インフィニット・ストラトスinアイアン…マン?   作:高橋ヒナタ

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ちょっと用事で自宅からの投稿が出来なくなるので
少し早めに第9話の投稿でごぜぇます。



第9話

 

 

 

「何をボケっとしている馬鹿者!」

 

ゴスッ!!

 

「〜〜〜っ!?」

 

 

今日もまた一夏君に出席簿が炸裂した。

 

今朝学生寮で扉の交換が行われていた辺りとか

箒ちゃんがいつにも増して不機嫌な辺りとかからして

裸を見たとかそういうトラブルでもあったんだろうが

授業に着いていけてないんだから余所見は良くないぞ。

 

 

 

「ええと…現在存在するISは467機でー……」

 

千冬さんに促されて一夏君が教科書の音読を始める。

 

書いてあることは概ね私の前世の知識と差異は無い。

ISの根幹となるコアは製造技術が開示されていないから

篠ノ之博士が失踪した今追加で作ることは出来ないよー

だから国や企業や団体は限られたコアを分け合って

研究・開発を進めているよー、とそんな感じだ。

 

条約により一種の治外法権と扱われている学園を除けば

どんな大国でもISの所有数はまず20にも満たない。

で、そんな有様なせいで専用機の数はさらに少なく

専用機を所有出来るのは国家や企業に所属する

ごく僅かな者たちに限られている。

 

しかし一夏君は例外中の例外であり───

 

「状況が状況なのでな。データ収集を目的として

お前専用の機体が用意されることになった」

 

「俺に…ですか?」

 

何故彼がISを操縦出来るのかを解明するだのなんだの…

色々と思惑はあるのだろうが、ともかくデータ採取の為に

織斑一夏専用機「白式(びゃくしき)」が用意される事になったのだ。

 

 

「──それを聞いて安心しましたわ。

訓練機だから負けたなどと言い訳されても困りますもの。

既に勝敗は決まっているようなモノですけれど」

 

あのさぁ、君はいちいち喧嘩吹っ掛けないと

生きていけないのかねセシリア君?

 

昨日より若干控えめになった気はするけど

それでもエリートエリート言ってるもんだから

さすがにちょっとイライラしてくる。

 

 

「織斑先生!篠ノ之さんってあの篠ノ之博士の

関係者だったりするんですかー?」

 

あ、セシリアちゃんスルーされた。

 

しかしスルーして振った話題が良くない!

原作箒ちゃんにとって束さんの話題はタブーだったが

何の因果かより早い段階で保護プログラムが適用された

この箒ちゃんにそれは効くのでは…。

 

「──一応は身内だ。"一応は"な。」

 

……あれ…?意外と平気そう…?

 

「ただ、姉さんとは7年近く会えずにいるから

変な期待はしないで欲しい」

 

「な…7年も会えてないの…?篠ノ之さん大丈夫?」

「お姉ちゃんと会えないなんてそんな酷いっ!」

 

おぉうこいつは予想外の展開。

割り切っているというかそんな感じだ。

 

 

 

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──昼休み。

 

 

 

私は学園内の食堂へやって来た。

 

昨日はバタバタしていて持ち込んだコンビニ飯で

済ませてしまったからここへは来れなかったが

いざ来てみるとその規模に驚かされた。

 

まず何よりめちゃくちゃ広い。

IS学園の学科は私達が所属している普通科以外には

整備オンリーの整備科があるのみとなっているが

普通科は一学年平均15クラスの生徒数約1,400人

整備科も平均6クラスに生徒数約600人と

世界有数の名門校の名に恥じない規模を誇る。

それだけの人数が利用出来る食堂となれば

とてつもない広さになることは当然な訳で。

 

それに加えて、めちゃくちゃ豪華。

世界中から名の通った生徒たちがやって来るので

メニューは和洋中など最低限、世界各国の名物料理

民族料理などがこれでもかと取り揃えられていて

シェフもそれらの料理を作れる腕のある人達が

大勢雇われているのだ。

 

 

「そうだ、シャワルマあるかな…無い?そっか…」

 

残念、今日はシャワルマは無いらしい。

 

 

 

「隣いいか?」

 

「お、箒ちゃんに一夏君じゃないですか」

 

仕方なく適当に注文して席に着いたら

丁度一夏君&箒ちゃんのコンビがやってきた。

 

「お前に渡したい物があるんだ」

 

「私に?」

 

どうやら箒ちゃんから私にプレゼントのようだ。

なんだろう?

 

 

「このグローブ、とても助かった。ありがとう」

 

「素敵なネックレスね…こちらこそありがと」

 

渡されたのは太陽を象った装飾があしらわれた

素敵なネックレス。日本各地を転々としていた時期に

私に似合うだろうと思って買ってくれたらしい。

嬉しい。すっごく嬉しい。大切にします。

 

箒ちゃんも私があげた「アイアンマングローブ」を

今も身につけている通りとても大切にしているとのこと。

原作ほどスマートに出来ている訳じゃないけど

剣を持つ時に邪魔にならないよう左手用で設計してあり

手の甲には椿の花の装飾をあしらってある。

 

「一応これのおかげで…姉さんとも話せたからな」

 

「ん?あぁ、やっぱりハッキングされてたんだねそれ」

 

「いつだか突然電話…?が掛かってきてな」

 

なるほど。箒ちゃんに束さんの話題がタブーじゃないの

そんな理由があったのね。グローブのアクセス履歴に

ジュピターですら発見できなかった痕跡があったけど

やっぱり束さんからのアクセスだったか。

 

 

 

「なぁ、2人に頼みたい事があるんだが…」

 

「頼み事?」

「………なんだ」

 

話が一区切りついた所で一夏君が声を掛けてくる。

これはあれかな?IS操縦を教えてくれ、っていう…。

 

 

「ISのことを教えて欲しいんだ!このままじゃ俺

アイツに何も出来ずに負けちまいそうでさ」

 

お、大当たりだ。

 

「くだらない挑発に乗るから──」

「うんいいよー!2人で君を強くしてあげよう!」

 

「ちょっ…待て!私はやるとは…!」

 

「一夏君と特訓したくないの?」

 

「〜〜〜ッ………仕方ないな…っ!」

 

 

相変わらずのツンデレ娘だこと。

 

 

 

で、我がクラスの癒し枠にしてキグルミスト

のほほんさんこと「布仏本音(のほとけほんね)」ちゃんとその友人ズも

同席して、一夏君の昔話に花を咲かせていたところへ

3年生の少女が声を掛けてきた。

 

「噂の子って君よね?代表候補生と勝負するっていう」

 

「へ?…多分俺の事だと思いますけど…」

 

見た感じは普通の子だ。ジュピターに軽く調べさせたが

変わった経歴も特に持っていない。

 

「私が教えてあげよっか?ISにつ、い、て♪」

 

「っ?!」

 

前世でこの展開を知った時はどこかの国のハニトラかと

疑ったものだが、恐らく彼女は彼女なりの思惑で

一夏君とお近付きになりたくてやったんだろう。

一夏君も一夏君で唐変木ではあるけれど

異性への興味はバリバリあるみたいなので

ハニトラを仕掛けられるほどに整ったスタイルで

ああやって迫られれば首を縦に振ってしまう。

 

が、私の目が黒いうちは抜け駆けなど許さん。

箒ちゃん以外で一夏君のメインヒロインになりたきゃ

これから始まるであろう争奪戦に参加することだな。

 

 

「先輩に剣道大会とかの優勝経験ってあります?」

 

「ん?さすがに無いわ」

 

まぁ、そう言うよね。

ならばこれが効くのだ──

 

「この子達、中学の全国大会で優勝飾れるくらいには

近接戦闘の達人なんで指導は要らないと思いますよ」

 

「あらそう…」

 

ISに関しても、日本代表候補生の専属メカニックが

協力者として名乗りをあげるので間に合っている。

 

3年生の少女はさすがに下がらざるを得なかった。

 

 

 

「あ、そうそう」

 

ついでに一つ彼の友人としてアドバイスをあげようか。

 

「あまり彼に関わりすぎると痛い目を見ますよ。

彼、天然の女タラシにしてキングオブ唐変木ですから」

 

「…た、確かにそうみたいね。ありがと」

 

すぐ目の前で箒ちゃんが嫉妬の視線を向けている事に

まったく気が付いていない一夏君の有様を見て

3年生の少女も彼へ深入りする危険性を理解したようだ。

嫉妬で狂いたくは無かろう。やめておけ。

 

 

 

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「…………………」

 

 

夕方の整備室で、一機のISに向き合う少女がひとり。

水色のミディアムヘアとメガネが特徴の「更識簪(さらしきかんざし)」だ。

 

「………またダメだ…はぁ…」

 

エラーを吐いたプログラミング画面を前にして

簪は何度目か分からないため息をつく。

あの日。唯一の男性IS操縦者の専用機開発のために

自身の専用機の開発が一時中断されて以降

ずっとこの「打鉄弐式(うちがねにしき)」を独力で完成させようと

こうして四苦八苦をつづけていた。

 

「私じゃ無理だっていうの…?」

 

開発は倉持技研第二研究所が引き継ぐと言っていたが

一度開発を手放した企業になど頼りたくは無い。

これは自分一人で完成させねばならないのだ。

 

…そうして自分で自分を鼓舞しながら作り続けたが

あまりにも進まない進捗に折れそうになる。

 

 

カツン…カツン…

 

 

「…お姉ちゃんを見返すんでしょ。私。」

 

全ては、頑なに自分の力を認めてくれない姉を

見返してやるために。

 

姉は自分の専用機を独力で組み上げたという。

ならば、姉に出来て自分に出来ないはずがない。

兄より優れた弟など存在しない──

自分の場合「姉より優れた妹」になるんだろうが

そんなジンクスなど打ち破ってやる。アニメや特撮じゃ

妹や弟の方が優れていたりするんだから。

 

カツン…カツン…

 

そんな事を考えていた簪は、自分の元へ近寄ってくる

特徴的すぎる金属質の足音に気付かなかった。

 

 

 

Hi LittleEngineer(やぁ、小さな技術者さん)

 

整備室に響くは、飄々としたプレイボーイの声──

ロバート・ダウニーJr氏の声。

 

「………ひょえっ?!」

 

Is this better?(こっちの方がいいかな?)……やぁ、小さな技術者さん』

 

と思えば、その声が藤原啓治氏の声へと変わる。

 

そんな声を発しているのは、赤と金のアーマーに包まれた

マーベル・コミック界のトップヒーロー。

総資産754億3000万ドルのナルシストプレイボーイ

トニー・スターク──アイアンマンだ。

 

 

「あ、あ、アイアンマン…っ?!」

 

『どうだ。驚いたか?』

 

更識簪にとってアイアンマンとは。憧れのヒーローだ。

 

アイアンマン1、アイアンマン2、アベンジャーズ

アイアンマン3、エイジ・オブ・ウルトロン

シビル・ウォー、スパイダーマン・ホームカミング

インフィニティ・ウォー、エンドゲーム──

アイアンマンが出てくる映画は全て持っている。

吹き替え版と字幕版、両方とも。

 

そんな憧れのヒーローがなぜ自分の前に?

簪は思わず尻もちを付くほど驚いた。

 

 

『君の専用機開発をこの僕が手伝ってあげよう。

何せ君には見込みがありそうだからな』

 

「ほ、ほん…もの?!」

 

夢のようだ。いや、疲れすぎて寝てしまったのだろうか。

なんだか自分の知っているアイアンマンよりも

胸部アーマーがガッチリしている気がするけれど

あの鋭く輝く目付きも胸元の力強いリアクターの光も

まるで本当のアイアンマンのよう。

 

な〜んて思っていたら──

 

 

ガコンッ!

 

「期待させちゃってごめんね、簪ちゃん」

 

「ヒナタ…さん……?」

 

少し前に自室で見た顔が、アーマーの中から現れた。

 

 

 

 

 

 

 

「──それって…本物、なんですか?」

 

「本物…と言えるかどうかは微妙だけど…」

ガコンッ!

『…ホラ、この通り。ちゃんと機能するぞ』

 

そう言って目の前であの独特のポーズを取り

リパルサーレイで空中浮遊してみせるアイアンマン。

腕や肩からはちゃんとミサイルがせり出してくるし

背中やふくらはぎの補助翼もきちんと動く。

 

恐らくは彼女オリジナルのスーツなのだろうソレは

そのまま映画に出てきても不思議では無い動きを見せる。

まだ自分は夢を見ているのでは?と、手にしたレンチで

自分の頭を小突いてみたが、きちんと痛みを感じる。

これは夢では無いようだ。

 

 

「少し気分が晴れたかい?」

 

「…うん。いい物を見せてもらった」

 

先程までまとわりついていた焦燥感は、既に消えていた。

 

 

 

「──なるほど。そんな事が…ね。」

 

「だから私はこれを1人で作りたかったの」

 

そうなれば、ほぼ親友確定の目の前の少女に

自分が抱えている事情を話すのは簡単だった。

どうしても姉を超えたい、と。

 

「ISを1人で?さすがにそれは無理があるよ。

私にだってトニーっていうお手本がいるんだもん。

…J.U.P.I.T.E.R.。」

 

『『霧纒の淑女(ミステリアス・レイディ)』についてですね?了解しました』

 

「………今の声って…ジャーヴィス?」

 

「名前は違うけど殆ど同じ役割だよ」

 

『検索終了。霧纒の淑女には原型機が存在するようです。

ロシア所有『モスクワの深い霧(グストーイ・トゥマン・モスクヴェ)』になります』

 

「うそっ!?」

 

自分の姉がまっさらな状態から専用機を組み上げたのだと

ずっと勘違いしていたらしい。簪にとってその事実は

雷に打たれたかのように衝撃的な事実だった。

 

 

 

「いい?簪さん。力をつけることも大切だけどね。

困った時に誰かに助けを求める事を忘れちゃいけないよ。

人は誰しも、人との繋がりの中で生きてるんだから。

ヒーロー達にも、ピンチの時に駆けつけてくれる仲間が

大勢いるでしょう?」

 

「そう…だね…!」

 

簪の心の中に、その言葉はすっと入ってきた。

 

姉にだってきっと助けてくれる人はいるはずだ。

なら、自分が誰かの助けを借りたとしても

きっと姉は認めてくれるだろう。と。

 

 

「…ヒナタさん。トニーさん。…力を…貸して下さい!」

 

「よく言った!いいよ。この機体を完成させて──」

ガコンッ!

『君のお姉さんをアッと言わせてやろうじゃないか!』

 

「ありがとう…ございます…っ!!!」

 

 

 

2人は、ガッチリと固い握手を交わしたのだった。

 

 

 





IS学園の学科とかクラス構成とかは想像です。
世界有数の学校が30人4クラス3学年の360人だなんて
考えられないので、クラス数を大幅に増やしました。
ただ、私はアーキタイプブレイカー未プレイなので
そちらからのキャラ参戦は現状ありません。

次回はいっくんvsセッシーです。
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