インフィニット・ストラトスinアイアン…マン?   作:高橋ヒナタ

4 / 21

3話とセットで4話を投稿!



第4話

 

 

 

[国民保護に関する情報]

 

 

 

関東、東北、中部地方を中心とする極めて広い範囲へ

Jアラートが繰り返し発令された。

 

世界各国よりミサイル飛来。頑丈な建物や地下

非常用シェルターなどに速やかに避難せよ。と。

仮に第二次世界大戦中にJアラートが存在しても

決して見ることは無かったであろう異常な画面。

 

 

(………白騎士…事件)

 

日本を射程圏内とする多くのミサイル発射基地が

一斉にハッキングを受け、合計で2341発という

信じられない数のミサイルが日本へと発射されたのだ。

それは、後に「白騎士事件」と呼ばれる大事件。

 

 

 

「良かったの?逃げなくて」

 

「お姉ちゃん…。この辺りに逃げ場なんてないよ」

 

「あはは!そうだね!」

 

今も外からJアラートのサイレンが鳴り響いているが

私とヒカルノお姉ちゃんは避難しなかった。

 

そもそも、この付近にあれほどのミサイルを防げる

強固な建物やシェルターは全く存在しない。

公共交通機関も含め陸路が避難者で機能しなくなる以上

この位置から範囲外への避難も難しいだろう。

そして何よりも私には、信じている人がいる。

 

 

(束さん…あなたならやる、そうですよね)

 

箒ちゃん、一夏君に千冬さん。恐らくは私も。

この街には、束さんが守りたいと思う人がいる。

そして白騎士ももう既に完成しているはず。

 

ならば彼女は動くだろう。

私は、8割ほど完成しているJ.U.P.I.T.E.R.に集めさせた

各地の観測カメラなどの映像をジッと見守った。

 

 

 

[ヒナタ様。正体不明の飛行物体を捕捉しました。]

 

 

 

程なくして、白騎士と思われる存在が画面へ映る。

 

さぁ…これが全ての始まりだ。

 

 

 

 

 

 

 

──結論から言おう、ほぼ原作の通りだった。

 

空中へ突如現れた白騎士は、巨大な剣と荷電粒子砲で

全てのミサイルを撃墜してみせた。

私がいることで開発が捗りでもしたのか

更にスペックが高まっているような感じはしたが

それでもほとんど私の知っている通りの進展だった。

 

 

[自衛隊からもスクランブルを確認しました。]

 

(やはりそうなるか…)

 

そう。ソレを軍事利用したがる者が現れる所まで

見事に原作の通りだった。戦闘機や空母などで構成された

各国の部隊の表向きの目的が突如出現した未知の存在の

調査や殲滅だったとしても、恐らくその部隊の隊員達は

可能であればその存在を捕獲しろと指示されている筈だ。

 

そして、ものの見事に全てが返り討ちにされた。

戦闘機や空母の人員を誰一人傷付けること無く。

 

 

 

[UNKNOWNの反応は消失したようです。]

 

「………この先どうなるのやら…」

 

 

こうなってしまった以上、世界は一変することだろう。

 

アイアンマンの完成を急がねばならないようだ。

 

 

 

╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌

 

 

 

白騎士事件が起きて変わったこと。

それは、数えるのも億劫なほどに多かった。

 

 

まず、白騎士を造り出したのが篠ノ之束である事が判明し

彼女は国連の厳重な監視下に置かれる事となった。

ISの根幹となる「コア」が彼女にしか作れなかったため

世界情勢安定化のためだと依頼されコアの製造を──

尤もほぼ強制ではあるだろうがさせられる形に。

 

その後コアの量産が始まり各国にISが配備されると

「何故か女性にしか使用できない」という

兵器としては致命的過ぎる欠点が露呈し

その結果男性の持つ"チカラ"が大きく失われた。

いわゆる「女尊男卑社会」になってしまったのだ。

別にその人がISを持てるという訳でもないのに

各国首脳陣や大企業上層部に次々と女性が就任し

女子校というだけで名門校という風潮すら出来始めた。

 

主戦力がISへ置き換えられたことで各国軍部や

軍需産業は過去に類を見ないほどの大混乱に陥り

真っ先にIS産業への移行を表明した企業の株価が上がり

安定を取って及び腰になった企業の株価は下がった。

倉持技研は前者だったおかげで我が家の経済事情は

大きくグラつく事は無かったが、大幅な赤字化あるいは

倒産に追い込まれた企業が数多くあるのも事実。

 

 

 

「J.U.P.I.T.E.R.。どう?情報収集は。」

 

『順調に進んでいます。現在47%』

 

個人的な変化としては、遂にジュピターが完成した。

市販の音声合成ソフトを改造してボイスを調整し

あの加瀬康之さんのボイスを再現した音声も付け

オペレーションマトリクス格納用のハードディスクも

自前の技術も加えて大幅に更新しておいたので

以前よりも更にサポートAIらしくなっただろう。

 

ボイスに関しては吹き替え版の加瀬康之氏ではなく

字幕版のポール・ベタニー氏のものを使う手もあったが

ジャーヴィス、あるいはヴィジョンの声としては

個人的には吹き替え版の方が好みだったので

加瀬康之さんのボイスを再現させてもらった。

 

「スーツ用の部品の合成進捗度を表示」

 

『了解』

 

続いてアイアンマンスーツの方についてだが

運良く3Dプリンターを手に入れたので

今の私の体格に合わせたスーツ「mk.1」を

樹脂製のアーマーで組み立てている。

実際のスーツは金属製のアーマーを採用する予定だが

これはあくまでも検証用なので防御力は必要ない。

 

「アークリアクターの設計図を出して」

 

『1号機と2号機、どちらになさいますか?』

 

「おっと言葉が足りなかったね、2号機で」

 

勿論アークリアクターの制作も少しづつ進めている。

 

とはいえ、オバディアの部下が不可能だと言ったように

流石にアークリアクターの小型化は凄まじく難航した。

ジュピターにも問題点を探らせつつ試行錯誤しているが

どう頑張っても業務用冷蔵庫クラスの大きさから

小さくすることが出来ていない。目標は言うまでもなく

手のひらに収まるレベルなのでまだまだ先だ。

 

 

「ヒナタちゃ〜ん宿題終わってるわよねー?」

 

「もちろん終わってるー!」

 

あとそう、一応6歳なので小学校にも入学してます。

かがりびひなた6さいです!いちねんせいです!

…なーんて今更やるのも正直恥ずかしいので

宿題やらテストやらの最低限はキチンとこなして

あとは適当に済ませておいた。

 

何せこちとら義務教育どころか高卒資格も大卒資格も

いくつかの博士号も持ってる身だ。前世のだけどね。

ノリが悪いからなのかイジメにも遭いかけたが

キッチリ全員とっちめて更生させておいた。

そういう場面ではな、孫やその友達がやったおイタを

叱ってやった時の経験が役に立つんじゃよ。

 

 

 

 

 

事件による身の回りのゴタゴタがある程度片付いた辺りで

私は確かめておきたかった事をジュピターに調べさせる。

それは、束さんの現状。

 

あれ以降彼女の両親はおろか私や千冬さんにすらも

一切連絡が届いていないので、少し不安なのだ。

 

「J.U.P.I.T.E.R.。束さんの状況は分かる?」

 

『ニューヨーク州マンハッタン島にて確認しています。

同日に国連本部へ大量の物資が搬入されていますので

恐らくはそこにいるかと』

 

「国連本部…か。彼女の外出記録をチェックして」

 

『周辺の監視カメラの記録映像をチェックします………

どうやら篠ノ之博士が外出している形跡は無いようです』

 

「…最後の確認から?」

 

『少なくとも現存するデータでは確認されていません』

 

うん。これは雲隠れされるわ。私でもする。

 

「察知されないことを最優先としつつ国連本部から

束さんに関するデータを可能な限り抜き出しておいて」

 

『スーツ制作にも影響が出てしまいますが──』

 

「そっちは私がやるから大丈夫」

 

『了解しました』

 

 

その後もジュピターに色々と探らせてみたが

国連本部での彼女の扱いはテロリスト同然だった。

もはや真っ当な扱いをされてるのは書面上だけで

あっちに行くにもこっちに行くにも監視がつき

外部との連絡手段は一切与えられていないらしい。

どこかのタイミングで脱走未遂事件も起こしたようで

手足に何やら物々しい拘束用の枷まで着けられている。

 

(まぁ束さんはIS用の武器を振り回せる千冬さんと

同格かそれ以上の身体能力の持ち主だもんね…

洗脳バッキー(ウィンターソルジャー)を収容してるようなもんなワケだ。

加えてトニー以上の頭脳まで持ってるときた。

そりゃあ厳重に拘束しないと逃げ出されるよね)

 

各国軍部の最新鋭戦闘機を難なく撃墜するほどの

強力すぎる武器を作れるテロリストへの対応としては

確かに合っているんだろうけど…。

 

「処刑されそうなら助けてあげなくちゃね」

 

『国連本部の見取り図を入手しますか?』

 

「さすがジュピター、気が利くね。よろしく」

 

『では、別途ご用件があればお呼びください』

 

 

 

╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌

 

 

 

──白騎士事件から約1年。

 

小学2年生へ進級した私だったが、やる事の多さは

事件から1年経っても全く変わらなかった。

 

授業の合間を縫ってアークリアクターの設計だ。

スーツの基礎設計はほとんど終わっているし

J.A.R.V.I.S.──もといJ.U.P.I.T.E.R.は完成した。

となれば残っているのはリアクターしかない。

スーツはリアクターのエネルギーで動かす以上

どれだけガワが出来ても動力が無ければ意味が無い。

 

という訳で、今日も学校でパソコンとにらめっこだ。

 

 

 

「なんだよ、お前またパソコンしてるのかよ」

 

ふと、男子生徒が1人話しかけてくる。

この子とは特に接点は無かったはず。

 

「やらなきゃいけない事がたくさんあるからね」

 

正直今は自分でもわかるぐらいピリピリしてるから

余計なことで絡んでくるのはやめて欲しいところだが

その男の子はしばらくこっちをジッと見つめてくる。

 

 

(小型化するのにネックになってるのはどこだ…?

少し大胆に構成を変えてみる必要がありそうだ)

 

 

 

「お前…やっぱりムカつく」

 

「ムカつく?何か私に──ぐえっ!?

 

何も言ってこないからとスルーしていたら

何故か突然首根っこを掴まれてしまった。

シャツの襟が持ち上げられて首が絞まる。

 

「げほっ…急に何するの?」

 

「ちょっと頭いいからって…ムカつくんだよ!」

 

グイッ!!

 

「きゃあっ?!」

 

そのまま強引に椅子から引きずり下ろされた。

 

彼が怒っている理由は…恐らくこの年頃にありがちな

特に深い理由のない厄介な怒りなんだろう。

なんかムカつく、なんかイライラする、そんな感じの

言葉に出来ない不快な感情をぶつけてくるパターンだ。

 

 

「なぁ!こいつのパソコンこわしてやろうぜ!」

 

「いいな!おれもこいつキライだし!」

 

教室に残っていた何人かが私へ狙いを定めた。

イジメへの対処は何度かやったし慣れたものだが

正直そのパソコンを壊されるのは困る。

J.U.P.I.T.E.R.含めバックアップは万全だが

彼らに安物とは言えないそれを弁償する能力は無いし。

 

どうしようかと悩んでいると───

 

 

「何をしている!」

 

「うわ!男女(おとこおんな)がきた!」

 

教室へ箒ちゃんが戻ってきた。

 

「それはヒナタの持ち物だぞ!返してもらおう!」

 

「くそ!離せよ!」

 

取り返しに挑みかかってくれるのはありがたいが

ハッキリ言おう、タイミングが最悪だ。

このままでは箒ちゃんがイジメの標的にされてしまう。

 

「男みたいな言葉してさー、変なやつだよな!」

 

「さきにこいつのことやっつけようぜ!」

 

言わんこっちゃない。

 

私が体勢を立て直していることなどお構い無しに

少年たちの標的が私から箒ちゃんへ移る。

彼女は元々男らしい口調をしている変なやつだ、と

陰口を繰り返し言われていたのだが、私と揉めていた所へ

割り込まれたせいで余計にイライラしたんだろう。

 

 

「こんな男女なんかやっつけてやる!」

 

いかん、流石に掃除道具で殴り掛かるのは止めねば!

 

 

 

バキィッ!!

 

「うわぁっ?!」

 

「女の子相手に武器持って殴りかかるなんて

卑怯なことするんじゃねぇ!」

 

 

──まったく君は最高だな。

 

 

 

「男女に武器使って悪いかよっ!」

 

「あいつは女の子だ!リボン似合ってただろうが!?」

 

掃除道具を持った男子生徒複数人を相手に

勇猛果敢に大立ち回りを演じとっちめていく一夏くん。

いくら剣道を続けていて鍛え上げられているとはいえ

徒手空拳のみでこれが出来るんだから大したものだ。

 

これは箒ちゃんが惚れる訳ですわ。

私も女の子歴8年だから、前世の記憶が無かったら

もしかしたら一夏君に惚れていたかもしれない。

そしてフラグをへし折られるんですね分かります。

 

 

「大丈夫か?2人とも」

 

「ありがとう。とてもカッコよかったよ一夏くん。

そうよね、箒ちゃん?」

 

「?!そそそ、そうだな!」

 

既に箒ちゃんは一夏君にゾッコンのようだ。

私という接点があったことで早いうちに出会い

交流を深めていたというのもあるんだろう。

ただ…一夏君はその想いには気付いてないみたいだけど。

 

 

 

「箒はこのあと道場で稽古だろ?一緒に行こうぜ!

ほら、ヒナタも一緒にさ!」

 

「んー、私は遠慮しておくよ。2人で──」

 

「みんなで一緒に行った方が楽しいだろ?

アイアンマンどこまで出来たかとか聞かせてくれよ!」

 

「………そうだね、行こうか箒ちゃん」

 

「う、うむ」

 

まったく…空気の読めないヤツめ。

せっかく箒ちゃんと2人きりにしてやろうと思ったのに

これだからヒロインズからボコられるんだぞ。

 

私は2人と一緒に篠ノ之神社へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

「──篠ノ之箒さんだね?重要人物保護プログラムの

適用に伴い、君を保護させてもらう」

 

そして、目の前で箒ちゃんが連れて行かれた。

 

 

 





やっとジャーヴィスとスーツmk.1が出せた…
まぁこれじゃプラスチックマンだけど
アイアンマンだって実際はアイアン(鉄)じゃないし。

IS発表から4年も何してたんですか、って事で
重要人物保護プログラムを2年前倒しで適用。
束さん失踪と同時とか白騎士事件と同時とかなら
まだ分かるんですけどね…。
ストーリーが崩れたりはしないはず。
現状大きく崩れてはいない。

本作に2期(GX版8巻以降のオリジナルストーリー)は要る?

  • 要る(時間を掛けてでも書いてくれ!)
  • 要らない(8巻で綺麗に終わらせてくれ)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。