ある日の朝、連邦生徒会から緊急連絡がきた。内容は連邦生徒会長の失踪、そして私たちの属する学校「SRT特殊学園」の指揮権を有する生徒会長が失踪したことによるいつか来るであろう学園閉鎖の話も...
話を聞いて私はショックを受けた。今まで誇りを持っていた学園が閉鎖される、そんな気持ちを整理するために私は今日の午前中に始める予定を無くし、午後も「緊急集会」に変え、丸ごと一日予定を変えた。そそのことを伝えた後、私はベットにダイブした。別に眠いわけではない、まず私の中でも気持ちを整理しようと思ったからだ。
そして昼、ようやっとの思いで少しは気持ちを整理し、「緊急集会」で集まった仲間たちに伝えるために教室に入る。
皆の顔を見ると不機嫌そうな顔の人もいれば私の顔色を見て心配する人もいた。皆を横目に見ながら私は教壇はないがいつも作戦会議や講習をするときに使うホワイトボードの前に立ち、今日の朝に貰った緊急連絡の内容を話した。
そして、一瞬にして教室内が騒がしくなった
「連邦生徒会長が失踪しただけで学園閉鎖ぁ!?」
「「これから先は一体どうなってるんだ!?」」
「ヴァルキューレに転学しろって言いたいのか!!」
通話の内容を仲間に伝えるとそれはもう大混乱、わざわざ「ヴァルキューレよりも実践的な活動がしたい!」と勉強を必死にし、ようやくの思いでこのSRTに入れたというのに学園が閉鎖され、さらには「生徒はヴァルキューレ又は他校に転校しろ。」とのことだ
私も含め皆自分勝手な連邦生徒会に苛立っている。
そんな中誰かぼそりと呟いた言葉で周りが静かになった。
「学園が閉鎖されたらこの艦はどうなるの?」
その言葉に皆がはっとした。STR特殊学園の2年、海上部隊の保有する船、さらに付け加えるとするならば「連邦生徒会長に託された唯一無二の艦、三日月」
この船は書類上SRT特殊学園の物になっている。つまり学園が閉鎖されると学校の物でも誰のものでもない言ってしまえば私たちが個人で運用していくこともできるがそれはつまり1800トンクラスの艦の武装、燃料、水なども全て私たちのお金で払っていくしかないがそんなお金なんてあるわけがない。
私はゆっくりと息を吸い、こう告げた。
「学園が閉鎖されたら、この艦はヴァルキューレ所属になります」
一瞬、皆が顔を赤くし怒鳴ろうとした、でも皆は顔を暗くして下を向いた
皆も私と一緒の考え、とても個人では艦を負担できないことに気が付いたと信じ、更に言葉をつづけた
「ヴァルキューレに転属してもこの艦の乗組員は私たちに一任するそうです」
ほとんどの人がこの言葉で「船に残るためにはヴァルキューレに転校するしかない」ということに理解したのか顔を下に向けたまま手を強く握っていた。SRT特殊学園 その肩書は私も大切にしたい、できることならこの先もずっと名乗っていたい。でもそれ以上にこの船を、三日月から去りたくない。その気持ちの方が強いのだ。
「私はこの艦、三日月に残るつもりです。」
最後に私の思いを告げた。正直、ここで皆残ってくれるなんて保証はどこにもない、SRTの肩書第一の人もいると思う。
そんなことを考えると少し寂しく思い下を向く、皆で相談をしてるのかざわざわとした話し声が聞こえる。
...そして部屋が少し静かになったとき、私の耳に届いたのはある質問だった
「艦長はどうしたいんです?」
その言葉が聞こえ、私は素直に思っていることを伝えようと顔を上げようとしたが変に力がかかって動けない。いや、本当はわかっているんだ。怖い、皆がいなくなるのが怖いんだ。できれば皆には残ってほしい、でもそれはあまりにも自分勝手すぎる。そんなことを強制するのは私自身が許さない。
でも、それでも、私の口から出たのは弱音のような、考えていることとは全く違う言葉だった
「私は、皆と居たいッ!この船で皆とずっと暮らしたいッ!」
噛み締めるように呟いた。私の本音を、朝からずっと悩んでいたことを打ち明けた。打ち明けてしまったのだ、そんな私の傲慢で自分勝手な言葉を元々暗かった気持ちに自分の正義を破ることによる自己嫌悪が追加され、よりより一層気分が悪くなったのが分かる。今すぐにでも部屋に帰りたい、でもこのまま帰るのはもっと最悪だ。そんなことを考えていたがいきなり誰かに顔を上げられ考えが止まった
皆の顔が見えた、顔を無理やり上げられキョトンとした顔をしているであろう私を皆は何故か澄ましたような顔をしていた。
そして皆が口をそろえて言う。
「「「「私たちもこの艦についていきます!」」」」
一瞬、理解できなかったがすぐに私が一番聞きたかった言葉だと理解する。そして小さくだけどしっかりと私は「ありがとう」と呟いた。
私が感謝の言葉を伝えた瞬間、皆が私の方に駆けだす。何人か机に引っかかって転びそうになるのを見た気がするけど気にしないでおこう...
=後日=
皆が艦に残る決意を示してくれた後、私は再度連邦生徒会に連絡した。
連邦生徒会も忙しいながら連絡を取り合ってくれたのは連邦生徒会長が残した[三日月]の影響が強いのだと思っている。
というのも私たちには他のクラスや部隊よりも早く学園閉鎖の知らせが来ていたみたいで他のSRT学園の生徒に聞かれると新しく入った新入生の学習が滞ってしまうとのことで多分閉鎖の話は私たちにしか知らない、それだけこの艦の扱いを早急に済ませたかったと思う。それに今年はかなり優秀な生徒が入ってきたと聞いたので閉鎖されるギリギリまで勉強に励んでいてほしい。このことについては皆も同意見だったらしく、この情報は艦外持ち出し禁止となっている。
「結局この先はどーするのー」
頭の中で軽く昨日の出来事を振り返ってるときにそんな声が聞こえる。昨日はあの後に連絡したので今後の私たちの扱いが気になる皆は私の周りに集まってきた。そんな皆に私は今後のことを話した。
・SRT閉鎖後[三日月]の書類上の所属はヴァルキューレ警察学校になる
・補給、並びにメンテナンスはSRT所有ドックからミレニアムに移行
・ヴァルキューレでの扱いは特別海洋安全部という新しい部署が作られそこに所属する
・特別海洋安全部ではキヴォトス全海域で起こる過激な武力衝突、又は異常事態においてのみ”SRT特殊学園”としての介入を許可する
とのことでつまり言えば緊急事態ならSRTを名乗っても良いということを伝え、それでも通常はヴァルキューレと同じ業務になることを伝えた。本来ならば連邦生徒会で補給や修理をするべきだが防衛室長に人手が足りないと一蹴され、仕方なくミレニアムに変更となった
「ほぇぇ~」
私がこれからのことを話すと皆はわかったようなわからなかったような顔をした。そんな仲間たちを見ながら私は宣言する、SRTが無くなったとしてもどんな困難があったとしてももう自分一人で抱え込まないように...
「この先、何がどうなるかわからない。でも皆となら!」
そう、宣言した。そんな私の意気込みを聞いて聞いていた皆が「な~にかっこいいこと言ってるんだ~?」と意地悪な顔わして言いながら私の頭をわしゃわしゃを撫でてくる。せっかく朝整えた髪を台無しにされてムッとしたがそれ以上にようやく日常に戻ったのだと思い、自然と笑みがこぼれた。
この皆ならどんな逆行も必ず乗り越えていける、そう確信したから