インフィニット・ストラトスinアイアン…マン?   作:高橋ヒナタ

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5話とセットで6話を投稿!



第6話

 

 

 

──第2回モンドグロッソ会場。

 

 

「ここで千冬姉が試合するのか…!」

 

「楽しみかい?」

 

「あぁ勿論!お前もそうだろ?」

 

「…そうだね」

 

 

 

周りを見れば人、人、人。

 

IS乗りの世界一を決める祭典モンドグロッソには

今回もまた凄まじい人数の観客が訪れていた。

私と一夏君は千冬さんから貰った観戦チケットで

ここへ来ている。

 

 

(…一夏君…ちょっと呑気すぎないかい?)

 

一夏君は初めて来る外国に浮かれているらしく

あっちへ行ったりこっちへ行ったり…。

中学一年生なら妥当とは思うが少し落ち着いて欲しい。

 

正直に言おう、私けっこうピリついてます。

去年辺りだったか、国連本部で軟禁されてる束さんの為に

ジュピターと共謀して監視に僅かな穴を空けてあげたら

相当ストレスが溜まってたのかあっという間に失踪して

また世界が大きく揺れ動いていたもんで。

うちにも迷惑な"客"が頻繁に来るようになったのよ。

 

そこはまぁぶっちゃけ自業自得ではあるんだけど

いつだか箒ちゃんへあげた「グローブ」の使用履歴が

束さんの失踪直後からグングン伸びていくんだもの。

エージェントくん何してるの?って言いたい。

 

 

 

「J.U.P.I.T.E.R.。会場の見取り図をチェック」

 

『了解』

 

私が虚空へ声を掛けると、メガネに映像が映る。

 

アイアンマンと同じ赤色のフレームをしたコレは

最近よく使っている簡易HUDとして使えるデバイスだ。

 

「一夏君を狙うような不審人物は居る?」

 

『調査に少々お時間が掛かりますが…』

 

「構わないよ。彼の周囲を監視しておいて」

 

とりあえずはジュピターを会場の監視カメラへ潜り込ませ

一夏君の暗殺を狙ってるヤツが居ないか監視させておく。

誘拐ならまだやりようはあるが、暗殺されてしまうと

それこそ何もかもが崩壊しかねないので…。

 

 

 

 

 

『総合部門準決勝の開始時刻となりました──』

 

「剣1本でここまで登りつめるんだもんね…」

 

「強いよな千冬姉は」

 

倉持で作ってる量産型IS打鉄に似た機体「暮桜(くれざくら)」を

その身に纏った千冬さんが会場へと姿を見せる。

雪片(ゆきひら)」と銘打たれた長刀のみを手にした彼女は

まさに鎧武者といった佇まい。

 

機体を一瞬で加速させる技能「瞬時加速(イグニッションブースト)」を

さらに昇華させた絶技「二連加速(ダブルイグニッション)」を使い

相手に反撃を許さず切り刻むのが彼女の戦い方だ。

 

「なんだっけ…れい、れいらく…」

 

「『零落白夜(れいらくびゃくや)』だね」

 

そして何よりも、彼女の機体に突如発現した

自身の機体のシールド用エネルギーと引き換えに

敵機のシールドをほぼ一撃で削り取る特殊技能

「零落白夜」が、その戦闘スタイルと噛み合った事で

彼女を戦女神へと昇華させたのである。

 

 

 

『準決勝第1試合勝者は〜織斑千冬ーーーっ!』

 

「よっしゃあっ!!」

 

「うんうん、さすが千冬さんだ」

 

準決勝もまた千冬さんの圧勝。

シールドエネルギーは零落白夜の消費分を除けば

減ってすらいなかった。

 

 

 

『次の決勝戦までは時間がありますので──』

 

 

 

(………いよいよ、か)

 

 

 

──千冬さんはこの後、第2回モンドグロッソの決勝戦を

棄権させられる事になってしまう。

 

それは何故かと言うと、一夏君が誘拐されるからだ。

「織斑一夏を無事に返して欲しければ決勝戦を棄権しろ」

そう誘拐犯から脅されてやむ無く、といった形で。

 

 

「J.U.P.I.T.E.R.。どう?」

 

『殺傷用の武器を隠し持っている人物はいないようです』

 

「そう、分かったわ。引き続き監視をお願い」

 

だが、これが正規の流れなのだ。

 

ここで一夏君救出にドイツ軍の協力を仰いだことで

ドイツにいる原作メンバーの一人と千冬さんが出会い

どん底から救い出されて本編へと繋がる。

つまり私はここで、一夏君が誘拐犯の気まぐれなどで

殺されてしまわない様見張っているだけでいい。

 

ドイツ軍が動く前に千冬さんが救出してしまったり

逆に事情を知らされずに千冬さんが決勝戦へ出場したり

うっかり誘拐犯の邪魔をしてしまったり──

そんなイレギュラーが起きないように動く必要がある事の

裏返しでもあるので、中々に大変だ。

 

 

 

「ちょっと俺トイレ行ってくるわ」

 

「気をつけて行ってくるんだよ」

 

一夏君が私のそばを離れた。

恐らく、ここで彼らは仕掛けてくる。

 

さぁどう来る──

 

 

 

 

 

『…ヒナタ様!』

 

「篝火ヒナタだな?我々と来てもらおう」

 

あれ?なんでこっちに来てるの?

 

 

 

╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌╌

 

 

 

 

 

「んっ…」

 

「漸くお目覚めか」

 

私は車の振動で目が覚めた。

ただまだ頭がぼんやりしてて状況が把握しにくい。

 

 

「この状況が分かるか?」

 

「…!!」

 

やばい。やってしまったらしい。

 

ロープでガッチリと後ろ手に縛られていて

口には布で作った猿轡を嵌められている。

それに加えて、メガネの上から目隠しまで。

服は特に脱がされていないようだが

どう見たって危険な状況でしかない。

 

乱暴する気でしょ!エロ同人みたいに!

とかそんな事を言っている場合じゃなさそうだ。

…本当にされてしまいそう。

 

 

「……………」

 

「理解したか?いい子だ。少し待っていろ」

 

私を攫った奴らは車でどこかへ向かっているようだが

さすがに視界が利かないので行き先は分からない。

 

 

 

 

 

「よし。降りろ」

 

しばらく車で運ばれたのちに、どこかへ降ろされる。

 

…僅かに潮風の香りがするので恐らくは海に近い位置

私を船なり潜水艦なりで国外へ運ぶつもりだろうか

あるいは──

 

そんな事を考えていると、目隠しと猿轡が外される。

モンドグロッソ会場はハンブルク付近だったので

クックスハーフェン辺りの港町にほど近い

貨物港とかそういったところだと思われる。

 

 

「お前には我々の国で武器を作ってもらう」

 

「…武器、ですか?」

 

この誘拐の依頼主と思われる男達が私に近寄り

何やら軍事機密と思しき書類を見せてきた。

 

「君があの倉持のヒカルノ女史の妹ということは

既に調べが着いている。君にならこれを改良し

より良い武器を作ることも可能だろう?」

 

書類に記されているのは、主にIS用の武装だ。

しかし、それらはただの武装では無かった。

軍事利用目的であろう極めて殺傷能力の高い武装だ。

敵機のシールドエネルギーを削るためではなく

より効率よく敵に甚大な損害を与える事を考えて作られた

恐らく束さんが最も嫌うであろうモノ。

 

 

 

 

 

「………お断りします」

 

私は、暫し考えたのちに、その依頼を断る。

 

ヒーローならば。トニーならばそうしただろう。

束さんや私の技術の軍事利用など、決して許さない。

 

 

「ほぅ…自分の状況が分かっていないようだね」

 

ゴスッ!!

 

あ゙うっ?!

 

男の拳が私のお腹に深くめり込む。

思わず胃の中のものを吐きそうになるが、こらえる。

 

 

「いいか、これは依頼じゃあない」

 

「うぐっ…」

 

髪を掴まれて無理やり視線を合わせられる。

 

ろくでもない事を考えている、下卑た視線だ。

 

「これは命令だ。拒否権など無いのだよ。

それでも断るならどうなるか…君には分かるだろう?」

 

ニヤニヤした視線を隠すこともせず突きつけながら

私の胸元をいやらしい手つきでまさぐってくる。

惨めに"初めて"を散らしたくないのなら

大人しく言うことに従っておけ、という事なのだろう。

 

 

 

「…船の出航までまだ少し時間がある。よく考えたまえ」

 

「あうっ!?」

 

近くのソファへ向けて突き飛ばされた。

 

12歳の女の子に対して随分と酷い扱いをするものだ。

 

 

 

 

 

 

 

「──どうだ?こっちのガキは」

 

「姉御?!」

 

しばらく監視の男どもと倉庫で何もせず過ごしていたら

目付きの悪い茶髪の女が入ってきた。

あの見た目には見覚えがある。確か亡国機業とかいう

謎の組織に属する「オータム」とかいう女だ。

 

「…悟ったようなツラしてんのな」

 

「ええ。覚悟は出来ていますから」

 

「ケッ…可愛くねぇガキだぜ」

 

可愛くねぇ女だぜ。どんな事情があったかは知らないがね

まだ若い女の子がそんな振る舞いしちゃいけませんよ。

うちの最初の孫とそう歳変わらないでしょうに…。

 

オータムが「こっちのガキ」と言った辺りからして

多分一夏くんも誘拐されてしまったんだろう。

あっちは千冬さんが救出するからいいとして

私がどう脱出するかを考えねばならん。

 

 

「何だてめえら、まだ喰ってなかったのか」

 

「仮にも『傷付けるな』って言われた標的だぞ?」

「下手すりゃボスにどやされちまう」

 

「ヤツの顔を見ろ。反抗的なヤツには…分かるな?」

 

ちょーーーっと会話がヤバそうだからね。

 

 

 

 

 

「さぁて、お仕置の時間といこうか」

 

「嫌なら大人しく言うことを聞くこったな」

 

オータムが去ってからしばらくすると、監視の男2人が

ニヤニヤと下卑た笑いを浮かべながら寄ってくる。

 

 

「…ッ」

 

「中々いいカラダしてるじゃねぇの」

 

鼻の下伸ばしながら胸を触ってくるもんだから

とにかく気持ちが悪い。

 

視線を奴らの顔から"下"へ移せば、そこには既に

モッコリと準備万端のサインが見えている。

いかんな、このままではインフィニット・ストラトスが

R-18アニメになってしまう。

 

 

「その反抗的な目、嫌いじゃねぇな」

 

「……!!」

 

頬を掴まれてまた目線を無理やり合わせられる。

 

男は私の顔をジッと舐め回すように見つめてくる。

 

 

「少し…声を聞かせてもらいたいなァ」

 

 

レロォッ…!

 

ヒィッ!?

 

耳に凄まじい不快感が迸った。

舌で舐め回されている。

 

前世で耳舐めASMRを聞いた時は悪くないと思ったが

これはダメだ。不愉快すぎる。

盛った野郎の生暖かい吐息と下手くそな舐め方が

最高にバッドマッチ。

 

私はもう、我慢の限界だった──

 

 

 

ガブッ!!!

 

い゙っ!?!?

 

まず頬を掴んでいた手に全力で噛み付き

怯んだところへ腹に蹴りを入れて吹き飛ばす。

 

 

「離れろこの変態ッ!!!」

 

ゲシッ!!!

 

オ゙ーーーッ!?!?!?

 

立て続けに、耳を舐めていた男にも蹴りを。

それも股間ドストライクの一発をお見舞いしてやる。

 

 

「おまけにコイツでも…喰らえッ!」

 

バキャッ!!

 

後ろ手に縛られていても、手のひらは使える。

近くにあった酒瓶を上手いこと掴み

全身のひねりを使って手を噛んでやった方の男へ

クリーンヒットさせる。

 

 

 

「こんのクソガキィっ!!」

 

バキィッ!!

 

「きゃあっ?!」

 

しかし、男2人相手は奇襲込みでも分が悪かったらしい。

 

「舐めやがって!」

 

ゴスッ!!!

 

「ゔッ…ゲホッゲホッ!」

 

一応護身術の類いは柳韻さんから教わっていたのだが

あっという間に逆転され地面に組み伏せられてしまった。

 

 

「もう許さねぇ!痛くても知らねぇからな!」

 

後ろでカチャカチャとベルトを外す音が聞こえる。

これ以上許せばお茶の間では放送出来ないような

凄惨なバッドエンドシーンが流れてしまう!

 

どう抜け出せばいい?!

 

 

 

「へへへ…美味しく頂かせてもらうぜ」

 

 

 

男がズボンのファスナーに手をかけ───

 

 

 

 

 

バシューーーッ!!!

バシューーーッ!!!

 

 

「……あぁあ゙ァ痛いぃ!腕がぁあ゙ぁ!!

 

その瞬間、2本の光が駆け抜け、男は両腕を失っていた。

 

 

「なッ、何だ今のはッ!?」

 

男の肩口は何やら灼熱の炎で炙られたかのように

酷く焼け焦げていた。細胞をドロドロに溶かされ

血が噴き出すことさえ出来ない酷い状態。

 

 

 

「き、貴様はッ!」

 

レーザーが発射されたと思しき後方へもう1人の男が

振り向いたその直後、再びレーザーが飛来する。

 

バシューーーッ!!!

 

あがぁあ゙ぁぁーーーっ

 

「煩い。汚い声を出すな」

 

右足を射抜かれ悶絶する男を踏みつけながら

この事態の主犯が現れた。

 

 

 

「た…たばね…さん…っ!」

 

「遅れてごめんね。ひなちゃん」

 

行方不明になっていた世紀の大天災、篠ノ之束が

巨大なレーザー銃を手にやってきたのだ。

 

 

 

「私の大切な親友に汚いモノ見せるな」

 

「ひっ!?ひぃぃ〜〜〜っ!!

 

バシューーーッ!!!

バシューーーッ!!!

 

私を犯そうとしていた男が両足を撃ち抜かれる。

 

 

「お前たちはここで惨めに消えるんだよ」

 

「おのれェ…ぎゃあぁあ゙ぁーーーっ!

 

バシューーーッ!!!

 

後ろで見ていた男が拳銃を構えようとしたが

レーザーは拳銃ごと男の右腕を消し飛ばす。

 

バシューーーッ!!!

バシューーーッ!!!

 

そして、残った左腕と左足も消し飛ばされた。

 

 

 

 

 

「ひなちゃん、行こ♪」

 

「う…うん」

 

誘拐犯たちへ見せていた絶対零度の視線から一転

束さんは私へとても良い笑顔を見せてくれる。

楽しかったあの時と何一つ変わらない良い笑顔を。

間に合って良かった、と言いながら。

 

 

「それじゃあコレ、君たちへのプレゼントだよ。

ぜひ堪能していってね♪」

 

私を縛っていた縄を解き軽く汚れを落とした束さんは

どこからともなく謎の装置を取り出すと

四肢をもがれた男2人が転がる倉庫へと設置し

これみよがしにドクロマークが描かれた

赤いスイッチを物凄く良い笑顔で押し込んだ。

 

 

 

ピッ…ピッ…ピッ…ピッ…

 

 

 

「あーーー、そういう(爆弾)。」

 

「慈悲深いと思わないかい?」

 

「…確かにそうかもしれませんね」

 

束さんをここまで怒らせておいて

四肢切断で済むなら安いものだろう。

命?ンなモンねぇよ。

 

 

 

私は彼らが来世で良い人に生まれ変われるよう祈ってから

束さんの車に乗り込み、誰もいない貨物港を後にした。

"人だったモノ"ならたくさん転がってたけどね。

 

──アッ、オータムさん生きてるかなぁ。

束さんがくる結構前に倉庫を出ていったから

多分生きてるとは思うけど…。

 

 

 





主人公ズ誘拐パートでした。

GX版はいきなり箒ちゃんのシャワーシーンから
始まるんですよね…しかも「謎の光」も無い。
まぁ流石におっぱじめちゃうとアウトでしょうし
致す直前で阻止してもらいました。

1,000UA&初評価、ありがとうございます。
次回&次々回でいよいよ原作本編突入!
投稿予定日は何も無ければ明日朝で。

本作に2期(GX版8巻以降のオリジナルストーリー)は要る?

  • 要る(時間を掛けてでも書いてくれ!)
  • 要らない(8巻で綺麗に終わらせてくれ)
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