アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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今回もホロメンの出番がほぼないです。
主人公の惚気が少し多目です。ご注意下さい。


第二十二話

 「そういやよ、一つ気になったんだが」

 「なんだ?」

 

 バイトの合間の昼飯休憩中。2人してフードコートで飯食ってたら、友人がこう切り出してきた。

 

 「あの2人との付き合いって、ガキの頃からって言ってたよな?」

 「そうだな。小学入る前からだから……、もう14、5年位になるか」

 「俺がお前と知り合ったのが高校だから、それでも5、6年か。そう考えるとずいぶん長いよな」

 

 確かにそうだ。

 

 「それがどうした?」

 「いやさ、今更お前らの仲を疑うつもりはないんだが」

 「おう」

 「お前らって、喧嘩とかしねえの?」

 

 ふむ。確かに、今まで聞かれたことなかったな。

 

 「んー、喧嘩はあんまりしねえな。そりゃ揉めることもないことはないが、大抵俺が出してる折衷案で折れてるし」

 「そうなのか?」

 「ああ。そもそも、揉めるのは大抵あの2人だしな。俺が当事者になることはほとんど無いぞ」

 

 俺がそう言うと、あいつは一瞬意外そうな顔をしたが、すぐに納得したみたいだ。

 

 「お前、喧嘩しないのか……?って思ったが、そもそも強く言ったりしなさそうだな」

 「そうだな。あんまりああしたい、こうしたいとか無いし。しかも、たまーに俺がなんか言った時はあの2人まじで全肯定しちゃうから揉めようがねえ」

 「あー、それはなんか割と想像つくな」

 「むしろ、俺の言ったことに対して要求以上のもの出そうとするから、それを止めるほうが大変だったりするぞ」

 「……それもなんか想像ついたわ。変な所で苦労するもんだな、お前」

 

 あの2人、加減ってものを割と簡単に放棄しやがるからな。出かけたいとかいえば、簡単に出先のホテルのスイート予約しようとした時は流石に怒ったりもしたが。

 

 「ってことは、揉めるとしてもあの2人なんだな」

 「そうだな」

 「結構仲良さそうなもんだが、何で揉めるんだ?」

 「聞いてる感じで一番多いのは、ライブの演出とかじゃねえかな。2人ともイメージを形にするのはめちゃくちゃ拘ってるから、特に合同ライブとかになると熱中してる」

 「おー、それはなんか、分かりやすいというか」

 「配信の方向性とかでもたまにぶつかってるぞ。これはホントにたまにだけどな」

 

 あの2人、似ているようで譲れないものもあるらしいし。

 

 「なるほどなー。なんか、お前も含めてらしいっちゃらしいか」

 「言ってて俺もそう思う」

 「でもよ、それならお前絡みで揉めたりはしねえのか?流石にドロドロしてるとは言わんが、それでも女同士ってなんかあったりしそうなもんだが」

 

 ……あえて言わなかったのに、こいつ察しがいいな。

 

 「あー、まあ無いことは無いぞ。聞いてもつまらんとは思うが」

 「おいおい、そういうのが欲しかったんだって。言えよ、勿体ぶらずにさ」

 「お前な、こういうのって自分で言うのすげー恥ずかしいんだが……、仕方ねえな」

 

 ここまで言って言わなかったら、怒りそうだしなあ。

 

 「さっきも言ったが、そもそもあいつらが喧嘩をするのって凄い珍しいんだよな」

 「そうだな」

 「んで、ライブやら配信やらってのは俺が口出しできることじゃないだろ?分かるわけないし」

 「そりゃあ素人が何言ってもなあって感じか」

 「そうだ。じゃあ、俺が出してる折衷案ってなんなんだって話になるだろ」

 「……そういやそうか。なんか普通に聞き流してたが」

 

 ホント、理解が早くて助かる。

 

 「まあよくあるのは、デートの行き先だな」

 「海か山かみたいなもんか?」

 「そこまで大げさじゃねえが、まあどこの飯屋いくかーみたいな感じだな。あいつら、なんだかんだ色々知る機会が多いから、そこに俺を連れて行きたがるんだが、提案した側がその後を好きにするみたいなルールみたいなのがあるみたいで」

 「……つまり、1日のデート権みたいなもんか」

 「バッサリ言えばそうだ」

 

 俺がそう言うと、こいつもなるほどねーみたいな顔してる。

 

 「基本的にはお互い譲り合いしてるみたいなんだが、仕事が立て込む前や後なんかだと、そうも言ってられんらしい」

 「あー、会えなくなる期間が長いからか」

 「小っ恥ずかしいから自分で言いたくはないが、そうらしい」

 

 この辺は俺達3人の複雑な事情が原因だしな。

 

 「なるほどな。折衷案ってそういう時はどうしてるんだ?」

 「一番手っ取り早いのは、俺が数日予定空けて、そこで長めに付き合うようにしてる。1日しか無理でも昼飯と夕飯で分けたりして、それぞれの要望叶えたりとか」

 「お前の負担凄くないか?」

 「恩恵タダ飯だしな。それに、あの2人に付き合うのは俺も楽しいから別に苦でもないぞ」

 「お前が惚気るのも珍しいな」

 

 聞いておいて惚気ってなんだよ。

 

 「じゃあ、基本的にお前が何とかしてるんだな」

 「何とかってほどでも無いけどな。たまに俺が食べたいもの出した時の方が大変だし」

 「あー、私が!ってなる感じか」

 「そうそう。まあ前回こっちだったな?で大体折れるけど」

 「その辺ちゃんと覚えてたり、聞いて折れたりするのはなんかお前らっぽいわ」

 

 2人とも揉めたいわけじゃないしな。

 

 「……ほら、こんな感じだ」

 「……わーお。タイミングいいな。どっかで見てるんじゃねえの?」

 「んなわけあるか。2人とも今日までロケとレッスン詰めだわ」

 

 スマホ震えたんで確認したら、まさにすいせいとAZKiからの連絡だった。しかも、夕飯の提案とたった今話してた内容だな。

 

 「今回は2人とも俺の飯が希望らしい」

 「こっち来るのか!」

 「つか、この感じだとそのまま泊まるんじゃねえかな」

 「おうおう、見せつけてくれるぜ」

 「たまたまだろ。家になんもねえな……。帰りに何か食材買って帰らねえと」

 「付き合おうか?今日俺実家の車だし」

 「あー……、次の飯奢りで」

 「やりぃ。ここの下で買うのか?」

 「そうだな。大層なもん作るつもりねえし、ここなら何でも見つかるだろ」

 「了解。じゃあ、シフト終わったらそのまま行くか」

 「サンキューな」

 

 とりあえずそんな感じでこの後の予定も埋まったし、バイトに戻るとするか。

 

 

 

 

 「……あ、そういやリキュール買っておかないと、そろそろ無くなるかもしれん」

 「ん?お前わざわざ仕込んでんのか?」

 「俺用じゃねえよ。あの2人がうちに来ると、スクリュードライバーとかカルーアミルク飲みたがるから、ストックしてるの。前にうち来て飲んだときに気に入ったらしくて」

 「あー、なんかの配信で言ってた気がするな。外だと飲まねぇって言ってたが」

 「まあ立場とか色々あるみたいだしな。ウチだと何があっても俺が面倒見れるから」

 「なるほどな。まあデカい酒売り場あるし、その辺探せば見つかるだろ」

 

 

 (……完全に2人とも誘ってるんだろうな、それ。年末以来、時折出てる色気が凄いことになってるって話題だったのはこれか)

 (最近特に誘惑が凄いのは黙っておくか……。俺も堪えきれないことあるし)

 

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