【完結】映画 ドラえもんクロスアンジュ のび太と天使と竜の輪舞 作:牢吏川波実
そしてみなさま、安心してください。なんとこの小説、完結まで書き終えています(あとは推敲を半分するだけ)。
そして、ドラえもんと何をクロスオーバーさせたのかは、中身の方を見てご判断してください。多分すぐわかると思います。
※追記
と、既に予告も出したので上記の何とクロスオーバーさせたのかについては、『クロスアンジュ 天使と竜の輪舞』が正解ということです。
因みに活動報告でも話しましたが、このクロスオーバーを最初に話した人物からは「あわへんやろ!」と言われましたが、頑張りましたので、ご覧くださいませ。
暑い夏の日差しが、転々とする黒い影を濃くする昼下がり。猛暑の熱波は世界中を襲い、特にこの日本は例年にもない程の暑さをもたらしていた。
「はぁ、暑いなぁ。僕は高性能なロボットだから少しの暑さでもダメになるんだぁ……」
と、言いながら。ずんぐり体型の青い体色をベースにした、あたかも起き上がりこぼしのような動物が、うちわで自分の顔を仰ぎながら言った。その手は完全に丸型なので、いったいどうやってうちわの小さな持ち手を持っているのか不思議な物である。
そう、彼は動物ではない。彼は、ロボットなのである。
時代は、我々の時代と同じ二十一世紀初頭。地球温暖化の影響で年々気温がうなぎ上りしていき、いつしか、以前までは異常とまで言われた暑さすらもまた、人間たちは受け入れ、うだっていた。それは、ここにいるロボットも同じである。
彼の名前はドラえもん。本来、この二十一世紀の世界では作れないようなロボット。知性があり、感情があり、そして思いやりを持った子守りロボット。
彼は、この時代に生まれたロボットではない。二十二世紀、つまりほぼ百年後の世界からタイムマシンを使用してやってきたロボットなのである。
では、何故彼が百年も後の未来から、こんな過去の世界にやってきたかと言うと―――。
「ドラえもん! ドラえもん!!」
と、言いながらやってきた四人組の小学生の男女。全員が小学五年生、つまり小学校の高学年と呼ばれる世代の子供たちであり、そしてこれからの未来を担っていく大切な存在である。
「うわぁなんだなんだみんなして!?」
突然ドアを開けられ、ドタドタと入って来た子供達に驚いたドラえもんは、思わず座っていた窓枠から落ちそうになってしまった。そんな彼に向って、そのメンバーの中でも一番大柄な男児が言う。
「なぁ海に行こうぜ海!」
彼の名前は剛田武。みんなからはそのたくましい見た目から、ジャイアンと呼称されている人物だ。その短気で喧嘩っ早い性格と言動から、近所の子供たちからはガキ大将として恐れられている存在。
しかし時に頼もしいその力と勇気で、仲間たちからも頼りにされることが多い、根っこの部分では優しい部分を持つ男の子だ。
「い、いきなりどうしたのさぁ!?」
「どうしたもこうしたもないでしょ!」
突然の話を振られて素っ頓狂な発言をしたドラえもんに対してそう言ったのは、骨川スネ夫。その、誰でも一目見ただけで覚えられるであろう尖った髪型と顔の形は、彼の特徴でもある。
父親はある会社の社長であるらしく、そのために豪華な家や別荘をたくさん持っている、いわゆるお坊ちゃまと言われる存在だ。時に弱虫で、しかしこのメンバーの中で一番現実感のある発言をできる人間であると言われている。ようは、自分たちの置かれている状況をいち早く仲間たちに伝えられる良い眼を持っているのだ。
「ここ最近暑くなってクーラーも効かなくなってきて……」
と言ったのは、この中で唯一の女児である源静香。小学生ながらにしてとても美人で、優しくて、クラスの人気者と言って過言ではない容姿を持っている。
それゆえに、多くの男性陣―もちろん、先ほど説明したジャイアンとスネ夫も―から好意をもたれている女の子。つまり、この後出てくるドラえもんの同居人であり、そして彼がこの過去の時代にやってきた理由たる男の子からも好意を示され、並びに将来の結婚相手として目標とされている人物だ。
「そこで! ドラえもんに海に連れて行ってもらおうってみんなで話をしたんだ!」
と言ったのが、万丸顔に丸渕眼鏡というどこにでもいそうな平凡な顔をした男の子、野比のび太。
勉強もできない。スポーツも苦手。何をしてもさえない少年と言われるが、しかしその優しさだけは誰にも負けない男の子。
そう、ドラえもんは彼の将来を変えるために未来の世界からやってきたのだ。
本来、野比のび太の人生と言うのはとても悲惨な物であった。お嫁さんを貰い、子供を育て、会社を興したまでは良かったものの、自分の不注意によって会社を燃やしてしまい、子孫代々まで続くほどの借金を背負ってしまった少年。
そんな少年の未来を良い物とするために、未来世界の彼の子孫から預けられたのが、二十二世紀の狸、いや猫型ロボット、ドラえもんである。
猫ならば、耳がなければおかしいのではないかと思われるかもしれないが、実は彼、本当はちゃんと耳も付いていたのである。それに、そもそも作られた当初は今のような青色ではなく黄色を主体とした体色となっていた。それが、通常の猫型ロボットなのである。
しかし、ある事故によって耳を失い、その結果彼女にもフラレ、落ち込んだ彼は“ひみつ道具”の一つである“元気の素”を呑んで立ち直ろうとした。
しかし、その時にまたもや事故が起こってしまう。彼が飲んだのは、“元気の素”ではなく、その真反対の“悲劇の素”であったのだ。その結果、三日三晩泣き続けて、塗装が剝がれ、地肌である青色が浮かび上がってしまった。
結果、今の青い猫型ロボット、ドラえもんが誕生。その際とある犯罪者の逮捕に貢献し、ガールフレンドとも仲直りした彼は、その後のび太の子孫であるセワシによって、この過去の世界に送られた。
野比のび太の未来を変えるために。
「海かぁ……うぅん、でも僕たち何度か海に行ってるけどその度に何か事件に巻き込まれているような……」
「まぁ、確かにそうだけど……」
と言ったドラえもんの言葉に、のび太もまた頭の中で色々な事件を思い浮かべる。ある時は竜宮城に行って処刑されかけたり―この時点でおかしいが―、またある時はバミューダトライアングルに行って世界の滅亡を阻止したり、はたまたある時には南国にある宝島に行こうとして海賊のいる時代に飛ばされたりはたまたはまたある時には日本の近くに新しくできた島に行ってなんやかんやあって地球の滅亡の危機を救ったりと。
本当に色々な災難に巻き込まれている一行なのであった。上記した事件は、全て海に関係する物であり、それを除いても他にも数えきれないくらいの大冒険をしてきた一行。だから、今回も海に行ってまた大事件に巻き込まれるんじゃないかと言う不安をドラえもんが抱えるのは当たり前のことだと言えるだろう。
「そんな何度も事件に巻き込まれたりなんてしないって!」
なんてスネ夫は楽観的な言葉を言ってくるが、実際問題毎回のように事件に巻き込まれているのだから二の足を踏むのは当然の事と言えば当然の事なのだ。しかし、他のメンバーは、まるでそんな大事件に巻き込まれたことを忘れているかのように言う。
「そうそう! やっぱり夏は海だぜ海!」
「ドラちゃんお願い! 私も暑いのは限界なの!」
「う~んそうだなぁ……」
と言うジャイアンと静香。確かに、自分もこの暑さには思うところがあった。何なら、南極に行ってしまいたいと思うほどに暑くて寝苦しい毎日。まぁ、南極に行って事件に巻き込まれたことが多数あるので、南極も南極で嫌な思い出が多いのだが。
北極も同じである。この時は、ドラえもん自身もホッキョクグマに襲われたり、吹雪に巻き込まれて遭難したり、結果とんでもない拾い物をしてしまうと言う笑い話にもできないような事件が巻き起こったのだが、それもまた別の話。というか、こんなこといちいち書いていたらきりがない。
「よし、分かった、それじゃ海に行こう!」
結果、ドラえもんは許可してしまう。自分が海に連れて行くという事を。
確かに、何度も危ない目に遭ってきたことは確かだ。しかし、そう何度も危ない目には遭わないだろう。むしろ、今までそう言った事件に巻き込まれてきたこと自体が不思議なのだから。
それに、スネ夫のいうように、他にも何度か海に行ったことがあるがそのたびに世界を大きく揺るがすような事件にあったわけじゃないので、今回も大丈夫だろうと、そう判断したのである。
「みんな、親の許可もらってきて、明日出発!!」
「「「「わ~い!!」」」」
という事で、次の日に海に行くことになった一行。
そして、その夜のこと。
「楽しみだなぁ……明日が待ち遠しいよ」
と言ったのは、のび太である。夏休みである今。宿題はできたのかと耳がタコになるくらいに言われながらなんとか親である玉子を説得した彼。他の三人もまた、ドラえもんと一緒ならいいと許可を貰うことができたらしく、自分もまたキャンプに行くための道具を揃えて明日の支度は万全だった。
夜、そんな楽しみを持って寝に入るのだから、寝るに寝られなくなるのは当たり前だろう。
「グー……グー……」
―――。なお、彼の睡眠までの最低時間は驚異の0.93秒。ほぼ気絶である。
夢の世界に入ったのび太。深い深い、海の底のような深さの眠りの世界、そこで彼は思いもよらない出会いをすることになる。
♪始まりの光……Kirali…kirali 終わりの光 Lulala lila♪
誰? 誰が歌ってるの? のび太は確かに聞いた。誰かが、歌を歌っている。それも、とても、澄んだ声。どこまでもどこまでも響き渡るかのような綺麗な歌声だ。
♪返さんel ragna 砂時計を 時は溢れん Lulala lila♪
一体、どこから聞こえるの? のび太は自分自身に問うた。その、瞬間だった。
のび太は、空高くを飛んでいた。
「うわぁぁ! あ、あれ?」
臆病者ののび太は、夢の中であれど、空高くにいたという事実に驚き、慌てて目を覚ました。窓の向こうは、まぶしいばかりの光があふれ出ていて、今が朝であることを彼に教えていた。
「んん、どうしたの?」
と、ドラえもんがいつも寝床にしている押し入れの中から顔を出して聞く。のび太は、枕元に置いてある自分の眼鏡をかけると言う。
「夢を……見たんだ」
と。その言葉に、ドラえもんは返す刀で聞いた。
「どんな夢?」
のび太は言う。
「悲しい……夢だった」
あ、言い忘れてました。今回の小説。大山版、わさび版問わず数多くの映画ネタを仕込んでおりますのでお楽しみに。
世間は夏休み。この小説を見て皆様涼んでください(?)。