【完結】映画 ドラえもんクロスアンジュ のび太と天使と竜の輪舞   作:牢吏川波実

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chapter4 発見! 未知の機械!

「はぁ、スッキリしたぜ」

「えぇ、最高だったわね」

「ぼ、僕もう限界……」

「のび太ったら、運動音痴なくせに無茶するから」

「だって……」

 

 夕日が見える時刻になった頃、泳ぎ疲れた四人は砂浜に横になっていた。そこには、先ほどまで小さい喧嘩をしていたようなのび太とジャイアンの姿はなく、ただただ仲間として一緒に遊んだ四人の姿があるだけだった。

 イタズラをするのも、悪ふざけをするのも、どちらも信頼の証。相手の事を心の底では、そんな事では怒らない。怒っても大したことはしてこないと信じているからこそできる者なのだ。

 まぁ、結果的にはのび太は砂の中に埋められたわけであるが。それもまた、友達同士の悪ふざけという事で当人たちの中では決着がついていた。

 またいい思い出ができたのだとそう、各々が考えていた時だった。

 

「みんなぁ、ご飯の用意ができたよ」

 

 と言う声とともにドラえもんが現れた。その後ろには赤々と燃えている薪が見える。そして、その上に乗っている金網と、様々な肉、野菜の姿も。全部この島で取ってきた物、のわけがなくドラえもんが事前にスーパーで買いだしていた新鮮で、安全な食べ物だ。

 

「「「「わぁい、いっただきまぁす!」」」」

 

 と言って四人は一斉にそれらを食べ始める。ジャイアンは勢いよく、のび太とスネ夫もまた、ジャイアンには負けるが割と早く、そして静香はゆっくりと丁寧に、それぞれに物を食べていた。

 どれもこれもおいしい味付けをしてある。必死で泳いだ後だからなのだろうか、家で食べるよりもおいしい気がするのは。こういうのは不思議なところがある。

 

「……」

「あれ? どうしたのドラえもん?」

 

 と、その時だ。のび太がドラえもんの異変に気が付いたのは。いつもだったら自分たちと一緒に笑顔でご飯を食べているはずなのに、何か浮かない顔と言うか、少し考えているような表情を浮かべているのだ。

 

「いや、実はね。さっきこの無人島を調べている時に人が住んでいた形跡を発見したんだ」

「え? それじゃここ無人島じゃなかったの?」

 

 その言葉に、スネ夫が疑問を呈する。確かに自分たちは人が住んでいない無人島という事でこの島に来たはずなのに、人がいた形跡があったとはどういうことなのか、不思議な話だ。

 

「いや、今はもう住んでいないみたいだ。でも、そこにはダイアリーって書かれた本があって……」

「ダイアリー?」

「日記の事だよ。ほら、見てこれ」

 

 と言ってドラえもんが差し出した物。そこには確かにノート悵のような形と大きさの、表面に≪DIARY≫と書かれた物があった。

 それをパラパラとめくるのび太。

 

「何これ? 英語?」

「のび太さん、人の日記を勝手に読んじゃだめよ」

「あ、ゴメン……」

 

 と、静香にたしなめられて中身を読むことを止めたのび太。まぁ彼自体英語を読むことができないのでそもそも内容なんて分からないのであるが、というより小学生でそんなに英語を読める人間と言うのも、珍しいであろう。

 

「僕も悪いと思いながら“翻訳こんにゃく”を食べて中身を調べてみたんだ。そしたら、どうやら最近までここに人が住んでて、どこかに行ったって事が書いてあったんだ」

 

 どうやら執筆者は、その中身からして男性だったようだ。長い間仲間と過ごしていたけれど、一人になってしまい、絶望してしまったという事。そして、≪ある女の子≫と出会ったことによって希望を持ったという事が、中には書かれていたらしい。

 そして、その希望を胸に抱き、この島から離れて行くという事も。

 果たして、その男性がどういう方法でこの島から出て行ったのかは分からない。そして、無事に他の陸地に辿り着けたかどうかも分からない。荒波にのまれて、海流に飲み込まれ、そのまま、と言う可能性も十分にある。ここから見える島。もしかしたら、そのどれかに漂着している可能性もある。

 どちらにしても、今はその男性がこの島に住んでいない。誰も済んでいないから“どこでもドア”はこの島を無人島だと判断したのだろう。

 

「それに……」

「それに?」

 

 と、漏れたその言葉に反応したのは、静香であった。

 ドラえもんは夕食後、燃える薪に水をかけて消火を確認すると、四人を自分が見つけたある物の場所へと連れていった。それは―――。

 

「ほら、見てこれ」

「何これ、扉?」

 

 そこにあったのは、鉄でできた扉。明らかな人工物と言って間違いない物だった。まさか、ここは戦時中のどこかの国の基地だったんじゃないか、スネ夫はそう考えていた。

 そして、ここにいた人と言うのも、きっと―――。

 

「そう、それも近代的な扉だ。“通りぬけフープ”!」

 

 と言って、ドラえもんが取り出したのは“通りぬけフープ”という道具。文字通り、黄色いフラフープのような外見をしており、これを壁面に張り付けることによって二十二世紀までの間に発見されたどの物質をも通過することができると言うドラえもんの道具の中でも利便性のある“ひみつ道具”だ。

 それを、ドラえもんは鉄の扉に引っ付けた。すると、中心部から瞬時に鉄が、まるでなかったかのように開かれて、四人はドラえもんに促されるままに中に入っていく。

 そして、ドラえもんは中に入ると、“ピッカリゴケ”という袋の中に入っているコケを床に振りかけた。すると、室内はみるみる内に電灯が付いたかのように明るくなり、先にソレを見ていたドラえもん以外の四人は、ソレを見るとその顔色を驚きや、好奇心と言った顔に変えていった。

 

「うわっ、なんだこれ!」

「飛行機みたいだ!」

「バイク……じゃないかしら?」

「かっこいい!」

 

 そう、それはスネ夫が言う様にまるで飛行機のような物、しかし見ようによってはバイクにも見える物。少なくとも、自然の物じゃない何かがあった。

 

「少し調べてみたんだけれど、かなり技術力を持った人間じゃないと作れない代物だ。一体誰がこれを作ったのか……」

 

 そこには操縦席があり、ハンドルは確かに、静香の言う通りにバイクの物である。だが、しかし。車輪はない。代わりに、後ろの方には飛行機のジェットエンジンのようなものがあるから、もしかしたら飛ぶことができるのではないだろうか。

 色はピンクに近い赤紫色、埃があまり上にたまっていないことから、ドラえもんは誰かがつい最近までこの島にいて、その機体の整備をしていたのだと判断したのだ。

 こんな機械、二十二世紀でも見たことがなかった。一体だれが、何の目的で作ったのか。もしかすると、あの日記に書いてあった≪エンブリヲ≫と呼ばれる者を倒すために作られたのかもしれない。

 しかし、≪エンブリヲ≫。ドラえもんは何か引っかかるものを感じていた。どこかでこの名前を聞いたことがあるような気がするのだが、果たしてどこなのだろうか。

 

「ねぇ、これ動かしてみようよ!」

「お、いいな!」

「賛成!」

 

 なんて難しいことをドラえもんが考えていることなんて露知らず、のび太たち男性陣はソレに乗ってみようと意気込んでいた。やっぱりこういったロボット的な物に、男児は弱いのだろうか。

 

「え、でもこれの持ち主に悪くないかしら……」

「置いて行っちゃったんだから、別にいいでしょ!」

 

 と、至極真っ当な意見を言った静香に対して、スネ夫は笑顔で、まるで金にがめつい人間の目のような表情をして言った。

 しかし、だ。ドラえもんは言う。

 

「いや、静香ちゃんの言う通りだ。無闇に乗ったりしたら危ない」

 

 そう。自分たちはこの機械の動かし方も何も知らないのだ。それなのに、勝手に乗り回して、もし事故でも起こったら誰が責任を取ることになるのか分かったものじゃない。いや、少なくとも全責任は自分自身にある。だからこそ、ドラえもんは乗り回すことを拒否した。

 が―――。

 

「えぇ、やだやだ乗りたい! 乗りたいぃぃ!!!」

 

 こののび太である。

 

「もう、しょうがないなぁのび太くんは……」

 

 ドラえもんは、いつも通りと言うか予想通りと言うか、わがままを言うのび太に対して少し呆れ気味に頭を掻くと、少しだけ考えてからポケットの中を探り始める。

 

「それじゃ……“フエルミラー”!」

 

 ドラえもんが取り出したのは、小さな鏡であった。どちらかと言うと、小さな鏡台のようなものと言った方が正しいだろうか。ドラえもんは、そこについてあるスイッチを押すと、その鏡の中に手を入れた。

 

「これでこの機体をコピーして……」

 

 と言いながら、ドラえもんが引き出したもの、それは間違いなく目の前にある機体と全く同じもの。違うところと言ったら左右反対と言うところぐらいだろう。

 “フエルミラー”、それはその言葉の通りにそれで映した物のコピーを鏡の中から取り出すことができる道具である。ドラえもんは、人数分取り出した機体を、一度物を小さくさせる“スモールライト”で小さくしてから、“通りぬけフープ”を通って、外に出す。

 そして、元の大きさに戻すとそれぞれの操縦席の上に乗り、さらにもう一つ―――。

 

「“なんでもそうじゅう機飛行機タイプ”!」

 

 を取り出した。その道具は、取り付けると有機物無機物問わずどんなものでも自由に操縦することができる“なんでも操縦機”シリーズの一つであり、ハンドル型のそれとは違い、レバー型であり飛行、つまり物を飛ぶようにできるタイプの物だ。

 

「これを取り付ければ……できた!」

 

 と言って飛び降りたドラえもんは四人に言った。

 

「コレで、この機体は僕たちで自由に操作できるよ!」

「わぁい!」

 

 そう、未知の操縦系統ならともかくだ、自分たちの、というよりもドラえもんが知っている形に操縦系統を変えれば、例えどんな危険な物であったとしても安全に飛ぶことができる。特にこの機体には何やら武器のようなものが付いているので、ソレをむやみやたらに使用しないためにも、この措置はある意味では必要であったと言える。

 こうして、五人は知らないうちに≪この世界≫のある≪人種≫たちの兵器である起動兵器、≪パラメイル≫を手に入れたのであった。




 “ひみつ道具”万能説。“フエルミラー”と“なんでも操縦機飛行機タイプ”は今後も何度も出てくる事になるキーアイテムです。
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