アイドルに捕まってしまった青年の幸運で不幸な話   作:rideru

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時期少し外したかもですが、水着回です。



第4話

「そういや、前から気になってたことがあるんだがよ?」

「なんだ急に」

 

大学終わりにいつもの友人と飯を食いに行ったんだが、いきなりなんだ?

 

「ほら、アイドルっていやあ何も歌って踊って以外にも、モデルとかもやるじゃんか」

「そうだな」

「そういうのって、彼氏的にはどうなんだ?気分良くないんじゃねえのかなって」

「なんだ、そんなことか」

 

改まって聞いてくるからなにかと思えば。

 

「別に気にしてねえよ。仕事なのは分かってるしな」

「そんなもんか?」

「むしろ、あいつらが俺以外に見せたくねえって駄々こねてなかなか引き受けないって前にマネージャーさんに愚痴られた位だぞ」

「……それは、喜ぶべきなのか?」

「さあな。一応頼まれて説得した時は折れて引き受けてくれたみたいだが」

 

一応条件付きって事で俺も少しやること増えたんだがな。

 

「ふーん、まああの2人の様子だと確かにお前以外に笑顔振り撒いたりってのは苦手っぽく感じるが」

「ステージの上とかなら全然平気らしいぞ。カメラ相手とかにするのとか、形に残るのが嫌なんだそうだ」

 

実際ライブとかだと全然笑顔だし。

 

「しかしなんでそんなことを?」

「ほら、あそこ」

 

顎でしゃくられた先にはいつも世話になっている本屋があった。

 

「あそこがどうした?」

「ん?あの店頭に並んでる雑誌の表紙、あの二人じゃねえかなって」

「……あ」

 

言われて良く見たら気づいた。

 

「しかも珍しい水着だし。というか、配信以外だと初じゃねえの?」

「……かもな。そういやどっかで撮るって言ってたような」

「おいおい、買っとかなくていいのか?また詰められるぞ」

「だなぁ……、帰りに寄るわ」

「おーけー」

 

こうやってどんどん買い込むから部屋の空きスペースが無くなるんだよなあ。

 

「こういう時、秘密の撮影会とかってしたりしねえの?」

「なんだそりゃ」

「まあ空想だがな。アイドルとかと付き合う時に、写真を彼氏に先に撮ってもらっておくみたいなのって妄想するらしいぞ。漫画とかでよくネタになってるし、定番っぽいが」

「あー、たまにあるな」

「あるんかい!」

 

ベタなツッコミを貰ったな。

 

「別に俺が頼んだ訳じゃねえからな」

「まあ、お前の性格的にんなことする奴じゃねえのはわかるが」

「自撮り送られるときもあるし、うちに来るときもあるな」

「おうおう、知られたらやべえ事増えたな」

「間違っても外で言うなよ」

 

こいつがそんなこと漏らす奴じゃないことは知ってるが一応釘を刺しておく。

 

「言わねえよ、むしろ漏らしたら2人に殺されるぞ」

「……あんまり否定できんな。特にSの方は」

「……ちなみにAの方は?」

「その場ではなにもしない。けど、きっちり根回ししてから徐々に絞めてくると思う」

「こっわ」

 

タイプは違えど、怒ると怖いのはどっちもどっちだからなあ。

 

「まあいいや。じゃあ、その辺はなんとかしてるって訳だ」

「そうだな」

 

そんなことを話しながら飯を食ったのが数日前の話。

 

 

 

「ねえ見てよこれ」

「……なんだこれ?水着か?」

 

うちに揃って2人が来たと思ったら、前の雑誌とは違う水着を出してきた。

 

「……なんか、前のより際どくないか?」

「そうなんだよねー。たぶん、肩とか腰の部分が細くなったからそう見えるんだと思うけど」

 

AZKiは冷静に分析してるが、流石に少し顔が赤い。

 

「すいちゃんにこんなの似合わないって……。うちならもっと合うの居るって言ったのにさあ」

 

すいせいは何やら嘆いているが、なんでなのかはあえて言わないし聞かない。言葉にしたら危険が危ないと第六感が囁いてる。

 

「あずきちはいいよね、スタイルいいしさ……」

「いやー、私も別にそういう路線で売ってないし……。そもそも、マネちゃんだって持ってきたはいいものの、向こうに押されたってはっきり言ってたしね」

「向こう?」

「これ、この間の雑誌の会社の別のに載るらしいんだ。それが、対象年齢が上がったから、それを踏まえて少し……」

「なるほど、意味は分かった」

 

確かに、前の雑誌はいわゆる少年雑誌だったな。ということは、今度のは青年雑誌なのかな。

 

「……そんなに嫌なら断れば良かったじゃないか」

「そう言わないであげて。私もそうだけど、こういうビキニタイプの水着って自分じゃなかなか買わないから、貴方に見せたいなって気持ちもあったんだし」

「俺に?」

「……悪い?」

 

ようやくすいせいがこっちを見た。少し涙目なのに顔が赤いのは、AZKiが言ったことが正しいからか?

 

「一応私に合うデザインとか考えてくれたらしいし、それで来たのがこれだったんだもん」

「私も貰ったときは流石にビックリしたけど。でも、貴方に見せられるならいいかもって思っちゃった」

「……いや、それとこれとは別だろ。俺に見せられる云々はともかく、これ着てるのが世間に広まる方が嫌じゃないのか?」

 

さっきのすいせいの発言からも、恥ずかしい事には変わりないはず。いくら目的があろうと、その副産物が重すぎやしないかと思うんだが。

 

「うーん、それはそうなんだけど。何て言えばいいかな……」

「あれじゃない?ほら、プールとか海辺で水着見せつけて歩くカップルみたいな気持ち?」

「あ、それかも!優越感みたいな」

「それ、普通俺の方が言うことだよな」

 

なんで見られる側が誇ってるんだ。

 

「そうだよ?だから、貴方に私たちを誇ってもらおって話」

「こんな美人2人も捕まえて、しかもこんな水着まで着せられるんだぞーって自慢して欲しいなって」

「……それは、いいことなのか?」

 

なんでかな、微妙に噛み合わないというか。

 

「もちろん。こうやって貴方の肯定感を高めていかないとね」

「そのためにこうして先に持ってきたわけだし。自撮りだけだと勿体ないでしょ?」

 

そう言いながら、連れ立って風呂場へ消えていった。たぶん着てくるんだろうな。

 

「……いや、俺なんかおかしな事言ってるか?」

 

自問してみたが、答えは出てこなかった。いや、それよりもだ。

 

「え、この後あの水着来た2人を見るのか。……逃げるわけにはいかないよなあ」

 

今度は別な意味での闘いが始まりそうだ……。

 

 




今更ながらコロナになりまして、絶賛療養中です。
結果として書く時間が出来たので、それは良かった……わけないですね。早く治んないかなあ……。
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