IS~ある少年の過去と記憶   作:1056隊風見鶏少尉

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今日の朝に投稿しようと思いましたが盛大にミスってしまったのでこんな時間になりました。

それでは、どうぞ。


十二話 『IS訓練』

 

 

 

 

一夏がラウラにビンタされた後の微妙な空気の中、織斑先生が口を開いた。

 

「ではHRを終わる。次の時間は二組と合同でISの訓練を行う。各々で着替え、グラウンドに集合しろ。では解散!」

 

どうやら二組と合同でISを使った訓練をするらしく、移動となった。

 

「織斑、星野、デュノアの面倒を見てやれ、同じ男子だろう」

 

とのことである。若干、押しつけられた感がするが。

 

 

「君達が織斑君と星野君? 僕はシャルル・デュノア。よろし――」

 

「すまんデュノア。あまり時間がないからついてきてくれ」

 

「――え?」

 

デュノアの言葉を遮り、一夏が説明する。

 

「教室で女子たちが着替えるから俺たち男子はアリーナの更衣室に移動しなきゃいけないんだ」

 

説明しながら小走りで更衣室を目指すちなみに一夏、デュノア、俺の順で走っている。

 

「一秒でも遅れると織斑先生にシメられるからな」

 

ついでにデュノアに織斑先生の怖さを教えとく。

 

「そ、そんなに?」

 

「「ああ」」

 

一夏とハモる。よく怒られてるからな。

 

あと数分で更衣室に着くところで事は起こった。

 

「ああっ! 転入生発見!」

「しかも織斑君も一緒よ!」

 

「星野君もいるわ!」

 

「くっ……見つかったみたいだな、星野」

 

「みたいだな、どうする?」

 

どこからともなく出現する女生徒の群。

 

「どうもなにも、逃げるしかないな」

 

まぁ、そうだよな

 

「いた、こっちよ!」

 

と後ろからも声がする。

 

「え? な、何?」

 

デュノアはよく分からずに混乱している。

 

「こっちだ!」

 

一夏がデュノアの手をひいて横道に走り出す。俺もそれに追いていく。

 

「ひゃっ!」

 

…………「ひゃっ」ておい、こいつ本当に男か?走り方も若干変だし。

 

「織斑君と転入生が手を繋いでる!」

 

「これが禁断の逃避行!」

 

「ほら、星野君も繋がなきゃ!」

 

「ぶふぉっ!」

 

「売れる! これは本が厚くなるわ!!」

 

腐しかいないようだ。あと鼻血噴いたやつがいるが大丈夫なのか?

 

「うわわっ」

 

「一夏走れ!」

 

転びそうになるデュノアを支えて一夏に告げる。

 

「キャアアアアア! 星野君が転入生のことを触ってるわよ!」

 

「取り合い!? 修羅場!?」

 

「キタァァァァァァァッ!!」

 

だから黙れ腐ども。

 

 

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ、何とか逃げれたな」

 

「……だな」

 

正直、勘弁してほしい。

ね、ねえ。あの人たちはどうしてあんなに騒いでいたのかな?」

 

更衣室の前に着いたところでデュノアはこちらに話しかけてくる。

 

「男が珍しいからだろ。実際、IS学園(ここ)には男子が三人しかいないからな」

 

「え、あぁ、そ、そうだね……」

 

「はやくしないと千冬ね――織斑先生におこられるぞ?」

 

そうだったな、俺達は更衣室に入って着替えを始めた。

 

とはいったものの――

 

(俺、下に着てるから後は制服を脱ぐだけなんだよな)

 

俺の着ているISスーツは一夏と同じストレートアームモデルだが、一夏のと違い手、足、腹部も覆っている。

なので一夏のよりも着るのに時間を要してしまうのでということもあるが隠せるからというのが大きな要因である。

 

俺は未だ包帯を巻いている顔を触る。

 

「星野、どうした? 傷が痛むのか?」

 

ぼーっとしていたようで、一夏の声で我にかえる。

「いや、何でもない、着替えが終わったなら早く行こう――って何でデュノアは顔が赤いんだ?」

 

「い、いや何でもないよ!? は、早く行こう!」

 

話をはぐらかされた。

 

 

 

 

 

 

 

 

無事遅れずにつくことができた。授業が始まる少し前に織斑先生に声をかけられた。

 

「星野、今日はお前は見学だ。専用機もあの状態では使えんからな」

 

「分かりました」

 

俺の専用機は修理され、直ったが機体だけで腕部、脚部がまだなおっていないらしいのだ。

 

「それと格納庫にある訓練機、五機をアリーナまで運んできてくれ、乗っても構わんのでな。よろしく頼む」

 

「分かりました」

 

それから訓練機をすべて持ってきて待機状態にしてから授業が始まった。最初に織斑先生と山田先生からISの簡単な説明があった。

 

「今日は戦闘を実演してもらおう。凰! オルコット!前に出ろ。」

 

二人は文句があるようで「何故わたくしが……」、「何であたしが……」とぶつぶつ言いながらも前に出る。

その後千冬さんが二人の近くにいき、何かを耳打ちしたとたんに二人と態度がガラリと変わった。

 

「やはりここはイギリス代表候補生、わたくしセシリア・オルコットの出番ですわね!」

 

「実力の違いを見せるいい機会よね! 専用機持ちの!」

 

……絶対よからぬこといっただろあの教師。読唇で読み取ったら一夏がどうとか言ってたぞ。

 

 

「それで、相手はどちらに? わたくしは鈴さんとの勝負でも構いませんわよ」

 

「ふふん、こっちの台詞よ。返り討ちにしてあげるわ」

 

「慌てるなバカども、対戦相手は――」

 

織斑先生が対戦相手の名前を言おうとしたとき、空から甲高い音がした。しかもしだいに音は大きくなってくる。

 

上を見るとすごい速さで物体がこちらに向かってきていた。

 

「あああっー!ど、どいてくださーい!!」

 

山田先生が墜落してきた。あの速度でぶつかられたらヤバイので避難する。だが一夏が逃げおくれ――ギリギリのところでISを展開した一夏。

 

凄まじい音と共に巻き上がる土煙、だがすぐに晴れると地面が若干陥没している場所に二人はいた。

 

 

ただ問題が複数。まずひとつに何故一夏の方が山田先生に馬乗りのようになっているのか? 二つめに一夏が山田先生の胸を鷲掴みしていることである。

 

「ううん……な、何だったんだ……?」

 

一夏は今どういう状況か分かっていないようで、立ち上がろうと手に力を込め、さらに山田先生の胸を押す。

それに対して山田先生は変な声を上げる。

 

 

 

「あ、あのぅ、お、織斑くん……ひゃん!」

 

「!? や、山田先生!?」

 

一夏は自身が掴んでいるものを理解し、慌ててどこうとするが逆に変な力が入り、山田先生の大きな果実に顔面を押し付ける形になってしまった。

 

「す、すいません!!」

 

すぐに身を起こし、謝罪する。

 

「そ、その、ですね。困ります!こんな場所で……。いえ!場所だけじゃなくてですね!私と織斑君は仮にも教師と生徒でですね!……ああでも、このまま行けば織斑先生がお義姉さんってことで、それはとても魅力的ではありますけど!?」

 

山田先生は妄想の世界に入ってしまったようだ。クラスが唖然とする中、三人ほどが殺気を出していたので一夏を助けに動く。

 

一夏が立ち上がろうとしたのを強引に引っ張って上体をずらす。

 

「うおっ!? 星野、なにして――」

 

次には一夏の頭のあった場所にセシリアのレーザーが通過していた。

 

 

「ホホホホホ……。残念ですわ。星野さんが余計な事をしたせいで外してしまいましたわ」

 

笑ってはいたが目が完全に笑っていなかった。

 

続けざまに後ろから何かの連結するような音、嫌な予感を感じ、振り向くと鈴のIS『甲龍』の武器、双天牙月が連結されていて、すでに振りかぶっていた。

 

「一夏ぁ!!」

 

「「ちょっ!?」」

 

まさかの攻撃に生身の俺と一夏は避ける。だが双天牙月はブーメランのようにかえってきた。

 

――やばっ

 

バランスが崩れている俺と一夏ではかえってきた双天牙月はよけれなかった。

が、突如二発の弾丸が双天牙月に当たり、明後日の方向へ飛んでいく。

見てみると山田先生が伏せ撃ちで正確に狙撃してみせたのだ。

キンッキンッ、と空薬莢が跳ねる音がする。

 

「一夏ぁっ!」

 

安心したのもつかの間、また一夏に襲いかかってきた。今度は箒である。

 

 

まさかの訓練機『打鉄』に乗り、近接ブレードの『葵』を一夏めがけて振り下ろしていた。

 

「っ!」

 

「ふんっ!」

 

一夏を蹴って斬撃から反らす。

 

「何だ貴様は! 邪魔をするな!」

 

そう言って今度は俺に振り下ろしてきた。

 

俺はそれをギリギリでよける。

 

「いや、助けなかったら死ぬぞ? それでもいいのか」

 

「うるさい! 貴様の意見なぞ聞いていない!」

 

よけ続けながら俺は自己中な女だと思った。

 

「何をしている、篠ノ之」

そこに出席簿ではなく拳骨で箒を殴る織斑先生。というかISってなかなか高いのに飛んで殴る織斑先生すげぇ。

 

「~~~~~っ!!」

 

悶絶し、武器を放す。

 

「貴様は一ヶ月間のIS搭乗禁止と言うことを忘れたか、授業が始まる前にも言っておいたはずだが?」

 

「ですが、一夏がっ」

 

涙目で反論する箒だが、それも織斑先生の前では無意味だった。

 

「黙れ、何であれ貴様は禁を破ったのだ。そのおとしまえはつけてもらうぞ」

 

さっさと降りろと箒に言う。箒は複雑な顔をしながら渋々降りた。

 

「さて小娘ども、いつまで惚けている、さっさと始めるぞ」

 

「え、だ、誰とです?」

 

セシリアが織斑先生に聞く。

 

「決まっているだろう、山田先生とだ」

 

「山田先生はああ見えて元代表候補生だからな」

 

織斑先生がつげる。本人は照れ臭そうにいまの説明につけ足す。

 

「む、昔のことですよ。それに候補生止まりでしたし……」

 

「え? 二対一ですか?」

 

「いや、さすがにそれは……」

 

「安心しろ、今のお前たちならすぐに負ける」

 

織斑先生の言葉にむっ、と顔をしかませ、瞳に闘志をたぎらせる。

 

「では始め!」

 

二人の顔を見てニヤリと笑みを浮かべ、開始の宣言をした。

 

「手加減はしませんわよ!」

 

「さっきのは本気じゃなかったしね!」

 

「い、行きます!」

 

号令とともに三人が飛翔し、口々に言っている。

 

戦闘を繰り広げているのを見て織斑先生はふむ、と言ってデュノアに話しかける。

 

「ちょうどいい。デュノア、山田先生が使っているISの解説をしてみせろ」

 

「あ、はい!」

 

そういってしばらく戦いを見て、口を開いた。

 

「山田先生の使っているISはデュノア社製『ラファール・リヴァイブ』です。第二世代開発最後期の機体ですが、そのスペックは初期第三世代にも劣らないもので――」

 

とペラペラと説明をするデュノア。よく覚えたなと思います。

 

一通り説明したところで織斑先生が止めた。

 

「そこまででいいぞデュノア……終わるぞ」

 

視線を一度も上から外さずに告げる。

 

――結果としては山田先生が勝った。

 

山田先生の射撃がセシリアを誘導わ鈴とぶつかったところでグレネードを投擲して二人が爆発に巻き込まれ、勝利といったところだ。

 

「くっ、まさかこのわたくしが……」

 

二人はまるで歯がたたなかったことにいがみ合っていた。

 

「ぐぐぐぐぐっ!」

 

「ぎぎぎぎぎっ!」

 

「いくら個々が強かろうとチームで戦うのなら話は別だ。それぞれの特性を生かし、使えなければ今のようになる。覚えておけ」

 

皆に聞こえるように言う。

 

「さて、これで諸君らにもIS学園教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接するように」

 

そしてぱんぱんと手を叩いて皆の意識を切り替える。

 

「専用機持ちは織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰だな。では八人グループになって実習を行う。星野、お前は全員のサポートにまわれ。各グループリーダーは専用機持ちがやること。いいな? ではわかれろ」

 

そう織斑先生が告げたが何故か一夏とデュノアと俺の方に群がってきた。

 

「織斑君、一緒に頑張ろう~」

 

「星野君わかんないところあるから教えて~」

 

「デュノア君の操縦技術を見たいなぁ」

 

と言い寄ってくる。いいのだろうかそんなに言ってると――

 

「バカどもが! 出席番号順に分かれろ! 次ももたつくようならばグラウンドを良いと言うまで走らせるからな」

 

その一言で瞬く間に散っていき、すぐにグループごとに分かれることが出来た。織斑先生、恐るべし。

 

「最初からそうせんか、まったく」

 

と、ため息を吐く織斑先生。

 

「(あ、織斑君と同じ班だっ、やったね!)」

 

「(セシリアかー、織斑くーん、デュノアくーん、星野くーん、誰でもいいから来てー)」

 

「(凰さん、よろしくね)」

「(デュノア君! 分からないことがあったらなんでも聞いていいからね! ちなみに私はフリーだよ!)」

 

と皆、個性豊かに小声で喋っている。唯一私語がないのがいわずもがな、ラウラの班である。

 

「…………(じーっ)」

 

無言で、しかし切実にこっちに来てと、目で訴えてくる。

ラウラも何も喋らず、不動で張り詰めた雰囲気を出しているので話しかけることもできず、かといって空気に飲まれて周りと話すこともできないといった風である。

 

 

それから班ごとにISを装着し、動かしてみることになった。俺はとりあえず順にまわっていくことにした。まずは一夏の班から。

 

「星野、来てくれたか」

 

「ああ、まぁ気にせずに始めていいぞ」

 

「俺も分からないところがあったら聞くよ――それじゃあ首席番号順にISの装着と起動と歩行までやろう。一番は――」

 

と、進んでいった。ただ一夏と俺に自己紹介をして選んでくださいとばかりに差し出される手には少し驚いた。

そしてそれを見ていたデュノア班が同じことをやって織斑先生が直々に指導してくれるらしい……南無三。

 

「えーと、何か聞きたいことはあるかな?」

 

とりあえず、一番最初にやっている相川清香さんに聞く。

 

「う~ん……動かすのにちょっと違和感があるかな~って」

 

それなら、と班員全員に聞こえるように言う。

 

「最初は腕や脚を振ってみて、それから手を開いたり閉じたりしてみたり、準備運動みたいなことをすれば大分違和感は無くなると思うから。次からやる人もそれを意識してやってみてくれ」

 

分かりやすかったかどうか不安だったが分かってくれたようで、「は~い」と返事をしてぷらぷらと手足を動かし始めた。

 

「へぇ、そういう感じなのか」

 

一夏が関心したようにうなずいている。

 

「じゃ、あとはよろしくな一夏。俺は他の班のサポートしてくる」

 

「ああ、星野も頑張れよ」

 

その後、セシリア、鈴、デュノアの班に回った。一夏の時と似たようなことを言ったり、うまく乗れずに落ちた生徒を助けたりした。

教えている際に一夏の班では立ったまま装着解除をしてしまい、一夏がお姫さま抱っこをして乗せるということになり、他の班は羨ましいといった目で見ていた。

 

さて残るはラウラの班である。

 

「…………」

 

まだ一人しかやっていないようだ。

 

どうやら大雑把にしか言っておらず、上手く出来なく、 聞いてもただ一言、「乗れ」や「動け」としか言わないらしい。

 

なので班の人には乗り方や他の班で言ったようなことを言っておいた。

 

「ラ、ボーデヴィッヒさん、もうちょっと分かりやすく教えてあげてもいいと思うんだが……」

 

ラウラと呼ぶのは少しためらわれたのでボーデヴィッヒと呼ぶことにした。

 

するとラウラはこちらを向き、口を開く。

 

「貴様には関係の無いことだ」

 

冷ややかな視線を一度だけ向けてあとはまた別の方を見るラウラ。

 

……どうしたらここまで変わってしまったのかと少し悲しくなった。

 

織斑先生ならラウラのことを知っているだろう。前にもらった資料に一年ほどドイツの軍にいたらしいから。後で聞いてみるか。

 

 

 

「では午前の実習はここまでだ。午後は今日使った訓練機の整備を行うので各人格納庫で班別に集合すること。専用機持ちは訓練機と自機の両方を見るように。では解散」

 

そうして訓練機を格納庫にしまって午前は解散となった。

一夏とデュノアが戻すのを手伝ってくれたのは助かった。

 

 

余談だが、箒はあれから織斑先生が付きっきりでみっちりと指導していたとか。

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