アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話 作:rideru
「結局2人と彼氏さんの写真の件はどうなったの?」
「正式に謝罪とウチに賠償だってさー。彼にも謝罪しようとしてたけど、それはあたしらで止めた」
「わざわざ接触させるのも違うかなってマネちゃんと相談したら、そういうことにしましょうって」
今日は色々な理由で集まった通称『0期生』の皆でご飯を食べに来たよ。
「ふーん。じゃあ解決はできたんだ?」
「うん。とりあえずこの件はちゃんと公表して、次が出ないようにする予定みたいだよ」
「すいちゃんがこれ聞いた時一緒に居たけど、滅茶苦茶喜んでたにぇ」
ふーん、と頷くそらちゃん+ニヤニヤしてるみこち。
「そりゃ当たり前でしょ。自分の周り飛んでる鬱陶しい虫潰せたら嬉しくない?」
「言いたいことはわかるけど、例えが物騒だなあ」
ロボちが苦笑してるけど、言ってる事は間違ってないはず。
「ってことは、今2人と彼さんの間には何も問題ないってこと?」
「そうだね。元に戻った感じかな」
「じゃあさあ、今度私も会ってみたいなあ」
「そらちゃんが?」
「うん。みこちは会ったことあるんでしょ?」
「うん。なかなか面白い人だったにぇ」
あの時はみこちとポルカが彼と意気投合してたから、色々大変だったわ。
「ロボ子さんも会ってるって言ってたよね?」
「会社のロビーでね。でもすぐ帰ったから長居はしてないよー」
「私達以外だと、初めて会ったのがロボ子さんだからね」
彼があたしら以外に2人だけ知ってたホロメンの1人がロボ子さん。ちなみにもう1人がそらちゃんだね。
「ほら、0期生で私だけ会ったことないんだよ」
「いやまあ、それはそうだけど」
「この活動する前から身近にお父さん以外の男性いないからさあ。知り合いの彼氏さんなら万が一の間違いも起きないから安心かなって」
「間違いって」
言ってる事はわかるけど。
「向こうが嫌なら別にいいの。これは私のわがままだしね。2人が一緒にいてもいいから、聞いてみてほしいなって」
「うーん、別に断らないと思うけどなあ」
「そうだね。後で話だけでもしてみるよ」
「ホント!?ありがとー!」
「おい、なんでそらちゃんはあっさり聞いてんのに、みこはあんなにダメダメ言われたんだよ!」
「そりゃみこちだし」
「あんだとぉ!?」
五月蝿いみこちは放っておくとして。そらちゃんが彼に興味を持つのは正直意外だったなあ。まあ、普段からあれだけ話題に出してればおかしくもない、かな?
「あー、ならボクも改めてお話してみたいかもー。2人のこととか聞いてみたくなーい?」
「ロボ子さん?」
「いいじゃん。別に減るもんでもないしー」
にへーっと笑ってるロボ子さん。さっき少しだけお酒飲んでたのもあってか空気はぽやんとしてるけど、目は本気っぽいし、話したいのも本音かなぁ。
「んー、とりあえずまずは会うか聞いてみるよ。それで日程がつくならって感じでいい?」
「うん。無理はしないでね」
「ボクもー。むしろこっちが合わせてもいいくらいだしねー」
「はいはい。今度会うときにでも聞いておくわ」
うーん、どうなるかなぁ?
「は?なんで?」
「知らないわよ。単に興味があるって話らしいけど」
「いやー、お前ら2人はともかく、現役バリバリの大人気アイドルに見ず知らずの男が会うのってのは、こう、どうなんだ?」
「見ず知らずではないからじゃないかな。私達の知り合いで関係性も明らかだし」
大方の予想通り、彼はそらちゃん達の立場を考えて難儀を示しました。
「あとはまあ、公式から例の問題の解決が出たでしょ?タイミング的には怪しまれないからじゃない?」
「……俺が明らかに白だからか」
「そうそう。貴方が変なのに狙われてた事は分かってて、公式にそれが解決。貴方の潔白さがアピールされた所でそらちゃんが動いた。これなら少しは筋が通るでしょ」
「しかもロボ子さんも一緒なのも、貴方が前から知ってたホロメンだからって理由も立つからね。これも言ったことあるし」
「……いや、無理やりすぎるだろ」
言ってて私もそう思いますけど。
「みこちとかに会った話はあたしらも配信でしてるしね。あいつに言いふらされて2人が興味を持った事にすれば、0期生繋がりで納得もするでしょ。今回も2人からのお誘いだし」
「……つまり、そういう事にしろと」
「貴方に危害を加えられる事は万に1つも無いから、素直にアイドルに会えるやったーってことにしない?」
「いやまあ、俺はお二人の都合つくならいいけど……」
なんで彼がここまで渋ってるかはわかります。いつも人のこと優先する人なのは知ってましたが、ここまで来ると凄いなあ。
「なら、後で2人にもう1回確認取ったらいい?」
「……まあそれでもいいって言うなら、俺からはもう何も言わないよ。ついでにバイトとか授業の予定も渡しておくから、日程も決めてくれていい」
「分かった!ありがとう!」
それでも最後には頷いてくれるんですよね。
「あのさ、少しいいか?」
「ん?何?」
あれから少しして、別のお話していた所で彼がふと聞いてきました。
「蒸し返すようで悪いんだが、そらさんとかロボ子さんに会うって話」
「うん」
「特にすいせいが、俺と他のメンバーを会わせるのを嫌がってたって前に聞いたような気がするんだが」
「あー、うん。そうだね」
苦笑しつつも頷いてる。
「だけど、今回は結構前向きに押してきた気がしてな。理由でもあるのかと思って」
「うーん、そんなに深い事はないけど」
頬を掻きながら話すすいちゃん。
「前は他の人に目を向けてほしくなかったのが1番。まあそれは今もだけどさ。みこちに関してはそもそも若干しつこかったのと、まあ単純に揶揄われたりするのが鬱陶しかったのもあるけど」
「お前らはホントに、仲がいいのか悪いのか……」
「あ、あはは……」
いつものこととは言え、彼のツッコミに私も笑うしかなかったね。
「だけどまあ、色々変わったからさ」
首元をちゃらりと揺らすネックレスをみると、彼は少しだけ咳払いしてた。照れたのかな?
「それに、そらちゃんもロボ子さんも知らない仲じゃないし。純粋な興味なんだろうなって。それなら私が断るのは変かなって思ってさ」
「特にそらちゃんはアイドル活動始める前からあんまり男性と関わりがなかったんだって。だから、知らない男の人はやっぱり身構えちゃうし、その点貴方は私達がいるから安心感あるよねって」
「なるほどな」
彼は理由を聞いて納得したみたいだった。
「ロボ子さんは前に一瞬だけ会ったと思うけど、面白そうなら割と突撃するタイプだからさ。人見知りとかもあんまりしないしね」
「性格も天然って言われてるけど、結構ちゃんと人は見てるからね。単純に貴方のことを気に入ったんじゃないかなあ」
「……あの一瞬で?」
「ま、まあ基準は人それぞれだから」
コミュ力はメンバーの中でもトップクラスですし、何かが琴線に触れたのかな?
「わかった。すまん、話戻しちゃって。とりあえず色々決まったら教えてくれな」
「ありがと。ごめんね?無茶言って」
「謝るくらいなら最初から言うなって言いたいが、2人ともそれなりに長いし、無茶振りもなんか慣れたよ」
「えへへ、可愛い彼女のお願いってことで」
「可愛いのは否定しないが、自分で言うな……」
可愛いのは否定しないですって。前と比べたら素直になったなあ。
「そんなわけで、彼は都合がつくならいいって」
「やったー!」
WEB会議のカメラの向こうで無邪気に喜ぶそらちゃん。ロボ子さんもニコニコしとる。
「何聞いてみようかなぁ」
「楽しみだねー」
「そんなに楽しみにしてたの?」
「うん!熱々カップルにインタビューって一度はしてみたくない?」
「……興味はあるけど、これは私達がされる側だしなあ」
あずちゃんも苦笑いだ。
「えへへ。ロボ子さんも一緒に考えよーね!」
「うん。色々深掘りしないとねー」
「頼むからお手柔らかにね?彼、一般人だからね?」
ちょっと早まったかな、これ?
本話投稿時点でUAが10万を超えていました。
ありがとうございます。