アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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第二十八話 S&A

 

 「……この辺とかどうかな?」

 「いいんじゃないかな。その期間なら私達も予定あけられると思うし」

 「貴方は?」

 「今の時点で決められるなら予定はまだ空いてるし、バイトのシフトも調整できるぞ」

 「よし、ならこの後マネちゃんに連絡しておくから、一旦ここにしよっか」

 

 

 あたしらは今、年末年始に向けた旅行計画を練ってるところ。オンラインのカメラ会議だけどねー。去年はかなり無理をして休みにできたけど、流石に今年は少しずらそうって彼が言うし、行くのは結局1月中旬とかになりそうだけど。

 

 

 「今年はクリスマスもイベント目白押しだから、お出かけもデートもお預けかー」

 「仕方ないだろう、アイドル活動とクリスマスってのはどうしたって切れないだろうし」

 「公然の彼氏持ちな私達が出ても仕方ないと思うけどなあ」

 「……まあ、そうかもしれんが」

 

 

 マネちゃんからも少し前に『今年は頼みます』ってちょっと困った顔で念押しされちゃったし。毎回迷惑かけるのも良くないし、今年は諦めるしかないか。

 

 

 「今年は3Dでゲーム大会するんだって」

 「へー、リアクションが観れるのは皆楽しみなんだろうな」

 「告知の配信も盛況だったから、運営さんも準備が大変そうだけどね」

 「私の得意ゲームが種目にあるからね。今年も負けたくないし」

 「最近やたら俺に挑んできたのはそれでか」

 

 

 貴方に勝てれば文字通り敵無しだもん。

 

 

 「私は特に何もないから、皆でワチャワチャ出来ればいいなって」

 「あれ、確か内容にホラーゲームあったような?」

 「え?聞いてないけど……」

 「あっ、これ言っちゃいけないやつだったかも」

 「すいちゃん!?」

 

 

 いろはとかミオちゃんとかも参加メンバーに選ばれてた気がするし、ドッキリなのかな。とりあえず誤魔化しておかないと。

 

 

 「貴方は?クリスマス予定はないの?」

 「今年はお前らが仕事だって言ってたから、俺もバイトだな。年末も大掃除要員で出るし、三が日はお店が休みだが、4日から入る予定だし。クリスマス用のアイスケーキの予約で一杯だから、出れば時給が高くなるんだってよ」

 「へー、大変だね」

 「書き入れ時はそんなものだし、何回かやってるから慣れてるよ。一応お前らの分も予約してもう買って確保してある。女の子ってそういうの好きだからたまには買っとけって奴に言われたしな」

 「ほんと!?」

 「ああ。店長にも事情伝えて代金も払ってあるし、家だと冷蔵庫小さいから店で保管してくれるように頼んである。こっちに来る日言ってくれたら店から持って帰るよ」

 「わぁ!ありがとう!」

 

 

 私達二人して子供みたいにきゃあきゃあ喜んじゃった。お友達くんにも後で感謝伝えておかないと。

 

 

 「じゃあ、クリスマス前にイベント前で休みある筈だからその時にそっち行って食べようかな!あずきちも来る?」

 「確かお休み同じだったよね、ならそうしよっか」

 「わかった、一応12月入ってから販売開始でもう在庫は用意してあるから、早めに教えてくれ。休みも取れると思うし」

 「「はーい」」

 

 

 デートの予定が決まると、いつもそこまで頑張ろうって思えるんだよね。何度もしてるのにホントに不思議だわ。

 

 

 

 

 

 

 

 「ところで、就職はどうなったの?」

 「教授とも色々相談したが、アイス屋の正社員登用になったぞ」

 「バイト先の?」

 

 

 一旦諸々の予定が詰まった所で、私がふと気になったことを聞きました。

 

 

 「俺も知らなかったんだが、店長と教授が結構前からの知り合いらしくてな。話した際にいきなり笑われた時は何事かと思ったが」 

 「そんな偶然あるんだね」

 「教授の息子夫婦があそこの常連らしい。たまに研究室に差し入れてくれたり、本人が食ってたから何でかなって思ってたんだが、その縁だそうだ」

 「じゃあ特に問題なく?」

 「そうだな。この間改めてこっちから店長にお願いして、店長の奥さんも含めた3者面接も無事に通ったから、後は卒研を乗り切るだけだな」

 「おめでとう!」

 「ありがとな」

 

 

 彼が私達にあえて言わなかっただけで、ずーっと忙しくしてたのは知ってましたし、ようやく落ち着くのであれば私達も嬉しいです。

 

 

 「ならさ、就活終了お祝いしなきゃ!」

 「そうだね!」

 「ありがたいが、面倒な事までしなくていいぞ」

 「あれ、いつもなら嫌がるのに。いいの?」

 「正直肩の荷が下りたのはホントだからな。お前達が心配してくれてたのもなんとなくわかるし、こういう時は素直に受けた方がいいんだろ?」

 「うーん、だいぶ分かってきたねぇ?」

 

 

 いい傾向ですね。

 

 

 「ならさ、さっきのデート予定の時に泊まる宿代は私達で出すよ。移動の車は貴方が運転してくれるって言ってたし、折角なんだから良いところ行ってリフレッシュしよ!」

 「いいね、すいちゃんはさんせーい。貴方もそれでいい?」

 「わかった。地元就職とはいえ、これから次の新居とか探すのにまだまだお金使うのは分かってるから、正直大きな出費が減るのは助かる」

 「えへへ、美味しい物食べられる所とか行きたいねー」

 「あずきちの地理の力を見せるときじゃない?」

 「場所は分かるかもだけど、流石に名産品とかまではよほど有名とかじゃなきゃ分からないよ。でも、色々探してみよっか」

 

 

 旅行計画って立ててる時から楽しいから好きです。彼の慰安も兼ねてるから、すいちゃんと後で真剣に相談すると思います。

 

 

 「新居といえば、目処は立ってるの?」

 「候補はいくつか。大体アパートだが、ここよりは広い部屋になると思うぞ。風呂とトイレは別がいいってお前らが言うからちゃんとそうしたし」

 「ユニットバスはロケ先のホテルだけで十分だよ」

 「掃除は一気に出来るから楽だけどねー」

 

 

 彼は水回りの掃除が苦にならないタイプだそうです、凄いなあ。

 

 

 「ネット回線とか分からなかったら言ってね。その辺は私達も分かるからさ」 

 「お前らの言うそれは、一般人には強すぎるんじゃないのか?」 

 「強くて困ることはないよ?私達だってもしかしたら使うかも知れないんだし」

 「何するつもりだよ」

 

 

 将来はわかりませんからね。

 

 

 「来年になったら内見とか、もうちょっとしていくと思うから。どうせお前らも来るんだろ?」

 「いいの?」

 「元々ついて行くからって言ってたのは特にすいせいだろうが……。とにかく、予定決まったら連絡するからな」

 「はーい、ありがとう!」

 

 

 こうして話題があっちこっち行きつつも、楽しい会話はまだまだ続いていくのでした。

 

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