東方蟹異譚   作:蟹ノ鋏

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 蟹ノ鋏です。

 この話は本来前のお話に書く予定だったのですが、前回が書きすぎてしまい一万文字を超えてしまうところだったのでこうして幕間として付け加えることにしました。
 今回は七千文字ぐらいなのですが、当初の予定としては五千文字ぐらいで終わると高を括っていたのですが見通しが甘かったようです。
 しかも、大分話を削っていたりします。
 削ってしまった話はまた後で書こうかと思いますがそうするとまた幕間が増えることになると思うと少し書くことに抵抗があります。
 話の本筋ではない話を幕間として書いているのですがあまり幕間ばかり増えるのもどうかと。
 黒星が出ている話を本編としているのでやむを得ないのですが……。
 本筋を進めるべきか、ディティールにこだわって閑話や幕間を書くべきか。
 話の回転率的にもその辺りについて意見をもらえるとありがたいです。


幕間 争い事の始まり

 深い森の奥、辺りを一望できる切り立った崖に十四尺ほどの体躯をもつ大猿が佇んでいた。巌の様な筋骨隆々とした巨体と木の幹のように太い腕は樹木を軽々とへし折る剛力を秘めており、怪力で名の知られている鬼にも匹敵する。地面をかける速度こそ狼や狐の様な妖獣には劣るが体躯に似合わず非常に身軽で、木々を足場に森のあちらこちらへ飛び回る軽業師でもある。少なくとも五十を超える妖怪猿を率いる実力のある妖怪である。欠点を上げるとするのならばまだ百と数十年程度しか生きていない若輩者であることと少々頭に血が昇りやすい激情家であるということであろう。ただ、百年を超えているのならば妖怪の群れの頭を務めるには十分な齢であり、そもそも感情に左右され易い妖怪にとっては激情に駆られやすいというのは珍しいことでもないため致命的な短所とは言えないものである。

 

 経験不足のため相手の挑発にまんまと乗ってしまうこともしばしばだが。

 

 それでも冷静さが欠如しているわけではないのがこの大猿の特徴であり若いながらも群れの頂点でもある理由である。

 群れを率いる立場となって数十年、十数匹もの配下を増やし安定した暮らしを過ごせているのはこの大猿のおかげであった。

 

 名を黄爪。

 黄土色の毛並みに鬼の如き形相、冷徹で砂を操る妖術を使い剛腕のことを含めて『鬼猩々』とその戦う姿を恐れられている。

 

 

 数日前に黄爪はとある決断を下した。

 

 それは生まれ育ってきた故郷であるこの眼下に広がる森の縄張りを捨て去ることだった。

 

 

 群れの反発がなかったわけではない。半数近くがその決断に反対した。慣れ親しんだ故郷を捨てることに反感を持たない者はそうそういない。しかし、残りの半数の説得により群れ全体の納得により全員で移り去ることに決めたのだ。

 

 分かっていたのだ。森の賢者ともよばれることのある猩々である彼らはただの猿の集まりではなく一体一体が賢く思慮深い。怒りに身を任せて反論した者や悲しみに暮れて残ろうとする者も居たが最終的には諦めた。

 

 皆分かっていたのだ。この森に留まっても既に未来がないことは。

 

 始まりは仲間内の一体が人間によって狩られたことだった。森の外に住んでいる人間の集落に近い所で食料を調達していたところを狩られた。

 それだけならば別にどうということではなかった。

 外で生きている以上妖怪だけでなく様々な生物との生存競争を勝ち抜かなければならない。人間もまた敵であり妖怪に比べれば弱いが数で圧倒されるとやられることもある。

 故に人間を憎む者もいたが大抵の者は事態を軽視した。油断したが故に殺されたのだろうと。殆どのものがそう考えた。

 その一ヶ月後十体以上の仲間が襲われその内の七体が死んだ。生き残った者の話では百を超える人間の群れに追い詰められて射殺されたらしい。

 軽々と受け止められる事柄ではなくなった。多くの者が人間に対し憎悪を持つようになった。特に身内や親しい者を殺された仲間達は怒り狂い、森を訪れる人間を意図的に襲うものも現れた。

 猩々は好き好んで人間を喰う妖怪ではない。猩々からすれば猿と同程度には食べることを厭う生き物である。故に群れの長である黄爪からすれば人間を襲うことは利のない行為であり消極的だった。傍観し止めるでも勧めるでもなくただ容認しているのみに留めていた。

 そうして良くも悪くも人間に対し警戒心を持ち被害もなく半年が経った頃、今度は子供たちが襲われた。

 先日目を開いたばかりの赤子やその母親を含めた二十近い仲間が殺された。

 感情を制する者はいなくなった。

 傍観していた者たちも消極的だった者たちも皆怒りに呑まれた。

 まずは森にいる全ての人間を殺した。

 狩人はもちろんのこと今まで見逃してきた川に水を組みに来た程度の女子供も殺し尽くした。老若男女容赦なく。

 そしてついに人間の集落に襲いかかった。

 人間憎し、根絶やしにし恐怖を植えつけようと血気盛んに襲撃した猩々の群れはしかしながら、半壊した。

 飛び交う人間の飛び道具が四方八方から猩々たちの頭を撃ち抜いた。

 何人かの人間をその豪腕で薙ぎ払っても全く堪えた様子はなく無機質に猩々たちは殺されていった。

 黄爪が生き延びられたのはただの偶然だった。

 飛来した矢が黄爪ではなく黄爪の弟の喉元を貫いたから助かっただけのこと。

 

 半壊し、規模を縮小した黄爪たちの群れは人間の住まう集落から離れるように森の奥へと移動せざるを得なかった。

 

 人間たちは徐々に森へと侵略していった。

 

 森の中では猩々などの妖怪のほうが圧倒的に有利なのだが人間はその規模が違っていた。

 

 少なくなった群れで腕に自身のあるものも激減し、女子供もを護るので精一杯な黄爪の群れは戦うという手段は選びようがなく、生き残るために彼らは生まれ育ったこの森を破棄し逃げて何処かへと移り住むことにしたのである。

 

 二ガキの木の皮を口に含んだような重く悲嘆に暮れる、何よりも屈辱な決断であることは語るまでもない。

 

 黄爪は哀愁のこもった視線で自分たちの故郷である眼下に広がる森を見下ろした。

 様々なことを思い浮かべ自身でも整理のつかない感情が浮かび上がってくるが現状の不幸を嘆くでも未来への不安を憂うでも煮えたぎる憤りに吠えることもせず、ただただ動かずにじっと見つめているのみであった。

 

 

 ――そして、不意に感じ取った第六感による危機察知によって反射的に体を動かす一歩手前で、黄爪は頭に強烈な衝撃を受け、何かを思う間もなく地面に倒れ伏せた。

 

 黄爪はその頭蓋を鋭く太く長大なまるで銛のごとき一本の矢で貫かれ絶命した。

 

 即死であった。

 

 この一矢(いっし)が語り継がれることのない戦争の始まりであることを知る者は誰もいない。

 

 少なくともこの時点で既に人間側取り返しのつかない状況まで事態を進行させており、戦火を逃れられない境界線を超えてしまったのである。

 

 

 ◆ ◆ ◆

 

 その少女は自身の放った矢が標的を撃ち抜いたの確認すると同時に標的から目を離すことなく離脱体勢をとった。

 弓道で言うところの残心に近い動作ではあるが彼女が構えているその弓はもはや弓とは言えないような代物で、その全長は成人男性の身長をやすやすと超えるほど大きく専用の台に固定して展開する超弩級の長弓である。本体は特殊カーボンに要所要所でしなやかで柔軟性の高い合金を用いた複合弓でフレームの重さだけで4kgを超え、特殊繊維を使われた竹尺を彷彿とさせる太さの弦と合わせると6kg強、それで1本約2kgの金属製の矢を放つ。地面に固定しなければ碌に照準を合わせられず、そもそも弦を引くにも1t以上を要するため普通の人間では、いや純粋な人間の身体能力だけでは引くことすらできない。

 その強弓を少女――八意永琳は十全に使いこなす。

 才能のある人間が扱うことのできる超自然的能力の一つである霊力によって本来は漬物石を持ち上げることすら困難な彼女の華奢な腕の腕力を格段に向上させる。人間の医学に精通している彼女は人間の身体構造を網羅し完璧に記憶しているため、漠然と霊力を腕に纏うのではなく筋肉の繊維一本一本に丁寧に付与し、また腕だけでなく弓を弾く上で体制の維持に使う体のあちこちの部位に負荷がかからぬようムラなく無駄なく強化を行っている。そこには計り知れないほどの集中力と技量、そしてただの天才では片づけられぬほどの圧倒的なまでの才能があり成り立っている技術である。永琳の霊力の制御技術の精密さは既に神と同等の水準に達している。それでいながら未だに成長途中というのが八意永琳の常軌を逸していることの一端である。まさに何百年に一度の逸材ともいえる凄さ(あるいは恐ろしさ)を語ればそれだけで短編が一つ書けてしまうほどのものだが、驚嘆すべきは彼女は別に戦士でも霊媒師でも狩人でもなくその本職は薬師であり研究者であるというところだろう。

 八意永琳を特筆するうえで語るべきは霊力の技術云々ではなくその頭脳なのだ。

 頭脳だけで見れば間違いなく彼女は神を超える。

 それは別段彼女が全知であるということではなく一万年近く時代を先取りしたかのような理論や技術を発想し実現可能な段階まで組み立て上げてしまう。

 彼女が住まう人間の街は彼女がいなければ成し得なかったであろう発展を遂げ、為政者でもなければ指導者でもない権力を持つ立場ではないにもかかわらず誰も彼女の言葉や動向を無視できないほどに影響力を持つ。崇拝に近い敬意や信頼を得ており、街の長よりも頼られているという異常な状況を生み出している。

 彼女はその権力のような何かを存分に使い街を人間を繁栄させており、その集大成の一つが先ほど猿の妖怪を穿ったこの強弓であり、妖怪たちに対抗するために作られ今現在この森の中で待機している対妖怪用の部隊である。 

 いま彼女が使っている弓ほどではないが妖怪たちに有効で一般人でも多少の訓練をすれば扱えるようになる武具を大量に生産し、特に妖怪に対抗するための専門の部隊を組織し鍛え上げ、実際に攻め込んできた妖怪たちを追い返した実績を得るほどに強い戦力に仕立て上げたのである。

 

 妖怪に対抗するための力をつけてしまったのだ。

 

 

「――目標の沈黙を確認、各員に撤退の合図を」

 

 永琳は全く気を緩めず真剣な面持ちのまま静かに命令を下した。

 

 すると近くに隠れながら待機していた部下の一人が了承の旨を告げ、森の中へとすぐに消えていった。

 

 永琳はそれを見送ると今まで展開していた弓を撤収し始める。

 目標は達成したので長居する必要はない、森の中は人間の領域ではないため余計な時間の消費は禁物だった。

 

「お見事です、八意様」

 

「流石です、八意様。この距離で僅かなズレもなく射貫くとはまさに神業。感激いたしました!!」

 

 撤収作業をしている永琳の背後から二人の少女が近づいてくる。

 永琳よりも若い二人の少女は姉妹であり、二人とも金髪で背丈も顔つきもほとんど変わらないのだが、幼いころから親戚として面倒を見ている永琳はともかく他の隊員にも区別がつくように妹のほうが後ろで髪を紐で縛りまとめていた。

 

 姉のほうが綿月豊姫、妹のほうが綿月依姫という。

 補佐という名目で永琳は彼女ら二人を傍らに置いてはいるが本音は永琳の身内贔屓が三割、残りの七割が上流階級の家柄の出であるこの姉妹を監視をつけずに自由にさせるのを恐れたからである。

 特にこと戦場においては僅かな過ちが命取りとなる。なまじこの姉妹は霊力の扱いや持ちうる能力からして街の中でも上から数えたほうが早いほどの実力者ではあるのだが、年も若く経験が浅い。それ故に油断はなくとも慢心しやすい傾向にある。 

 永琳としてはできれば街の中へ、安全地帯である壁の中でぬくぬくとしていて欲しかったぐらいなのだが妖怪との抗争の激化でこの姉妹ほどの実力者を眠らせて置くこともできず、家柄の名誉を損なわないためにもこうして前線へと駆り出されることになっているのであった。

 それこそ権力の笠を着てでもあるいは実力行使をしてでもこの姉妹も自分自身も家の中に閉じこもっていたかったのだが現状も世論もそうはせてくれない。

 悩みぬいた結果が自分が対妖怪部隊の隊長となりその現場の最高責任者として指揮権と人事権を握り姉妹を補佐につけこれからのために経験を積ませながらも比較的安全な自身の身近に仕えさせることであった。

 二人とも一兵卒よりもずっと優秀なのだが年若く自身でも未熟さを自覚している永琳から見てもまだまだ未熟なのだ。実際、年齢もまだ二人とも十五にも届いていないはずである。読んで字の如く跳梁跋扈する壁の外に連れ出すことでさえ永琳にとっては不安で仕方がなく、永琳自身が妖怪に拉致されたこともあり、家庭教師の真似事で二人を教えている間柄数ある他人の中では親しいこの姉妹に対していささか以上に過保護になっているのが真実でもある。

 

 永琳自身にはあまり自覚がないことなのだが彼女はいったん仲良くなると大分甘くなるタイプであった。

 それでいても甘やかしすぎず然りと指導をする姿は永琳には教師としての才能もあることの証明であった。実に多才である。

 

 永琳は二人に声を掛けられたところで一度手を止めて、二人に気が付かれずに周囲を警戒すると真剣な面立ちで二人のほうへと振り返った。

 

 永琳のほうが年上ではあるが、永琳は小柄なため姉妹と目線の高さはほとんど変わらない。

 それでも多少なりとも永琳のほうが威圧的に見えるのは僅かな差だが年齢が上であるゆえの貫禄かそれとも立場上上司であることによる責任感からの風格か。

 どちらにせよ綿月姉妹からしてみれば先ほど魅了された神業や任務を遂行したことからくる安堵によって浮つている自分たちとは違い微塵も気を緩めていない永琳に対して違和感を覚える程度には威圧されていた。

 

 そして無言で姉妹に近づいた永琳は妹のほうである依姫ほうを向き予告も前触れもなしにその白く柔らかい頬を勢いよく平手で叩いた。

 

 ピシャリと音が響く。

 

「――依姫、貴方の隠形が疎かになっていたわ。私が矢を放つ直前貴方の漏れ出した霊力を察知した標的がこちらに気づいて振り向きかけたわ。もし、ほんの僅かにでも私が標的を射るのが遅れていたら恐らく三人以上は犠牲者が出ていたでしょう。――貴方以外の誰かが。決して隠形を疎かにしてはいけないと再三教えたはずよね?気をつけなさい、貴方の不注意で貴方を助けるために何人もの被害が出るのよ」

 

 それは部下に対する叱責の平手打ちだった。

 拳ではなかったのは永琳が乙女であるがゆえに拳で殴るという選択肢がなかったが故かそれとも依姫が身内であるが故か。

 どちらにせよ、叩くことに関しては全くの躊躇いも容赦もなかった。

 

 依姫は叩かれたことに一瞬呆然としたが、続く永琳の言葉に先ほどまでの機嫌は何処やら、恥じるどころか顔を青ざめて意気消沈し、叩かれた頬を抑えていた。

 決して痛くはない、音がしただけで霊力を纏わせていない永琳の素の腕力では腕に止まる蚊を叩いたとき程度のものである。

 だが、痛み以上にその叩かれたことに対する衝撃と叱咤の重みが依姫の頬に残っていた。

 

「豊姫、貴方は待機場所を間違たわね」

 

 間近で頬を叩かれ叱責された妹を見たため、豊姫は永琳に声をかけられたときに思わず怯えて身構えてしまう。

 そんな豊姫の様子を見ても顔色一つ変えずに永琳は部下に向けて過失を糾弾する。

 

「隠形をしっかりとしていたからよかったものの、事の次第によっては貴方は真っ先に狙われていたわ。ちゃんとブリーフィングは聞いていたのかしら?」

 

 どちらも大きなミスではない。

 少なくとも永琳があえてその場で指摘しなくても対処できたような些細なミスである。

 些細なミスが故に本来起こり得ない、当たり前のことなのだがこの二人はどうもそういった基礎というか根本的なことを疎かにする。

 

 その原因は自身の才覚に対する自信と妖怪を軽視する差別意識からくる慢心であると永琳は考えていた。

 

 才覚への自信はまだいい。そのあたりについては永琳自身が自らその過信を圧(へ)し折って教育してやったのだが、如何せん妖怪の差別意識は根が深いというか街中の人間全てが持つような常識となっている程無意識に抱く感情なのだ。

 生まれや能力に関係なく妖怪を軽視する風潮は八意永琳であっても容易に解決できる問題ではなかった。

 そもそも永琳自身も未だに妖怪に対する差別を払拭できていないこともある。

 軽んじることはないが妖怪と上手く付き合っていくという手段を考えることができないことを永琳は自覚していた。

 

 今回の作戦において近頃街付近の森を住処にする猿型の妖怪たちの頭目を打ち取り、その群れをほぼ壊滅状態へと追い込み、ここ半年は人間の街の安泰は保たれるという計算がたった。

 

 猿型の妖怪との抗争は一部の人間が勝手に始めた余計なことではあったが、犠牲数十名ほどで森から妖怪の群れを追い出せたことは上出来のようにもとれる。

 しかし、永琳の顔色はすぐれない。

 

 永琳は知っている、この程度の武装では全く太刀打ちができないほどの強力な妖怪がいることを。

 彼女は直にその妖怪に触れ一月ほど共に過ごしたのだから。

 その強さも叡智も彼女は知っている。

 

 もし、彼のような妖怪と敵対してしまったら――。

 

 彼女はずっと恐れている。恐れていながら彼女には止める術がないことを悟っていた。

 彼女の頭脳をもってしてでも妖怪との対立は避けようがない。

 精々程度の低い妖怪に対抗できる武器を用意し、小手先の策略を練り、ほんの少しだけ最悪の事態を先延ばしにすることしかできない。

 

 たが八意永琳は知っている、彼のような妖怪が敵に回れば人間たちは為す術もなく全滅することを。

 

 しかし同時にそれほどに深刻な事態でありながらまた彼と巡り合えるのではないかという淡い期待を抱いてしまうあたり彼女の割り切れない精神性と忍びきれない一途な思いが窺える。

 

 八意永琳はこうして思い悩むことになる。

 人間としての立場、自分の本心における二律背反の苦悩に立ち向かうことになる。

 

 ただ彼女の思いとは関係なしに時間は過ぎ去り事態は刻々と迫る。

 

 街の中にいる人間にとっては予想だにしていないことだが、永琳が予測する最悪な事態は着々と人間たちの与り知れない処で進んでいた。

 

 悲劇の幕は開いた。

 

 もうすでに戦争は始まっている。

 

 記録に残らず語り継がれることすらない、人間と妖怪の最初の大戦争が静かに近づいているのだった。

 




 おまけ的な設定要素

 黄爪

 猿の妖怪である猩々。
 外見は厳つい顔をした巨大な猿。

 黄爪は群れの長であり能力を持っていて、『砂嵐を纏う程度の能力』を持っている。
 砂の鎧ならぬ砂嵐の鎧を纏うことができある程度の防御とある程度の攻撃ができる。
 強さ的には三面ボスぐらい。まあ、星熊勇儀が三面ボスだからあまり基準にならないかもしれないけれど。あれかな、めーりんとかとおんなじぐらい。
 弱くはないけれど今回は相手が悪かったと言わざるを得ない。
 
 

 綿月姉妹

 あのチートと名高い姉妹。
 悪名高いと言い換えたほうがいいかもしれないけれど。
 今回の話を書く上でもっとも厄介だった人物。
 作者は本を買ってないから知らないんですよね。
 二人とも金髪にしたのは姉妹だし、最初は金髪で後々妹が髪の色が変わっていくみたいな裏話を妄想してのこと。なんか神を降ろすとか意味の分からない能力を持っているみたいなので反動で髪の色ぐらい変わっても不思議じゃないような気がして書いた。
 おそらく今後出番はない。
 出したくない。書きづらいんだもん。
 需要があれば調べて書くけれど。
 まあ、もしかしたら月面戦争辺りでまた出すかも。
 
 
 永琳

 乙女プラグイン。
 まだまだ成長途中で晩成型。二十代でも背が伸びるタイプ。
 そういえば永琳と綿月姉妹の年齢差ってどのくらいなんだろう。
 親戚みたいなものだとは聞いたけれどよくわかんない。
 ていうか、なんで月人だけパワーインフレが激しいんだろう?
 神様が普通に登場する東方でそこまで強さに差別化を図る理由が知りたい。
 別に同じぐらいの強でいい気もするけどな。
 

 ちなみに銃火器を使っていない理由は臭いと音ですぐに居場所がばれるため。
 森の中ではすぐに妖怪に囲まれてしまうので基本使わない。
 

 
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