IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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大変遅くなって申し訳ございませんでした。
片付いたので投稿したいと思います。
前にかきためていた話も投稿しますのでよろしくお願いします。

それでは、どうぞ。

修正のため一度消してからの投稿です。


十一話 『再会する一人目、諦めた二人目』 ★

 

 

 

 

「――――付き合ってもらうぞ!」

 

「へ?」

 

「は?」

 

突然の出来事で一夏も変な声を出す。

……状況を整理しろ俺。なぜ篠ノ之箒が織斑一夏に告白まがいのことをいうことになった経緯を。

 

 

 

 

 

――――――

 

――時間は少し前までさかのぼる。

前にのほほんさんが言ったことがどうやら他の生徒が聞いていたらしく、それが何故か『一週間星野凛の身の回りのお世話が出来る』なんてことになっていた。

そしてマジでお世話しに来たのほほんさんと他の生徒…………わらわらと部屋に入ってきたのは正直、怖かった。

 

来てやったぜと言わんばかりに笑顔を向けてくるのほほんさんこと、布仏本音。

入り口を埋める女子、女子、女子。

 

状況を飲み込めない一夏と俺。

 

「え、マジで来たのか、のほほんさん……」

 

「マジだよ~」

 

「おお~っ! 噂は本当だったのね!」

 

マイペースな声色で返答するのほほんさんと面白半分で来た様子のハンドボール部所属、相川清香。

 

「な、何だ、どうしたんだ皆」

 

突然の来客におろおろとする一夏。

 

「なんかすまん、一夏」

 

一夏に謝っておく。

 

その後、あまりに数が多かったので、一日交代で4人組(フォーマンセル)ということになった。

ただのほほんさんは毎日来るらしい。

 

「――なるほど、それなら俺も手伝わせてくれ」

 

状況を把握した一夏はみずからお世話係になることを志願する。

 

「いいよ~」

 

「待て、本人がここにいるのに許可を取らないのか?」

 

今の人数でも多いのに一夏も増えるというのか。

そもそもあれから今日で一日が経っている。通常なら俺は全治一ヶ月ほどなのだろうが、俺は普通じゃない。怪我の具合は火傷は所々に痕が残っているもののほぼ治っている、だからもう松葉杖は使っていない。骨折は治りかけだが、あと4日も経てば治るのだ。

だからあまり人がいると逆に困る。この体のことを知られてしまう、正体を知られてしまう――それだけは避けなければ。

 

「だめ~」

 

「そうだぞ星野、治るまで大人しくしとけ」

 

「おい!」

 

すでに入っているようだ。

 

「はぁ……」

 

追加で一夏も毎日世話をするらしい。

 

 

 

 

 

そんなこんなで一日が経った。

 

風の噂で耳にしたが、篠ノ之箒には処罰がくだったようで一週間の自室謹慎。そして一ヶ月間のIS搭乗禁止および行動規制らしい。

俺はアリーナの壁を壊した罰として怪我が治るまで支度待機を命じられた。

 

意外と軽い罰則かと思いきや、そうでもない。完治するまでは授業に出れないのだ、ただでさえついていくのか精一杯だと言うのに完全に分からなくなってしまう。

 

あとでのほほんさんに教えてもらおう、そう心に誓うのだった。

 

それから一週間が経った。怪我も全快し、勉強も教えてもらっている。だがまだ部屋から出ることが最低限しか許されていないのでストレスがたまる。

 

「どうしたんだ?そんな顔をしかめて」

 

一夏が疑問に思ったのか、聞いてくる。

 

「いや、何でもない」

 

怪我が治っているのにいつも通りに動けないのは大変に苦だ。

 

「そうか、何かあったらいつでも言えよ」

 

「あぁ、その時がきたら遠慮なくいうからよ」

 

――コンコン。

 

他愛もない会話をしている最中に聞こえてきたノック音。

 

「っと、誰か来たみたいだな」

 

一夏との話をきって立ち上がり、扉へと向かう。

 

「いや、俺が行くよ」

 

一夏も立ち上がろうとするが、俺がそれをさえぎる。

 

「いや、俺が出るからいい。たまには体を動かせてくれ」

 

そういってドアノブに手をかけ、開けて来客を確認する。

 

「はいはい、どちら様で?」

 

「お前は――」

 

目の前にいたのは篠ノ之箒だった。

 

確か謹慎中ではなかったかと思ったが、一週間経っていたことを思い出す。

 

「何だ、何か用か?」

 

とりあえず当たり障りのない言葉を返す。

 

「お前に用など無い。一夏を出せ」

 

……当たりきついなこの子。まぁいいや。

 

「……あぁ、ちょっと待ってくれ」

 

箒に言ってから中に戻って一夏を呼ぶ。

 

「一夏、お前にお客さんだぞ」

 

「お客さん?誰だ?」

 

「同じクラスの篠ノ之箒」

 

「ああ、分かった」

 

そういって箒のいるドア前に行く。

 

俺は自分のベッドに腰かける。

何か話しているようで、時々二人の声が聞こえてくる。

 

(――そういえば社長、近いうちにIS学園(ここ)に来るとかいってたな)

 

俺は社長の言っていたことを思い出していた。何でも『IS学園でちゃんとやっていけてるか自分の目で確かめる』らしい。親か。

 

……まぁ、拾ってくれたことには感謝してるからな。

 

その時、一際大きな声が響く。

 

「――私が学年別トーナメントで力を証明したら――優勝したら、つ、付き合ってもらうぞ!」

 

「は?」

 

「へ?」

 

 

 

 

 

―――――――

 

 

はい回想終了。結論、意味が分からない。

 

とりあえず、言ったのは箒というのは分かった。なぜこんな所でプロポーズをしているのだろうか。バカなのか?

 

「一夏、何だ今のは」

 

一夏に聞いてみる。当の本人に聞こうにももういなかった。

 

「え、いや、箒が来月にある学年別個人トーナメントで優勝したら[買い物]に付き合ってほしいって――」

 

「――一夏」

 

ぽん、と一夏の肩に手をおく。

 

「もうちょっと女心ってのを学べ」

 

「いや、どういう意味だよ……」

 

 

 

 

 

――――――

 

 

それからもう一週間ほどして俺は登校した(火傷の痕は見て不快にならないように隠している)。のほほんさんや一夏、クラスの皆には迷惑をかけたので誠心誠意お礼を言った。一夏やのほほんさんは気にするなと言っていたが、何人かが、「いや星野くんが謝ることじゃないよ! ほ、ほらその、もっとお世話したかったし!?」 と慌てだし、何人かが、「私たちのために謝る星野君……いいね!」といって鼻血をだす者もいて…………正直、カオスだった。

 

 

そのカオスな教室に織斑先生が入ってきたらピタッと止んだ。スゴすぎる。そして俺が来ているのを見て、驚いていた。

 

「ええとですね、今日は転校生を紹介します!しかも二名です!」

 

と山田先生が笑顔で言う。こんな中途半端な時期に転校生とは……何か裏があるようにしか思えんな。だが本当に時期が合わなかっただけかもしれないので口には出さない。

 

「「「ええええっ!?」」」

 

三度の飯より噂好きと言われる女子たちが興味ありげに叫ぶ。

 

「では、はいってきてください」

 

山田先生が言うと、教室の扉が開いて二人の転校生が入ってきた。

 

――俺は何かの見間違いだと思った。

 

最初に入ってきたのは女生徒だった。背が低く、キレイな銀髪が腰まで伸びていて、整った顔だちに、左目には医療用ではなく軍人がやっているような眼帯をつけていた。服装はこれまた古い軍服のように腿のところが膨らんだズボンを穿いている。

もう一人目も整った顔だちに、キレイな金髪でうしろ髪を軽く結っている。そして驚くべきことに男子制服を着ているのだ。

 

男子――世界で三人目の男性IS操縦者。

 

先程まで騒がしかったクラスは水を打ったように静かになった。クラス全員が金髪の人物に注目していた。

いや、今問題なのはそこではない、と星野は頭の中で必死に考えていた。

 

入ってきてすぐに腕を組み、仁王立ちで目も口も真一文字に閉じているこの転校生が、昔のあの子と印象が被るのだ。

 

「では自己紹介をお願いしますね」

 

山田先生が二人に言って、場を進行する。

 

「シャルル・デュノアです。こちらに僕と同じ境遇の方々がいると聞いて本国のフランスより転入をしました。この国では不馴れなことが多いと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

にこっ、とこちらに笑みを向けてくるのは金髪の方で、シャルル・デュノアというらしい。だがここで少し疑問に思った。男性にしては声が少し高い。 それに立ち方に違和感がある。情報が少なすぎて断言はできないが変装(スキン)の可能性も考えておいた方がいいな。

 

「お、男……?」

 

 

「はい?」

 

クラスの誰かが漏らした言葉にデュノアは反応する。

 

「きゃ――」

 

一拍の予備動作があったので俺は耳を塞ぐ。

 

「きゃああああああっ!!」

 

クラスに響きわたる女子の歓喜の大声援。

 

 

 

 

「男子よ!しかも甘いルックス!」

 

 

「守ってあげたくなる系の!」

 

「織斑君や星野君とはまた違って、良い!」

 

「しかもうちらのクラスに!」

 

と女子たちはシャルルを見てキャーキャー言っている。

 

 

「み、皆さんお静かに~、まだ自己紹介は終わってませんから~!」

 

と山田先生が騒いでいる生徒たちを注意し、なんとか抑える。

 

まだ一人だけ自己紹介をしていないのは隣にいる銀髪の眼帯娘だ。

 

いまだ目と口を閉じ、一貫して沈黙を保っている。

ただ似ているだけなんだろうか、それならいいんだが――

 

「挨拶をしろ、『ボーデヴィッヒ』」

 

「はっ、教官」

 

織斑先生が促す。ボーデヴィッヒと呼ばれた少女はそれに初めて口と目をあけてキッチリと返事をする。眼光は鋭く、眼帯をしていない右目は赤かった。

 

「ここでは織斑先生だ。もう教官ではないし、お前はここの生徒だ」

 

「jawohl (了解しました)」

 

織斑先生の言葉にドイツ語で返す――待ってくれ、『ボーデヴィッヒ』だと?

 

あの返事は絶対に分かってないな、とかツッコミを入れる余裕が凛には無かった。

 

そう言ってその少女はいかにも軍人らしい姿勢で自己紹介を始めた。

 

「『ラウラ・ボーデヴィッヒ』だ、よろしく頼む」

 

『ラウラ・ボーデヴィッヒ』と名乗った少女が発したのはその一言だけだった。

俺は思わず立ち上がりそうになった。キレイな銀髪、赤目、そして『ラウラ・ボーデヴィッヒ』という名前――あぁ、間違えようがない、あの子だ。

生きていたか、良かった……。

俺は今すぐ逃げたい感情と会えて良かったという感情で複雑な顔をしてるんじゃないだろうかと、他人事の様に思う。

 

「あ、あの……い、以上……ですか?」

 

シーンと静まり返った場の雰囲気に耐えきれなくなった山田先生が口を開く。

 

「以上だ」

 

山田先生の質問にバッサリと切って返すラウラ。山田先生が涙目になっていた。

 

ふと、ラウラが教室を見渡し、ツカツカと目的の所まで行く。場所は一夏の前、すると手を挙げ、勢いよく振り下ろした。

 

――パシンッ。

 

 

教室に小気味の良い音が響いた。クラス中が、デュノアが、俺が、一夏が、先生たちまでも目を丸くしていた。

ラウラの平手打ちを受けたのは初の男性IS操縦者である、織斑一夏だった。

 

「私は認めん。お前が教官の弟など、認めるものか

 

「い、いきなり何しやがる!」

 

一拍おいて自分がやられたことを理解した一夏はラウラに向かって言うがそれを鼻で笑う。

 

「ボーデヴィッヒ、何をしている、私用は慎め」

 

「はっ、教官」

 

「……ここでは織斑先生だといっているだろうが」

 

その後、一瞬ではあったがラウラと目があった全く知らないとばかりに俺を素通りする。

……俺のことは覚えていないようだ。てことは昔のことも覚えていないかもしれないな。

覚えていない方が良い、いつまでも引きずってしまうから。

 

それからラウラとシャルルは山田先生に言われた席に座った。

 

 

 

 

 

 

 

ラウラside

 

 

「ふん……」

 

私はいま至極つまらなそうな顔をしているだろう。安易に想像できる。

当たり前だ、本当はこんな場所など来たくはなかった。

こんなISという造られた『兵器』をファッションと勘違いしている輩(やから)しかいないぬるい場所など。

 

何故ここに来たのかと言われれば、ただ一言「教官がいたからだろう」。

 

教官は私を鍛えてくれた。『落ちこぼれ』の烙印をおされた私を救ってくれた。初めはこの『左目』のことを呪ったが、今では感謝している。私をあれから高みへと上がらせてくれたのだからな。

だがひとつだけ悔やんでいることがある。

この左目を移植された際、される以前の記憶が無いのだ。とても大事なことだった気がするが思い出せない。

そして自分の名――『ラウラ・ボーデヴィッヒ』という名前。いつもこの名前を聴くと安心する。何故かは分からないが。

 

そしてもうひとつ。

私はズボンのポケットに触れる。

制服の上からうっすらと確認できる感触。

出してみると薄い金属プレートのようなものに『Nos omnes,familia』と刃物のような尖った切っ先で強引に彫って書かれていた。

前にISの機能で翻訳してみれば、これはラテン語のようで「私たちは皆、家族」という意味だった。

私は生まれつき家族などいないのでわけがわからなかった。

だが、捨てられない、捨てることができないのだ。

 

――――おっと、教官ではないが呼んでいるな、行くか。

 

教室に入れば自分を刺すように見つめる女子達の視線、視線、視線。

鬱陶しくなり、私は目と口を閉じた。そうすれば少しはマシになるからだ。私の後に入った奴が自己紹介をし、歓声が上がる。

何がそんなに嬉しいのか、あとやかましいと、ラウラは内心で毒づく。

 

「挨拶をしろ、ボーデヴィッヒ」

 

「はっ、教官」

 

教官の指示で私は挨拶をした。

 

その後、あの男を見つけた。

教官の枷、貴様が――

 

「私は認めん、貴様が教官の弟など、認めるものか」

 

そういって平手打ちを食らわせて私は自分の席についた。その時、二人目の男性IS操縦者と目があったが特に興味も無いので無視した。

 

 

 

 

 

ラウラsideout

 

 

 

 

 

 

 

 

シャルルside

 

どうも、シャルル・デュノアです。

フランスのデュノア社から来ました。僕と同じ男がいると聞いて転入しました。よろしくお願いします……こんなかんじでいいかな?

僕は銀髪の女の子に続くように教室に入る。珍しいものを見るような視線が向けられる。

「シャルル・デュノアです。こちらに僕と同じ境遇の方々がいると聞いて本国のフランスより転入をしました。この国では不馴れなことが多いと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

言葉もつまらずに自己紹介できた――――した途端におこる女子の黄色い歓声のようなもの。

 

予想していなかったので僕は少したじろぐ、それを眼鏡をかけた胸がおおきい先生がとめる。

 

少しの間が空いて横にいる厳しそうな先生が僕の隣にいる人物に自己紹介を促す。

返事をして淡白な自己紹介をしたラウラ・ボーデヴィッヒと名乗った女の子。

僕はボーデヴィッヒさんが名乗る間、二人の人物を見ていた。

 

――【織斑一夏】と【星野凛】

 

世界で初めて男性で動かした男と二番目に動かした男。

 

織斑君の情報は知っていたけど、星野君の情報は持っていなかったから見て驚いた。

 

僕より高く、でも織斑君より頭一つ分小さい身長。何よりも驚いたのはその髪である。

白髪に所々黒髪が混じっているという奇抜な色をしている。

 

(できれば、近づきたくないなぁ……)

 

第一印象、見た目でそう決めるシャルル。

まぁ、比べる対象が一夏のような好青年なのだから仕方がないといえば仕方がない。

 

 

その時、ボーデヴィッヒさんが織斑君に平手打ちをいれた。

あまりに突然だったから驚いた。

 

「私は認めん。貴様が教官の弟など、認めるものか」

 

どうやら教官という人となにかあったようだ。

 

私怨、その感情だろうと、僕は予想する。

 

なんにせよ僕にはあまり関係ないことだと指定された席に座る。

 

そして僕は考える――織斑一夏のことを、星野凛のことを。

 

この二人とどうやって仲良くなろうか考えていた。ただ仲良くなるだけではダメだ、僕の「目的」を成し遂げるには。

 

――そう、成し遂げなければ僕は

 

――――僕は。

 

 

 

――どうせ、逃げることなんて出来ないのだから。

 

目にはもう諦めたといわんばかりに濁っていた。

 

伏せているシャルルの表情を誰も見ることは無かった。

 

 

 

 

 

シャルルsideout




今までひっぱってきたあの人の処遇が生ぬるかったらすいません。あれ以上思い付きませんでした……

あと、下手ですが主人公の参考画像を描いてみました。


【挿絵表示】


これでいいのかな? のっていなかったらすいません。

書き忘れていましたが、作中に出てきましたjawohl ですが、これはドイツ語で(ヤ・ヴォルー)と発音するらしいです。
意味は了解しましたや軍などの肯定をいうらしいです。
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