どいてくれませんかね…?俺、お兄ちゃんなんですよ 作:マリーを妹にし隊
「では…どうすれば逃げられるの?」
迷った末に、私は消極的な言葉しか言えなかった。
「そうそう。よかった、立香ちゃんが普通に考えてくれて。ほら、戦うのは最小限でいいんだよ。変に戦闘仕掛けたら人は死ぬしね。しかも衛宮、今回に限っては攻撃したくないと思うよ?」
「え?」
あんなに殺す気で遊んできたのに?煽って殺しにきたのに?
私の混乱をよそにななにゃんが喋りだす。
「だってさー、ななにゃんが君たちのことを認識したのってあいつが出した魔力だよ?めっちゃ大きい魔力反応なんだけど…多分殆どのサーヴァントが気づけなかったもん。
それにさ、衛宮の行動だって変なんだよ。確か衛宮って門番なんでしょ?ね?」
『…そうよ。門番としてスカウトされてるわ』
「じゃあ尚更おかしいよ。門番で重要なのって門を守る─
─要は速やかに敵を排除することが求められるのが門番の仕事なんだよ。そうじゃにゃくても戦闘中に喋ることなんてナンセンスなのさ。だってそんなことしたら危険でしょ?しかも味方はいにゃいんだよ?」
「…うう…?遊んでたんじゃないの…?」
ケルちゃんは唸りながら赤くなってる…眠いだけなのかな。
「そこだよね。でも遊ぶのなら奇襲でケルちゃん達含めてサーヴァントの皆殺しをすると思うよ。衛宮の視点で見れば立香ちゃんだけはマスターだってなぜかわかってたみたいだから」
『それだってなぜわかっていたのかがわかってないじゃない。どうやって知ったのよ?』
「うにゅ…知らにゃいよ!ななにゃんだって詳しくは知らにゃいもん!にゃー!」
猫みたいに毛を逆立ててる…なんか、ななにゃんって猫なんだ。
「というか立香ちゃん、記憶を覗くから寝ないで!」
「へぅ」
変に頭をかき回される奇妙な経験をした。眠くはならなくてもとんでもなく変な感覚に陥る。
「…うん。これなら衛宮のサーヴァントもわかる…わかるんだけど…」
「どうしたのですか、ななにゃんさん?」
頭を抱えて悩み始めたななにゃん。
「ななにゃんでいいよ、マシュちゃん…え、なにあいつ。普通に入ってる奴やばいんだけど!?」
『…ということは、わかったのね。ゲイボルグを防いだ理由である逸話が』
「…えっとね、多分衛宮は普通に防ぐ気なかったと思うよ。多分さっさと消滅したかったのにミスっちゃったパターンでしょ」
「??」
「要はね、偶然なんだよ。衛宮の常時発動の宝具のせいだったんだよ」
呆れたようにため息をついて。
ななにゃんはその逸話を教えてくれた。
「ゲイボルグは心臓に必ず当たる宝具─ただ、心臓がないなら当たらないというだけだよ。
…でも、心臓がないなんてことは有り得ないんだよ。人間としてはおかしい欠落…でも、裏を返せばそういうエピソードを持った人物はかなり絞られるんだ。
それに、槍を持っているランサーって考えたら逸話もそれなりに絞れるよ。というか、ななにゃんが知ってる知識には一人しか該当しない。
…子龍一身都是膽也。その身を全てを肝と評された結果、心臓がなくなった状態での現界をしたサーヴァント。長坂の戦いにて主君の赤子を身一つで救出した順天候。
趙雲子龍、それが衛宮に入った一人目のサーヴァントの正体だ」
鈴の鳴るようなリンとした声で宣言された衛宮さんの正体。
52とv3、救われないとしたら?
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52
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v3