アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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日常回です。



第二十五話

 「はー、いいお湯でした!」

 「そりゃ良かった」

 

 ある日の朝。休みだからとのんびり起きて、朝飯食ってたら突然AZKiからうちに来るって連絡が来た。その後割とすぐに来て、挨拶もそこそこに荷物を放り出してシャワー浴びに行ったから、とりあえず味噌汁だけ置いておいた。

 

 「ん、これ私の?」

 「疲れてそうだったからな。飯食べてないだろ」

 「ありがとー……、はー、沁みる……」

 

 風呂から出てきたAZKiは、いそいそと座って味噌汁飲んでる。なんか感想が大学でたまに見る酔っ払いのそれなんだが、流石に本人には言うまい。

 

 「んで?今日はどうした?予定何もなかったよな?」

 「うん。ここの所ダンスとボーカルレッスン詰め込んでて色々疲れちゃったから、ちょっと配信の方はお休みとったの。だから、折角だし貴方にちょっと甘えに行きたいなって」

 「なるほど。まあ、俺も暇してたから構わないけど」

 「ありがとう。あ、お泊り道具はあるから大丈夫だよ」

 

 俺が休みな事は知ってて来たみたいだった。今はサッパリしているが、AZKiがうちに来た時は結構な汗をかいていたから、まだまだ外は暑いみたいだ。というか、泊まるつもりだったのね。

 

 「甘えたいのはいいが、そうはといっても何もすることないぞ」

 「今日バイトは?」

 「シフトは午後からだな」

 「食べに行ってもいい?そのまま帰りも一緒に帰ってみたいな」

 「ちょっと待て……、今日の相方は誰だ……?」

 

 来るのは良いんだが、今や相当な有名人だから下手なこと出来ない……、あ。

 

 「あいつならいいか。一応AZKiの事知ってるし伝えれば理解してくれるだろ」

 「あ、よく一緒にいるお友達さん?うん。何度かお話もしてるしね」

 「わかった。なら、一応バレないようにな」

 「いいの?」

 「休みなんだろ。好きにしたらいい。仕事だから流石に構ってはやれんが」

 「やった!」

 

 嬉しそうに笑って抱き着いてくる。

 

 「なら、お仕事まではのんびりしよ?」

 「そうだな」

 

 とりあえず、ホントに珍しく甘えたがりの彼女をあやす所から始めるか。

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、起きた。おはよー!」

 「……おはよう」

 

 起きたら目の前にすいせいの顔。AZKiもたまにこれをやるんだよな。この光景も慣れては来た、が……。

 

 「……いつ来たんだ?」

 「んーと、こっちに帰ってきたのは昨日の夕方で、ここに来たのはほんの1時間ちょっと前位かな。スマホで『今から行くよー』って連絡したけど反応なかったし」

 「そっか。すまんな」

 「ううん。寝てるのかなって思って静かに入ったし、実際気持ちよさそうに寝てたから起こさなくて良かった」

 

 昨日はいなかったはずのやつがいれば、たとえそれが合鍵渡してる恋人であってもとビビると思う。

 

 「あ、シャワー借りたからついでに掃除しておいたよ」

 「……ありがとう。だからそんな薄着なのか」

 「目の保養になるでしょ?存分に楽しんで?」

 「……そうだな」

 

 ポーズ決めてるのはツッコむのも疲れるから流しておこう……。

 

 「……それで、今日は何か約束してたか?」

 「ううん。こっちに戻る用事があったけど、昨日予定より早く終わって帰るまで暇になったから、戻る前にここに寄ろうかなって。今日は休み予定だったしね」

 「そっか。俺が忘れてたんじゃなくてよかったよ」

 

 寝起きでよく頭回ってないが、すいせいの予定外な行動らしくて良かった。

 

 「……飯は?」

 「まだ食べてないよ。起きてすぐに来たし」 

 「簡単なのでよければ出すが」

 「ほんと?なら貰っちゃおうかな!」

 「わかった。……顔洗ってから準備するから、少し待っててくれ」

 

 とりあえず身体を起こす所から始めるか。

 

 

 

 「んー、やっぱり白ご飯はいいね」

 「レンチンだがな」

 「むしろそれでこれだけ美味しいんだから、文明ってすごいね」

 

 ご飯、味噌汁にセールで安く買っておいた鮭と味付け海苔。滅茶苦茶シンプルな朝飯だが、すいせいは凄い美味しそうに食べてくれた。

 

 「貴方にしてはのんびりしてたけど、今日はお休みだったの?」

 「午後からバイトが入ってる。授業は教授の出張で休講だから、今日は大学に行く予定は無かったな」

 「そっか。なら、一緒に行ってバイト先でアイス買ってから私も向こうに戻ろっかな」

 「来るのはいいが、一応顔は隠しておけな?騒ぎになったら面倒だ」

 「もちろん。私も無闇に騒がれたくないし」

 

 2人とも食べ終えてささっと片付け。そのまま部屋でのんびりすることに。

 

 「これ観てよ。みこちがさあ……」

 「ん?……なんだこれ?」

 

 時折すいせいが動画を見せてきたり、

 

 「貴方って猫派?」

 「どうだろうな……、祖母は犬飼ってたから散歩とかしてたが。猫は身近にいた事がないけど、好きだぞ」

 「……今度、猫耳でもつけてあげようか?」 

 「なんでそうなる……」

 「にゃ~ん♡ご主人〜♡」

 「甘え方が雑すぎるって。そんなキャラじゃないだろうが……」

 

 人が本読んでる所に突然じゃれついてくるのをあやしたりした。

 

 「えへへ、楽しい」

 「そりゃよかった。……満足したか?」

 「んー、まだかな!」

 

 ……一通り楽しんでるように見えたんだが。

 

 「向こうに戻る前に、貴方成分をたくさん補充しておかないと、切れたら私だめになっちゃうからさ!」

 「……そうかい。なら好きなだけ持ってけ」

 「そのつもり!」

 

 そんな満面の笑みで言ってるのに意味はわからないが、たまにはこんな日があっても良いかと、抱き着いてくるすいせいの好きにさせることにした。

 

 

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