シリアスとのギャップが欲しかったから主人公の性格を変えた。後悔はしていない!
それではどうぞ。
一話『入学』
???side
IS学園の男子制服を着込んでいる少年は苦虫を噛み潰したような顔をして眼前に広がる光景を見ていた。
「くそっ、恨むぞおっさん――」
男性としては少しばかり小柄で白と所々黒が混じった髪の毛をしていて、首にチョーカーのような機械のようなものをしているという特徴的な少年は大きなキャリーケースのような荷物を持ち、IS学園の門前で悪態をついていた。
「どこが居心地がいい学校だ!100%住みづらいだろうがっ!!」
大声で天に向かって吠える。
周りにいた女子達は驚いた顔をし、少年から距離をおいて歩き出す。
恐らく、距離を置かれているのは突然叫んだからだけではないだろう。
「はぁ…………しょうがない、とりあえず中に入ろう」
諦めた、といった様子でトボトボと荷物と一緒に女性徒達にまぎれるように学園内に消えていった。
???sideout
一夏side
――周りにの視線が突き刺さる、という表現が今こそふさわしいと思う。
一夏はIS学園に入学させられた。
普通ならば、男子が入ることなどできはしないが、一夏は例外である。
彼――織斑一夏は手違いとはいえ、ISを動かしたのだ。
世界で初めて女性しか動かせないはずのものを動かしたのだ。だからここにいる、というわけだ。
しかし、周りは女性だらけ、しかも全員が珍しいものを見るかのような視線を向けてくる。
(――まぁ、珍しいか)
と一夏は内心で考えていた。
一夏の親友の五反田弾ならば、女性しかいない場所に行くのは最高だ。ハーレムは羨ましいなど言っていたことを思い出す。
だが、それは一部の人間だけで一夏はむしろそれが苦痛であった。
だが苦痛だけではないようだ。
一夏一人だけと思われた男性IS適合者がもう一人発見されたのだ。
一人だけではツラいがもう一人いればこの生活もかなり楽になる。と、一夏は考えていた。
「――……くん、おり……くん、織斑くん!」
気が付くと、担任であろう女性の先生がこちらを涙目で見ていた。
「あ、あの~、次は『お』の織斑くんから自己紹介してもらえないかな~って……ダメですか?」
どうやら、自己紹介が始まっていたらしく、すでに自分の番までまわってきていた。
(そういえば、もう一人の男性操縦者が来てないな)と、考えたが違うクラスにいるんだろうとあまり気にはとめなかった。
「は、はい!」
大きく返事をし、教卓の前に立つ。
自分が緊張していることがわかるほどに心臓が脈打っている。それを深呼吸で無理矢理抑え、声を出す。
「お、織斑一夏、です……」
名前を告げる。他の生徒達は次の句に一体何を言うのか、という期待に満ちた表情で一夏を見ていた。
だが、一夏が次に口を開いて出た言葉は――
「い、以上です」
――――だった。
それを聞いて、一夏以外の全員がずっこけるという見事な連係プレーをしてみせた。
「あ、あの~他にはないんですか?」
「え、あ、はい」
――バシンッ!!
と、先生に返事をしたら後頭部に重い衝撃を食らう。
何かと思い一夏は後ろを振り向いた。
「げ、関羽――じゃなかった、千冬姉!」
――バシンッ!!
もう一撃食らう。
「誰が関羽だ馬鹿者が、ここでは織斑先生と呼べ。それにお前は自己紹介もマトモにできんのか」
出席簿を片手に持ち、一夏を叱る千冬ね――織斑先生。
「あ、織斑先生、会議の方はもうよろしいんですか?」
「あぁ、まかせてしまってすまなかった、山田先生」
山田先生に詫びをいれて生徒達の方へ向き直る。
「さて、諸君。私が諸君等の担任、織斑千冬だ。そこにいる馬鹿が弟だ。君たち新人を一年で使い物にするのが仕事だ。私の言うことはよく聴き、よく理解しろ。出来ない者には出来るまで指導してやる。逆らってもいいが、私の言うことは聞くように」
瞬間、織斑先生に向けて生徒達から割れんばかりの黄色い声が響く。
「黙らんか馬鹿者!」
一喝。それで辺りは静まり返る。
織斑先生は眉間にかるく手をあて、呆れたように呟く。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か?私のクラスにだけ馬鹿者を集中させているのか?」
はあ……と、ため息を吐き、二の句を告げる。
「貴様も、一体いつまでそこに入るつもりだ、早く入ってこい馬鹿者」
一体誰に言った言葉なのかと思ったが、ガラリと扉が開き、そこから一人の男性が入ってきたことで、疑問は氷解する。
一夏sideout
???side
(完全に迷った)
――あれから、教師に道を聞いて、移動するたびに不審者のごとき視線を浴びるが無視して荷物を置くために整備室に向かうが、迷い、生徒、教師に道を聞くこと4回(そのたびに不審者のごとき視線をむけられたのはいうまでもない)。
やっと整備室にたどり着き、荷物を置いて、いざ教室へというところでまたしても迷ってしまい、さまよい歩いているのだ。
(いや、広すぎるでしょ、絶対迷うわ!!――てか教師にも不審者がられるっておかしいだろ!?)
彼はイライラしていた、もちろん表情には出さず。
「おい、そこのお前」
と、そんなとき、後ろから声をかけられた。
「あ?」
声に出てしまったらしく、彼の声色には怒気が少しばかり含まれていた。
振り替えるとそこには警戒心MAXの鋭い眼光でこちらを見ている女性が立っていた。
(どう考えても不審者としか見られてねぇよ俺、てかこの人どっかで見たことあるな)
「不審者の報告を受けて来てみればIS学園(ウチ)の制服を着た男とはな」
その言い方だと俺はただの変態になってしまうんじゃないか。ちゃんときてますよ、男子用制服を。
「ちょっと待ってください、俺はIS学園にはいることになった男子生徒ですから、ただ迷っただけですから」
訝しげな視線を向けてくるが直ぐに持っていた出席簿を確認していく。
一応この教師は自分のことを信用しているようだ。
少ししてから名前を聞かれたので言う。そして名簿と一致したようで「貴様か」など呟き、踵を返して後ろ姿のままで俺に促してきた。
「ついて来い、貴様のクラスはこっちだ」
俺はそれに黙ってついていく。ここでカッコつけて断ってもどうせ迷子になるだろうから俺はついていく。
――――えっと、つきました。俺が所属するクラスは1年1組らしいです。でもなぜ俺が廊下に立っているかって?
あの人、クラスに入ろうとしたら一瞬止まって「あの馬鹿者が」とかいって自分一人ではいっていったんだぜ、その後入ろうとしたら扉を閉められました。
数拍の間の後、廊下にも響くほどの音が1年1組から発せられる。
たまらず耳を塞ぐ。
「うるせぇ……」
だがそれも先ほど女性の一喝で静まり返る。
(すげぇな、一発で静まり返ったぞ)
『貴様も、一体いつまでそこに入るつもりだ、早く入ってこい馬鹿者』
――……あ? ひょっとして俺か?呼ばれてるのって。てか、あんたが閉めたから入りづらくなったんだけどなぁ。
とりあえず扉を開けて中に入る。そこには男子一人と他全てが女性徒というなんともカオスな光景が広がっていた。
「いや、あなたが先にはいっちゃって後から入りづらくなったんですけどね」
「それぐらい構わずに入ってこい馬鹿者」
なんか理不尽に怒られた。
「まぁいい、次はお前から自己紹介をしろ」
そういって俺を指す。
いや、自己紹介も何も俺まだあなたの名前も知らないんですが?
はやくやれ、といった表情でこちらを見てくる。俺はため息を一度だけ吐き、生徒達の方へ顔を向けた。
「――星野凛だ。趣味は読書と掃除。国籍は日本。好きなものは特にない。嫌いなものはうるさいもの、だ。それにこんな見た目だが、気にしないでくれたら嬉しい。よろしく頼む」
確かに彼、凛の見た目は他の人と変わっている。一夏と比べれば身長は少し小さく、日本人特有の黒髪ではなく白髪に少し混じっているという奇抜な髪の毛。首にはチョーカーのような機械のようなものをしているのである。
一夏よりも珍しいものを見るかのような視線が凛に突き刺さる。
それを凛は気にする素振りはなかった。
(うん、分かってたよ、入ってきた段階でかなり視線を浴びることは、でも予想外だった。ここまでとは)
自己紹介を終えるとさらにその視線は強くなった。
「まぁいい、お前は織斑の隣だ」
織斑って生徒が分からんが空いている席があったのでそこに座る。すると隣に誰かが座った。
「俺が織斑一夏だ。一夏って呼んでくれ」
一夏とやらはにこやかな笑顔で俺に語りかける。
「あぁ、よろしく」
俺もそれに返しておく。
――それから、自己紹介が終わったところで授業が終了し、わらわらと女子達がやってきた。
一夏は誰かの女子とどっかに行ったのを見た。
どうやらこいつらは変わっている容姿が気になるらしい。
「髪は地毛なの?」 「背、小っちゃいね」 などと聞いてきた。
俺はそれをひとつひとつ答えていく。そしてついでとばかりに名前を聞いていった。分からないと後々困るからな。あと小っちゃいって言ったやつ、俺も気にしてんだから言わないでほしい。
こうして、俺の休み時間は質問で消費されていった。
凛sideout
一夏side
入ってきたのは、変わった風貌の男子だった。
驚きはしたがそれだけだった。
そして名前は凛、というらしい。
席に座り、挨拶を交わして前に目線をやると一人の女性徒に目がいった。
(――箒、なのか?)
すらりと伸びた背すじにポニーテール、キリっとした目元、幼い頃一緒に剣道をしていた少女て似ていたのである。
授業が終わり、女子たちがこちらに来るなか、突然服を引っ張られ廊下へと出された。
「一夏、なんだな」
「箒、なのか?」
「あぁ、久しぶりだな、一夏」
「あぁ、そうだな」
「……少し話さないか」
「分かった、じゃあ、屋上にでも行こう」
そういって集まってくる生徒たちをさけながら屋上に向かった。
「剣道大会で優勝したんだってな」
「……聞いたのか」
「いや、新聞で見たんだ、おめでとう」
「ふっ、お前も新聞を読むのだな」
屋上でそんな他愛ない会話の中で箒は笑う。軽くバカにしてはいるが、どこか懐かしんでいる表情だった。
「い、一夏、そ、それならば私と一緒に剣道をやらないか?子供の頃にもやっていたし、一夏ならば――」
箒の問いに一夏は苦笑しながら答えた。
「ごめん箒、実は俺、剣道を辞めたんだよ、だから一緒にはできない」
「は?え、辞めた?」
箒は突然の告白に理解が追い付かず、ポカーンとした表情になっていた。
「本当にごめん!だけど見に行くくらいはするからさ」
そういって一夏は逃げるように屋上を後にした。
一夏の姿が消えてからようやく理解したのか、体を震わせ目には決意の炎を灯していた。
「――見ていろ一夏、必ず、必ずお前に剣道をさせてやるぞ」
その顔にはニヤリと乾いた笑みがはりついていた。
一夏sideout
千冬アンチを期待していた皆様、すみません。
千冬アンチはありません。
アンチは別の人でおこないます。