【完結】映画 ドラえもんクロスアンジュ のび太と天使と竜の輪舞   作:牢吏川波実

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 今回も曲の使用があります。もしも曲を持ってる人は、一度見た後、曲をかけてもう一度聞いてみてください。


chapter26 決戦! アンジュVSサラマンディーネ!?

 翌日。彼らの姿は、競技場とサラマンディーネが呼称する場所にあった。

 巨大な建物が、崖の中からポツンと突き出ている姿は、どこかアルゼナルに似たところを感じさせるのだが、気のせいだろうか。

 そして、その建物には、巨大な丸い球と、その三倍ほどに大きな白い、何かが置かれていた。

 と言うかここって、ドラえもん達が顔を見合わせている間にも、アンジュたちは話を進める。

 

「何ここ?」

「古代の競技場ですわ。かつては多くの武士(もののふ)たちが集い、強さを競い合ったそうです」

「何百年も前の施設が、こんなに完璧な状態で残っているなんて……」

「いや、姫様自らが復元されたのだ」

 

 と、驚くアンジュとエルシャ、それから今日は面白そうだからとついでについてきたヴィヴィアンに、ナーガが言う。

 

「サラマンディーネ様は、その頭脳をもって旧世界の文献を研究し、様々な遺物を現代によみがえらせておられえる」

「そう言えば、僕たちの事をサラマンディーネさんが知っていたのは……」

「はい、その文献の中にあなた方の名前があったからです」

「へぇ……」

 

 前にも、聞いたことがあった。確かに自分たちが未来世界では英雄として祭り上げられていると。でも、だ。この施設の解釈の違いについてはどう答えればいいのだろうか。

 

「ドラえもん、ここってさぁ……」

「ボーリング場……だよね?」

「外にはテニスコートもカートの道路に似た場所もあったし……」

「もしかしてあのお姫さん、何か勘違いしてないか?」

「まぁまぁ、何百年も前の事だから」

 

 そう、彼らは知っていた。この施設の屋上にあった物が、≪ボーリングの玉とピン≫であったということを。つまり、ここはいうなれば娯楽施設だ。それを、武士(もののふ)たちが集う競技場と解釈するのは、少々天然が過ぎるのではないだろうか。

 

「我々の龍神器もサラマンディーネ様がッ」

「それ、機密事項でしょ?」

 

 と、隣のカナメに小突かれたナーガは、はっとした表情を浮かべてサラマンディーネに謝罪した。

 

「あ、も、申し訳ありませんでした! サラマンディーネ様!」

「いえ、良いのです。彼女たちは、私たちとともに戦う仲間なのですから」

「りゅうしんきって?」

「我々のロボット。向こうの世界で言うところの≪パラメイル≫の事です」

「へぇ……」

 

 つまり、彼女たちはドラゴンに変身するのではなく、その≪龍神器≫と言う物で戦うという事なのか。何か一つためになった気がするようなしないような。

 

「で? この競技場で決闘をするわけね?」

「はい、アンジュ。貴方が勝てば、私が下に、私が勝てば、貴方は私の所有物という事に」

「いえ、私が勝ったら、サラマドウラ? あなたにも私の所有物になってもらうわよ」

「サラマンディーネです。面白いですわ。では、勝利者が所有権を持つという事で」

 

 と、言う事でいつも通り名前間違いネタを挟んだところで、決闘の始まりである。この戦いの勝敗の結果によって、どちらがどちらの所有物になるのか、完全にプライドとプライドのぶつかり合いと言ったところだろうか。

 

「面白そう! 私も参加する!」

「もう、ヴィヴィちゃんったら」

「決闘だかコケコッコーだか知らないけど、面白れぇじゃん!」

「うん! 僕たちも、やってもいいでしょ? サラマンディーネさん!」

「えぇ、勿論ですのび太殿」

「よし、決闘なんて物々しい物じゃなくて、僕の道具も使って、楽しく遊ぼう!!」

「おう!!」

 

 で、ここからは長々と書いてもあれなのでハイライトである。その前に―――。

 さてこのへんで一発音楽でもいってみようか。

 

♪神様が地球を丸くしたのは みんながその手♪

 

 まず最初の競技はテニス。シングルマッチだ。サラマンディーネは天高くに向けてボールを投げると、それをラケットで打つ。すると、ボールはまっすぐアンジュのコートに入り、アンジュもまたそれに追いすがろうとするが、一歩届かなかった。

 悔しそうな顔をするアンジュにもう一度サービスエースを狙おうとしたサラマンディーネは今度は逆方向にサーブする。しかし、コレをアンジュは読んでいたのだろう。ボールがすぐ跳ね返った直後、彼女はすぐにソレをサラマンディーネのコートに打ち返した。昔で言うところのライジングショット、と言ったところか。

 初めてテニスをプレイすると言うのにその順応性の高さは目が見張るものがある。因みに、その後ろではひっそりとエルシャに完封負けしているのび太がいたりする。

 

♪繋いだ時 端っこが必ず出会えるように 雨上がりの空に願いを込めて♪

 

 続いての競技は野球。野球場の中は、彼らが思っていたよりも本格的であり、彼らの時代からしてみれば≪東京ドーム≫そのままだと言っても過言ではなかった。でも、そのなかに数人だけなんてつまらない。という事で、ドラえもんが“室内旅行機”という“ひみつ道具”を使う事により大勢の観客を投影することによってその広さに似合った観客が作られる。

 ここで、マウンドに登ったのは地元の少年たちを集めて作った野球チーム、≪ジャイアンズ≫のピッチャーであるジャイアンである。

 バッターはドラえもん。ドラえもんも、かつて一時期であるが未来の草野球チームである≪江戸川ドラーズ≫に所属しており、その命名をしたという自負があるため負けていられない。

 そんなドラえもんに対してジャイアンは第一球を投げた。ドラえもんは、それに対して、思い切りにバットを振る。

 物の弾みとは恐ろしいものだ。普段だったら普通に空を切っていたであろうそのバットが、見事にジャイアンの投げた球にジャストミートし、ライトスタンドへと飛んでいく。これはまさかホームランか。

 そう、思われた時だった。巨大な風が吹いたのは。

 その風を起こしたのはエルシャであった。今回の勝負、アウトを取ったりホームランを打つことによってポイントが加算されていくシステムとなっている。勿論そのボールをキャッチした人間もそうだ。

 それで、ライト側にいた彼女は、自分のはるか上をボールが通過しそうになったのを見て、ドラえもんが出してくれた“ひみつ道具”の一つである“風神うちわ”によって大きな風を起こしてその威力を落とし、自分の方に落ちてくるように仕向けたのである。そして、彼女がボールをキャッチして、あえなくドラえもんのホームランは幻となってしまった。

 

♪虹を探してた その瞳で 信じればきっとほら 叶うから♪

 

 続いてはカートレース。これは流石に小学生ののび太たちには危ないのでサラマンディーネが用意してくれたソレではない、また別の小さい、安全性の高いカートを取り出してそれでレースをする面々。

 その中でも意外や意外、トップを独走していたのはスネ夫であった。彼は、華麗なコーナリングでドラえもんが用意したいくつもの障害物―もちろん当たっても無害―を避け、トップでゴールラインを突っ切ったのである。

 やはり、お坊ちゃまだからそう言うのには乗りられているのだろう。因みに一番後方では“アベコンベ”の罠を踏んでしまったのび太が、カートを背負いながら走って力尽きていた。

 

♪手を繋ごう 好きな人と 手を繋ごう for ever 地球を一周するにはまだまだ足りないから♪

 

 次はゴルフだ。ゴルフの場合、ドラえもんが“ひみつ道具”を出さなくとも色々とトラップになる池やバンカーがあるので、今回は何も手を加えていない。ヴィヴィアンは、クラブを大きく振りかぶってティーの上にあるボールを叩いた。

 が、こういうのはテニスもそうであるが一番最初は全くボールの扱い方なんて分からず、野球で言うホームランとなってしまう物。結果、彼女のボールもまたはるか遠くにある山の崖に当たってしまい、OBとなる。『ありゃりゃー』なんて言って遠くの方に飛んでいったボールを目で追うのは、彼女らしい。

 そう言った感じでそれぞれに苦難しながら一位を取ったのは、何故かエルシャだった。

 

♪手を繋ごう 苦手な人も 手を繋ごう 笑えば 未来はひとつになれる♪

 

 で、卓球。こちらもテニスと似たような感じであり、静香はゆっくりとボールをサーブした。彼女自身ほとんど卓球をした経験がなかったからこそのそれなのだが、しかしそんなこともお構いなしにナーガは攻め立てる。まさしく、親衛隊の面目躍如と言ったところか。

 因みに、途中でボールが隣でカナメと勝負していたエルシャの胸の谷間に挟まると言うハプニングも、まるでお約束のようにあったりした。

 

♪笑顔はひみつ道具さ♪

 

 そして最後はクレーンゲーム。これに関してはもう特に何もいう事はない。なぜならば、こればかりは本人たちの運動神経ではなく、クレーンの操作技術が必須になってくるのだから。

 結果、一番多く獲得できた人間が勝者という戦いだったはずなのだが、取ることができたのはただ一人、ヴィヴィアンだけであった。

 

「とまぁ、なんやかんやあって……」

「結局勝者は……」

「うふふ、ごめんなさいね」

「エルシャすごーい!」

 

 結局、終わってみれば一番成績が良かったのはエルシャだった。彼女は、全ての競技に置いて好成績を残した。彼女自身のこれまでの戦いの積み重ねによる筋力やらなんやらと理由はあるかも知れないが、やっぱり一番の原因と言えば、ドラえもんの“ひみつ道具”をうまく活用した事にあるかも知れない。

 何故かドラえもんよりも“ひみつ道具”の使い方が上手かったと言うところに、ドラえもんは驚愕していたが、意外と使ってみたら簡単だったわ、と言うのは彼女の談である。

 因みに、競技の候補としては他にツイスターとカラオケがあったのだが、前者は子供には刺激が強すぎるという事で、カラオケは、のび太たちの必死の懇願によって阻止された。

 

「僕はダントツビリかぁ」

「まぁ、のび太君だからね」

「どういう意味!?」

 

 因みに、他の成績で言うのなら二位がサラマンディーネ、三位がアンジュ、以下ナーガ、ジャイアン、カナメ、スネ夫、ドラえもん、ヴィヴィアン、静香、のび太の順番である。親衛隊のナーガはともかくとしてだ、もう一人の親衛隊のカナメとの間に入るジャイアンもなかなかに凄い気がする。

 

「それじゃ、二人は今日から私の所有物ってことね」

「はぁ!? なんで!?」

「だって、サラマンディーネさんが言ってたじゃない、勝利者が所有権を持つことができるって」

「う……」

「イェスマム! エルシャ!!」

「サラマンディーネさんも、二言はないですよね?」

「……仕方ありません。何なりと命令を、エルシャ殿」

 

 と言うことでアンジュはまだ納得は行かない物のエルシャの所有物という扱いになってしまったアンジュとサラマンディーネ。良いのだろうか。こんなことで。というか、普通にそれで順応しているサラマンディーネもサラマンディーネである。

 あと別にその所有物争いに参加していなかったはずのヴィヴィアンもまたエルシャに返事をしているのだが、それは何故だ。

 

「それじゃ、お願いがあるの」

 

 と言って、エルシャは彼女に頼みごとをする。それを聞いた瞬間誰もが思った。だから、あんなに必死で頑張っていたのかと。

 そう、そのお願いとは。

 

「今日、≪シンギュラー≫……えっと、貴方たちで言う特異点、ね。ソレを≪アルゼナル≫の近くに開いてもらいたいの……子供たちを迎えに行きたいから」

「……まっ、だったらしょうがないわね」

 

 と、エルシャのその頼みごとを聞いたアンジュは、それだったら一時的に所有物になってもいいと、その言葉を言うのだった。あくまで≪一時的に≫である。そればかりは彼女のプライドが許さないのだろう。




 因みにスネ夫がカート得意なのはとある理由がありますが、そこはわかる人には分かるネタと言うわけで。というか、今回ドラえもんオタクには涎が流れ出るくらいにマニアックなネタをいつくか仕込んでるなこれ。
 なお、今回使用した楽曲、「笑顔はひみつ道具」は、前奏も含めて約11秒刻みで流れております。
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