【完結】映画 ドラえもんクロスアンジュ のび太と天使と竜の輪舞   作:牢吏川波実

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chapter10 ライダースーツ

「あの、ソレって……!」

「?」

 

 と、のび太が≪パラメイル≫の武器の事について聞こうとした時だった。ソレを遮るようにサリアが言う。

 

「この後五人にはシミュレーターに乗ってもらうわ。着替えてきて……て、男どもはどうしようかしら?」

 

 サリアは、困惑した様子で言う。それもそうだろう。この世界の常識の範囲内であれば、≪ノーマ≫と言うのは女性のみが生まれる物。男性が、それも小学生がライダースーツを着ることなんて想定されていないはずなのだから。

 考えてみれば、彼らはまだ、十一歳。そんな子供が戦場に出ることすらも異例なのであるが、彼らはまだ自分たちがジルに利用されようとしていることにすら気がついていないので、仕方のないことだった。

 

「この服着るのちょっとねぇ……」

「あたしも、ちょっと恥ずかしいわ」

 

 と、同じ女性である静香ですらも恥ずかしがる程。まぁ、ある意味それが当然と言う物なのであるが、しかし、そうはいってもどうにもならないのが現実である。

 

「しょうがないのよ、私達が≪ノーマ≫である限りは……」

「他の服なんてここにはないから」

 

 ≪ノーマ≫という存在である限り、そして≪パラメイル≫に乗り続けている限り、自分たちはそのサリアが着ているようなスーツを装着して、出撃しなければならない。それが、要塞≪アルゼナル≫の常識。

 

「あ、そうだ!」

 

 ならば、その常識は、自分たちが破ればいいのだ。そう考えたドラえもんはポケットを探ると、再びあの道具を取り出した。

 

「“きせかえカメラ”!」

 

 そう、無人島でも四人を瞬時に水着に着替えさせた“ひみつ道具”、“きせかえカメラ”である。

 それを見た四人は『なるほど!』と言って、普通のノートと色鉛筆やペンと言った物を取り出し頭を捻るドラえもんの横に集まる。

 

「皆、どんなのがいいと思う?」

「そうだなぁ、リアンたちと一緒に戦った時みたいのは?」

「でも、他の人たちより浮くのも悪いわよ。少しスーツの素材を厚くするだけとかにしたら?」

「スーツの露出している部分を他の素材で代用して見栄え良くするとかいいんじゃない!」

「なるべく格好いいの頼むぜ!」

「……何してるの? あなたたち」

 

 と、≪アルゼナル≫陣営が困惑している中、ドラえもんはのび太たちの意見も取り入れながら一つの絵を描いていく。

 因みに、のび太が述べたリアンと言うのは、かつて宇宙の果てで出会った、自分たちの母星を探していた少年たちのこと。彼らは、その過程で地球に一度訪れ、ちょっとした事故でジャイアンとスネ夫を連れて行ってしまい、それを追ってドラえもん達も宇宙に行った時に出会った少年。

 その時は、ドラえもんが出した“ひみつ道具”。“スタークラッシュゲーム”と言うゲームの中に出てくる戦闘機を用いて、リアンの父親を洗脳し、地球を征服することを企んでいた≪アンゴル・モア≫と言う生命体と戦ったのだ。

 結果、一九九九年に地球に襲来し、人類を滅ぼすはずだった≪アンゴル・モア≫を倒し、リアンの父親を彼と共に助け、そして地球をも救った。のび太が言うのは、その時の戦闘機のスーツの事を言っていたのだ。

 けど、それだと他の≪アルゼナル≫メンバーに悪いという静香や、スネ夫の意見も取り入れた結果。

 

「できた!! ほら皆そこに並んで!」

「「「「了解!」」」」

「いや、だから何してるの貴方たち?」

 

 と、サリアが冷静なツッコミを入れる中で四人がドラえもんが持つカメラのフレーム内に収まるように立つ。そして―――。

 

「はい! チーズ!」

「!!??」

 

 一瞬の内に、四人+一人の衣装は、早変わりした。

 ―――+一人?

 

「な、なによこれ!!」

「あぁ、アンジュさんもフレームに入っちゃったんだ」

 

 という事で、四人に加えてうっかりフレームインしてしまっていたアンジュもまたドラえもん達が考えたライダースーツに身を包むことになった。のび太が黄色。静香がピンク。スネ夫は緑。ジャイアンはオレンジ。あと、ついでにアンジュは青を主体としたカラーのライダースーツ。

 主体となったサリアの着ているライダースーツに似てはいるものの、しかしその露出を完全に消して、さらに薄い布部分を分厚く、そして強固な素材としたスーツ。他装飾品も多数付けられている。

 おしりの部分から尻尾のようなケーブルを伸ばすことも忘れず、さらに顔もまた、フルフェイスで顔の部分だけがガラス張りになっている。これで、めったな事では風や海水が入ることもなく、≪パラメイル≫の問題点にあった気密性を完全に補うスーツの出来上がりだ。

 そう言えば、彼らの姿が変わった瞬間にサリアがなんとなく目の色を変えていたような気がするのは気のせいだろうか。

 

「うわ、いきなり服が変わった! なんぞソレ!?」

「まるで≪マナ≫みたいです!」

 

 と言うこの中で唯一の≪マナ≫使いであるモモカが感動するかのように言った。そう、確かに≪マナ≫を使えばドラえもんがしたようなことは再現できるのだ。事実、ミスルギ皇国の服屋では、好きな服を見つけたら瞬時に服を着ている物から入れ替えると言う事をやっていたので、彼女が≪マナ≫と言ってもおかしくはないだろう。

 

「これは、≪マナ≫じゃなくて科学の賜物だよ。“きせかえカメラ”って言って、これに服の絵柄をセットすると相手の服を変える事ができるんだ!」

「すっごぉい!」

「ちょっと! どうしてくれんのよ私の制服!」

「えぇ、何で怒ってるの? アンジュ、格好いいのに」

「あのね、私制服は一枚しか持ってないのよ! 買いなおすのにもお金がかかるのに! スーツが二着あっても宝の持ち腐れなのよ!!」

 

 と、憤慨するアンジュ。しかし、実際彼女の言っていることもごもっとも。

 この≪アルゼナル≫。先ほどアンジュが金を出せば下着から武器、何なら≪マナ≫使いである人間ですらも買えてしまうと言う土地。逆を言えば、お金がなければ何も買う事ができないという意味である。

 彼女はこの≪アルゼナル第一中隊≫の中でも一番ドラゴンを落としており、貯金している金が山ほどある。だが、それも全部モモカを路頭に迷わせないように―まぁここに路頭なんてないのだが―するためのお金なので、無駄に消費することはできない。

 と、考えていたその時だ。ヴィヴィアンが一言。

 

「だったら、その“きせかえカメラ”ってもんで、もう一度撮ってもらえばいいじゃん。≪アルゼナル≫の制服」

 

 確かに、言われてみればこの後また“きせかえカメラ”に制服の絵柄をセットして、それで撮ってもらえば解決する。

 グッドアイデアだ。アンジュが、それをドラえもんに言おうとした時だった。

 

「けど、そのケーブル偽物じゃねぇか! それじゃ、≪パラメイル≫に接続できなくて操縦できないだろ!」

 

 至極真っ当な意見により遮られてしまう。

 ここで、≪パラメイル≫の操縦系統について説明していなかったものがある。それが、ケーブル。今もサリアや、ドラえもんが“きせかえカメラ”によって服が変えられた五名のお尻部分から垂れさがっている尻尾のような物の事だ。

 これは、搭乗する≪メイルライダー≫とライダーが操縦する≪パラメイル≫を有線で接続するためのケーブルであり、それを繋ぐことによって≪パラメイル≫が装備する重火器や剣と同期した動作を取ることを可能にしているのだ。

 故に、パチ物であるそのスーツじゃ≪パラメイル≫の操縦なんてできない。そう思われていたが。

 

「その必要は無いみたいよ」

「メイ……」

 

 と言って、のび太たちくらいの身長の女の子が現れた。その女の子は、昨晩自分たちがこの≪アルゼナル≫に着た時に≪パラメイル≫の整理の指揮を執っていた女性だ。

 

「あたしは、整備士のメイ。五人の機体、見てみたけど操縦席に変なのがくっついてて、触ってみると、パラメイルが動き出したの。何なのあれ?」

「“なんでもそうじゅう機”で動かせるようにしたんだ!」

「なんでも、そうじゅう機?」

「そう、取り付けた物を何でも、自由に動かせる僕の“ひみつ道具”の一つさ!」

「本当に、まるで≪マナ≫みたいですね!」

「だからこれは≪マナ≫じゃなくて……」

「って、そんな事より私の服を! って、メイ何を!?」

 

 と思い出したように憤慨するアンジュ。しかし、それもすぐに終わる。メイが彼女のスーツから出ているケーブル(偽)を触ることによって。

 

「フーン、なるほどねぇ。ケーブルなら余りあるから、それ使ったらいけるかも」

「なっ!?」

「どうせそのカメラで元の制服に戻れるんでしょ? しばらくはその≪ライダースーツ≫でもいいんじゃない?」

「……」

 

 つまりなんだ。自分はしばらくこのスーツを着て行動しろと、そう言いたいのか。出撃するわけでもないのに。アンジュは頭が痛くなる思いになった。

 

「とにかく! 五人はすぐにシミュレーターに移動! ついでにアンジュ、アンタも来て」

「はぁ!? なんで?」

 

 頭が痛くなることはまだあるようだ。

 

「独断専行ばっかりして、いい機会だからチームワークってものを叩き込んであげるわ」

「……はぁ、もう」

 

 という事で、アンジュもまたシミュレーターに移動することになった。

 

「アンジュさん……」

「のび太さん?」

 

 そんなアンジュの姿をみて彼女の名前を呟くのび太。ソレに気が付けたのはただ一人、静香だけであった。




 流石にあの原作のスーツを男性陣と静香ちゃんに着せるのはどうかと思ったので、いやちょっと静香ちゃんの正規のライダースーツ姿見たい人もいるかもしれませんが≪あくまでも≫子供向け映画の体をとってるので。
 いわゆる映画ドラえもんあるある。冒険先の文化を取り入れて変装するドラえもん達です。なお、制服に関しての設定画はない模様(意味分かりますね)。
 あと、アンジュが巻き込まれたのは完全に書いてる時のノリです。
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