インフィニット・ストラトスinアイアン…マン?   作:高橋ヒナタ

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鈴音ちゃん転入パートでございます。



第12話

 

 

 

学校というものは、噂が広まるのが早い場所である。

 

 

 

──何故唐突にそんな事を思ったのか、だって?

それはな、なんと今日転校生が来るんだそうだ。

そう、今日。どこかで教師がポロッと口にしたのか

あっという間に学校中に広まっていた。

あまりにも噂の回りが早すぎる。

 

「その子は中国から来るんだって!」

 

「代表候補生みたいだよ〜」

 

その噂の内容だが、聞いての通りだ。

大きなバタフライエフェクトでも起きていなければ

今回転入してくるのは、1年ほど前に中国へ帰国した

凰鈴音ちゃんだろう。

 

帰国した理由は確か両親が離婚しただとか何とか…。

なぜ彼女の両親が離婚したかまでは覚えてないので

鈴音ちゃんの両親の離婚を防ぐことは出来なかったが

一夏君へ「絶対また会いに行く」と宣言していたので

ほぼ間違いなく彼女は帰ってくる。

鈴音ちゃんとはそういう子だ。

 

 

 

「あら、私の存在を危ぶんでの転入かしら?」

 

「隣のクラスだろう?騒ぐ程のものでもあるまい」

 

丁度クラス対抗戦の開催が迫っているのもあって

強そうな子が転校してくるという噂には

特に敏感になっているのである。

 

「賞品は学食のデザート半年間フリーパスだもんね!」

 

「織斑くんには頑張ってもらわないと!」

 

「クラス全員にフリーパスだよ!さすがIS学園!」

 

何せ、対抗戦の優勝賞品は女子高生垂涎のシロモノ

デザート…もといスイーツのフリーパスなのだから。

 

「今の所専用機持ってるのは織斑くん以外には

4組の子だけだから余裕だよ〜!」

 

アーキタイプ・ブレイカー出身の子がいるかどうか

入学直後に軽く目を通して、16組までのどこかしらに

それぞれ同名の子が居るのを確認しているが

特に専用機を持っているという情報は無かった。

 

と、それは置いといて。

そのセリフが出たということは──

 

 

 

「その情報、もう古いわよ!」

 

「鈴…?お前、鈴か?!」

 

黄色いリボンで束ねられたツインテールが特徴的な

元気ハツラツ中華娘がそこに立っていた。

 

鈴音ちゃんおひさー。

 

 

 

「ヒナ姉〜ひっさしぶりーっ♪」

 

「おかえり鈴音ちゃん。1年ぶりだね」

 

「ただいま!一夏も…!」

 

「おう!変わってないな」

 

おうおう鈴音ちゃん、甘えんな甘えんな。

そうやって甘えられるとまるで孫に見えてきてな

中身がおじいちゃんに戻ってしまいそうじゃ。

 

 

「あのさぁ」

 

「なぁに鈴音ちゃん」

 

おや、鈴音ちゃんの視線が…私の…胸へ………

いかん。君にとっちゃ憎悪の対象だよねコレは。

 

「こ〜んな大きくなりやがってぇ!

何食べたらこんなになるのよ!このこのっ!」

 

ひゃんっ!?こらっ!やめなさいっ!

 

痛いって。痛いって鈴音ちゃん。

私からもぎとっても君のは大きくならんのだぞ!

バストアップ法色々調べてやっからやめんか!

…あんまりやるとお返しにそのケツ揉むぞ小娘ェ。

 

おっと?そこに居るのは───

 

 

「鈴音ちゃーん。後ろ後ろー」

 

「後ろ?後ろに何がいるの…よ………」

 

 

「SHRの時間だ。教室に戻れ」

 

千冬さんじゃん。うわぁお、凄いオーラだこと。

 

 

 

ピッ?!

 

ぐえっ!!

 

ちょっ…鈴音ちゃん首がっ…首が絞まってる!!

 

千冬さんオーラ抑えて!!私の首が折れちゃう!!

見てねぇで助けろこのバカ一夏ァ!!!

 

 

 

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「ヒナ姉首大丈夫?」

 

「ありがと。大丈夫だよ」

 

適度にセルフ首筋マッサージしつつ午前の授業を終え

一夏君、箒ちゃん、セシリアちゃん、鈴音ちゃんと

食堂へやってきた。

 

お、今日はシャワルマあるじゃ〜ん!

悪くないのよねコレ。

クタクタの時に食いたいかと言われると

うーん、ってなるけどね。

 

 

「そういえばアイアンマンは完成したの?

飛べるようになった?」

 

「もちろん!ちゃんと武器も付いたよ!」

 

「ホント?!」

 

「本当だって。今度見に来る?」

 

「見に行く!今日の放課後とかどう?!」

「あ、俺も良いか?!新しいのはまだ見てないしさ」

 

「見せてあげるから落ち着いてって」

 

うむ、良いな。こういう光景は。

楽しかった2年前みたいで。

 

弾君や数馬君にもアイアンマン見せてやらにゃあな。

 

 

 

「一夏!いい加減どういう関係か説明してくれ!」

 

「そうですわ!まさかこの方とお付き合いを──!?」

 

おや、授業中千冬さんのチョーク投げや出席簿アタックが

何度も直撃していたボンヤリガールズ(箒ちゃん&セシリアちゃん)じゃないか。

まぁ一夏君の唐変木ぶりは今日も絶好調だけどさ。

 

「何も無いって。ただの幼なじみだよ」

 

──ほら。

 

一夏と付き合っているのか?と問われて顔真っ赤だった

鈴音ちゃんが一転して不機嫌な顔になったし

ライバル出現かと警戒していたセシリアちゃんは

ホッとしたような表情になってるし

箒ちゃんは「幼なじみは自分ではないのか?」と

怪訝そうな顔になってるしで…。

 

ヒロインズの顔色がコロッコロ変わってるってのに

一夏君はいつもの爽やかな笑顔のまま。

 

 

「初めまして。これからよろしくね…!」

 

「あぁ。こちらこそ…!」

 

うわぁ。視線がバチバチ言っとるよ。

 

ムジョルニア翳したら電気吸えるんじゃないの?

誰かアスガルド行ってソー呼んできてー。

 

 

「私の存在を忘れて貰っては困りますわ!」

 

「………誰?」

 

「ちょっ?!私はイギリス代表候補生でしてよ!」

 

「あたし外国は日本以外興味無いし」

 

わーこっちもバチバチしてらっしゃるー。

 

誰かストームブレイカー持ってない?

このバチバチ吸って止めてよ。

 

 

………(コレ止めろよオイ)

 

???(お前ら何やってんだ)

 

駄目だこりゃ。一夏君に自覚が無いんだもの。

目の前で自分のこと取り合って喧嘩してるってのに

不思議なものを見る目をしていやがる。

 

一夏君、恋愛が絡まない喧嘩となるとすぐに気付いて

ちゃんと仲裁に入ってくれるイイヤツなんだが

ひとたび恋愛が絡むと途端に反応しなくなるんだよな…。

中学校でも彼の知らないところでいくつかの友情が

彼に惚れてしまったために崩壊してるんだぜ?

そのくせ天然タラシなんだからタチが悪い。

 

 

 

「一夏さん、今日の放課後は私と特訓をしますわよ!

射撃機相手を想定した特訓ですわ!」

 

「悪いが今日は私と特訓するのだ!その為にわざわざ

訓練機の使用許可を取ってきているのだぞ?!」

 

「おいおい…2人とも落ち着けって」

 

「そこで揉めてるならあたしが訓練を見てあげるわよ。

一夏との付き合いならヒナ姉を除けば一番だもん」

 

「そうか。そりゃ助か──」

 

「お待ちなさいっ!」

「抜け駆けなど許さんぞ!」

 

ちょっと目を離せばこの有様だもの。

 

 

一夏君をハーレムの王として育てるべきかなぁ…。

何やら日本で男性IS操縦者の重婚を認める特例が

早くも制定されようとしているとの事だし

最終手段としては考えておくべきかもしれんな。

 

 

 

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──その日の夕方。

 

 

バタンッ!!

 

「鈴音ちゃん?!」

 

「………」

 

自動キャッチ型スーツとかmk.4用の武装とかの設計を

自室へ持ち込んだパソコンで進めていた所へ

泣きそうな顔の鈴音ちゃんがやってきた。

そのまま無言で私の胸へ飛び込んできたから

とりあえず抱きしめて頭を撫でてあげる。

 

「…一夏のばかぁ!ニブチン!唐変木っ!!

 

たぶん原因は一夏君だろう。フラれた…とは違うか。

約束を間違えて覚えていたとかそんな感じだったはず。

 

「今は思いっきり泣きなさい。胸なら貸してあげるから」

 

うわぁぁぁんいちかのばかぁぁあぁっ!!!

 

こういう時は思いっきり泣いた方がいい。

そうして泣き疲れた方が落ち着けるんだから。

 

 

 

「……………」

 

「少し落ち着いた?」

 

「………うん。ありがと」

 

制服が涙とか鼻水とかでぐちょぐちょになってしまったが

とりあえず鈴音ちゃんは少し落ち着きを取り戻した様だ。

 

軽く事情を聞いてみたらやはり原因は一夏君だった。

どうも鈴音ちゃん中国に帰る直前に告白…というか

「料理が上手くなったら毎日でも酢豚を作ってあげる」と

「俺の味噌汁を作ってくれ」をアレンジした

逆プロポーズのようなものをしたらしい。

 

ただ、キングオブ唐変木の一夏君を相手に

そんな遠回しな表現では全く伝わらなかったのか

一切愛の告白だと認識していなかったそうだ。

で、乙女の一大決心を台無しにされて

失意のままここへ来たとの事だった。

 

 

「スーパー朴念仁の一夏君だからねぇ…」

 

「…ぷっ…なにその…超サイヤ人みたいな。

でも…一夏を振り向かせるにはどうしたらいいのかしら」

 

「婚姻届持って『結婚してください』って押し掛けて

既成事実まで作るくらいしないとダメなんじゃない?」

 

「ききき、既成事実っ?!」

 

「そ。一夏君をベッドに押し倒して──」

 

「あたしに出来るわけないでしょっ!?」

 

「…それくらい元気に声出せるなら大丈夫そうだね」

 

「……うっ…気ぃ遣ってくれてありがと」

 

 

ちなみにだが。

 

今鈴音ちゃんに冗談半分でしたアドバイスは

私の実体験に基づいたアドバイスでもある。

 

前世の私は恋愛ごとに対して凄まじく奥手だったもんで

後の妻からのアプローチにある程度気付いていながら

ずっとスルーしてたんだが、ある日彼女を家へ招いたら

後は私が名前を書くだけの婚姻届をスっと取り出してな

結婚してくださいって言われながら抱かれたんじゃよ。

流石にそこまでされては覚悟決めるしかあるまいってんで

彼女と籍を入れる事を決意したんじゃ。

 

な?一夏君でも理解出来そうじゃろ?

けど彼の場合ヒロイン候補が複数人いるから

やったら確定で修羅場りそうだけどな…。

 

 

 

「そういえば、ヒナ姉には好きな人とかいないの?」

 

「私?う〜ん…今の所はいないよ」

 

「えっと…その…一夏とかさ、どうなの?」

 

「一夏ぁ?!無い無い!弟みたいなものだもん」

 

鈴音ちゃんからはただの15歳の女の子に見えるんだろうが

中身はもうすぐ100歳になるお年寄りなのでな。

少なくともその誤差を修正するまでは恋愛なぞ出来んよ。

一夏君に至っては弟──もとい可愛い孫のようなもの。

恋愛対象にはならんさ。

 

 

 

 

 

 

 

「──よし。これで粗方調整完了だね」

 

「こ、これは…まさかっ!?」

「あたし知ってる…。このスーツケース…!」

 

少しして簪ちゃんが整備室から帰ってきたので

私はちょっと面白いモノを披露することにした。

 

私達の目の前に鎮座しているのは、赤と銀に彩られた

金属質のスーツケースだ。それも"2つ"。

 

 

 

「着てみる?古い方なら着れるよ?」

 

 

「いいの…?!──でも着るよりは目の前で見たい」

 

「…なら…あたしが着るわ…っ!」

 

試着役を申し出た鈴音ちゃんの足元へケースを置く。

 

これは2つあるスーツケースの内の古い方だ。

mk.3とほぼ同時期に機構の試作として作り始めたのだが

成長期に置いていかれてお蔵入りが確定したモノで

しばらく部屋の隅に放置されていたモノ。

 

 

「確かここよね?ここに足を載せて──」

 

ガシャンッ!

 

ケース中央の起動用フットレバーを踏み込むと

スーツケースの向きが縦に変わってケースが開かれ

無数の機構が詰め込まれた中身があらわになる。

 

「で、そのレバーを握る」

 

「これね?」

 

両足をケースのフットレストに載せてから

目の前に飛び出たレバーを握ってひねり

そのままケースの奥へと押し込む。

 

「それを胸元へ。」

 

「持ち上げればいいの、ねっ!」

 

ガコンッ!!

ジャキィンッ!!

 

レバーを握ったままケース部分を上へ持ち上げたら

あとは腕をバッと左右へ開けばいい。

 

 

キュイィィィン…ッ!

 

そうすれば胸部に取り付けたリアクターが起動し

一斉にアーマー装着が始まる。

 

カチャカチャカチャッ!

 

チャキチャキチャキッ!

 

折り畳まれたアーマーがフレームに沿って展開し

身体にピッタリ密着するようにスライドする

2段階の変形がわずか10秒足らずで完了すれば──

 

シャキンッ!!

 

髪巻き込み防止用キャップに沿ってヘルメットが装着され

アイアンマンin鈴音ちゃんがそこに現れるという訳だ。

 

 

「ほわぁ…っ!か、カッコイイ…っ」

 

「あ、あたし今…アイアンマンになってるの…?!」

 

そうだろうそうだろう!カッコイイだろう!

 

たった十数秒の装着シーンを何百回何千回と見返して

ありとあらゆる動作を原作通りに動かすべく

前世から何十年も掛けて設計したスーツなんだからな。

「Mayhem In Monaco」の5分15秒から始まる30秒間なんざ

果たして何回聞いたのか分からない位聞いたもの。

 

 

 

 

 

「ねぇ、飛んでみてもいい?!」

 

「あーそいつはダメです」

 

「ぶー!けちー!」

 

悪いが飛行はまた後日な。

 

IFFなんざ登録されてないので、迂闊に飛ぼうものなら

自衛隊のF-35とドッグファイトする羽目になっちまう。

この「mk.5」はスーツケースとして持ち運べるように

装甲の強度は最低限しか確保されてないから

GAU-22/Aが当たった日にゃタダじゃ済まないのよ。

飛行能力自体も控えめだしな。

 

 

「じゃまた明日ね!今日はありがと!」

 

「おやすみ、鈴音ちゃん」

 

 

 

 

 

 

 

「──J.U.P.I.T.E.R.。」

 

『何でしょうヒナタ様』

 

「装備の制作、急ぐわよ。クラス対抗戦までに」

 

『了解』

 

クラス対抗戦まで、時間はそう残されていない。

 

私という存在のせいで何が起こるか分からない以上

イベントを迎える時は万全の状態で居たいものだ。

やってくるであろう"無人機"が必ずしも

一機だけとは限らないのだから。

 

 

 





アイアンマンmk.5お披露目。
2つあるmk.5の主な違いはそう、胸部装甲です。
それと、鈴音ちゃんがツインテールなので
巻き込み防止用にキャップ被らせました。
何度かmk.5装着シーン見返して来ましたけど
トニーの髪でさえ巻き込みそうで怖いんよ…。

アーキタイプブレイカーのキャラに関しては
筆者が未プレイ勢なので、仮に出すとしたら
キャラクター像はwikiやpixivから
情報を拾ってきて書く形になります。
まぁ出さないと思いますが…。

次回、クラス対抗戦!
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