くらいしろよ」

 「「「それはもう、ありがとうございます」」」

 

 ノリがいい奴らで感心するよ。

 

 「つーかよ、そういうのは本人らの方がわかるもんなんじゃねえのか?」

 「やることやってそうなもんだけどねえ」

 「流石にそこまで踏み込めるかよ。それに、あの2人にがっついてるあいつなんて、お前ら想像出来るか?」

 「……」

 

 俺の言葉に全員少し黙って、

 

 「いやあ……、無いな」

 「だろ?」

 

 全員首を振った。

 

 「そもそも、学生時代あれだけ見え見えで攻勢受けてたのに、あいつの態度がまるで変わらなかったしな」

 「男ども全員玉砕した身なのに、あれ見てたら嫉妬心すら湧かなかったよな」

 「女からしても、横から手を出す気にならなかったよねー」

 「つーか、気づけばウチらの教室いたよね。一個下なのに違和感なかったし。なんか普通に話してたわ」

 

 全員学生の頃を思い出して、一斉に苦笑してるのウケるな。

 

 「あの時って何話してたんだ?」

 「ん?何話してたっけ?」

 「先生の愚痴とか、授業のこと聞かれたりもしたよね」

 「あたし、課題の経験とか教えたかも」

 「思ったより普通だったな」

 

 アイドルだろうがなんだろうが、学生時代ってのは誰にでもあるもんだ。

 

 「あ、あとやっぱり彼の事もちょいちょい聞かれてたよね」

 「確かに。様子とか?」

 「そこだけ聞いたら保護者だなw」

 「というか、その割にあいつからあの2人の話題とかほとんど振られなかった気がするんだが」

 「うちのクラスそこまで陰キャとかぼっち好きとか居なかったし、大体皆で話してたよな?」

 「あー、それはたぶんあいつが意図的にそうしてたと思うぞ。あの2人が大人気だったから、出しゃばりたくなったらしいし」

 

 誰かの疑問に俺が答えたら、全員一瞬あっけにとられて黙ってから。

 

 「相手が向こうからガンガン来てるのに出しゃばるもクソもあるか!」

 「むしろいつくっつくのかって見ててヤキモキしてたわよ!」

 「何の遠慮してんのよバカ!」

 

 爆発した。

 

 「俺もあいつから聞いた時はそう言ったけどな。そりゃあいつなりに思う所あったんだろうけど、まあ無理あったよなあ」

 「なるほど、これは今度あいつが来てからみっちり聞き出す必要があるな」

 「「「異議なし」」」

 「賛成多数により承認。次は絶対あいつ引っ張ってこい。色々聞きたいことがある」

 「まかせろ。日程調整つけてやるよ」

 

 あいつはあんまり物事の中心になるのは好きじゃないが、ノリが悪いわけでは無いし、たまには巻き込むのもいいだろう。

 

 

 

 「そういや、あいつ配信出てたよな」

 「ね!真っ黒だったけど、一発で分かった!」

 

 話題は何時ぞやのゲスト配信の事になった。

 

 「緊張してるの新鮮だったな」

 「割と何でもこなしてたけど、学生の頃なんて、人前には立つ感じじゃなかったよね」

 「教師の物覚えはよかっただろ、頼りがいあったし」

 

 実際、困ったらあいつに聞くってのは俺らも先生らもやってた気がするし、大抵の答えは返ってたな。

 

 「俺らはあの頃で見慣れてたけど、あの3人の立ち位置ってあんな感じだったよなあ。教室で話してた時まんまだったし」

 「すいせいちゃんはガンガン距離詰めるし、AZKiちゃんも何も言わなくてもそっと寄り添ってたよねー。あまりにも変わってなくて、あの配信観た時の既視感凄くて笑っちゃった」

 「帰り道とかたまに見かけたけど、まんまあれだったわ」

 

 俺も見かけたことあるけど、確かに言われてみれば見覚えあったな。

 

 「つーかよ、あいつゲームとかやってたんだな。なんか意外だったわ」

 「しかもバリ上手かったやんけ」

 「すいちゃんってあのゲームむちゃくちゃ上手かったよね?」

 「配信で時々やってたけど、あんなボロボロに負ける感じじゃなかったよ?」

 「パズルゲームとか結構好きだぞ。それこそあの3人で最初にやったのがあのゲームだったらしいし」 

 「ませたガキだなおいw」

 

 今にしてみれば、ガキの頃にだいぶ難しいゲームやってんなって話だけど。

 

 「昔から勉強の要領は良かったよな。パズル得意とかもそういうことなのかね?」

 「テスト前とか何聞いても教えてくれたよねー」

 「筋道を立てる過程が好きらしい。だから勘頼みとかは苦手って自分で言ってたぜ」

 「マークテストの鉛筆転がしとか無縁そうだな」

 「似合わな過ぎるだろw」

 

 そんな感じでくだらない話に盛り上がった所で、

 

 「ん?電話だ。ちょっと出るな」

 「おう」

 

 スマホが震えたんで周りに断ってから出ると。

 

 『悪い、ようやく終わったんだが。そっちは?』

 「お、まだやってるぜ。スピーカーにしようか?」

 『そっちがいいなら頼む』

 

 あいつからだった。周りも頷いたのでスピーカーでテーブルの中心に置く。

 

 「おつかれー、研究は進んだのか?」

 『ああ、予定通りって感じだよ。悪いな、行けなくてよ』

 「気にすんなよ。こっちも予定してなかったしな」

 「そうそう!むしろ連絡してくれてありがとね!」

 『そう言ってくれると助かる』

 

 こいつらも気にしてない様子で話してるな。ホントにいい奴らだ。

 

 『今日は何話してたんだ?』

 「近況の事をボチボチと、あとはお前のことだな」

 『俺?』

 「ぶっちゃけ本人いなかったから割と好き勝手言ってたぞ、俺も含めてな!許せ!」

 『……まあ、流石にライン超えてたらお前は怒るだろうし、いいけどよ』

 「いいんだね……」

 

 こいつ、ホントにこういう許容ライン相当高いからなあ。こっちもわかってる事ではあるけど。

 

 「こっちには来れそうか?」

 『流石に今からだと遅すぎないか?行こうと思えば行けるけど』

 「俺は明日まで実家いるから平気だが」

 「私もー」

 「らしいぞ。ここはまだ開いてるし、来れるなら来いよ」

 『わかった、ならもう少ししたら大学出るからもう少し待っててくれな』

 「おう!気をつけてな!」 

 

 通話が切れると、全員でニヤリと笑った。

 

 「予定よりだいぶ早くなったが、尋問出来そうだな」

 「ああ。1杯位奢って口緩くさせるか」

 「楽しみだねえ……」

 

 微妙に悪い笑い声が漏れてたが、まあこんなこともあるな。せっかく来てくれるアイツには悪いが、酒の肴になってもらうかな!

 

 

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