それでは、どうぞ。
――さて、外出(でる)か。
同室の一夏が寝たことを確認する。
今の時刻は午前2時。すでに生徒達は全員、夢の中にいるだろう。
音をたてないように出て移動する。向かうのは第二アリーナ。
何故かというと前に外で練習している際に用務員の轡木さんという人に見つかって「ならばこれを使うといい。ただしあまり派手なことはしないようにね、生徒たちが起きちゃうと大変だし、無断で使っていることがバレたら怒られちゃうからね」
といって、なんと第二アリーナの予備キーを貸してくれたのだ。
これはうれしいが、逆に申し訳なく思い、
「何か自分が手伝えることはありますか?」
と聞いたら轡木さんは
「それなら、君はISを頑張ってくれ。同じ男性としてこの境遇はちょっと辛いだろうからね、ひいきにするわけじゃないが少しでも頑張ってほしいと思っちゃうからね」
と言ってくれた。なんと優しい人なんだ、轡木さんは。
「じゃ、私はもう行くね。頑張って」
轡木さんから激励の言葉をいただいたので敬礼し、感謝の意を述べる。軍隊式に大声で言うべきだったが夜なので控えめにした。
「支援、感謝します」
轡木さんがいなくなるまで敬礼をしていた。
その後、貸してもらった予備キーを使って中に入る、そして、整備室からもってきた大きいキャリーバッグのような物と共にアリーナの中央へと来る。
そしてISを展開する。
「来い、『弐式』」
俺の呼びかけに応えるように専用機である『ラファール・リヴァイブ・弐式』が待機状態のチョーカーから姿を変える。
カラーリングを灰色としてどことなくスリムな機体、だが量産機のラファールの利点をそのまま生かしている機体だ。
そのままキャリーバッグから『手足』を出して装着する。手足に嵌めるとまるで血が通ったかのように自分の身体の延長として動かすことができる。そうしてやっと俺の機体は完成だ。
「よっ!」
加速装置(スラスター)を使い、空中に飛ぶ。
「まずまずか、ならパッケージ『空母』展開」
本社から頼んで取り寄せた、強襲迎撃パッケージ『空母』の装備を全て展開し、ひとつひとつ触って、馴染ませる。
・誘導ミサイル『イージス』
・アサルトライフル『レッドパレット』
・スナイパーライフル『サテライトレイ』
・ガトリングガン『レイジング・ビー』
・ショットガン『オクトパス』
・グレネードスカート『コールザムーン』
弾こそ撃たないものの、構えながら立体起動の動きをしてISと銃の『ズレ』を少しずつ直していく。
「――これはまた、随分と悪趣味だな」
一通りの作業が終わり、次に拡張領域(バススロット)からもうひとつ頼んでおいたものを出して苦笑する。
「何がカニバリア(食人者)だよ、おっかねぇな」
凛はその装備に関する説明を見て少し引く。
・カノンランス『カニバリア』
ランスのような外見に恐ろしいまでの威力を秘めていた。この名前なのもうなずける。
「てか、これじゃ殺しちまうよ。俺にシリアルキラー(殺人者)になれってのか、あの野郎は……」
社長の顔を思い浮かべてため息を吐く。言っても無駄だと悟ったのだろう。
「最低限、死なない程度に改良しとくか――」
それから空が白んでくるまでその作業は続いた。
今週の土曜には投稿すると思います。