「――――名前?」
目の前の銀髪でボブカットの少女は不思議そうに答える。
「うん、そうなんだ、僕も考えてみたんだけどあまり似合わなくて……」
あれから翌日、僕は二人の少女たちに相談していた。
「へぇ、どんな名前を考えたの?」
目の前の銀髪の少女の横にいる、金髪に少しだけ黒髪が混じっているベリーショートヘアの少女が興味深そうに聞いてくる。
「え、えぇと……言わなきゃ、ダメかな?」
正直、ちょっと恥ずかしい。
「いいからいいから」
と二人の少女は僕に言えと促してくる。僕のとなりにいる子も聞きたそうに僕を見ていた。
「ア……アリス…………とか」
とても恥ずかしい、今僕の顔は真っ赤だと思う。
「ふふっ、かわいい名前ね」
目の前の少女たちがクスクスと笑う。
「でも確かにアリスは……ちょっと似合わないわね」
と、銀髪のボブカットの少女は自分と同じ銀髪の少女を見て言う。
僕の隣にいる少女には確かに似合わないと思った。 年相応の可愛さがあるものの彼女のまとっている雰囲気は若干ではあるが大人びている。まぁ、こんな環境下にいれば当然ではあるが。
「う~ん、どうしよっか?」
ベリーショートヘアの少女は良い名前はないものかと、うんうん唸っていた。
「……わたし、名前なら何でもいいよ…………?」
僕の隣にいる少女は、みんなが顔をしかめて考えている姿に申し訳なくおもったのか、何でもいいと言っていた。でもそれなら自分にあった名前の方がいいと思った。
その時、銀髪の少女が自分の手を叩いてなにか思いついたと言わんばかりに笑みを浮かべていた。
「――ラウラ」
「え?」
銀髪の少女は名を告げる。僕と少女は聞き返していた。
「だからラウラよ。私の名前、『Laura・Julius(ラウラ・ユリウス)』から取って、ラウラ」
少女はしばらくぼう然としていたが、しだいに顔を綻ばせた。
「ラウラ……ラウラ……へへっ。私の名前……ラウラの名前と一緒……」
本当に嬉しそうに。新しくついた名前をむずがゆそうに、でもどこか照れくさいといった風に自分についた名前を言う。
「あ~!ずるい、私もつけたかったのに!」
ラウラ・ユリウスの隣にいる少女が抗議するように言う。
「ラウラ・イリア…………?」
名が二つあるのはどうなのか、とユリウスに言われると『イリア』という少女は、む~、と頬を膨らませそっぽを向く。
それを微笑ましく見ているユリウス。
「あとは姓ね、ラウラ、ここに来る前にどこにいたか分かる?」
ユリウスはラウラに聞く。
ラウラはしばらく記憶から自分がどこにいたかを思い出していた。
そして思い出したのか、小さな声で告げる。
「…………ドイツ?」
「ドイツ? そうね、ならそれっぽい名前にしないとね」
「それに何か意味は…………あるの?」
わからないといった表情を浮かべ、ラウラは二人に聞く。
「そうね、深い意味はないわよ。でも姓は重要だから」
そういってまた考えだす二人、僕はおもむろに口をひらく。
「『ボーデヴィッヒ』って……いうの、は…………どうかな?」
出した声がしだいに小さくなる。
またアリスと同じような思いつきである。
読んでいた本のなかに『ボーデヴィッヒ』という名前の主人公がいたから、かっこいいから、という単純な理由である。
目をパチパチと開閉させるラウラ。
「……どうかな?」
不安になって三人に再び聞く。
「私はいいと思うよ、かっこいいし」
イリアは頷く。
「私もいいと思うわ」
ユリウスも頷いてくれた。
「(コクコクコクッ!)」
ラウラも頭を上下に振って頷いてくれた。
「じゃあ、決まりね。あなたの名前は――」
ユリウスは微笑みながらラウラに告げる。
「――『ラウラ・ボーデヴィッヒ』よ」
一人の少女の名前が決まった。
「あり……がと」
嬉しくも、なんだか照れているように下をむいて僕やイリア、ユリウスにお礼の言葉をいうラウラ。
「いいのよ、家族みたいなものじゃない」
「家族……?」
「だから水くさいこといわなくていいんだぞ~!」
「…………」
ラウラは家族という言葉に顔を俯いてしまう。
「どうしたの?」
僕は心配そうに聞いてみるがなにも言わずうつむいたままだ。
ユリウスやイリアもどうしたのか心配そうに見ている。
「ひとつだけ、いっていい?」
「なに?」
ラウラのか細い声にユリウスが優しく答える。
「ラウラやイリアや凛のこと、パパ、ママっていってもいい?」
思わぬ言葉に僕たちは顔を見合わせた。そしてユリウスが答える。
「もちろんよ、あなたのこともここにいる皆のことも家族みたいなものよ。パパでもママでも好きに呼びなさい」
「ッ、……ママ!」
ユリウスに抱きつき、体に顔をうずめる。泣いているようで肩を上下にゆらしていた。
「じゃあ私と凛がパパかー!」
イリアはラウラに抱きつく。子供をなだめるように優しく頭を撫でていた。
僕もラウラの頭を優しく撫でた。
しばらくするとラウラは泣きつかれたように、ユリウスに抱きついたまま寝ていた。その顔はとても安らかだった。
「ふふっ、かわいい寝顔ね」
ユリウスはラウラの寝顔をみて、微笑む。
「とーう!」
「むぐ!?」
いきなり僕に抱きついてきたイリア。びっくりして変な声が出てしまう。
「な、なにして……」
「おーよしよし」
すると片手を頭にそえてもう片方の手で僕の背中を軽くぽんぽん、と叩く。まるで子供をあやすように。
「今までツラかったでしょ?泣きたいときは泣いていいんだよ。ツラいときがあったなら私に遠慮なく言っていいんだよ。なんたって私はパパだからね!」
優しく僕に言うイリア。イリアに抱きつかれて彼女の体温を感じたとき、不意に何かあたたかいものがストン、と落ちた気がした。
その時、僕は涙が溢れだしてきた。
それをなだめるように、あやすように、イリアは僕を優しく包んでいた。
――――ああ、家族とはこういうことか。
泣きながら、彼女がそこにいることを感じながら僕は『家族』を知った気がした。
こんなキャラじゃねぇし、名付けかた適当だなと思った方、作者の頭ではこれが限界でした許してくださいお願いします
今のあのたまに照れたりするって所もいいけどこんな風に感情が出やすい子だったら、さらに可愛いと思った。